デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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13話 千花VSエレン

「……空中艦の生成魔力を消滅させたですか」

「うん、そうだよぉ」

 

エレンが千花の言葉に対して聞き返すと、軽いノリでそう返す。生成魔力が無くなれば航行を維持できなくなるのは当然だが、どういう方法なのかが謎だった。

(映像で見た青龍の時に放たれた黒い光線はこれだったと……)

 

『まぁ、そう言うことだから。そっちに勝機は無いから諦めてくれると楽なんだけど?』

「そうだよぉ。今ならまだ無事で済むんだよぉ」

 

千花に魔力を消滅させる力があることをエレンが理解したことで、<死之龍>はエレンが諦めてくれないかと思う。はっきり言って面倒なので。

しかし、そんな二人の願いも虚しくエレンは「ふぅー」と息を吐くと槍を握り直す。

 

「あなたの能力がそうなら、当たらなければいいだけのことですよ」

「だよねぇ。そう言うと思ったよぉ」

 

エレンは空を蹴って千花に向かって槍で突進すると、千花はひらりと回避してそう言いながらすれ違いざまに<死之果樹園>を振るう。エレンは随意領域でガードしようとするが、紙のようにいとも簡単に引き裂かれる。

 

「なッ!」

 

黒い光線さえ気を付ければいい物だと思っていたがために、エレンは困惑し驚く。

(まさか、スコップに触れただけで随意領域を裂かれるとは……いえ、以前にも斬り裂かれていましたか)

 

「ふふっ、私の力をもってすればねぇ」

「まさかあなたの能力は、植物の成長と魔力消失の二つなんですか?」

「ううん。そもそも、どっちも私の能力の副次的効果だよぉ」

「……どちらも副次的?それは一体」

『おしゃべりはおしまいだよ。これ以上しゃべってあげる意味が無いからね。そうでしょ?』

 

疑問を残したまま<死之龍>が話を打ち切るとエレンに襲い掛かる。対してエレンも、これ以上の情報は望めないので気持ちを切り替えると、<死之龍>の尾による攻撃を回避する。

回避した後、槍に霊力を溜めて放つと、千花は<死之果樹園>をバッドのように持って、

 

「それぇー」

 

振り抜いた。

 

『ストラーイク』

『遊ばないで下さい。千花、<死之龍(サマエル)>』

 

しかし、光速を撃ち返すのは無理な訳で、空振りをして<死之龍>がそう言った。そして、打ち返しそびれた槍は地面に着弾して小さなクレーターを作った。

そんな二人に鞠亜が怒る。

 

「さ~次来い!」

「ベースボールをしているわけではないのですが?」

『千花、遊んでいないでちゃんとやってください。この後の予定が押しているのですから』

「でもぉ、まだ士道君の方終わってないからねぇ」

『はぁー、それとこれとは別ですよ。予定があるんですからね』

「はーい。わかったよぉ」

 

千花がエレンに同じ攻撃を強要すると、二人してツッコむ。対して千花は<死之果樹園>を肩に乗せて悪びれることなくそう言う。しかし、そんな千花に対して鞠亜はため息をついてからもう一度言うと、千花は了承して、ちゃんとやる気を出す。

エレンが槍を構えて再び高速で放とうとするが、それより先に<死之龍>が尾で槍を叩いて収束させていた魔力を消滅させる。

結果できた隙に千花はエレンに向かって振るい、エレンは槍でガードすると力を込めて千花を押し返す。

 

「はぁー、霊力消滅に龍への対応、そしてあなたへの対応もあると面倒ですね。となると、あれで行きましょう。ミルドレット」

 

ため息をついてから、エレンは何処かに通信をするとエレンはデバイスを操作する。すると、エレンの目の前に唐突にもう一本槍が出現し、エレンは左手でそれを握る。

そして、墜落させた空中艦からぞろぞろと魔術師たちが出て来てしまう。

 

「ありゃ、なんか武器が転送されてきちゃったし、増援も現れちゃったやぁ」

「一気に畳みかけますよ!」

「はぁー、面倒だなぁ。<死之果樹園(サマエル)>――【成長(グロウ)】――【速樹(プラント)】、【砲花(キャノンフラワー)】、【植物魔物(プラントン)】。あっちは任せたよぉ<死之龍(サマエル)>」

『そっちは一人で平気?』

「うん、大丈夫だよぉ」

 

