そのマスターが選んでいたのがエッチな本だと知った彼女のとった行動は……。
ネット掲示板でのファンキルのキル姫で図書委員って言ったら誰?
とかいう話題でロンギヌスの名が上がり創作意欲が湧いてきて書いてみる事にしました。
このゲームの某攻略サイトで少し書きましたが何か場違いな感じだったのでここで1度きちんと書く事にしました。
こんなに長い文章にするつもりはなかったのですが簡潔に出来ずに申し訳ないです。
ネット小説は初めてですが楽しんで貰えたら嬉しいです。
{ロンギヌスは見たの巻}
ファンキル学園高等部の1年A組に所属するロンギヌスはついに念願の図書委員になれて内心大喜びをしていた。
人見知りなロンギヌスはひとりの時間を好んでいて、特に彼女は大勢での食事がとても苦手だったので、昼休みに図書室にこもれる特権を持つ図書委員にずっと憧れていたのだ。
昼休みの始まりにロンギヌスはクラスメイト達から声をかけられたがすぐに断りの返事を返していた。
「あの……ごめんなさい。私、図書室を開けなくてはいけないので」
図書委員のロンギヌスはそう言って昼休みのチャイムが鳴り終わる前に教室をするりと抜け出て、お手製のお弁当を手に図書室へと向かった。
クラスメイト達からの食事のお誘いは嬉しいが、やはり苦手なものは苦手なのだ。
図書室に向かって廊下を歩く彼女の足取りはとても軽く跳ねるようだった。
図書室の扉の前に立ちロンギヌスが鍵を開けて部屋の中に入ると、本の匂いが彼女を出迎えてきた。朝からずっと閉めきっていたのでこの部屋の空気は静かに淀んでいるように感じられる。
ロンギヌスは空気を入れ替えるために窓を開けて回ってから受付カウンターに向かった。
彼女は受付カウンターの椅子に座り、一人でお弁当を食べ始めた。この静かでのんびりとした時間がとても心地よい。
今日の卵焼きの出来はかなり良くて自分で自分を誉めてあげたくなった。
ロンギヌスがお弁当を食べ終える頃には何人かの生徒が図書室にやってきていた。
その時ロンギヌスは本棚の谷間の奥に向かう一人の男性に気がついて呟いた。
「あ……マスター」
ロンギヌスにマスターと呼ばれたあの男性はキル姫達を率いて異族と戦う統率者の一人で、この図書委員であるロンギヌスの所有者でもある。
そしてあのロンギヌスのマスターは武官でありながら非常勤講師としてこの学園に勤めてもいた。
ロンギヌスは自分のマスターの姿が消えていった本棚のあたりを椅子に座ってぼんやりと眺めていた。
ロンギヌスは自分のマスターの事がホントに大好きだった。
別にマスターの容姿が格別によい訳ではない。
それはマスターのキル姫みんなに対する優しい笑顔や愛情に溢れた言動、そして戦闘時における果断即決な素晴らしい統率力によるものであった。
彼女はマスターを絶対的に信頼しているのはもちろん、生涯忠誠を誓ってマスターのためなら文字通り死んでも構わないとすら思っていた。
ロンギヌスはその尊敬に値する人物に仕える事が出来てとても嬉しく思っていた。
ただ不満という訳ではないが、みんなに分け隔てなく優しいのは素晴らしいと思う反面、もう少し自分の事を気にかけて欲しいと思う気持ちがロンギヌスにない訳ではなかった。
だがこれは自分のわがままだとちゃんと分かっているので、その気持ちは心の奥深くにしまいこんで、表には絶対に出さないように懸命に努力していた。
「……マスター、まだかな」
ロンギヌスは振り返って壁掛け時計を見ながら呟いた。もう図書室を閉める時間がせまってきている。
あの時マスターが図書室の奥に行くのを見かけてから今までマスターの姿を全く見ていない。
閲覧する長机の所にも来なかったところを見ると立ちっぱなしで本を読んでいるか、ずっと何かの本を探しているのだろう。
ロンギヌスは受付終了の看板をカウンターの上に置くとマスターを探しに部屋の奥へと向かった。
本棚の谷間を左右に目を向けながらどんどん奥へと歩いていく。
かなり奥まで来てやっとマスターの後ろ姿を見つける事が出来た。このあたりの書架は先輩達しか整理出来ない特別な本があるとかでロンギヌスはまだここに一度も来たことがなかった。
