涼宮ハルヒの日常   作:My11

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キョン「ん?なんだかここ(前書き欄)に来るのが久々な気が…?」
キョン子「ああ、おまえは第8章以来だなここは」
キョン「何!?もうそんなに進んでいたのか!?」
キョン子「まあ、いろいろあったんだよ」


第12章 祝いと別れ

例の事故から五日後。

 

意識が戻ってからあたしは一日で病院から退院していた。

(まあ別世界に行ってたりしたから時間間隔は特に変わりないんだが)

特に目立った外傷はなかったが、一応もろもろの精密検査を行い異常がなかったことが確認されたのですぐに退院となったのだ。

 

家に帰るとさっそく妹のスーパータックルをくらったが、それが妹の挨拶みたいなものだからな。こういう時くらい許してあげよう。

 

「ねねキョンちゃん、何かして遊ぼう!」

「ごめんな。姉ちゃんはこれから用事があるから支度しないと」

「え~、つまんな~い」

「一緒に連れてってあげるから我慢しなさい」

「え!いいの!?」

 

妹はビックリしながらはしゃいだ。

 

「ああいいよ。ほら、支度してきな」

「は~い!」

 

そう言って妹はスキップしながら自分の部屋へと行った。

 

実はこれから、真田家でパーティーが開かれるのだ。

もともと真田が主催して夏休み中に何かしようとしてたみたいだが、今回あたしが退院したお祝いだそうだ。大袈裟すぎると言ったのだが、真田と夏姫が聞かなくてな。

 

ちょうど昨日、あたしの見舞いに来た真田がこう言ったんだ……。

 

 

――――――――――

 

「いや~キョン子ちゃんも目を覚ました事だし、どうだい?明日の退院後、僕ん家でキョン子ちゃんの退院祝いをしないか?」

「な、そっそんなことしなくていいから……」

「あ、それいい!いいよトモッチ!やろうやろう!!」

 

夏姫まで……、まったく。

あ、トモッチってのは真田のことだ。名前の友輝の友をとってトモッチだそうだ。

 

――――――――――

 

 

という事があったんだ。

なんだかんだでパーティーを開く事になってしまったのだ。

 

それを聞いたハルヒが

 

「あたしたちも参加するわよ!!」

 

となり、SOS団も参加する事になった。

 

もちろん朝倉も参加すると言っていたし、谷口や国木田も来るらしいな。もともと招待する予定だった6組のみんなもOKしたみたいだし、あと鶴屋さんも参加するって朝比奈さんが言ってたな。妹が喜ぶだろう。

 

さて、キョンはどうした?と言うと、先に会場へと行ってくれと言っていた。ちょっと用事があるからと。

どうしたんだろうな。

なんだかんだで支度を終え、妹と一緒に家を出た。

 

真田家がどこにあるのか知らないので、夏姫に案内してもらう事になっていた。

あ、言ってなかったかもしれないが(あれ?言ったっけ?)夏姫と真田は小学生の頃からの幼馴染というか腐れ縁だそうだ。この前初めて知った。

 

夏姫とは駅前で待ち合わせていた。着くとそこには6組の人も何人かいて、みんなあたしが来ると退院おめでとうと声をかけてくれた。

そしてそこには

 

「やあやあキョン子ちゃん!退院おめでとう!」

「鶴屋さん!」

 

そこにはなんと鶴屋さんもいたのだ。なんでも朝比奈さんも用事があるから先に会場に行っていて欲しいと言われたらしい。駅前にいればあたしも来るからと言われていたそうだ。

 

「わ~い!鶴屋お姉ちゃんだ!」

「お~、妹ちゃ~ん。久しぶりだね。相変わらず可愛いにょろね~」

 

妹は鶴屋さんを見つけると即座に抱き着いた。やっぱり喜んでくれたか。

 

「みんな集まったね。それじゃ行こっかキョン子ちゃん」

「ああ。そうしよう」

 

夏姫の案内で真田家へと向かった。

 

 

十数分後、着いたそこは……

 

「……な、なんつー……」

 

デカイ。

その一言だった。

6組のみんなも(夏姫以外は)絶句したり、口をパクパクしていた。

造りは洋風に近い造りで、なんとも豪華な庭付きだ。どんだけ金持ちなんだよ。

 

「いや~、会場ってのはここ(真田家)だったんだね~」

「え?鶴屋さん知ってるんですか?ここ」

「知ってるにょろよ。うちの親と真田家はけっこう親しい仲でっさ、何回かパーティーとかに参加したことがあるっさ~」

 

そうだったんですか。てことは、鶴屋さん家もかなり金持ちなのかな。

いやはや、スケールが違いすぎる。

 

