涼宮ハルヒの日常   作:My11

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キョン「今度は異世界人か……やれやれ」
キョン子「?何を言ってるんだおまえは?」
キョン「いや、こっちの話だ」
キョン子「??」


第9章 異世界人!?

(――、起き――――ンちゃ――)

 

んー、誰だ?あたしを起こそうとするのは。

 

「起き―キョン――ん」

 

嫌だ。今あたしはすごい眠いんだ。眠……て、えっ!?

 

「起きて~キョンちゃん!起きないとぉ…」

「うぶほお!!」

 

あたしはお腹に強烈な衝撃を受けて飛び起きた。

まず目に入ったのは我が妹。あたしにスーパータックルならぬのしかかりをしていた。

 

「やっと起きた~。キョンちゃんが寝坊なんて珍しいね」

 

そう言って妹はあたしから降りて部屋から出て行きながら

 

「朝ご飯出来てるからね~」

 

と言って行った。

 

?????

あれ?

あたしは確か、長門と朝倉と学校から帰る途中で車とぶつかって……?

 

……ゆ…め?

夢だったのか?

なんだ……。

 

あの変な感じは夢だったからか。

……とにかくよかった。

 

でも夢で思った妹のスーパータックル(厳密には違うが)で目覚めるとはな。

しかもほんとに夢だったなんてな。

なんつーオチだよまったく。

 

でもやけにリアルな夢だったな。

 

 

「やっと起きたか」

 

えっ?この声は……

あたしは横を見ると、そこにはキョンがいた。

 

「な、なんでキョンがいるんだ!……てか、……えっ?」

 

あたしはやっと現在のおかしい状況がわかった。

 

まず今いる部屋はキョンの部屋。キョンの机の隣にはあたしがいつも使う机が置かれてあるし、一番おかしいのはベッドが二段ベッドであたしは上で寝ていることだ。

 

どういう事だ?

あたしは二段ベッドから降り、キョンの部屋を出て向かいの部屋へ……部屋……がない!?

 

あたしの部屋はキョンの部屋の向かい側にあるのだが、そこには何の変哲もない白い壁があるだけだった。

いったい何が起きているんだ?

 

一旦キョンの部屋へと戻る。

 

「いったいどういう事なんだ!?キョン!」

 

あたしがそう訊くとキョンはポカーンとした顔をした。

 

「えっとだな、まず落ち着け。なぜ俺のあだ名を知っている?」

「はあ!?」

 

いったいキョンは何を言っている?

 

「おまえ、朝から冗談はよせ」

「いや冗談も何も、俺は君が誰なのかわからないんだが」

 

!?!?!?

はい?

なあにを言っているんですかあなたは?

 

 

 

[キョン視点]

 

少し時間は遡る。

 

「キョンくん!朝だよ~!」

 

そう言いながらいつものような衝撃を腹に受ける。

毎度のこととはいえ、地味にきついんだよな我が妹よ。もう少しスマートに起こしてはもらえないだろうか。

 

「あれ?キョンちゃんまだ寝てるの?」

 

ん?何言ってやがる、今俺は起きただろ?たった今おまえが……て、キョン『ちゃん』??

……ちょっと待て、いったいいつからおまえは俺のことをちゃん付けで…いや、さっきあいつはちゃんと『キョンくん』と言って(ほんとはお兄ちゃんとちゃんと呼んで欲しいのだが)俺を起こしに来たはずだ。

じゃあ、なんでちゃん付けで……いやいやいや、それよりもだ。

……なんで二段ベッドになっている?

 

俺は瞼を擦りながらすぐさま下のベッドから這い出た。

 

ここは…俺の部屋に間違いない。ちゃんと机もあるし……いや、知らん机が一つ追加されているが。

 

「ねえ、起きて~キョンちゃん~」

 

そんな妹の声に振り返り、二段ベッドの上段を見る。

そこには何と見たことのない女の子が眠っているではないか。

 

?????

な、なんで?