マスターは二冊の本を手に持ち、まだ何か他に選ぶかのように指を本棚にさ迷わせている。
後ろ姿で分かりにくいがかなり真剣な様子で、それもロンギヌスが後ろからじっとその様子を見ていてもまるでそれに気づかないほどの集中ぶりだった。
マスターの指が一冊の本でぴたりと止まって逡巡するかのようにその本を引き抜くのをためらっているのが見えた。
ロンギヌスはまだ他にも探し物があるなら自分も何か手伝おうと思い声をかけた。
「あの……決まりました?」
マスターはその声にかなり驚いて、とっさに振り向きながらその場から距離をとるようにして後ろに飛び退いた。それは目を見張るようなかなり素晴らしい体さばきだった。だがマスターはその拍子に手に持っていた本を一冊落としてしまっていた。
「あ……」
どちらともなく言葉がもれる。
ロンギヌスはマスターのこの普段は見られない動揺っぷりに驚き、マスターはロンギヌスの突然の出現に心底度肝を抜かれていた。
いち早く立ち直ったロンギヌスが床に落ちた本のもとへと向かった。はっと気がついたマスターはそれを制しようと思ったが何と声をかけたら良いのか分からないので何も言葉が出せない。
「ごめんなさいマスター。驚かせてしまって……」
そこまで言って本を拾おうとするロンギヌスの手と口が止まった。彼女の大きな瞳がその本の表紙に釘付けになる。
その本の題名は「ミストルティンと兎」(※ネットの海に本当に実在する物語)という可愛らしいものだったがその表紙に描かれている絵が何か少しエッチな感じがする。兎を胸に抱いている下着姿のミストルティンの可愛い絵が肌色とピンクを主体に少し艶かしく描かれていたのだ。
マスターが手を顔に当てて天を仰いで言った。
「あっちゃー……」
ロンギヌスはその本をそっと拾ってから周囲の本棚を改めて見てみた。そこには目にするだけで恥ずかしくなるような題名の本がずらりと並んでいる。
「はわわ……」
ロンギヌスは真っ赤になって立ちすくみながら思い返していた。
そう言えばマスターを探してるときに18禁と書いてあるのれんをくぐった覚えがある。あの時はマスターの事ばかり考えていたけど、これが噂に聞く性域と言う名の聖域なのだろう。
ロンギヌスはもう頭に血がのぼったような感じで考えがまるでまとまらなかった。
大好きで尊敬もしているマスターがエッチな本を読んでいるのにもショックだったが、それ以上にマスターがあんなに時間をかけて選んでいたエッチな本の主人公がミストルティンだった事にも何かショックを受けていた。
でも、とロンギヌスは混乱する頭で考えた。
マスターは男の人で女性の体に興味があるのは当然で、私たちキル姫に対してもそういう目で見てくれたりもするならそれはとても嬉しいことではないか。
ロンギヌスは何とか心を落ち着けて大人な対応をするべくマスターに落とした本を返そうと近づいていった。
マスターは何か照れ隠しをするようにあらぬ方向に顔を向けてぼりぼりと頭をかいている。
ロンギヌスはその姿を見てなんだか可愛いと感じて顔をほころばした。
だが、その笑顔は一瞬で氷つくことになった。
それはマスターが大事そうに胸に抱えているもう一冊の本、その本の題名と表紙が目に入ったのだ。
その表紙は自分似の少女があろうことかパンチラをしている絵が描かれていて、そして題名は「ロンギヌスの聖夜」と書かれているではないか。
そうマスターはミストルティンだけではなくロンギヌスという少女を題材とした少しエッチな本も選んで手に持っていたのだった。
ロンギヌスのその視線と表情に気がついたマスターは自分の手元の本を見て大慌てで背後に隠したが、もう時すでに遅し。
ロンギヌスの顔は真っ赤になり頭から湯気が出そうなほど熱くなっていた。
ロンギヌスは何やらぐるぐる回る頭の中で考えていた。
マスターが私を選んでくれた?
マスターは私をそういう目で見てくれていた?
マスターに対して私はそういう気持ちを持ってもよい?
マスターを好きな気持ちは私は誰にも負けない!
でも……でもでもっ!