いつの間にかいた執事さんに案内されてあたしたちは真田家の中に入った。

案内された部屋に入ったあたしたちはまたもや(夏姫、鶴屋さん以外)絶句。

どこかのお城の部屋ですか!?って感じだ。もう言葉に表せられない。

 

「うわ~、すごっいおっきいお部屋~」

 

妹はもうはしゃぎまくりだ。

部屋の中には残りのクラスの人や谷口に国木田もいた。

 

だけど、キョンや朝比奈さん加えてSOS団のみんなはまだ誰も来ていなかった。朝倉もだ。

いったいどうしたんだろうな。

 

そんなことを思っていると、真田がステージのようなところに立ってマイクを握っていた。

 

『え~皆さん、今日はここ真田家にようこそ~。今日は、キョン子ちゃんの退院祝いと言う事でこのようなパーティーを開く事に…なんたらで…こうとかで……』

 

と、そんな感じに真田がしゃべりだした。

よく真田を見ると、なんだかお高そうなタキシードみたいな服を着ている。なんなんだよあれは。

しかし、なんだか話が長くなりそうだな。

そう思っていると、隣の夏姫がため息をつきながら言った。

 

「まったくトモッチ、しゃべりだすと止まんないんだから。谷口くん、ちょっと手伝って!」

「え?はい!夏姫さん!」

 

夏姫がステージのほうに向かいながら谷口にそう言うと、谷口はまるで敬礼したように背筋を伸ばして夏姫について行った。

夏姫は何をするんだ?と言うか

 

「くっ国木田。谷口のやつ、なんかおかしくないか?」

 

すぐ前にいた国木田に声をかけた。国木田は苦笑いしながら言った。

 

「ああ、キョン子ちゃん。谷口さ、あの球技大会の青木さん見てから青木さんにベタボレでさー」

 

なあるほど。そういう事か。

真田はもうお構いなしに演説紛いな事をしていた。

そこへ登場の夏姫と谷口。

 

『…えーですから、あれがどうのこうので…』

「あ~はいはい真田。そこらへんにしときな。マイク貸せ」

「あっおい!谷口くん!何をする…」

 

谷口は真田からマイクを取り夏姫へと渡した。

 

「どうぞ、夏姫さん!」

「ありがとう谷口くん。あ~えっへん。『トモッチの演説が終わりそうにないんで、司会進行は私青木夏姫に代わりま~す!』

 

会場にいるクラスの男子たちは、いいぞいいぞ~と盛り上げた。

 

『それじゃ~まず、今日の主役であるキョン子ちゃんから一言もらいま~す!キョン子ちゃ~ん、ステージ上へ~』

 

え~!?あたしも上に上がるの!?

周りのみんなからは拍手されてるし……やれやれ、しょうがないか。

あたしは渋々ステージ上に上がった。

 

「何話せばいいんだ!?」

 

あたしは小さい声で夏姫に訊いた。

 

「なんでもいいよ。なんか適当に一言言っちゃって!」

 

そう言って夏姫はマイクを渡してきた。

 

まったく、適当と言ってもな。いきなりこういうのはやめて欲しいな。

あたしは一回深呼吸をして言った。

 

『え~っと、今日はあたしなんかのためにわざわざありがとう。目を覚ました後でみんながお見舞いに来てくれた時、ほんとにうれしかった。改めてみんなにお礼を言いたい。ありがとう』

 

ちょっと恥ずかしかったが、正直な気持ちをありのまま言った。

またみんなは拍手をくれた。

あたしはマイクを夏姫に渡した。

 

『いや~、いい一言でしたね~。ではでは皆さん、準備はよろしいですかな!?』

 

夏姫がそう言うと、みんなはイエーイと応えた。

 

「何の準備だ?」

 

夏姫にそう訊くと、夏姫はフフフと笑った。

 

『それでは皆さん、入り口をご注目下さい!』

 

みんなは一斉に入り口のほうを見た。

何が始まるんだ?と思った次の瞬間だった。

 

入り口のドアがパッと開いて、何かとても大きな物が入ってきたのだ。入ってきた瞬間、みんなはオーっと声をあげた。

 

よーく見るとそれは――大きなケーキだった。

 

運んでいるのは、キョンと古泉に早川だ。その後ろから、ハルヒと朝比奈さん、長門に朝倉が続いた。

あたしはステージから飛び降りて長門たちの前に行った。

 

「な、こっこれ……」

 

あたしは言葉が出なかった。

ケーキには『キョン子 退院おめでとう!!』と書いてあった。

 

「ハルヒのアイディアでな、真田家のキッチンを使わせてもらってSOS団のみんなで作ったんだ」

 

