インフィニット・ストラトス ~迷い込んだイレギュラー~ 作:S-MIST
日本のとある連休開始前日。IS学園での授業終了後、その夜。
晶とシャルロットは、デュノア社の用意した
その機内で、
(――――――えへへへ。予想とは違ったけど、コレはコレで良いかな)
2人きりの空の旅が決まった時、フランス到着まで、あまーーい時間が過ごせると思っていた。
だがそうはならなかった。
晶は機内に入るなりノートPCを起動。眼前に幾つもの空間ウインドウを展開し、何やら作業を始めたのだ。
「どうしたの?」
「少し仕事が溜まっていてね。教導のメニュー作り。一応正式な依頼だから、余り手を抜く訳にもいかない」
「見ても良い?」
「ああ。はいっ」
多数展開されている空間ウィンドウの1つが、シャルの前に移動してくる。
「………これは、中々ハードだね」
思わず、そう言わずにはいられなかった。
まず手始めに打鉄装備の織斑先生と、参加メンバーの体力が尽きるまで耐久戦。
そして普通なら機体が壊れればそこで終了だが、予備パーツを持ち込ませる事で、機体が壊れても修理してエンドレス。
目的は胆力を養うことらしい。
確かに織斑先生の攻撃に尻込みしないようになれば、戦場でもそれなりに冷静でいられるだろう。
その次は巨大兵器の弾幕を突破する訓練として、つい最近学園に赴任してきたナターシャ・ファイルスが駆る、シルバリオ・ゴスペルとの対戦だ。
だがこちらは打鉄と違いセカンドシフト機。全力でやれば学園が更地になりかねないので、あくまで程々程度の、機体データを取られても良い範囲の温い弾幕――――――という事になっているが、シャルは思う。
(確かシルバリオ・ゴスペル第一次形態の基本スペックって、公開されてたよね。仮にそのレベルに、いやもっと下に合わせたとしても、一般的な第2世代機じゃ辛いんじゃないかな?)
彼女の予想は、後日現実のものとなる。
シルバリオ・ゴスペルはアメリカ・イスラエル共同開発の最新鋭機。
NEXTや白式、紅椿、ブルーティアーズ・レイストームというイレギュラーを除けば、世界最高性能機と言えるハイエンドマシンだ。
まして元々、単機による広域殲滅戦を主眼においた機体。手加減しているとは言え、弾幕密度は一般的なISとは比較にならない。
(僕達は実際に戦っているし、シミュレーションメニューにもあの戦いは入っているから何とかなるけど、初見の人達は大変だよ)
そして恐ろしい事に、ここまでが準備運動扱いだ。
最低限、この程度は出来なければ困るという、晶からの無言のメッセージ。
本番はこの後、
ただしシミュレーションとは言っても、ISのセンサー系とかなりの高レベルでリンクさせ、被弾時の衝撃すら再現するようなものだ。当たり所が悪ければ、気絶くらいはするだろう。
「ねぇ晶。このシミュレーションに使う巨大兵器って、どんなの?」
「今までに何体か戦った事があるから、その中から選ぶ。でもいきなり実機と同じ性能のは出さないよ。まずは5割減くらいからかな。そこから徐々に上げて慣らしていくつもり」
「実機と同じレベルのが撃破されたら?」
晶はニヤリと意地悪な笑みを浮かべた。
「そこから先は魔改造機を投入かな。装甲値2倍とか、武装のリロードタイム半減とか」
「中々酷いね」
「俺だってそんな酷い事はしたくないんだけどさ、参加メンバーが実戦で死なないように、心を鬼にしてやるんじゃないか。決して、楽しそうだからとか、そんな理由じゃないぞ」
言葉とは裏腹に、彼の顔はとても楽しそうだった。
「酷い人。僕達のトレーニングメニュー作る時も、そんな悪い顔して作ってたの?」
「みんなの実力が着くように、誠心誠意考えてたよ」
言葉だけを聞くととても白々しいが、教える事に関して彼が誠実なのは、専用機持ち全員が認めるところだった。
中途半端な指導では訓練スコアが伸びる事もないし、セカンドシフト者が2人も出たりはしない。
そしてシャルは、彼が誠実に教えようとしている証拠を目ざとく発見していた。
多数展開された空間ウィンドウの中に、幾つかのパイロット情報と、それに対する彼のコメントが見えたのだ。
(そうだよね。よくよく考えたら、飛行機の中でまで作業するって事は、それだけ細かく1人1人を見てるって事じゃないか。――――――晶の事だから、結局彼女達も育てちゃうんだろうなぁ)
そう思ったシャルの口は、自然と思いを口にしていた。
「何か手伝える事ってないかな?」
「良いのか?」
「隣で君が一生懸命働いているのに、何もしないで寝てろっていうの?」