 

「起きて~キョンちゃん!起きないとぉ…」

「うぶほお!!」

妹に盛大なのしかかりをくらったその女の子は目を覚ました。

 

しばらくトロンとした目で妹を見ていた女の子は、妹の言葉に少し頷きながら対応していた。

とりあえず、声をかけてみないことには何も始まらない。

 

「やっと起きたか」

 

そう言うとその女の子はバッと俺の方を向いてきた。

 

「な、なんでキョンがいるんだ!……てか、……えっ?」

 

そう訊きたいのはこっちの方なんだが、少し女の子の様子がおかしかった。

部屋を一通り見渡したその女の子はすぐさまベッドから降りると俺の部屋から飛び出した。

と思いきや入り口付近ですぐに止まってしまった。

どうやら向かいの壁を見ているみたいだが、なぜ?

 

すぐに戻ってきた女の子は俺に向かって少々焦りながら

 

「いったいどういう事なんだ!?キョン!」

 

と俺に問い詰めてきた。

いや、だからさ

 

「えっとだな、まず落ち着け。なぜ俺のあだ名を知っている?」

「はあ!?」

 

そう、この子はどうして俺のあだ名を知っているんだ?

少なくとも俺はこの子のことは知らない。

 

「おまえ、朝から冗談はよせ」

「いや冗談も何も、俺は君が誰なのかわからないんだが」

 

そう言うとその女の子はますます混乱しているようだった。

 

 

 

[通常視点]

 

取り合えず今ありえん事が起こりすぎている。

あたしの部屋が消えたり、キョンがあたしの事を知らなかったり。

 

もしかしてこれも夢か?

あたしは自分の頬をつねってみた。

 

痛い。

……夢じゃないのか?

 

一体全体どうなっているんだ!?

 

 

 

[キョン視点]

 

よく考えろ、今までにもこんな事があったじゃないか!

 

そうだ、原因はきっと『涼宮ハルヒ』だ。

 

はあ。また大変そうだな。

 

取り合えず、この件は学校で話そう。

俺だけじゃどうしようもないだろうからな。

みんなに電話しておくか。

 

 

 

[通常視点]

 

「えっと、取り合えず朝ご飯食べないか?」

 

キョンがそう言ってきた。

 

「はあ!?まずはこの状況をしっかりと説明して……」

「その説明なら学校でする。俺だけじゃどうも解決できそうにないからな。先に下行っててくれ。やることがあるから、それをしてから行く」

 

急に冷静になったキョンにあたしは従うしかなかった。

 

「と言うか待て!一応訊くが、今日は何月何日だ?」

「今日か?9月4日だが?」

「!?……わかった」

 

どうなっている、日にちや時間まで違うぞ。

 

 

頭の中が混乱する中朝食を食べ終え、先にキョンの部屋で着替えを済まし(あたしの衣類はすべてキョンの部屋にあった、制服までな)玄関でキョンを待った。

もちろん、いつものようにポニーテールにして。

やって来たキョンはあたしを見ると一瞬固まった。

 

「な、なんだ!顔に何か付いているか?」

「い、いや、なんでもない!」

 

そう言いながらキョンは慌てて靴を履き、先に玄関を出た。

キョンはチャリに乗っていたが、あたしはどうしろと?

 

「あ、君がいたんだったな。後ろに乗ってくれ」

 

それに甘えてキョンの後ろに乗せてもらった。

 

 

あの夢(?)で起きた事故現場を通り過ぎたところでキョンが話しかけてきた。

 

「一応訊くが、SOS団を知っているか?」

「そんなの当たり前だろう」

「なら話は早い。部室に行くからな」

 

どうやら部室で話すらしい。

 

 

学校に着き、キョンの後に付いて部室の前までやって来た。

 

ここに来るまでにすれ違ったりした顔見知りの人たちがいたが、誰もがみんないつもと変わりなかった。と思ったが、やけに5組の生徒に話しかけられた。知らない連中じゃなかったが、そんなに親しくしていたかな。

 

キョンが扉を開けると、そこにはSOS団の三人のメンバーがいた。

窓際でいつものように本を読んでいる長門。

さすがに朝なので制服だが、いつもメイド服を着ている朝比奈さん。

いつも爽やかスマイルの古泉。

 

あたしが入ると、三人は一斉にあたしを見た。

 

「その方が先程話した『女の子』ですね」

 

古泉は見たことないような真剣な顔で言った。

 

「可愛いぃですね」

 

朝比奈さんに可愛いと言われるとなんだか恥ずかしくなる。

 

「………」

 

長門は無言のまま。

 

と言うか今の発言でわかった事、長門はどうか知らないが確実に他の二人はあたしを知らないというような発言だ。

キョンに続いて、どういう事だ?