千花は呟くと、地面に種を放って植物を生成する。【砲花】が花粉の塊をエレンに向けて放つと、随意領域で弾き周囲に花粉が舞って視界が悪くなる。直後、エレンの真上に何かが現れてエレンの身体が陰る。なにかはわからぬままエレンはその場から移動すると、エレンがいた場所に落下してクレーターを作る。その間に<死之龍>は増援を片付けに向かった。

 

「……これは?」

 

落下した衝撃で花粉が吹き飛んだそこには【植物魔物】があり、先ほどの影の正体はこれのようだった。

 

「うーん、やっぱりこの方法で潰そうっていうのは無茶だったかぁ」

「地味にエグイ手段に出ましたね。圧殺を狙うとは」

「ん?だってぇ、手っ取り早そうでしょぉ?」

 

千花はのほほーんとした調子でそう言うと、【砲花】がエレンに向かって放ち、エレンはそれを避けてながら槍の光弾を放って【砲花】を消滅させ、千花に近づいて槍で突く。その攻撃を<死之果樹園>でいなすと、もう一方の手で槍を振るわれる。槍の一本を<死之果樹園>でいなしている為、千花に防ぐ手立てがないのでこれでダメージが入ると思った。

しかし、そうは問屋が卸さず、千花は槍を蹴り上げて方向を逸らして直撃を避ける。

 

「そんな簡単に直撃させてあげないよぉ。あと、二秒後、後方注意ねぇ」

 

千花の言葉でエレンが後ろを向くと、そこには何もなかった。

 

「ちゃんと言ったよぉ。後方注意ってぇ」

 

そう言って、千花の言った二秒後、後ろを向いたエレンの後方、詰まるところ結局前方から千花が<死之果樹園>を振りかぶっていた。

 

「だまし討ちですかっ!」

「戦い中によそ見はダメだよぉ。それに、戦いにルールなんてないんだからねぇ」

 

エレンが驚きの声を上げると、千花はそんなの構わず攻撃をする。随意領域を張るが、斬り裂かれてそのままエレンのCRユニットに当たり、若干へこんで停止する。停止している<死之果樹園>に槍を振り上げて弾いてそのまま攻撃に移り、千花はその攻撃を弾いたり回避したりして対処していく。

 

「うーん、やっぱりそれなりの強度はあるのかぁ。それに、手数が多いのは厄介だねぇ」

『千花ー、終わったよ』

 

そうこうしているうちに、増援できていた魔術師たちを光線で無力化し終えた<死之龍>が戻って来る。

エレンは二対一では不利な気がするが、アルテミシアが真那の相手をして増援もやられた今、これといった手が無かった。

 

「よしぃ。じゃぁ、あれやるよぉ」

『あれね、分かったよ』

「<死之果樹園(サマエル)>――」

『<死之龍(サマエル)>――』

「『【龍園(ドラゴ・ノート)】』」

 

すると、千花と<死之龍>が口をそろえてそう言って、<死之龍>と<死之果樹園>が輝き一つになる。光が収まると千花の両手に黒い籠手のようなものが装着されており、その手には一振りの薙刀が握られていた。千花はそれをぶんぶん振って感覚を確かめる。

 

「それは……?」

「うーん。さしずめ、複合天魔って言っておこうかなぁ」

「複合天魔?精霊にはそのようなものがあったというのですか」

「ううん。これができるのは私だけだよぉ……あっ、みーちゃんさっきやってたねぇ。まぁ、そんなことはどうでもいいよねぇ。それぇー」

 

千花が薙刀を横に薙ぐと黒い斬撃が飛び、エレンは随意領域でガードしようと考えるが嫌な予感がして即座に回避することにする。<死之果樹園>も<死之龍>も魔力を消滅させる力を持っているから。

結果的エレンの予想は正しく、エレンが回避したことに対して千花は頬を掻くと、さらに振るって斬撃をいくつも飛ばしていく。

それらの攻撃を全て回避して千花のそばに到達したエレンは槍から光弾を放ち、千花は左手の籠手で光弾を殴って弾いたことで防いだ。

 

「さて、攻撃しては防がれてを繰り返しているわけだけどぉ、そろそろ終らせるよぉ」

「どうやって終わらせる気なのかが分かりませんが、いいでしょう。私もそろそろ終らせたいと思いますからね」

「ふーん、ちなみに死ぬ覚悟があって戦いに臨んでるんだよねぇ?」

「はて?私が戦いに敗れて死ぬなんてこと万に一つもなことですけど、その覚悟はもちろん持っていますよ。ちなみにあなたは持っているんですよね?」

「ん?あぁ、あるよぉ……と言っても私ある意味幽霊なんだけどねぇ。まぁいいやぁ……次の一撃で終わらせてあげるねぇ」

 