「助かる。なら――――――」
晶が頼んだのは、配布資料の作成だった。
大まかな内容は決まっているのだが、この手の資料作成が意外と時間を喰うのは、作った事のある人なら分かるだろう。その他にも彼女は、食事やコーヒーの準備といった細々とした事まで、彼が仕事をし易いよう、あらゆる事を手伝っていった。
本人は全く意識していなかっただろうが、その様はまるで秘書。
社長に献身的に尽くす秘書の姿そのものだった――――――。
◇
そうして瞬く間に時間は過ぎて行き、フランスに到着した2人は、デュノア社が用意したリムジンでアンサラーのパーツ工場に向かっていた。その車内で――――――。
「それにしても凄い人だったね。沢山いるとは思っていたけど、まさかあんなにいるなんて」
「全くだ。アイドルじゃないんだぞ」
そんな言葉に、シャルロットは苦笑しながら答えた。
「仕方ないよ。自分がフランスで何をしたか、忘れちゃった?」
「確かに旅客機の首都直撃を防いだが、あくまで依頼の結果だ。あんなに騒がれるような事じゃない」
思い出されるのは、空港に着いた時の光景だった。
詰め掛けた大勢の人々と無数のフラッシュ。そして歓迎の言葉。
好意的に受け入れてもらえるのは嬉しいが、それも程度によりけりだ。
加えて言うなら、晶は自分が善人でないと自覚しているだけに、こそばゆくて仕方が無いのだ。
だから彼は、さっさと話題を変える事にした。
「――――――工場に問題が無ければ、次はお前のコア移植だ。いよいよ、シャルも第3世代機か」
「うん。でもセシリアはセカンドシフトしているし、ラウラのレーゲンや鈴の甲龍も、相当稼動データが溜まっているはず。遅れてるのは変わらないよ」
「でも機体性能で苦労する事は減るんじゃないか」
「うん。これでやっと、他のみんなと真っ当にやりあえる」
シャルは密かに闘志を燃やしていた。
何せ今のIS学園1年生の専用機は、最低ラインが第3世代機。そこに束博士が直接手掛けた
どれだけ大変だったかは、言うまでも無いだろう。
この後暫くして、2人を乗せたリムジンが、アンサラーのパーツ工場に到着した。
そして工場内では、先に到着していたシャルロットの父、デュノア社社長、アレックス・デュノアが待っていた。
「こうして直接会うのは初めてですね。初めまして、薙原晶です」
「こちらこそ、私がシャルロットの父、アレックス・デュノアです」
握手が交わされると、2人はすぐに並んで歩き始めた。
シャルロットは晶を挟んで、アレックスの反対側だ。
聞こえて来る話の内容は、パーツ工場の稼動状況、警備態勢、会社の成長具合、世間話など様々だ。
そんな話を聞きながら彼女は思う。
(将来、僕はどうしてるかな?)
思いは変わらない。彼の傍らに立ちたい。だがライバルも多い。束博士は別格としても、更識楯無は強敵だ。セシリアもセカンドシフトしたせいか、最近好意を隠さなくなってきた。奥手に見えた簪も、気づけば随分と距離が近いような気がする。
本当に、手ごわいライバルばかりだ。
そんな中で、何が出来るだろうか?
出来れば他の誰にも出来ない、自分だけの役目が欲しい。頼りにされたい。
色々な感情が沸き上がってくる最中、晶から突然声を掛けられた。
「シャル、ボーッとしているみたいだけど、大丈夫か?」
「え? ああ、うん。大丈夫。時差ボケかな」
「少し休もうか?」
「大丈夫だって」
学園にいる時と変わらない気安いやりとりだが、父が娘の現状を知るには十分な会話だった。
そのせいか普段の仕草をみれば、遊びかそうでないかは大体分かる。
娘を大事にしていなければ、今の自然な気遣いは出てこないだろう。
内心で嬉しく思いながら、アレックスは話を続け始めた。
そうして工場内を暫く歩き続け、全ての説明が終わった時、時計の針は20時を指していた。
「――――――という訳で、今のところは順調そのものです」
「分かった。今後もその調子で頼む。ただ、幾つか聞きたい事がある」
「何でしょうか?」
晶の本職は監察官ではない。
彼の本職はあくまでパイロット。戦場を単機で蹂躙する破壊者だ。
だから会社の詳しい経営状況など説明されても、正直なところ良く分からない。
仮に問題点を見つけたとしても、素人以上の意見など言えない。
だが拠点防衛や警備となれば話は別だった。
元々、そういうのを攻略するのが大好きなのだ。
――――――いわゆる廃人と言われるレベルで。
そんな人間に、強化人間の強化された思考能力が加わったらどうなるだろうか?