 

「じゃあまず質問だ。ここにいる人たちの名前を言ってみてくれ」

「はあ?古泉一樹に朝比奈みくるさん、長門有希じゃないか。ついでに言うと、このSOS団団長様である涼宮ハルヒ。あたしとキョンを除けばあと一人、早川諒がこのSOS団のメンバーだろ?」

 

あたしがそう答えると朝比奈さんはとても不思議そうな顔をした。

逆に古泉はなるほどと言う顔をしていた。

 

「そういう事でしたか。彼女は僕らを知っているようで知らない。と言う事ですね」

「ああ、どうもそうらしい」

 

キョンと古泉は二人だけで納得していた。

 

「あたしにもわかるように説明しろ!」

 

もう何がなんだか。早く説明して欲しいところだ。

 

「長門。説明してやってくれ」

「了解した」

 

それまで話に入っているのか疑問だった長門だが、一番いろいろと知っているらしい。

今気づいたが、なんだかいつもの長門と…雰囲気が違う?

 

「まず、あなたはこの世界の人間ではない。こことは違う世界からやって来た。あなたは異次元時空間体に該当する」

「は?」

「簡単に言うと、異世界人」

 

な、何を言っているんだ長門?SF小説の読みすぎなんじゃないか?

 

「お、おいおい。キョンも長門も冗談キツイって。なんだ?新しいドッキリか?どうせハルヒと早川が『ドッキリ大成功!』とか言って出てくるんじゃ……ないんだな」

 

長門の目がマジで真剣なので、冗談じゃないのだと悟るしかなかった。

でもやはり、あたしには理解ができなかった。

 

「仮にでもだ。そのあたしが異世界人てのを信じるとして、なぜそう言える?それになんで長門はそう断言できるんだ?」

 

あたしがそう言うと長門以外は頭の上にハテナマークが出ていた。

 

「な、なぜって、長門だから知っているわけで……」

「ちょっと待ってください」

 

キョンの話を遮り古泉が話し出した。

 

「少しあなたの世界、つまりあなたやあなたが知るSOS団について話していただけますか?」

 

古泉はいつもの爽やかスマイルをあたしに向けながら訊いてきた。

なんだか知っている人たちに改めて自己紹介みたいなことをするのは少し恥ずかしかったが、ここは素直に従うしかなさそうだ。

 

「あ、ああ。まずあたしはそこにいるキョンと双子で妹。あだ名はキョン子だ」

「はあぁ!?」

 

キョンは目を丸くしてビックリした。

 

「続けください」

 

古泉はそれを軽く無視した。

 

 

それからあたしは、SOS団のメンバーやSOS団結成の時の事、古泉と早川が転校して来た事や今までやってきた事などを話した。

 

もちろん長門や朝倉、早川の過去については話していない。

 

そして最後に、あたし的に昨日起きた事故の事について話した。

 

「……それで車にはねられた後、気がついたらキョンの部屋にいたわけだ」

 

話し終えると部室内はシーンとなった。

 

そりゃあな。車にはねられて目が覚めたら違う世界でしたなんて、おかしいにもほどがあるだろう。

それにあたしはまだ夢の線を捨てきれてない。まだこれは壮大なあたしの夢なのでは?なんて思ってたりするが、心の奥ではそうではないとなんとなくわかっていた。

 

「なるほど。わかりました」

 

やっと口を開いたのは古泉だった。

何がわかったんだ?

 

「あなたの世界と僕らの世界は根本的に違うんです」

「根本的に違う?何が違うんだ?」

「そうですね。まず、閉鎖空間をご存知ですか?」

「閉鎖空間?知らないな」

「では、機関という組織をご存知ですか?」

 

???

さっきから何を言っているんだ?

 

「ご存知ないんですね?」

 

あたしは頷いた。

 

「というわけです」

 

そう古泉はキョンに向かって困ったものですと言う顔で言った。

キョンもやれやれという表情をしている。

 

「何がどうなっているんだ!?」

 

そう言うと古泉はまたあたしの方に向き直った。

 

「あなたに改めて、自己紹介する必要がありますね」

 

えっ?なんで今更?

