涼宮ハルヒの日常   作:My11

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キョン子「SOS団??」
キョン「……やれやれ」


第2章 結成!SOS団!?

入学式から大体一ヶ月ほど経ち、今日はGWの連休明け初日。

 

いつものようにあの心臓破りの坂を上っていた。

隣にはあたしの双子の兄であるキョンがいつもと変わらず一緒に登校している。

休みボケのせいかいつもよりきつく感じながら上っていると、後ろからあたしたちを呼ぶ声が聞こえた。

 

「うぃーっすお二人さん。連休中はどうだった?」

 

このいかにもアホっぽい感じなのは谷口という男子である。キョンのクラスメイトで、なんでも異性に対してランク付けを行っているらしい。本人からは聞いたことはないが、キョンから聞いた話によるとあたしのランクはギリAらしい。それがどれくらい良いのかは不明だが。

ただ、そんなことをしていると女子に嫌われること間違いなしだとは言っておこう。

 

「よう谷口。連休は、まあまあかな」

「へえ、キョン子ちゃんはどうだったんだ?」

「……同じく」

「くぅ、朝からつれないなあ。キョン子ちゃんは」

 

ふん、うるさい。まったく、なぜこの男はこんなにも朝からテンションが高いんだ。いつもこの坂にくるとテンションが半分以下になるあたしとしては、その元気を分けてもらいたいものだ。

 

「いや~キョン、やっぱりキョン子ちゃんは可愛いな。お前と双子とは到底思えん」

 

谷口はキョンに近寄って小声で話しかけたためあたしにはよく聞こえなかった。

 

「うるさい、余計なお世話だ!」

「ん?何がだ?」

「い、いや、なんでもない」

 

 

しばらくしてやっと坂を上り終え玄関に入ると、国木田が下駄箱のところで靴を履き替えていた。

 

「やあ、キョンとキョン子ちゃん。おはよう」

「おはよう」

「よーっす」

「おいおい、俺には挨拶してくれないのかよ」

「あ、谷口もいたんだ。気づかなかったよ」

「え!?ヒドッ!」

 

国木田はああ見えて結構毒舌だったりするんだよな。まあ見てて面白いけど。

それにしても朝から元気があるなぁ、男子は。

靴を履き替えていると、谷口がまた話し出した。

 

「そういえばキョン、おまえ連休前からだがよく涼宮と話してるがどんな魔法を使ったんだ?」

「……何をわけのわからんことを言う。別に、普通に話しているだけだが」

 

お、なんだ?なかなか面白そうな話をしているぞ。

 

「その話、あたしにも聞かせてくれ」

 

今や涼宮はこの学校で有名人だからな。なんせ最初の自己紹介があれだったからな。

 

「ああ、キョン子ちゃん、聞いてくれ。涼宮と同じ中学だった俺なんだが、あいつがあんなに人と長く会話しているのを俺は見たことがない。キョンと話してる涼宮を見て、愕然としたからな」

「へぇ、そんなに違うのか」

「ああ。だからキョン、いったいどんな魔法を使ったんだ?」

「いや、本当にこれと言って特別な会話はしてないんだがな」

「ほんとか~?というかおまえ、まさか涼宮に気があるとか言うんじゃないんだろうな!?」

「は?なぜそうなる!?」

 

キョンが否定すると国木田が割り込んだ。

 

「キョンは昔から変な子が好きだからねぇ」

 

そうだったかもしれん。

 

「だから違うって」

 

 

まあそんなこんなでキョンは谷口にあれこれ受けながら、教室へと向かって行った。

最初は関わらないとか言って、結局話しかけているんだな。まあ席替えをしても前後関係のままだと言っていたからな。成り行きってやつか。

 

6組の教室に入るといつも通りにあたしの席の隣で本を読んでいる長門が目に入った。

こっちもこの間席替えをしたんだが偶然にも長門とは隣同士のままだった。場所は窓側の一番後ろに長門で、その隣があたしだ。

 

「よっす長門」

 

席に着きながら、いつものように声をかける。

長門は本から目線をはずし、あたしのほうを向いて、

 

「……おはよう」

 

とつぶやくと、また本へと視線を戻した。

他人から見たらなんだかそっけないんじゃないかと思うかもしれないが、これでもかなりマシになったほうなのだ。

 