アレックスの説明を聞き終えた彼の脳裏には、工場を攻略する為の手段が、幾つも浮かび上がっていた。
「物資搬入区画の警備だが――――――」
ここから先の会話に、シャルロットはついていけなかった。
ただ分かったのは、晶が攻撃側として意見を言えば、アレックスは防御側としての意見を述べているという事だった。
常に2手、3手先を読んだ対応の応酬。
気づけば工場の一室を使って、警備責任者を交えた
そうして2時間ほど経過して、ようやく一段落がついた。
「いや、流石は束博士の守護者。警備にも深い造詣をお持ちのようだ」
「本職はパイロットですから、片手間ですよ」
「あれで片手間なら、世の中に本職を名乗れる人間はいなくなってしまいますな」
警備責任者の言葉は、世辞ではなく本心だった。
2人が話しているのを見ながら、アレックスは思う。
(考えてみれば当然の話だが、これほどまでとは………)
薙原晶が絶大な戦闘力と卓越した指導手腕を持っている事は、広く知られている。だがそれ以外の事は、余り知られていないのだ。
例えば束博士の護衛についてだ。博士を護っているという話は広く知られている。だがその護るというのが、武力をもって身辺を護るだけなのか、多種多様な危機を予測して準備が出来るほどなのかは知られていなかった。
(絶大な戦闘力と指導力、そして戦術眼を併せ持つか………やはり娘には彼しかいないな。他のお見合い候補など考慮にすら値しない。何より本人達の雰囲気も悪くない)
その立ち振る舞いは見事なもので、彼が必要とする資料を必要なタイミングで過不足なく差し出す様は、社長に献身的に尽くす秘書の姿そのものだった。好意的な感情が無ければ、とても出来ないだろう。
(………血は争えんか)
昔、シャルの母親も同じように尽くしてくれた。
アレックスは2人を見ながら、そんな事を思い出していたのだった――――――。
◇
一方その頃、黒ウサギ隊は行方不明となっている生物兵器を追っていた。
とは言っても、追うのは情報部の仕事だ。実戦部隊である黒ウサギ隊が担うのは、情報部が怪しいと睨んだ場所への突入・制圧だ。
仕事としては、とても荒っぽいだろう。
突入する事がではない。怪しいと睨んだだけで突入する事がだ。
正確な情報こそが情報部の存在意義なのに、怪しいという程度までしか、しかも複数個所にまでしか行方を絞り込めていない。
平時であれば、文句の1つも出るところだ。
だが今回に限って言えば、テロリストが上手だった。
監視カメラや顧客情報などがしっかり管理されている高速道路・高速鉄道・飛行機は使わずに、あえて普通の道路を車で、ゆっくりと遠回りして運んでいたのだ。
確かに時間はかかる。だがその分監視の目は温い。
途中で人と車を何回も変えていけば、そう簡単には足がつかない。
しかも残してきた車に、あえてミスリードさせるような情報を残しておけば、嫌でも追っ手はそちら側に労力を割かなければならなくなる。
そうした妨害工作が、確実にドイツ軍の動きを鈍らせていた。
「――――――チッ!! ここも違うか!!」
部下から上がってきた報告に、クラリッサは思わず舌打ちしてしまう。
この任務が下された当初、黒ウサギ隊には目標が、“レベル4級の生物兵器”としか知らされていなかった。
取り扱いには外界と完全に隔離された施設が必要で、エボラや天然痘ウイルスと同じレベルの危険性がある。使用されれば1個で万単位、下手をすればその10倍単位で死者が出るという、極々一般的な説明しか受けていなかった。
クラリッサは当初、この説明に疑問を抱かなかった。
軍人であれば「need not to know」など当たり前。必要以上の知りたがりは、己の寿命を縮める。
だが上層部の焦りに違和感を覚えた彼女は、ふとある事に気付いた。
如何にレベル4級の生物兵器を追う為とは言え、完全戦闘装備の黒ウサギ隊をここまで使う理由は何だろうか?
