トメィト量産工場   作:トメィト

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キャラ崩壊、やりたい放題注意。


その他一発もの
もしも仁慈が聖杯戦争に呼ばれたら


 

 

 

 「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

  降り立つ風には壁を。

  四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

 

 

 普通であれば現代で見かけることはないであろう。魔法陣。

 明かりもついていない暗い部屋の床一面に広がっている魔法陣の前で、ランドセルを背負っていても不思議ではないほどの少女が言葉を発する。

 

 

 「閉じよ。(みたせ)閉じよ。(みたせ)閉じよ。(みたせ)閉じよ。(みたせ)閉じよ。(みたせ)

  繰り返すつどに五度。

  ただ、満たされる刻を破却する」

 

 

 これは英霊召喚の儀。

 万能の願望機たる聖杯を巡り行われる戦争を勝ち取るための駒を手元に置くための儀式である。

 

              

 「―――――Anfang(セット)

 

 「――――――告げる」

 

 「――――告げる。

  汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

  聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

 

 

 彼女の言葉に呼応するかの如く、魔法陣は光り輝き、窓も開いていない部屋に居るにも関わらず強力な風が吹き荒れる。そんな風に動じることもなく、少女は言葉を紡ぎ続ける。

 

 

 「誓いを此処に。

  我は常世総ての善と成る者、

  我は常世総ての悪を敷く者。

 

 

 されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。

  汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者――。

 

 

  汝三大の言霊を纏う七天、

  抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

 

 

 

 

 ――――――本来であれば、この場に喚ばれるのはギリシャの大英雄、ヘラクレスであった。

 アインツベルンの悲願である聖杯の獲得……それを達成するためにアハト翁が最強のサーヴァントを呼び出させようとしたのである。過去に、裏切られたこともあり態々理性のないバーサーカーのクラスで顕現するように、少女―――イリヤスフィール・フォン・アインツベルンに言ったのである。

 彼女自身も、アインツベルンが作り出した最強のホムンクルス……こうして、最強のサーヴァントと最強のマスターをそろえたアハト翁は勝利を確信していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――だが、何をどう間違ったのか、喚び出されたのはギリシャの大英雄ヘラクレスではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 「―――――――えー……何これ……。いやその前に何処ここ?」

 

 

 

 

 

 

 彼はどう考えても、ギリシャの大英雄ヘラクレスには見えなかった。着ている衣服は現代のそれに近く、バーサーカーのクラスとして顕現した割にはごく普通に何かをぼやいている。

 右手に見えるのは、彼の身長と同じくらいの武器である。刀身は死神が持っていそうな大きな鎌。そのサイドにはシールドが半分になったような部分が取り付けれられられており、持ち手に近い部分には銃口のようなものが見える。

 

 

 

 

 「―――――――ッ!なるほど、そういうことなのね……。聖杯って便利……っていやいや、俺まだ死んでないし、そもそも英霊じゃないんだけど……」

 

 

 

 

 

 何より、召喚された彼の容姿は、彼を召喚した少女イリヤスフィールと同じ銀髪赤眼であった。

 

 

 

 「まぁ、いいや。とりあえず、こういうときでは口上が決まっているらしい」

 

 

 

 呆然と召喚した彼を見ているイリヤスフィールに対して、喚び出された彼は特にそのことを気にすることもなくマイペースに口を開いた。

 

 

 「サーヴァント・バーサーカー。真名、樫原仁慈。召喚に応じて参上した……君が、俺のマスターかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           ―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ちょっとバーサーカー!?私のケーキ食べたでしょ!?」

 

 

 「何故俺を犯人と断定しているんですかねぇ……俺以外にもっとやりそうなやつがいるでしょ。あのメイドさんの片割れとか」

 

 

 「それは、私のこと?お前、イリヤの下僕の癖に、生意気」

 

 

 「何でそんなにあたり強いんだよ……。後、そのセリフは口についているクリーム落としてから言った方がいいぞ」

 

 

 「ありえない、しっかり落としたはず」

 

 

 「自白したな」

 

 

 「あっ……」

 

 

 「リーゼリット。話があります、後で来なさい」

 

 

 「こ、これはイリヤのじゃなくて、セラの……」

 

 

 「来い」

 

 