最初の頃は話しかけてもずっと無言で、まったくしゃべらなかった。授業で当てられた以外で長門が話すところなんぞ、まったくの皆無であった。

 

それが、入学式から二週間ほどしてからだろうか。

今の席に席替えをしてから授業を受けていた時だった。

長門がなんかのひょうしに消しゴムを落としたので、拾ってあげたときのことだった。

 

 

「ほら、長門。落ちたぞ」

「………」

 

その時のあたしは特にいつものように特に何も言わないだろうと思い、前を向こうとしたその時だった。

 

長門「……ありがとう」

 

とても小さく、けれどしっかり聞こえる声で礼を言ったのだ。

この時はビックリして自分の空耳かとも思ったが、それからの会話で一言でも応えるようになったのだ。

 

なかなかの進展であるとあたしは感じていた。

 

 

「今日は何の本を読んでいるんだ?」

 

また長門に話しかけると長門は本の表紙を見せた。

 

「へぇ、こんどはミステリーものか。おもしろいか?」

「……ユニーク」

「どこら辺が?」

「……全部」

 

そうかと言うと、少しだけ首を縦に振った。

 

そんな会話をしていると、一人の男子が近づいてきた。

同じクラスの男子、真田友輝だ。

 

「やあ、おはようキョン子ちゃん」

「………ああ。長門には挨拶しないのか?」

「あ、そうだね。おはよう、長門さん」

「………」

 

まあ、案の定長門は無言だった。

 

真田友輝。最近妙に話しかけてくる同じ6組の男子だ。背はあたしより高いが、キョンよりはない。黒髪の短髪。

 

「連休はどうだった?」

「まあまあだ」

 

さっき谷口に答えたことと同じ答えを言った。

 

「そうなんだ。僕は結構有意義に過ごせたかな。伊豆へ二泊三日してきたんだ」

「ふーん」

 

言い忘れていたが真田の家はかなりの金持ちで、あっちこっちに別荘を持っているらしい。休日は何もなければそういうところへ毎回行くとのことだそうだ。

つまり、お坊ちゃまと言うわけだ。

最近の話題も、あたしにとってはただの自慢話にしか聞こえないので、うんざりとしていたところだった。

 

「…それでさ、海でクルージングをしていたら……」

 

真田が自慢話みたいな話をしていたが、はっきり言ってまったく聞いていなかった。

真田がこうしてあたしに話しかけるようになったのはいつからだっただろうか…。入学してから一週間は経っていたと思うが…、なにかきっかけがあったかな?

 

そろそろ先生が来ないかと思っていたら、ちょうどチャイムが鳴り先生が扉を開けて入って来た。

よし!ナイスタイミング!!

 

「あ、先生来たね。それじゃまた」

「………」

 

長門のように特に何も言わずにそっぽを向く。

真田はすぐに自分の席へ戻っていった。

ふぅ、まったくあいつは何なんだ?

毎回毎回あたしに自慢話を聞かせて、そんなに楽しいのか?

 

 

今日の授業は、まあ体育がなかっただけいつもよりマシだろう。

だがやはり4限の世界史の先生が放つ催眠呪文には勝てず、いつの間にか寝てしまった。

起きたのは終了5分前だった。

しまった、たまにこういうことをやらかしてしまう。直さないとな。

 

それからすぐにチャイムがなり、やっと午前中の授業が終了。お昼休みとなった。

今日の昼食はどうしようかと考えていると、いつものように長門が席を立ち本を持って教室を出て行った。

 

毎度のことだがいつも長門はどこに行っているのだろう。

前に一度いろいろな場所を探してみたが、学食にもいなければ屋上にもおらず本ときたら図書館かと行ってみたが空振り、昼休みが終わると同時に気づけば教室に帰っきているのだ。

後で帰って来たらいつもどこへ行っているのか訊いてみよう。

 

そう思いながら昼食を食べ、残りの昼休みは他の同級生と駄弁って過ごした。

 

 

授業はとても長く感じるのに、どうして昼休みなんかは短く感じるのだろう。

あっという間に昼休みが終わり、と同時に長門が帰ってきた。

さっそく訊いてみよう。

 

「なあ長門、いつも昼休みはどこに行っているんだ?」

 

長門が隣に座り、本を広げながら答えた。

 