パワードスーツについての練度は、恐らく国内随一。加えて第3世代ISを擁する黒ウサギ隊は、紛れも無くドイツ最高峰の戦力だ。
決して簡単に動かせる部隊ではない。
それが確度の低い情報で動き回らされている。
状況に不安を覚えたクラリッサは、上層部への伝手を使い、追っている物についての情報開示を要求していた。
その結果、特1級の機密事項として、ある情報が開示された。
実際に追っている物が使用されない限り、部下達への口外も禁じられた機密事項だ。
行方不明となっている生物兵器の型式番号は、B988A M-Type(※1)とB1037f M-Type(※2)。
前者はアシダカグモを素体としたもので、後者はイモムシを素体としたものだ。
両タイプの共通点は、カプセルから出された後、猛毒を撒き散らしながら急速に成長を始めるということ。全高の予測値は最大で20~30m程度。巨大兵器に匹敵する大きさな上、時間が経てば自身の手足となる兵隊を生み出し始める。生み出された兵隊は3~5m程度の大きさで、こちらも猛毒を撒き散らす。つまり時間が経てば経つほど、加速度的に被害が拡大していく。
そして異なる点も、人間にとっては脅威であり致命的なものだった。
B988A M-Typeはアシダカグモをベースとしているだけあって移動力に優れる。森・都市・地下空間、あらゆる場所で立体的に動けるその機動力は、生身の人間にとっては脅威という他ない。
B1037f M-Typeはイモムシをベースとしているためか動きは鈍重。だが脅威度という点ではB988A M-Typeより上の可能性があった。何せ近くの緑を根こそぎ食いつくし、猛毒を撒き散らしながら、周囲の環境を作り変えていくよう調整されているのだ。
両タイプとも一度自然界で使用されたが最後、どれほどの影響が出るか分からなかった。
(私が焦っても仕方が無いが………)
焦らずにはいられなかった。
この生物兵器の厄介なところは、時間経過と共に、本体を叩くのが困難になる事だ。
無尽蔵に生み出される兵隊。撒き散らされる猛毒。作り変えられる環境。
一度拡大を許せば、欧州全域で、人が住めなくなる可能性すらあった。
クラリッサがそんな焦りを抱き始めた頃、部下から通信が入った。
『こちら
『司令部より入電。「新たな目標リストを送る。至急急行されたし」です』
『全く、人使いの荒い。――――――
『α1、了解。やれやれです』
『β1、了解しました。少しは休憩が欲しいですね』
『γ1、了解です。右に同じ。任務が終わったら有給消化です』
ボヤく部下達が、
それを見ながらクラリッサは思う。
(随分、装備が増強されたな)
現在黒ウサギ隊の装備は、ISや
何せその性能は、今までの輸送ヘリが玩具に見えるほどだ。
分かりやすく言えば、今まで
このメリットは大きい。軍事的な視点だけで考えても、空港という巨大な施設を使わないで、機甲部隊を展開出来るメリットは絶大だ。
更に戦車をも運べる積載量は、輸送においても大きな力を発揮する。
特に機体両側にあるコンテナは簡易な改造で、武器、パワードスーツ、食料品などあらゆる物が運べるようになっており、汎用性も桁違いだ。
そんな事を思っていると、部下達の収容が完了した。
『
『α1、勿論です』
『β1、でも部下の苦労に報いるのは、上官の役目だと思うのです』
『γ1、つまりご褒美が欲しいのです』
『お前ら、分かった。任務が終わったら私の奢りで好きなだけ飲ませてやる』
『隊長太っ腹!!』
こうして話している間に輸送ヘリが離陸を開始。黒ウサギ隊は次の目標へと向かって行ったのだった――――――。
◇
一方その頃、日本。
束からの依頼を受けた楯無は、更識家の力を使い、生物兵器の行方を追っていた。
進出したばかりの海外。国内と違い十分なバックアップ体制が無いという不利な条件の中、現地の人間は、彼女の指示に良く応えてくれた。お陰でかなりの情報量が集まりつつある。
加えて、1つ嬉しい誤算があった。
ドイツ軍が、衛星通信へ情報をアップロードし続けているのだ。
使われている回線は、一番初めに束が見た回線と同じ。暗号形式も変わっていない。明らかに“見て”と言わんばかりの行動だ。
そうして集められた情報を元に、楯無が出した結論は――――――。
(多分、間に合わない)
追い詰めているという確信はあった。だが何度考えても、後数手足りない。手札が足りない。
これが日本国内だったなら、後は組織力を生かして包囲網を形成し、徐々に範囲を絞り込んで行くだけ。
この時点で決着がついていただろう。
事実現地の人間は、この時点でドイツ軍よりも遥かに生物兵器に迫っていた。
だが進出したばかりのドイツやフランスでは、実働要員の数そのものが少ない。加えて言えば地の利は向こうにある。
不完全な包囲網はスルリと抜けられ、捕縛にまでは至っていなかった。
(もどかしいわね)
あと数手で追い詰められる確信があるのに、その数手が打てない。
一瞬、黒ウサギ隊を使うという考えが脳裏を過ぎるが、即座に却下。得られた情報から考えるに、恐らく生物兵器は、既にフランス国内だ。ドイツの部隊は使えない。
(どうする?)