キョンがあたしに言った。

 

「あら、私も一緒に作ったわ」

「あ、そうだったな」

 

朝倉がキョンの横につきながら訂正した。

 

いつのまにか長門があたしの前に立っていた。手には大きな花束を持って。

 

「キョン子、……退院おめでとう。そしてあの時は涼子と私を助けてくれて、ありがとう」

 

そう言ってあたしに花束を渡しながら長門は微笑んだ。

 

会場内『退院、おめでとう!!』

 

花束をもらった瞬間、会場内のみんながクラッカーを一斉に引いた。みんながあたしにおめでとうと言った。

長門は微笑んでいる。

今まで見た中で一番の笑顔だった。

 

「長門……!」

 

あたしは長門に抱き着いた。

頬には熱い涙が流れていた。

 

みんな……本当にありがとう!

 

 

その後はみんなでドンチャン騒いだ。

 

演説を途中で邪魔された真田は谷口となぜかアホみたいに早食い競争をしていて、それを国木田に夏姫と一緒に笑って見ていた。

決着は谷口の余裕勝ち。真田は途中でノビてしまった。

 

古泉は6組の女子に囲まれていた。かなりイケメンの部類だからな。いつものスマイルを見せていたが、困りましたねーと言うような感じが見えた。キョンはやや不満げに、早川はどこかおもしろそうに見ていた。

 

ハルヒは朝比奈さんを巻き込んでまたステージ上で歌ったり踊ったりしていた。たまに鶴屋さんと妹が入ったりしていた。

にしてもハルヒ、恥ずかしくないのかね。鶴屋さんと妹は別として、朝比奈さんは顔を真っ赤にしてるぞ。まあ今日はいろいろとサプライズをいただいたし何も言わないが、ほどほどにな。

 

長門は出された料理が気に入ったのか、もくもくと食べていた。そりゃまあすごいくらいにな。あの小さな体のどこにあれだけ入るんだと朝倉と笑っていた。

よく考えたら、長門ん家に泊まった時に食べたカレーも長門は三杯くらい食べてたっけ。

 

 

午後8時を廻る頃、パーティーはお開きとなった。あまり遅くまで学生はパーティーをするもんではないと真田の父親が言ったらしい。まあ、ちょうどいいあたりだし文句はないがな。

 

あたしはほぼ最後にSOS団の面々、朝倉、夏姫、鶴屋さん、妹と一緒に真田家の玄関へと来た。真田が玄関で見送った。

 

「それじゃ皆さん、帰りは気をつけて」

「ああ、今日はありがとうな真田。楽しかったよ」

「いやいや、キョン子ちゃんのためならなんでもするさ」

 

真田は少し照れながら言った。

 

「じゃあね~トモッチ~」

「ああ、じゃあな夏姫」

 

 

あたしたちは駅前に向かっていた。先頭にハルヒと朝比奈さん、後ろに古泉と早川が話しながら歩いていた。その後ろに妹と手をつないでいる鶴屋さん、さらにその後ろに夏姫がうれしそうにキョンと話しながら歩いていた。

 

あたしと長門と朝倉はみんなより少し離れて歩いていた。朝倉は左、長門は右だった。

 

「みんな仲がいいのね」

 

朝倉は前にいるみんなを見て少し微笑みながら言った。

 

「そうだな」

「もう少しみんなとこうやっていたかったなあ」

 

朝倉は少し悲しそうな笑顔で言った。

そうか、朝倉はもう両親のいるカナダへと行くんだったな。

 

「三日後に……行くんだったな」

「ええ。飛行機で午後の最初の便に……」

「そうか。……お母さんの具合はどうだ?」

「今のところ落ち着いているって。私が来るって聞いて少しずつ元気が出てきてるみたいよ」

「それはよかった」

 

朝倉は少し微笑んで言った。

前ではハルヒたちが楽しそうに会話を弾ませていた。

 

「向こうに行って落ち着いたら、手紙書くわ」

「ああ。待ってる」

 

 

そのうち駅前に着き、解散となった。

 

 

 

家に着き、すぐに風呂に入った。

 

風呂からあがって部屋に入ると、ちょうど携帯が着信を知らせていた。

誰から?と携帯を開くと――長門からだった。

 

「どうした?長門」

『…明日、私の家に来て欲しい』

「いいけど、どうして?」

『…手伝って欲しいことがある』

「手伝って欲しいこと?」

 

あたしがそう訊くと、電話の向こうで長門が頷いたように感じた。

長門からの頼みごとか、たぶん初めてだな。

 

「わかった。じゃあ明日行くよ。おやすみ」

『おやすみ』

 