 

「たぶんあなたはこの事をすぐには信じられないと思いますが、取り合えず聞いてください」

 

そう言って古泉はあの爽やかスマイルを見せた。

 

「まずは僕から。古泉一樹です。こんななりですが、一応超能力者と言わせていただいてます」

「えっ?」

「では次、朝比奈さんどうぞ」

 

そう言って古泉は朝比奈さんにふった。

 

「あ、はい。えっと朝比奈みくるです。実は、私はこの時間平面上の人間ではありません。もっと未来からやって来ました。なのであなたから見たら私は未来人になります」

 

!?

 

「長門有希。情報統合思念体によって造られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェイス。この星の言葉で簡略化すると、宇宙人に該当する」

「えっ、えっ、えっ!?」

 

な、なんだ!?

宇宙人に未来人に超能力者だって!?

どっかで聞いた事あるような……

 

「俺は紹介しなくとも、何も特別な力はない。ただ、ハルヒは別だ。

涼宮ハルヒ。見た目は普通かどうか知らんがまあ一般的な女子高生。性格は奇人。

あいつには不思議な力があって、世界を自分の思ったように創り変えるというなんとも迷惑な能力がある。まあ、本人に自覚はないがな」

 

……いやいやいやいや、これどこで笑えばいいの?

あたしは心の中でそう思っていた。

 

長門たちが宇宙人やらなんやらで、ハルヒには変な力があって……あはは、頭が痛くなってきたぞ。

 

 

あたしがあれこれ考えていると朝のチャイムが鳴り響いた。

 

「おや、もうこんな時間ですか。ではこの話の続きはまた放課後にでも。あ、この話は涼宮さんの前ではタブーですので、彼女の前では絶対しないでください」

 

そう言って古泉は失礼しますと言い、部室を出て行った。

それに続いて朝比奈さんも退出。

あたしとキョン、長門も部室を出る。

 

「長門、彼女のクラスはどこなんだ?」

 

いやキョン、何を言ってるんだ?あたしは長門と同じ6組……あ、そうか。

ここがあたしの知る世界とは異なる世界だということは、クラスも違うということになるのかもしれない。

 

「彼女のクラスはあなたと一緒。席は涼宮ハルヒの隣になる」

 

相変わらず淡々と話す長門。

って、キョンと同じクラスでハルヒの隣かい!!

 

「そ、そうか。じゃあ行くか」

「……ああ」

 

今日は一日、大変そうだ……。

 

 

 

時間はまた少々遡り……。

朝、キョンの部屋。

 

[キョン視点]

 

そこにいる女の子が言うのを聞いていると、どうやら彼女は俺の事を知っているらしい。

……ということは、…どういうことなんだ?

く、やっぱり俺だけじゃどうにもならんな。ここはひとつ、長門にでも……いやちょっと待てよ?

今まで色々なことに遭遇してきたが、ハルヒが言ったあの言葉でまだ関わっていないのって……

 

まさか、『異世界人』?

 

……もしかしたらかもしれん。

まあ、この事は学校で確証を得ればいいか。

 

俺は彼女に先に下に行って朝食をとるように言った。

 

まずは誰に電話しようか。

まあ、最初はあいつだろう。今回の事も知っていそうだしな。

携帯を取り出し、電話帳から見慣れた電話番号にかける。

キッチリ3コール目でその相手は出た。

 

『………』

 

いつものように無言。

こういう時に一番頼りになる長門有希だ。

 

「朝早くから悪いな長門。実はだな……」

『現状については把握している。現在、情報統合思念体が彼女について情報収集を行っているところ』

 

俺が事細かく説明しようとした時、長門はその言葉を遮り言った。

さすがは長門。やはり頼りになる。

 

「そうか、さすがは長門だな。じゃあ、今日朝に部室に連れて行ってそこでいろいろと相談したいんだが、構わないか?」

『構わない。むしろそれが最良』

 

ああ、やはり一番に長門に電話したのは正解だったな。

 

「わかった。じゃあ後で、部室に」

 

そう言って長門との電話は終了。

残りの二人とも連絡をとった。

朝比奈さんは戸惑っていたがすぐに了承。古泉も同じく。

 

三人に連絡し終え俺は下に行き、朝食にかぶりついた。

 

 

先に支度をさせた女の子の後に少し支度をもたつきながら玄関に行くと、なんと!?髪型をポニーテールにして玄関で待っていたのだ。

ヤバイ。言っちゃなんだが、……可愛い。

待っていた女の子を見て一瞬固まってしまった。

 