 ズルズルと無表情ながらも一目見ただけで焦っていると分かるリーゼリットを引っ張りながら部屋から出て行くセラ。

 見ただけで激おこと分かる雰囲気をだすセラはまさしく鬼のような形相だった。俺がスーパーの特売で買ったケーキを食べられたのがとても気に食わなかったようである。まぁ、食べ物の恨みは恐ろしいというし、仕方ないね。

 部屋から出て行く二人を見送った後、俺はイリヤの頭を軽く叩く。

 

 

 「で、なんであんな嘘ついたわけ?」

 

 

 「ちょっとからかって見たくなったのよ。バーサーカーったら、ここ最近全然相手してくれないんだもの」

 

 

 「セラに言われたんだよ。"平日はなるべく魔術の指導に時間を充てたいので、あまり相手をしないでください”って」

 

 

 そのことを告げると、イリヤは頬を膨らませてこちらを睨みつける。しかし、身長の関係で上目遣いになったり、元の外見が幼女に近い少女なこともあり迫力はない。

 

 

 「むー……バーサーカーは私の従者でしょ?なんでセラの言うことを優先してるのよ」

 

 

 「いや、あの人怒らせたらアレだぞ」

 

 

 そういってリーゼリットが連れて行かれたほうを指差す。何処に移動したのかは知らないが、あの無表情お化けの悲鳴のようなものが聞こえてきた時点で想像したくない。

 

 

 「な?」

 

 

 「……た、確かに。セラは怒らせたら面倒くさいし、今回は許してあげるわ」

 

 

 「声震えてるけど」

 

 

 怒らせたことがあるのだろうか。

 まぁ、イリヤの教育係だというし、何かやらかしたのかもしれないが。もう俺が構わなかったことはいいのか、膨らましていた頬を戻してひょこひょこと俺の近くまで寄ってくる。

 

 

 「まぁ、それはもういいわ。それよりも、そろそろ行動を開始するから……しっかり心構えしておいてね」

 

 

 そう。こんなくだらないやり取りをしている我が陣営であるが、もう既に聖杯戦争とやらは始まっていた。

 既にそこらでドン☆パチやりだしていたりする。

 万能の願望機を巡って色々やらかす聖杯戦争。当然、それを勝ち残るにはサーヴァントやらマスターやらを倒さないといけないわけで……。

 

 

 「気が進まないなぁ……」

 

 

 化け物なら情け容赦なく死すべしできるんだけど、人はそうは行かない。一応、これでもアラガミ化する前の人を斬ったことはある。でもそれは止むを得ない事情であるし、斬られる本人も納得していることなんだけど。今回は勝手が違うからな。

 俺がそんなことを考えていると、彼女はいつの間にか持ってきた水晶のようなものを覗き込んでいた。そこには2人の男女が移っており、二人とも仕掛けてあったトラップに吹っ飛ばされていた。

 

 

 「あっはっは、リンは本当に面白いわね。打てば響くっていうのはこういうことを言うのかしら。ねぇ、バーサーカーはどう思う?」

 

 

 「そういうこと言うのは止めてあげなさいよ……」

 

 

 今、怒っている少女がちょっとかわいそうになってくる。俺がツインテールの赤い子を哀れんでいるうちにイリヤは赤髪の少年を見て若干トリップしていらっしゃるようだった。なんでも彼とは色々複雑な縁があるのだとか。

 

 

 「っと、まずいな」

 

 

 「?どうしたのバーサーカー?」

 

 

 ここで、俺の気配察知に引っかかった存在がアインツベルン城の内部というか中庭に現れた。1人は普通の人間と同じような存在だが、もう1人はどう考えても人外のそれである。

 

 

 「サーヴァントが入って来た。しかも、セラとリーゼリットの近くに居る」

 

 

 「なんですって!バーサーカー今すぐ行くわよ!」

 

 

 「了解!最短ルートのために壁を壊すけどいいよな!」

 

 

 答えを聞かないでイリヤを片手で捕まえると、もう片方に持っていた神機で壁をブチ破り、中庭に向けて疾走した。

 

 

 

 

 

 

 

            ――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 「リーゼリットッ!!」

 

 

 説教のためにたまたま席を外し、お仕置きを加えた後にお嬢様のところへ戻ろうとした矢先、中庭にわかめのような髪をした小物が現れ、それを逃がそうと考えていたところにサーヴァントがやってきた。

 かのサーヴァントは聖杯であるお嬢様を狙っていたらしい。それを許す私たちではなくかのサーヴァントの前に立ちふさがっては見たものの、戦闘用に作られたリーゼリットでさえあっさりと片腕を切裂かれた。

 そして、彼女の前の空間に現れた黄金の波紋から射出される数々の武器が向けられていた。助かる術はないと分かりつつも、声を上げる。

 

 

 ついに武器は射出され、リーゼリットを串刺しにしようと殺到する。誰もが彼女の最期を予感していた。

 しかし、

 

 

 ガキン!