ロンギヌスは大きな瞳に涙をためて何か決心をしたようにマスターを見つめた。
そしてロンギヌスはマスターの腕を掴み元きたほうに戻り始めた。ずるずると引っ張られていくマスターは訳も分からずされるがままに従った。
ロンギヌスは受付カウンターまで戻って来ると腕をはなしてマスターと向かい合った。
そして目を閉じて大きく息をつくと、いきなり制服のリボンに手をかけた。そしてその勢いのままどんどん制服を脱いでいく。
慌てたマスターは止めようと声をかけた。
「ちょ、ちょっと待て!ロンギヌス!おいってば!」
しかしロンギヌスがまるで手を止めないので急いで横を向いて目をそらした。
しかし、そっぽを向いて彼女を見ないようにしているつもりが、窓ガラスの反射で何となくその姿が写って見えてしまう。
ロンギヌスはもうすでに上も下も下着姿になってしまっているようだ。
いや……何か……違う?マスターはいぶかしげに目をこらしてガラスに写る彼女を見た。
ロンギヌスはどこからか出した透き通った布を腰に巻き始め同じような布を手首と足首にも巻いている。
あれは……パレオか!?
ついにマスターは直接ロンギヌスに目を向けた。
そこには可愛い水着姿のロンギヌスがいた。
マスターがしばし見とれるようにその姿を眺めていると、ロンギヌスは受付カウンターの中に入り裏から何やら布に巻かれた長い棒状の物を持ち出してきた。
それは彼女の背丈くらいの長さがあった。
その棒状の物からすぐに槍を連想したマスターは顔を青ざめた。
水着を着たロンギヌスが槍を構えてすることはただひとつ。それは異族を数知れないほどほふったロンギヌスの固有必殺技「潮騒スプラッシュ」だろう。
あの五連撃を喰らったら生身の身である自分など一瞬でスプラッタだ。
マスターは焦りながらも、スプラッシュとスプラッタは何か語感が似ているなと頭の片隅で考えていた。
そしてマスターは実戦さながらに気を引き締めて次の自分の動きを模索し始めた。
自分にあの技が避けきれるだろうか?あれを丸腰でさばききるなどほとんど不可能に近い。だがもうやるしかない。何故か今のロンギヌスには言葉が通じない。暴走とは思わないが精神がかなり高ぶっているのが分かる。
距離をとり最小限の動きで槍の穂先をかわしていき致命傷をさけきれば何とかなる。そして技の終わりの硬直を狙って彼女に抱き付いて動きを封じさえすれば……
マスターはすっと腰を落として身構えた。
……が次の瞬間、マスターはロンギヌスの出してきた武器を見定めて少しあっけにとられ安堵の大きなため息をついた。
そしてあのロンギヌスの必殺技を避けずにこの身で全て受けきる決心を固めた。
ロンギヌスがいま手にしている武器は槍は槍でも「竹槍・極」という特殊武器だった。
彼女がいつも愛用しているジャベリンでもグレイブ・改でもなかった。
あの竹槍・極という武器はどんなに力強く叩いても1ダメージしか与えない不思議な武器の一種で命中と必殺がかなり高いだけのあまり使われる事がないネタ武器だった。
この武器の使いどころとしてはメタルメイデン討伐かマスターへのお仕置きだけとキル姫の間で密かに語られているものだ。
(ただし、このネタ武器で本当に危ない目に合ったマスターもいる。それは「パラソルゲイザー事件」として語り継がれているものだ。詳しい事は省くが怒ったエクスカリバーがパラソルというネタ武具を使ってマスターにお仕置きをしようとしたところ、彼女の固有スキルであるホーリーゲイザーが発動してしまい、高命中の武器のため避けきれなかったマスターが生死の境をさ迷ったと言う恐ろしい事件だ。そしてそれは彼の仲間のアスクレピオスが何とか瞬時にマスターを癒して事件は明るみに出なかったというオチがついていた。)
マスターは覚悟を決めて目を閉じた。
ロンギヌスも自らを白い布で目隠しをした。
ロンギヌスが槍を構えてよろよろと歩きだす。しかし最後はきちんとマスターの真ん前まで来ていた。
ロンギヌスの槍が見事にマスターの頭を直撃する。
ポカスカと軽い音がマスターの頭の中に響いてきた。
痛いは痛いがそれほどではない。マスターは己の欲望に負けた自分を悔やむような感じでうなだれてその衝撃を受け続けていた。
叩き終えて目隠しを外したロンギヌスはマスターを軽く睨み付けてこう言った。
「そういうエッチなのは……いけないんですよっ」
だがその口調とは裏腹に彼女の顔は何かとても嬉しそうで明るく輝いて見えた。
終わり
ゲームでロンギヌスは大人しくて強いというかなり自分好みなユニットです。
まあカドケウス、ケーリュケイオンも好きですが。
自分は書く事自体は好きなのでまたちょこちょこと投稿していきたいと思ってます。
ではこれからもよろしくお願いします。