「な、なんだ!顔に何か付いているか?」

「い、いや、なんでもない!」

 

そう言いながら俺は慌てて靴を履き、女の子の横を抜け先に玄関を出た。

 

後ろに女の子を乗せてチャリで学校に向かう途中、SOS団のことを訊いてみた。

 

「一応訊くが、SOS団を知っているか?」

「そんなの当たり前だろう」

「(なるほど、知っているみたいだな)なら話は早い。部室に行くからな」

 

 

さて、今その女の子を連れて部室前に来たんだが、どうもこの世界の人たちはみなこの子が最初からいるというのが普通らしい。

すれ違った人たちはみな普通に女の子に接していた。

なぜだ?

さっきの電話から少なくとも、俺とあの三人はこの子を知らない。

これもハルヒの力が原因なのか?

 

そんな事を思いながら部室の扉を開けた。

 

すでに三人は集まっていてそれぞれの定位置にいた。

古泉は久しぶりの真剣な顔つきで女の子を見た。

それだけ重要な事と古泉は思ったんだろう。

 

 

さっそくその女の子に質問してみたんだが、やはり俺たちの事をいろいろと知っているみたいだった。

みんなの名前を言って自分もSOS団の一員だと言うし、ハルヒが団長なのも知っているしな。

 

だが一つ、この子が異世界人かもしれないという確証を得ることができうる発言を聞けた。

 

『ハヤカワリョウ』

 

俺たちが知らないやつの名前が出てきた。しかもSOS団の一員だと言っているし。

さすがの俺もこの非日常的な毎日を過ごしてきただけあって、これぐらいの事を聞けばこの子がどういう存在なのかもわかってしまう。

……というかハルヒ、どうしておまえはこうも厄介な事を起こすのかね。

まったくやれやれだ。

 

女の子の話を聞いて朝比奈さんは不思議そうな顔をしていたが、古泉は納得したようだ。

 

「そういう事でしたか。彼女は僕らを知っているようで知らない。と言う事ですね」

「ああ、どうもそうらしい」

 

俺と古泉が納得していると女の子が少し声を荒げ言った。

 

「あたしにもわかるように説明しろ!」

 

そうだったな。ここはやはり俺からの説明より、長門からの説明の方が信じやすいだろう。

 

「長門。説明してやってくれ」

「了解した」

 

長門は女の子の方を見て話しだした。

 

「まず、あなたはこの世界の人間ではない。こことは違う世界からやって来た。あなたは異次元時空間体に該当する」

「は?」

「簡単に言うと、異世界人」

 

長門がそう説明すると、彼女は余計に意味がわからないと言うような反応を見せた。

 

「お、おいおい。キョンも長門も冗談キツイって。なんだ?新しいドッキリか?どうせハルヒと早川が『ドッキリ大成功!』とか言って出てくるんじゃ……ないんだな」

 

?何をこの子は冗談だろ?というようなことを言っているんだ?

長門の真剣な目を見て冗談じゃないと感じたみたいだが、長門が言うんだから冗談じゃない事ぐらいわかるだろう?

そう思っているとまた女の子が話し出した。

 

「仮にでもだ。そのあたしが異世界人てのを信じるとして、なぜそう言える?それに、なんで長門はそう断言できるんだ?」

 

???

女の子がそう言うと長門以外の俺たちはハテナマークが頭から出ているに違いないような顔をしていた。

何を言っているんだこの子は?

 

「な、なぜって、長門だから知っているわけで……」

「ちょっと待ってください」

 

俺の話しを遮り古泉が話し出した。

 

「少しあなたの世界、つまりあなたやあなたが知るSOS団について話していただけますか?」

 

古泉はいつもの爽やかスマイルを彼女に向けながら訊いた。

 

「あ、ああ。まずあたしはそこにいるキョンと双子で妹。あだ名はキョン子だ」

「はあぁ!?」

 

俺は目を丸くしてビックリした。

 

「続けください」

 

古泉は軽く無視した。

 

 

それからその女の子もとい俺の双子の妹と名乗るキョン子は、キョン子の世界のSOS団のメンバーやSOS団結成の時の事、古泉がハヤカワと言うやつと転校して来た事や今までやってきた事などを話した。

