偽訳・銀魂 白夜叉の妹と真選組   作:由比レギナ

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迷った時は喧嘩を売れ④

「先に相手の胴体に触れた方が勝ちってことでいいかしら?」

「本気なのかよ?」

 

 わたしが笑顔で頷くと、沖田はまた舌を打った。

 

「怪我したって、知らねェからな!」

 

 ――怪我させるつもりもないくせに。

 

 苦笑したい気持ちを押さえて、わたしは構える。

 

 しぶしぶ、沖田も構えたところで、

 

「……行くよ」

 

 わたしは駆ける。ジャリジャリと破片のこすれる音を響いた。手の届く範囲まで寄って、まっすぐに掌底を押し出す。

 

 沖田は黙って、その手を掴んだ。そして、捻り挙げるように持ち上げてくる。

 

「痛ひ……て、降参するとでも思った?」

 

 わたしは床を蹴り上げて、バク宙しながら蹴りを繰り出す。沖田は手を放し、一歩後退することで躱した。

 

 着地した瞬間に、身を低くして突進。沖田の左脚を左手で掴み、そこを軸に滑るように回転。彼の背中に触れようとした時、

 

「くそっ!」

 

 皮肉げに顔をしかめながら、沖田が上段に、蹴りを繰り出して来る。

 

 わたしは、その脚に飛び乗った。

 

 目を見開く沖田と視線が合い、わたしは小さく微笑む。

 

「ごめんね」

 

 そして、沖田の胴体に飛び乗ると同時に、彼は後ろに倒れていって。

 

 わたしは彼の頭の下に手を置いた。絨毯が敷いてあるから強打しないとはいえ、ガラス片が頭に突き刺さるのは、とても危険だ。

 

 無事に倒れて、わたしは沖田の胴体から足を下す。

 

 ふと思う。

 

 目の前にあるのは、整った顔。大きな瞳は少し潤み、華憐な唇はほのかな桜色。恥ずかしいのか、頬が紅に彩られている。

 

 ――この体勢……まるで絵本の王子様が、眠れるお姫様に口づけをする場面かっての!

 

 それに、なんだかこっちまで恥ずかしくなってきて、

 

「ご……ごめん!」

 

 わたしは沖田の上から退いて、立ち上がった。

 

「……なんでアンタが照れてるんでィ」

 

 沖田もゆっくりと上体を起こすと、頭をぼりぼりと掻いている。

 

「負けて恥ずかしいのは、こっちだっつの……」

 

 ともあれ、沖田が負けを認めた以上、この勝負はこれにておしまいである。

 

「手、抜きすぎじゃない?」

「ちったァ考えてみろってーんだ。ペットを傷付けるようなヤツにゃ、ペットを飼う資格はねェーんでサ」

「このペット、ちょっとやそっとじゃ、傷付かないよ?」

「頑丈なこって、何よりで」

 

 その軽いやり取りにわたしは「ふふふ」と笑い、向き直る。

 

 見届けてくれた将軍に、戦果を確認するのだ。

 

「そういうことで――将軍様、わたくしめに攘夷浪士と討伐、命じて下さいますでしょうか?」

 

 わたしの微笑に、将軍こと将ちゃんの顔は固い。

 心配なんだろうなぁ。やっぱり優しいんだなぁ。

 

 だけど、短い付き合いながら、わたしは知っている。

 

 この男は、いい男なのだ。

 

「……約束を果たさぬなど、将軍失格だな」

「まぁ、正直な所。将ちゃんの合意を取る前に始めた気もするんだけどね」

「ならば、この決闘はなかったことにしても良いか?」

 

 その提案に、わたしは首を横にふる。

 

「後の詳しい話は、松平さんや近藤さんを介して」

 

 そう告げると、将軍は大きく嘆息して「わかった」と頷いた。

 

 

 

 




ご無沙汰しております。
数年ぶりに書いてみました。

だってふと自分で読み返したら、想像以上に面白かったんだものw
やっぱり、自分の作品の一番のファンは自分ですね。

正直このページはほとんど書いてあったので、締めだけ書き足したのですが……
この続きをすっかり忘れてしまったので、また考えてチマチマ更新できたらなぁ、なんて思っています。

ただ、他サイト似たようなペンネームでオリジナル小説をメインで更新しているので、その合間の息抜き程度になりますが。

次またいつ更新できるかわかりませんが、わたし以外の誰かの暇つぶしとして、この小説が楽しんでもらえますように
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