 

 

 

 その予想は覆されることとなる。

 リーゼリットを貫くはずだった武器は弾かれあさっての方向に飛んでいく。すると同時にリーゼリットとサーヴァントの前に1人の男が立っていた。

 

 

 「片腕なくしても無表情とは……凄まじいな……」

 

 

 どこか場違いなことを思いながら、お嬢様が召喚したサーヴァント・バーサーカーは現れた。

 

 

 「ほう……」

 

 

 「リーゼリット。セラのとこまで行って、そのちょん切れた腕治療してもらえ」

 

 

 決してこちらのほうは見ず、かのサーヴァントに視線を固定しながらバーサーカーは言う。リーゼリットも片腕がなくなってバランスが悪いのか体をふらつかせつつもなんとかこちらに戻ってきた。

 

 

 「リーゼリット!セラ!」

 

 

 「お嬢様……ッ!何故来たのですか!あのサーヴァントはお嬢様を狙っています!出てきてしまえば恰好の的です!」

 

 

 「見捨てられるわけないでしょ!貴方達まで失ったら……私は……」

 

 

 そう言って表情を崩すお嬢様。

 私は彼女の想いを聞いて、静かに抱き寄せた。

 

 

 「セラ、腕、お願い」

 

 

 治療のためにすぐに離してしまったが。

 

 

 

 

 

 

            ――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 「貴様が持っているその武器……我が宝物庫にはないな……何処でそれを手に入れた?雑種」

 

 

 「人に物を聞くときはちゃんとしなさいって教わらなかったわけ?」

 

 

 

 「フン。王たるこの我が、どうして貴様のような雑種に頭を下げなければならない」

 

 

 「あー、ダメだこれ。コイツ人の話し聞かない奴や……」

 

 

 対峙するのは銀髪の青年と、金髪の男性。

 お互いにかつて偉業を成し遂げたもの同士、会話をするだけ、気配をぶつけ合うだけで大気が震える。

 

 

 

 「この我を前にしてそのような態度を取るとは………貴様、無様に散り逝く覚悟はできたのか?」

 

 

 「そもそも俺はお前が誰なのか知らないんだけど……まぁ、いいや。狙いはマスターらしいし、どうせ戦うことになるんだろ」

 

 

 双方、屋根から跳び下りて地面に足を着ける。

 そしてその直後、仁慈は背後に居るイリヤたちに話しかけた。

 

 

 「これから結構やばいことになるから離れんなよ」

 

 

 「わかってるわ。あの金ぴか、相当強い。でも、倒せるわよね?」

 

 

 「努力はしてみる」

 

 

 「そこは断言しなさいよ!……まぁ、いいわ。あんな金ぴかなんてやっちゃえ!バーサーカー!」

 

 

 「了解だ、我が主(マイマスター)!」

 

 

 彼の武器である神機を構えて一歩前に踏み出すバーサーカー改め仁慈。そんな彼を金髪のサーヴァント、アーチャー・ギルガメッシュは面白そうな目で仁慈を見つめる。

 

 

 「ハッ!貴様そのなりでバーサーカーだと?」

 

 

 「文句でもあるのか。俺だって不本意だよ。誰がバーサーカーか」

 

 

 「なんとも珍妙だが、まぁよい。せいぜい我を楽しませて見せろ」

 

 

 ポケットに両手を入れていたギルガメッシュは右手を出すとスッと手を上げる。すると、彼の背後に数えるのも馬鹿らしいくらいの波紋が空間に浮かび上がり、数々の武器が顔を覗かせる。

 しかも、驚くべきことにこれらは全て伝説上の武器、そのすべてが英霊達の切り札……宝具といっていいほどの物であった。

 

 

 僅かな隙間すらなく放たれた宝具の雨に対して、仁慈のやることは至ってシンプルだ。自身が持っている神機を振るって、自分と背後に居るイリヤ達に届きそうな武器を片っ端から弾くことである。