 

……どうも話を聞いていると、似てるようで似ていない日々。

何より、出てきてもおかしくないのにその単語が出てこないのだ。

 

そして最後にキョン子は、彼女的に昨日起きたという事故の事について話した。

 

「……それで車にはねられた後、気がついたらキョンの部屋にいたわけだ」

 

話し終えると部室内はシーンとなった。

 

そりゃあな。まさかこの世界に来る前に、車にはねられて目が覚めたら違う世界でしたっていうのはすごい話だが、それよりもその女の子もといキョン子の話には俺たちにとって重要なものが出て来なかった。

 

「なるほど。わかりました」

 

最初に口を開いたのは古泉だった。

俺にもわかる。

 

「あなたの世界と僕らの世界は根本的に違うんです」

「根本的に違う?何が違うんだ?」

「そうですね。まず、閉鎖空間をご存知ですか?」

「閉鎖空間?知らないな」

「では、機関という組織をご存知ですか?」

「???」

 

キョン子は難しそうな顔をしていた。

 

「ご存知ないんですね?」

 

そう訊かれキョン子は頷いた。

 

「というわけです」

 

そう古泉は俺に向かって困ったものですと言う顔で言った。

俺もやれやれという表情をとる。

 

今の質問でもわかるように、少なくとも彼女は古泉が超能力者ということ知らないということだ。加えて長門が宇宙人、朝比奈さんが未来人ということと、それに何よりハルヒに不思議な能力があることも知らないとみて間違いはなさそうだ。

たぶん、彼女の世界ではハルヒたちはみな普通の人間なのであろう。

 

「何がどうなっているんだ!?」

 

そうキョン子が言うと古泉はまたキョン子の方に向き直った。

 

「あなたに改めて、自己紹介する必要がありますね」

 

えっ?なんで今更?

と言うような顔をキョン子はした。

 

「たぶんあなたはこの事をすぐには信じられないと思いますが、取り合えず聞いてください」

 

そう言って古泉はあの爽やかスマイルを見せた。

 

 

古泉、朝比奈さん、長門の順番にそれぞれが超能力者、未来人、宇宙人と自己紹介。

つい何ヶ月前に俺に説明したこととほとんど変わらない自己紹介だった。

そして俺はハルヒの不思議パワーについて話した。

これを聞いたキョン子は、頭を混乱させたようにクラクラしていた。

 

そりゃあそうなる。いきなりあなたは異世界人で、私たちは宇宙人なんたらですなんて事すぐに信じられないだろう。

もし俺が同じような状況に陥ったとしても同じような対応になると思うしな。

 

キョン子があれこれ考えているような顔をしていると、朝のチャイムが鳴り響いた。

 

「おや、もうこんな時間ですか。ではこの話の続きはまた放課後にでも。あ、この話は涼宮さんの前ではタブーですので、彼女の前ではしないでください」

 

そう言って古泉は失礼しますと言い、部室を出て行った。

それに続いて朝比奈さんも退出。

俺とキョン子、長門も部室を出る。

 

そう言えば、キョン子のクラスはどこなんだ?

 

「長門、彼女のクラスはどこなんだ?」

 

そう長門に訊くと

 

「彼女のクラスはあなたと一緒。席は涼宮ハルヒの隣になる」

 

と相変わらず淡々と話した。

って、俺と同じクラスでハルヒの隣かい!!

キョン子はビックリとしていた。

 

「そ、そうか。じゃあ行くか」

「……ああ」

 

キョン子を連れて教室へ向かった。

 

今日は一日、大変になりそうだ……。

 

 

 

[通常視点]

 

キョンに連れられ1年5組の教室へとやって来た。

本来なら、隣の6組へ長門と行くんだがな。

 

教室に入ると窓側の一番後ろの席からあたしたちを睨みつけて腕組みをしている女子生徒がいた。

紛れも無い。ハルヒだ。

肩まで流れた髪。頭には黄色いリボン付きのカチューシャ。不機嫌になると口をアヒル口のように尖らせるところなど、あたしの知っているハルヒそのものだった。

 

「遅い!二人とも!」

 

あたしとキョンがハルヒに近づく(正しくは自分の席へと近づく)とハルヒは不機嫌なまま言ってきた。

 

「悪いな。キョンがなかなか起きなくてな」

 