千花はエレンに確認をすると、薙刀を身体の前で構える。対してエレンも二つの槍を一つに重ねると、槍の形状が変化して一本の巨大な槍となる。

 

「ならば私もこの一撃で仕留める!<ブリューナク>!」

「そう。じゃぁ、私もぉ。【終焉樹(ペイバーシュ・ロア)】」

 

千花もそう言って薙刀を天に掲げると、霊力を纏って先の尖った樹のような形状になる。千花はそれをエレンに向けると、二人同時に地を蹴り、一瞬の交差の後二人は背を向けた状態で立ち、千花のスカートの一部が破れた。

 

「……」

「ありゃ、霊装が破れちゃったやぁ。でもぉ、私の勝ちかなぁ」

 

エレンは交差した直後死んだように無言で地に倒れ、千花は振り返りながらそう呟いた。千花はとてとてと歩いて、エレンのもとに行くと元に戻った薙刀を二度振った。

一振り目は<麒麟>の生成魔力を消滅させるために。そして、二振り目で、

 

「んん、ここは?……私は負けたのに生きているのですか?」

 

気を失ったエレンが唐突に目を覚ましたのだった。

目を覚ましたエレンの言葉に千花は薙刀から元の<死之果樹園>と<死之龍>に戻すと、<死之果樹園>を地面に突き刺した状態で体重をかける。

 

「うん、私としてもこのまま放置する気は無いからねぇ」

 

そうして、いつもの調子でそう言うのだった。

 

「……あなたに貫かれた瞬間意識が遠のいた気がしたのですが?それに一切傷が無いなんて。加えて魔力消滅があったということは今まで手加減をしていたということですか?」

「さぁ、どうしてだろうねぇ。傷が無いならいいじゃん。それと、完全霊装じゃないとちょっとしか魔力を消せないよぉ。で、どうするのぉ?<麒麟>はもう使い物にならないけどぉ?」

 

<麒麟>を使えなくしたことで勝負あったと千花は判断してそう言うと、エレンは<麒麟>を動かそうとするも全く反応が無かった。そのため「ふぅー」と息を吐くと、エレンはデバイスを操作して<ペンドラゴン>を纏う。

 

「<麒麟>が使えなくとも私にはまだこの<ペンドラゴン>がありますよ」

「いやいや、<麒麟>よりも弱いユニットで私を倒せる訳ないでしょぉ。そんなこと、自分が一番わかってると思うけどぉ?」

「それでも私の仕事は精霊を捕らえることだから諦めません」

「はぁー、どうしよぉ。これで諦めてくれると思ったのになぁ。助けてぇ、真那ちゃーん」

「呼ばねーでください。てか、自分でなんとかしてくださいよ」

「エレンー」

 

千花が困りながら真那の名前を呼ぶと、<月華狩人>の持ち手に腰を下ろして見ていた真那が千花の上あたりでそうぼやく。

それと同時に、エレンのそばに<フェンリル>を纏ったアルテミシアが降りてくる。

 

「アルテミシア、そちらの首尾は?」

「あー、うん。真那に<スサノオ>の生成魔力取られちゃったせいで使え無くなっちゃってね。だから降参だよ。<フェンリル>じゃ勝ち目無いしね」

「なるほど、なら私が二人とも討ち取るしか無いようですね」

「「「いや、流石に無理でしょ(ぉ)」」」

 

エレンが千花と真那を倒そうと言うが、三人は口をそろえてそう言うのだった。

千花だけで苦戦する訳で、そこに真那まで居ては勝機など皆無であり、加えて九割出力の千花に一度負けているため勝ち目がある訳が無い為そう言った感じだった。

 

「アルテミシア、あなたまでそんなことを言うなんて……あなたはどっちの味方なんですか?」

「ん?だって、私がDEMに居るのはセシルたちを助けるのが目的な訳で、三人の居場所が分かった今、もう精霊と戦う理由が無くなったんだし」

「なるほど、精霊と戦う理由はもう無くなった訳ですか」

「あれ?エレンならそれでも戦えって言うと思ったんだけど?というか知ってたの?三人が人質になってること」

「あなたが無条件でDEMにいる訳が無いのですから何らかの理由があるとは思ってましたよ。しかし、あなたが何も言ってこない分にはこちらからは関与しないとアイクと話していましたので」