思考の海に沈んでいく楯無。
フランスにいる晶の事が脳裏を過ぎるが、彼を使うのも論外だ。
フランス政府も、そろそろ生物兵器の情報を入手しているはず。
そして情報というのは、知っている人間が多ければ多いほど漏れやすい。
このタイミングで彼が動けば、生物兵器との関連を疑うのは難しくない。
もしレベル4級生物兵器が流出している、なんて事が一般に知れたらパニックだ。
(手詰まりね。こちらから打てる手が………あった!!)
この時彼女が思い出したのは、ある
元々は晶が、裏社会に堕ちたISパイロット達を更正させる為に作った会社だ。
この為何人かは前科持ちだが、実力は申し分ない。
なにせ元々非合法活動に従事していたISパイロット達だ。現場の機微というのは良く分かっている。勿論裏切りの可能性はあるが、元ISパイロット達には、束特製の首輪が嵌められている。生半可な手段で逃れる事は出来ない。
ただ最近はその首輪を嫌がっていないという、少しばかり胸の奥がざわつく情報があるが、裏切らないなら今は良いだろう。
他のメンバーも、監視役として更識から送り込んだ腕利きばかり。
(いけるわ!! あの会社のメンバーなら、遊撃要員として申し分無い。人手不足の穴埋めに使える)
そして仮に生物兵器との戦闘があったとしても、装備さえ持ち込めれば十分戦力として見込める。
主力装備のパワードスーツは、撃震を軽量化して運動性を向上させたカスタムタイプ。更に先日、ガンヘッドと
「
「なんでしょうか、当主」
「以前晶が作った会社、確かカラードと言ったわね。そこに依頼を出してくれないかしら。内容は、そうね――――――テロリスト討伐、とでもしておきましょうか。後は報酬を高めにして、戦闘装備一式が必要な事を伝えれば、あの会社の人間なら色々と察してくれると思うわ。ああ、もし相手が渋るようなら教えて。後で晶に連絡させるから」
「分かりました。では装備はどうしますか? 一応は法治国家。戦闘用装備を国内に持ち込むのは少々骨が折れます」
「裏ルートを使う必要は無いわ。むしろ正規の手続きで持っていきなさい。フランスに到着しさえすれば、後は空港に置いておいて構わないから」
「なるほど。そういう事ですか」
「ええ、そういう事よ」
つまり戦闘用装備はあくまで保険。生物兵器が使われた時の備えだ。
今本当に欲しいのは、人手という事だろう。
こうして事態は動き続けていく。
生物兵器は今、何処に―――――――――。
第93話に続く
※1:B988A M-Type
登場作品AC3。
外見はとても大きいアシダカグモ。
AC3ではレーザーキャノンとプラズマキャノンで武装しているが、本作ではちょっと(?)変更。
※2:B1037f M-Type
登場作品ACSL。
外見はイモムシ(?)
ACSLではプラズマキャノンで武装しているが、こちらも本作ではちょっと(?)変更。
セッシー&ラウラさんは、今回(訪仏編)はお留守番してもらう事にしました。
訪仏編に2人を出すと、作者的にとても辛いのです………。
なので2人には、別のイベントを用意したいと思います。