あたしはハルヒの隣、自分の席に座りながらそう応えた。

 

「な、何を……」

「やっぱりね!どうせ、キョンがまた寝坊したんだと思ったわ」

 

キョンがあたしに反論しかけたが、ハルヒはそれを遮りながら言った。

ハルヒはあたしの事をちゃんと知っているようだ。

しかし、いつもの癖でキョンが起きなかったなどと言ってしまったがこちらの世界でもキョンはよく寝坊するらしいな。

 

「キョン子、キョンが起きなかったら置いて来ちゃっていいのよ!自業自得なんだから」

 

ハルヒは少し機嫌を良くしながらそう言った。

 

「ああ、今度起きなかったらそうするよ」

「キョン!あんたも少しは早く起きようとしなさい!」

「!……あ、ああ」

 

キョンは何か言い返そうとしたんだろうが、ここはおとなしくしようと思ったらしく、一言返事をして終わった。

 

 

さて、クラスを見渡してみる。

ほとんど会話もしたことがない人ばかりだが、なんとなく顔はわかる。キョンを介して知り合ったのもいるし何より女子は体育が一緒だからな。

谷口と国木田はいつものように話せるとして、朝倉は……朝倉は?

クラスの端から端まで見ても朝倉らしき人影は見えない。それどころか朝倉の机すら見当たらない。

もうすぐ朝のHRが始まるのでみんな席に着いている。なのに朝倉はいない。

見渡してみても空いている席が一つもなかった。

 

どういう事だ?

ここはあたしの知る世界じゃないから別のクラスとかか?あたしがそうだし。

それともこの世界はすでに9月だから、あたしの世界と同じ事があって転校してしまったとか?

 

とにかく、キョンに訊いてみるのが早いな。

いや今訊くのはよそう。今隣にはハルヒがいる。

もしこの質問をしてハルヒがおかしいと感じたらちょっとややこしくなるからな。

さっき古泉が言ってた、『この話は涼宮さんにはタブーですので』と。

ハルヒの前では、極力普通にしていよう。幸い、あたしの世界のハルヒと対応のしかたはなんら変わりがないようだしな。

ハルヒがいない時にキョンにでも訊けばいいさ。

 

 

 

さて、授業が始まったわけだがまあしょっちゅうハルヒはあたしに話しかけてくるわくるわ。

一番後ろであまり先生に聞こえない程度だが。

その話がまあ世界史の呪文を聞いているよりマシなんだが、どうでもいいような事ばかり話してくる。

最近夏休みが終わってからおもしろいことがなかなかないとか、SOS団で今度何をしようとか。

あたしは適当にだが一つ一つにちゃんと返事をして聞いていた。そうしないとハルヒは不機嫌になるからな。不機嫌になったハルヒは何をするかわからんから。

キョンはたまにあたしとハルヒとの会話が気になるのか、後ろをチラチラと見ては前を向くという行為を何度か繰り返した。

 

 

それからしてなんとか午前中の授業は終了。ほとんどハルヒとの会話で終わってしまったが。

 

さて、弁当は誰と食べるかな……部室にでも行って食べようか。もしかしたら長門がいるかもしれない。少し話してみたい気持ちもあるしな。

そう思いあたしは弁当を片手に席を立つとハルヒが呼び止めた。

 

「キョン子どこ行くの?あんたいつもここで食べているじゃない」

 

ハルヒは自分の弁当を広げながらそう言った。

 

しまった。あたしはいつもハルヒと食べているのか。

 

「あ、いや、きっ今日は気分転換に、……そう!屋上で食べようかと思ってさ」

 

あたしはつっかえながら答えた。

 

「あら、それもいいわね。じゃあ屋上へ行きましょう!」

 

そう言ってハルヒは一度広げた弁当を再び包んであたしより先に教室を出た。ハルヒの後を追いあたしも教室を出た。

 

 

屋上に着きあたしとハルヒはグラウンドが見えるところに座った。グラウンドをチラッと見ると、もう昼食を食べたのか何人かの生徒がサッカーをしていた。

 

弁当を食べているとハルヒが話しかけてきた。

 

「ねえ、今日のキョンなんか変じゃない?」

「え!?そ、そうか?」

 