 

アルテミシアはエレン達に知られていたことに驚くと、エレンは肩を窄める。

まるで、今までばれていないと思っていたのか?とでもいうかのように。

そんな二人を<死之果樹園>に寄りかかって見ていた千花が口を開く。

 

「それでぇ、どうするのぉ?まだ続けるのぉ?はっきりしてほしいんだけどぉ」

 

千花に言われて二人がハッとすると、エレンは気を取り直したようにレーザーブレイドを取り出して構える。

それでエレンはやる気だと察する。

 

「はぁ、正直やめてくれた方がいいんだけどなぁ……あっ、あれでいこぉ」

「千花さん、何する気か知りませんけど……真那には嫌な予感しかしねーんですけど?」

 

千花はどうしたものかと少し悩んだ後、なんか思いついた顔をしてポケットをゴソゴソと漁り、嫌な予感がする真那は千花に向かって半眼を向ける。

 

「たったらぁ。<ダインスレイフ>のカギぃ」

「あー、やはりですか」

 

そして、千花は取り出した端末を天高くに掲げ、真那は顔に手を当てて項垂れる。

エレンとアルテミシアはそれが何なのかわからず、真那の反応から困惑していた。

 

「さぁ、選んでぇ。私に挑んで<ペンドラゴン>も使えなくなって衛星からの光線でDEM本社を焼かれるかぁ、ここで撤退して無抵抗に光線で本社が焼かれる前に人命救助するかぁ?」

「それは……」

 

千花は二本指を立てて選択肢を提示する。どちらも結局<ダインスレイフ>が落ちるんだな、と真那は思っていた。エレンも同じことを思ったのかどうしたものかと言い淀む。

 

「或いはさっきの真那の提案に乗るか」

 

そんなエレンと無理な提案をする千花に、真那が第三の選択肢に加える。

エレンは真那の提案を知らない為、頭に“?”を浮かべると、アルテミシアが頬を掻く。

 

「あぁ、うん。今後精霊と戦闘しない代わりに三人のいる場所に転移させてくれるんだてさ。たぶん、光線も落ちないよ」

「なるほど、しかし私には関係のないことですよね。それが適用されるのはアルテミシアだけな訳ですから。それに私の仕事は精霊の捕縛なのですから。捕縛した後、アルテミシアの方もやれば済むわけですから」

「まぁねぇ」

 

エレンの反応はわかっていたので千花はいつもの調子で答える。

すると、エレンのもとに通信が入ったのか、耳に手を当てる。

時間にすれば数十秒だが、その間に「えぇ」や「えっ?」などなどの声が漏れていた。

 

「ねぇ、真那ちゃん。私そろそろこの身体保てなくなっちゃったから、後は任せるねぇ。霊力使い過ぎちゃったぽいのぉ」

『あれ?じゃぁ私もここに留まれないってことじゃん。何か話したかったけど、まぁいいか』

「いいんですか?まぁ、取り次はこっちでやっときますんで、了解です」

「ありがとねぇ。じゃぁ、機会があったらまた後でぇ」

 

千花とサマエルは真那にそう言うと、千花の霊装と天使、魔王が消えて、千花の意識も離れたのか青髪に戻って前のめりに倒れ……

 

「まっ、残りの霊力は貰っときますね」

 

その身体に真那が触れると、霊力が吸収されて分身体の澪の身体が霊子になって四散した。その際に端末とヒントが記された紙、【霊種】一つを真那は回収したのだった。

そうしているうちにエレンの通信も終わり、首を傾げているエレンにアルテミシアが話しかける。

 

「で、どうしたの?エレン?」

「何故だかアイクが精霊を捕らえる必要が無くなったとかで……理由はよくわからないのですが」

「ふぅーん。まぁ、アイクさんって結構気分で動いている感があるからね」

「で、どうしやがるんですか?さっさか決めてくださいな」

「精霊を捕らえる必要が無くなった今、選ぶ選択肢は一つしかありませんね――」

 

エレンはアイクの行動の変更に疑問を持ちながらも、とりあえず真那に返答をするのだった。

 

 

 

~~~~~

 

「うん、ありがとね。エレン」

「ここに居る精霊皆の霊力がね」

「もー、お姉ちゃんって呼んでよー」

「邪魔するよ」

「何を思ったのかな?」

 

次回 “計画の真実”

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