「……部室」

「え?長門って、何か部活に入っているのか?」

 

へぇ、長門って部活やってたのか。初耳だ。

 

「…文芸部」

「文芸部?うちの学校に文芸部なんてあったっけ?」

 

長門は小さくコクんと首を縦に振った。

 

「そうだったのか。……なあ、今日の放課後部室見に行っていいか?」

 

長門は本から目を離し、あたしの目を見つめた。少し目を見開いてビックリしたような感じだ。

 

「ダ、ダメか?」

 

そう訊くと長門は本に目線を戻しながら答えた。

 

「…別に、かまわない」

「ほ、ほんとか!?じゃあ放課後長門について行くから」

 

長門はまた、小さくコクんと首を縦に振った。

これは放課後が楽しみだ。

そう考えながら、午後の授業へと移っていった。

 

 

 

まさか、これであんなことに巻き込まれるなんて思いもよらずに……。

 

 

 

午後の授業も終わり放課後となった。

 

あたしは今、長門の後について旧校舎にある部室棟へと来ていた。

階段を上がり、廊下に出てすぐのところに文芸部と書かれた部室があった。

長門は扉を開け中に入っていき、それにならってあたしも続いて入った。

 

文芸部の部室内はものすごくさっぱりとしていて、部屋の真ん中に長テーブルが二つとパイプ椅子が数個、スチール製の本棚のみだった。

長門は奥の窓際まで行きパイプ椅子に座ってまた本を読み始めた。

 

それにしても物がなさすぎる。本当に部活動をしているのか?と思えるくらいだ。

ここであたしはあることに気がつく。

 

「なあ長門、もしかして部員は長門だけなのか?」

「……そう」

 

やっぱりか。こんなんでよく廃部しないな。

あたしはパイプ椅子を長門の前に持ってきて座った。

 

長門はたった一人で、寂しいと思ったことはないのだろうか。本を読んでいるだけなのだが、いくらなんでも……なぁ。

余計なお世話だって言われるかもしれないが……うん。

 

あたしは決断した。

あたしも文芸部に入ろうと。もっと長門と仲良くしたいと思っていたから。

 

「あ、あのさ長門、あたしも文…」

 

バターン!!

 

文芸部に入ってもいいか?と続けようとしたら、いきなり部室の扉が勢いよく開いた。

ビクッ!として扉のほうを見ると、なんとあの涼宮がいるではないか!しかもそれだけではなくその後ろに涼宮にネクタイを掴まれたキョンまで……。

 

「な???」

 

驚いていると、涼宮がズカズカと部室に入ってきた。キョンも後について。

 

「今日からここがあたしたちの部室よ!」

 

「???な、何を言ってるんだ?」

 

あたしはわけがわからなかった。

 

「!なんでおまえがここにいるんだ!?」

「そりゃこっちの台詞だ」

「あらキョン、この子知り合い?」

 

涼宮がキョンに対して訊いたが、あたしが応えた。

 

「あたしは1年6組のクラスで、そこにいるキョンの双子の妹だ」

「あらそうなの?へえ、可愛い妹さんじゃないキョン。双子とは思えないわ」

「お、おまえまで言うか…」

 

キョンは少し不機嫌気味に言った。

しかし、なんだって涼宮はキョンを連れてここに来たんだ?

 

「そ、それでさっきはなんだって?」

 

涼宮は、あ~そうそうというしぐさを見せて話し始めた。

 

「だーかーらー、今日からここがあたしたちの部室になるのよ」

「いや、だから…は??」

「おい、いくらなんでもそれはダメだろ。ここは文芸部の部室だぜ?廊下のとこにそう書いてあっただろ」

「あら、ちゃ~んと昼休みに許可はもらったわよ?あの子に」

 

そう言って、長門を指した。

 

「なんでも彼女、本が読めればいいらしいわ」

 

すると長門はキョンと涼宮のほうを向いて

 

「……長門有希」

 

とだけ言い、また本に目線を戻した。

キョンが口を開いた。

 

「え、えっと…長門さんとやら、こいつはここを何だかわからん部の部室として使うと言っているが、いいのか?」

「……いい」

「すんごい迷惑かけると思うぞ」

「……別に」

「もしかしたら、そのうち追い出されるかもしれんぞ?」

「……かまわない」

「いやいや、何言ってるんだ!?」

 

