そして黒祇式夜 様、誤字報告ありがとうございます!
そして出来たので投稿!
ただし次はちょっと時間かかる予定です。
まぁ、来週中には大丈夫かと。
ゲートのこちら側、日本の国会にて。
「貴女お馬鹿ぁ?」
参考人招致で国会に呼ばれた三人娘と伊丹に対する質疑応答に溜まっていたストレスをそのまま代弁するようなロゥリィの一言に、亡霊仲間が一斉にうなずくのを感じた。
ゲートの銀座側で出迎えてくれた亡霊仲間の集団にピニャ殿下が泡吹いて気絶したり、伊丹が必死に現実逃避をしたりしているのを亡霊仲間皆で笑ったり。
ピニャ殿下がおびえすぎない程度に亡霊仲間に隠れてもらって、久しぶりの再会で話に花を咲かせたり。
ゲートを通してある自衛隊の物理回線を伝って、亡霊仲間がゲートを自由に行き来できるように『結んだ』りしたりして楽しい時間が続いていただけに、相変わらずな政治家にイラッときていた亡霊仲間もだいぶ落ち着いたようである。
その後ロゥリィ達の年齢やら種族やらをレレイが説明していると、ふと伊丹があちこちをちらちらと焦った目で見ているのに気づいた。
視線をたどってみれば、なにやらフリーダムな亡霊仲間の姿が!
幸原議員をはじめとした自衛隊に害意を向けていた議員達を至近距離でのぞき込むモノ、中継カメラをいじくるモノ、マイクに憑いてみるモノ、議員がテュカを撮影した携帯などをいじくるモノ。
そして、こちらに期待したような視線を向けるモノ。
あぁ、なるほど。 これは期待に応えなきゃいけないでしょうね!
亡霊仲間達に合図をして中継カメラをはじめとした電子機器に干渉を開始!
ぶすっとして座っているロゥリィの腕の市松人形から『腕』を出して。 ちょうどロゥリィが亜神であり、やがては肉の身体を捨てて霊体の使徒に、そして真なる神になると説明をしているレレイの後頭部に添える。
あとはちょいとレレイの喉を借りて。
『“ソう、そシて神にナる”』
久々に『悪霊』、してみようか。
Tさんにぶっ飛ばされない程度に、だけど。
その瞬間、ざわめいていた議事堂が一瞬で静まりかえった。
誰もが誰かに、否。 『ナニカ』に見られていると感じたからだ。
静謐に満たされた議事堂の中、驚愕の表情を浮かべ自身の喉に手を当てつつもそれ以上動けないレレイの口から、年齢も性別も定かではない声が多重に響く。
『“ナんじら忘れし人の子ラよ、異界に神はあル”』
朗々と、無感情に。
飄々と、嘆くように。
滔々と、歌うように。
軽々と、穿つように。
淡々と、唸るように。
『“そしてコの世にも神はアる”』
中継カメラ越しに議事堂を見ていた視聴者は、唐突に自身の側に現れた『ナニカ』の気配に硬直した。
振り向きたくても金縛りのごとく動かない身体に、視線は映像に向けられたまま動かせない。
『“忘れるなカれ、隣人を”』
映像の中心にうつる銀髪の少女を取り巻くように『ナニカ』が現れては消える。
ソレは人のようにも、獣のようにも見えた。
『“謳歌せよ、生ヲ”』
そしていわゆる『霊感』を持つ者には、ソレは『無数のナニカを無理矢理ヒトガタに固めた』ように視えた。
『“畏れヨ、死を”』
皆が見ている前で花瓶に挿してある花が枯れ落ち、机の上に転がった種が芽吹き、成長し、花を咲かせ、枯れて跡形もなく崩れ去った。
『“そして遺志に祝福を”』
最後にゆらりとナニカが揺らぎ。
まるで夢から覚めたかのように、何事もなかったかのようにすべてが元に戻っていた。
しばらく混乱した後、枯れたはずの花瓶の花がそのままだったりなど何の痕跡もなかったことから、まるで狐に摘まれたかのような顔をしつつ質疑応答に戻っていく議事堂にて。
しばらくの間腕に抱えていた市松人形とにらめっこをするロゥリィとレレイの姿が見られたそうな。
マイクロバスを威嚇追跡していた車が自損事故をおこし。
市ヶ谷園にて焼身自殺未遂が発生し。
丸の内線で飛び込み自殺未遂が発生し。
東京駅前で転んで脳震盪なチンピラとぎっくり腰な駒門さんが救急車で運ばれて。
「え、まじで? まじでこの人形動くの? 怖っ!」
「…………(部屋中の人形の首動かす)」
「ひぇっ!? ちょ、まじで!? ちょっとこのフィギュア動かして! 雌豹のポーズで!!」
「おまえなにいってんの!?」
元伊丹の奥さんな梨紗(呼び捨て)の家に避難して、疲れ果てたのだろう皆が寝静まった後。 伊丹が梨紗に、地下鉄でビビるロゥリィに抱き壊された市松人形を修理してもらおうとしたらすごいこと要求された件について。
試しに動かしてみているが、フィギュアの関節が某回転軸のみで自然な格好を再現する関節だったがために苦戦している。
「…………(うねうねカタコト)」
「うわぁ、なんかすごいことになっちゃったぞ」
「フィギュア間違えた。 これはひどい……」
生き物の関節構造じゃない人形を生きている人間のように動かすのは無理だな(諦め)!
しかたないので部屋の隅に置いてあった球体関節人形を二体動かしてテーブルの上で斬新なポーズになっているフィギュアを片づけ、テーブルの上で雌豹のポーズとおまけにジョジョ立ちをさせてみせた。
なお、人形は両方とも服を中途半端にしか着ていない。 いわゆる下着のみである。
「…………(連続ポーズ変更)」
「おぉ、おおぉおおお……! さいっこう!! 新時代キタコレ! 次コレ! コレやって!!」
「うわぁ。 うわぁ……。 どうすんのこれ。 どうなんのよこれ」
死んだ眼でぶつぶついってる伊丹はともかく、梨紗のテンションが急上昇するのが楽しくてさらに小道具運搬用人形を一体追加。 片方でエロポーズを追求し、もう片方でジョジョ立ちその他のかっこいいポーズを追求してゆく。
夏の祭典に参加しようとして銀座事件に巻き込まれた亡霊仲間を筆頭に、オタク系亡霊仲間達の補助で加速度的に洗練されていく人形操作能力。
深夜テンションも相まって要求がとんでもないことになっていく梨紗。
完全に眼が死に、そのまま後ろ向きに倒れて夢の世界に旅立つ伊丹。
そして遠い眼をしながらそれらを見ていた富田は、そっと視線を逸らした先ですっかり熟睡しているボーゼスとピニャを見て心がほっこりした。
これじゃない感がありますが、これ以上はうまく表現できないのでこれで。
うまく主人公に神格持たせないと……。