そう言って長門との電話をきった。

 

あたしはベットに横になりながら考えた。

なんだろう、長門が手伝って欲しいことって……。

 

まあいろいろ考えなくても明日になればわかることか。

そのままあたしはまぶたを閉じ、夢の中へと落ちていった。

 

 

 

真田の家でパーティーをしてから三日後。

あたしと長門は朝倉に付き添って空港にいた。

 

空港に着いて最初に朝倉をビックリさせたのは、5組のクラスの人たちの出迎えだった。色紙や『涼子ちゃん!元気でね!』と書かれた幕を持って待っていたのだ。そのクラスの人の中にはしっかりキョンとハルヒの姿もあった。

 

また5組の人だけでなく、夏姫と真田にあのバレーボール女子(白熱!球技大会参照)の姿もあった。球技大会の記念に撮った写真にメッセージなどを書いて渡していた。

 

朝倉は何度もありがとうとみんなに言って色紙などをもらっていた。

 

 

そうして、午後1時。

朝倉の乗るカナダ行きの飛行機の搭乗時間になった。

朝倉は最後にあたしと長門の前に来ていた。

 

「それじゃ、二人とも。そろそろ行くわね」

「ああ」

「キョン子ちゃんとは短い間だったけど、楽しかったわ。ありがとう」

「こちらこそ。楽しかったよ」

 

あたしは笑顔で応えた。

 

「有希ちゃん」

「涼子」

 

朝倉は長門のほうに向いて言った。

 

「もう何度も言ったかもしれないけど、自分が辛い時や苦しい時は自分の中で溜め込まないで、周りの人たちに相談したりしてね。私は向こうに行くからこれからは側にいてあげられないけど、今はキョン子ちゃんがいるから。約束ね」

「わかった」

 

長門は頷きながら言った。

 

「キョン子ちゃん、有希ちゃんをよろしくね」

「まかせとけ」

 

あたしは胸を叩いて言った。

 

「……そろそろ時間…ね」

 

そう言って朝倉は腕時計を見て確認した。

 

「それじゃ……」

「あ、ちょっと待って」

 

行きかけた朝倉をあたしは呼び止めた。

 

「ほら長門、あれは?」

 

そう言うと長門はハッとしてポケットを探り始めた。

朝倉はキョトンとしていた。

 

「これ……」

 

そう言ってポケットから出したものを朝倉に手渡した。

 

「……これは…」

 

それは――赤と白のお守りだった。

 

「キョン子と一緒に…作った」

 

そう、あの時長門に呼ばれたのはこのお守りを作るためだったのだ。

 

白のほうには『涼子のお母さんの手術がうまくいきますように』と刺繍した。

赤のほうには表には『ずっと一緒』と黄色で、裏にはあたしと長門と朝倉の名前を刺繍した。

 

「…あ、ありがとう。一生大事にするわ!」

 

そう言って朝倉は飛び切りの笑顔をつくった。

そうしてあたしと長門を同時に抱きしめた。

 

「あ、そうだ。もう一つだけキョン子ちゃんにお願い」

「ん?なんだ?」

「これからは有希ちゃんのこと名前で呼んであげて」

「え?」

「だって有希ちゃんはそうして欲しいって思ってるんじゃない?」

 

そう朝倉が長門に訊くと長門は頷いた。

 

「キョン子にも、名前で呼んで欲しい」

 

長門はあたしの目を見ながら言った。

 

「そっか、そうだな。じゃあこれからもよろしくな、有希」

 

有希はうれしそうに頷いた。

 

「そうしたら私も名前で呼んで欲しいなあ…」

「え、ああじゃあ…涼子」

 

少し気恥ずかしかったがしっかりと二人の名前を呼んだ。

 

「ふふ、ありがとうキョン子ちゃん。それじゃ、もうほんとに行かなきゃ」

 

そう言って涼子は搭乗入り口まで行った。あたしと有希、他の人たちも近くまで見送りに行った。

 

「また、休みになったら会いに来るわ」

「おう。有希と二人でしっかり待ってるから」

 

そうあたしが言うと涼子はニッコリとした。

 

 

たくさんのクラスメイトたちに見送られて涼子はカナダへと旅立って行った。




~あとがきのようなもの~

どうもMy11です。
今回のお話いかがでしたでしょうか。

今回はキョン子の退院と朝倉涼子との別れのお話でした。
特にこれといったオチがあるわけでもなく、まあつなぎの話みたいな感じです。
朝倉涼子は今後の出番はあるかな……物語がどれくらいで進められるかで決まります。
個人的に出したいなあとは考えているので頑張りたいと思います。

とても短い後書きですが、それではまた次回。
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