おいおい長門。おまえ無表情で言っているがさりげなくすごいこと言ったぞ。追い出されてもいいって…。まあ、あたしがさせないが。

キョンもやれやれという感じの顔をしていた。

 

「よぉし!部室は確保できたし、あとは残りの部員ね!すでに四人揃ったから、あと一人欲しいところね!」

 

涼宮はとても楽しそうに話して……、てか、

 

「ち、ちょっと待て!その四人ってのは?」

「何よ、ここにいる四人だけど」

「おい!なぜあたしや長門が人数に入っているんだ!」

「あら別にいいじゃない。キョンと一緒でどうせ暇なんでしょ?」

「いや、あたしはそんな…」

「はいけってーい!」

「「ええぇ」」

 

思わずキョンと肩を落とす。

……はあ、なんか成り行きで部員にさせられてしまった。おそるべし、涼宮。

どうせキョンも同じように強引に連れてこられたに違いない。

長門は長門で、本に没頭してるし。

 

いったいこれからどうなってしまうんだろうか。

 

「それで?どういう部活にするんだ?部活名は?」

 

キョンが涼宮に訊いた。

そうだよ。涼宮はどういう部活を作るつもりなんだ?

 

「あ、それはたった今決めたわ!名付けて、『SOS団』!!」

「「SOS団!?」」

 

「そう!

S 世界を

O 大いに盛り上げるための

S 涼宮ハルヒの団!

どう?いいと思わない!?」

 

「………で、やることは?」

「それは、宇宙人や未来人、超能力者を見つけて一緒に遊ぶ事よ!」

「「!?!?」」

 

あたしとキョンは呆然として口を開けて、こいつは何を言っているんだという顔をした。

長門を見るとまったく気にしていないらしく、相変わらず本を読んでいる。

おいおい長門少しは反応しろよな。

 

また涼宮が話しだした。

 

「いい?これから毎日ここに来ること!来ないと、死刑だから!」

 

そうキョンとあたしに言いながら「今日は解散!」と豪語し、さっさと部室を出て行ってしまった。

 

 

部室内『……………パラッ………。』

 

嵐が過ぎ去ったとはこのことだ。しばらくは長門が本を開く音しか聞こえなかった。

 

「……な、なあキョン」

「な、なんだ?」

「なんで涼宮は、いきなり部活を作るなんて言い始めたんだ?」

「あ、ああー、それはだな……」

 

それからキョンは、今日の朝の出来事を話し始めた。

 

 

 

なんでも前に涼宮が学校にある全ての部活に仮入部して、すぐに辞めたという話を聞いたので(噂では聞いていたがマジだったとは)、面白い部活はなかったのか?と訊くと

『これだけの部活があれば一つぐらいは摩訶不思議な部活があってもよかったのに、期待ハズレにもほどがあるわ!』

と言ったらしい。

 

そこでキョンが『自分で作ってみてはどうだ?』と言ってしまったらしく、涼宮は目をキラキラさせて『その手があったわ!』と言い―――

 

 

 

「……今に至る」

「ああ」

 

キョンはやれやれとした顔をしていたが、

 

「事の発端はキョン!おまえじゃないか!」

「すっすまん!」

 

と言い、頭を下げて謝った。

キョンも悪気はないとわかっていたので、すぐに許した。

 

 

 

その後下校時間になり、あたしの右に長門左にキョンという並びで学校前の坂を歩いている。

 

はあ、いったいこれからあたしたちはどうなってしまうんだろうか。

 

まあ、キョンもいるし長門ともっと仲良くするのにいいか。

と思いながら、家へと帰っていった。

 

 

そんなあたしの楽観視とは逆に、涼宮の暴れっぷりはこんなもんでは終わらなかったのだ……。




登場人物紹介

・谷口
 中学は涼宮ハルヒと同じ東中。キョンと同じ1年5組。異性にランクをつける事が趣味?とりあえずいろいろとアホっぽい(キョン子から見て)。

・真田友輝(さなだ ともき)
 オリジナルキャラクター。1年6組で、どうもキョン子に気があるらしい。よくキョン子に話しかける。キョン子は軽く無視しているがそこに気づいていない。富豪である真田家のお坊ちゃま。友人関係は普通。
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