 常人では扱うことも難しい鎌を巧みに操り、次々と自身に迫る宝具(脅威)を薙ぎ払っていく。時々手が足りないところは空いている左手で飛んできた宝具を掴み取り、同じく飛来してきた別の宝具を弾いたりもしていた。

 

 

 そして、ギルガメッシュがいったん宝具の射出を止めた隙を突き、奪った宝具を彼へと投げ返す。

 まさか、後ろに足手まといがいるにも関わらず切り抜けるとは思っていなかったのか油断していたギルガメッシュは反応が送れ、直撃こそ食らわなかったものの頬が少しだけ裂けた。

 

 

 それを成し遂げた仁慈はドヤ顔である。殴りたい。この顔。

 

 

 「貴様……ッ!この我に傷をつけると」

 

 

 「隙あり」

 

 

 傷を付けた仁慈に対して激昂するギルガメッシュ。しかし、そんな彼の反応には大したリアクションも起こさない。むしろチャンスと見て右腕まで鎌で切裂いていった。

 

 

 「貴様……貴様貴様貴様ァ!我が顔だけでなく腕まで持って行こうとは、万死に値するっ!魂のかけらも、この世に残せると思うなよッ!」

 

 

 先程の数がかわいく見えてくるほどの量。もはや、ギルガメッシュの背後は彼が呼び出した宝具で埋まり、アインツベルン城の壁が見えないような状態である。

 そんな状況でも、仁慈は笑う。

 

 

 そして、ついに出現した宝具レベルの武器が殺到する。しかも、先程とは違い、それら全てがAランクを超える宝具である。

 並みのサーヴァントなら即死、最上級のサーヴァントでも敗北は免れないだろう。

 だが、残念なことに相性が悪かった。悪すぎた。

 

 

 仁慈は手に持っている武器、神機を変形させて黒く大きな口を作り出す。

 そして、飛んで来る宝具たちに向かって

 

 

 「喰らえ」

 

 

 

 それを振り切った。それだけで、彼に向かって殺到していた武器は全て消えうせる。

 流石のギルガメッシュもその光景を前に呆然としていた。ぶっちゃけ、後ろで見ていたリーゼリットも無表情を崩して目を見開きセラも言葉を失っている。マスターであるイリヤも例外ではない。

 仁慈以外の全てのものが固まった、その空間でも彼は普通に口を開く。

 

 

 「お前、神性を帯びた英霊だろ?それがお前の敗因だ」

 

 

 テクテクと、悠然と歩く仁慈。

 呆然とする英雄王の前に来た、仁慈は武器を振り上げてこう言った。

 

 

 「俺は樫原仁慈。神殺しとしてこの地位を確立した者だ」

 

 

 こうして、ギルガメッシュはあっさりと仁慈に葬り去られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




真名 カシハラジンジ

クラス:バーサーカー

筋力:A  魔力:E
耐久:B  幸運:D
敏捷:A


保有スキル

神殺しEX
彼の生き方そのものが保有スキルとなったもの。
神として信仰を受けていた存在を数多も屠ったことから、神に関するもの神そのものに対して絶対的優位に立てる。ぶっちゃけ、攻撃は全て致命傷だし、受ける攻撃は大体聞かない。

心眼(真)B+
修行・鍛錬によって培った洞察力。窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。

心眼(偽)A
直感・第六感による危険回避。虫の知らせとも言われる、天性の才能による危険予知。視覚妨害による補正への耐性も併せ持つ。

無辜の怪物C-
生前のイメージによって、後に過去の在り方を捻じ曲げられ、怪物になる。能力・姿が変貌してしまう。このスキルを外すことは出来ない。
あまりにも強いという評判と、体の半分がアラガミであることからついた。

狂化E
普段から理性を失うほどではないが、戦闘で熱が入るとマスターの言うことを聞かないで戦い続けることがある。

宝具

神機EX
対人宝具
レンジ1~30

彼の神機使いとしての行いの所為で宝具となった。
化け物、人、神、あらゆるものに傷を付ける効果を持っている。


捕食EX
対界宝具
レンジ1~∞

神機を使っているときに使用が可能。
全てを喰らうという性質と、仁慈が行った数々の行動によって全てを喰らえるというトンでも補正を持ってしまい、宝具にまでいたる。

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