あたしは弁当に入っていたミニトマトを取り落としてしまった。

確かにな。あんな風にちらちらとこっちを見ていたらハルヒから見たって今日のキョンはおかしいと見えるよな。後でキョンに一言言わないと。

 

「なんかおかしいわ。そわそわしてせわしないし、何度もあたしたちの方をチラチラ見てくるじゃない。何かあったのかしら」

 

あたしは少しビックリしていた。ハルヒがキョンの事を好きなのはわかってはいたが(まあこの世界ではどうかは知らないが)、こんな風にして心配そうな顔をするハルヒを初めて見たからだ。まるで、普通の女の子のような感じだ。

 

「た、たしかに変かもな。ハルヒ、キョンが心配なのか?」

 

あたしがそう訊くとハルヒは急に慌てた。

 

「ちち違うわよ!別に心配なんてしっしてないんだから!」

「へえぇ」

 

あたしはニヤついた顔をしていた。

ハルヒの頬はほんの少しだけ朱くなっていた。

なんだかこうして見るとハルヒは普通の女の子にしか見えないな。朝の話だと何か不思議な力を持っているとか言っていたが、ほんとに持っているのか?

そう疑問に思っているとハルヒがまた話しだした。

 

「ね、ねえキョン子」

「ん?なんだ?」

 

ハルヒは弁当のおかずをつっつきながら言った。

 

「あの…えっと、その……ああもう!やっぱりいいわ!」

「え、なんで……」

「また今度訊く!」

 

そう言ってハルヒは、弁当を食べ始めた。

あたしは疑問に思ったがしつこく訊けばハルヒを不機嫌にさせかねないと思い、それ以上はツッコまなかった。

 

 

そのままハルヒと屋上でひなたぼっこをして残りの昼休みを過ごした。

ハルヒはずっと考えているような顔で黙っていた。

うるさ過ぎるのもあれだが、なんだか静かなハルヒもどこか調子が狂う。

まあ静かに昼休みを過ごせた。

 

そうしているうちに昼休みは終わり、午後の授業へと移っていった。

 

 

午後の授業に入る前にキョンに一言忠告をすると、その後の授業では変な仕草は起こさなかった。

ハルヒがまた話しかけてくるんじゃないかと思い身構えていたのだが、午前中とは打って変わって静かになりずっと窓の外を眺めていた。

 

 

そうして午後の授業も終わりハルヒを先頭に部室へと向かった。

ハルヒは授業が終わるといつもの元気が戻っていた。

 

部室に着き入ると、すでに長門・朝比奈さん(メイド服)・古泉がいた。

あれ?早川は?

この世界では早川はSOS団ではないのかな。

まあそれも後でする話で聞けるだろう。

 

ハルヒはパソコンをつけ、何か遊び始めた。

あたしは朝比奈さんからお茶をもらい、キョンと古泉がしているチェスを見ていた。

 

いたって平穏だ。

あたしの世界となんら変わりない時間が過ぎた。

朝比奈さんからもらったお茶を飲みながら部屋の中にいる団員を一人一人見てみる。

 

ハルヒは先ほどから何やら忙しそうにパソコンをいじっているし、長門はいつもの窓際で本を読んでいる。

朝比奈さんは何やら雑誌を読んでいて、時々気になるところがあるのかマーカーで線を引いたりしていた。

キョンと古泉は先ほど言ったが、チェスをしている。こちらの古泉もやはりというかゲームは弱かった。

 

こうして見ても、みんなあたしが知っているSOS団のメンツと何ら変わりがないように見える。これで早川もいれば完全にいつもの風景だ。

 

でもそれぞれのその正体は、宇宙人に未来人に超能力者、そしてなんか不思議な力を持つハルヒときたもんだ。加えてあたしは異世界人だしな。

 

 

はてさて、この後どうなていくのやら…。




~あとがきのようなもの~

どうも、My11です。

今回のお話、いかがでしたでしょうか。

今回はキョン子が異世界に飛ばされてしまうということでしたが、はたして今後どのような展開になるか…。
最初のあらすじで宇宙人なんたらは基本出ませんなんて書いてましたが、ここでまさかの登場となりました。
『基本』は出ませんが、こういった絡みも欲しいなあと思い今回のお話を書きました。

また、今回は少し長めの文になりましたがどうでしょうか。
もし読みにくかったなどありましたらお知らせください。

それではまた。
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