デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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14話 計画の真実

「ねぇ、エレン本当に良かったの?別に私に付き合うこと無いんだよ」

 

エレンとアルテミシアはDEMロシア支部の中に来ていた。もちろん、正面突破などせずに、ひっそりとだが。

 

結局、エレンは三つめの選択肢の三人の救出に行くことにした。それ以外を選ぶわけにもいかないので。

それからの行動は早かった。澪の霊力を吸収したことで<封解主>の能力をもう一度使えるようになったので、【(ティファレント)】を使い、空間に穴を開けてロシア支部につないだことで、二人はすんなりたどり着くことが出来た感じだった。

 

アルテミシアは支部の中の通路を歩きながらエレンにそう問う。

 

「いいんですよ。どうせ、精霊の捕縛をする必要が無くなった今、これといった仕事は無いのですし、大事な部下のお願いには答えるのが上司の務めですよ」

「うん、ありがとね。エレン」

「気にしないでください。それでは、手早く済ませてアイクを問いただしに行きますよ」

 

エレンはお礼を言われ慣れていないからか照れを隠すためにそう言って、歩幅を速める。

アルテミシアは苦笑いを浮かべながら、エレンを追いかけるのだった。

 

 

 

~☆~

 

 

 

「私の本当の計画は、三十年前に飛んで始現の精霊がこの世界に現れるのを阻止することだよ。でも、その為には膨大な霊力が必要だったの。ここに居る精霊皆の霊力がね」

「ん?それが本当だとして、なんでそんなまどろっこしいことをしたんだ?普通に計画の全容を話せばみんな協力してくれるんじゃ?」

 

澪の話を聞いて、士道はそんな疑問が浮かんだのでそう口にすると澪は苦笑いを浮かべる。

 

「たしかに、それが一番いいんだけどね。私には霊力を抜き取る力は無いの。霊結晶を抜いたらその子は死にかけるか最悪死んじゃうことになるからね……だから、下手な芝居を打つことにしたんだよ。そして、人間も精霊も一番力が発揮されるのは誰かを護りたいって時だからね」

「なるほどな。だから、人類殲滅とか言って戦う大義名分を作ったのか」

「うん、そう言うこと。こっちは死なせる気が無いわけだけど、それがばれたら皆も死ぬ気で頑張れないから終始ひやひやしてたよ」

「ん?でも、なんでこのタイミングだったんだ?狂三の霊力を封印してから三週間も経ってるけど……別にすぐに決行してもよかったんじゃ?それと、千花の身体を借りてる訳も知らないし」

 

澪が今回の騒動を起こした理由はわかったが、こんなに待った理由が分からなかった。それと身体を失って霊力だけの状態になっている理由も。

 

「あー、前者は千花の身体がもつ間はやらないってことに千花と決めてたからね。で、後者に関してはその説明をすると、他にも色々と伝える必要が出てくるわけだから後でね。さてと、ぼちぼち準備は進めるとして……といってもあとは真那が戻ってくれば行動に移せるんだけどね」

「あっ、そうだ。さっきの映像でも真那は行方をくらましてた感じだったけど何やってたんだ?」

「あぁ、それはこの世界には今始現の精霊が隔離されてる状態にしてあるんだけど、千花の限界が近づいたことで綻びが出て来ちゃってそれを封鎖しに行ってもらってたんだよ。あとは、ちょっと野暮用?」

「はぁ、よくわかんないから、真那に後で聞くか。てか、始現の精霊が隔離されてるってどういうことなんだ?」

「それも追々ね」

 

事あるごとに「後でー」になるため何を聞けばいいのかと士道は困る。澪は澪でどう説明したものかといった感じの理由でこうなってしまっていた。

すると、【心性世界】の真っ白い空間のいたる場所にひびが入って崩壊し、士道は「うわっ」と声を漏らすと、そこは精霊荘のラボだった。

 

「澪さん、無事真那の方も完了しましたよ。あの人がすんなり引いたのは謎ですけど……」

「もー、お姉ちゃんって呼んでよー」

 

士道の後ろから真那の声が響いて振り向くと、【心性世界】を形成する本を持った真那がそんなことを言い、澪は真那に向かって文句を言う。

それに対して真那は髪を掻く。

 

「いや、残念ながらあなたが姉さまだという記憶がすっぱりとねーんでピンとこねーんですよ。それに、本当の姉ではねーんですし」

「まぁ、いいや。それに関しては今まで会えなかった私にも問題があるから」

「いいのか?といっても、納得してるなら俺が言うことは無いけど」

 

澪がまぁいいやと割り切ったので、士道は首を傾げる。すると、真那は天使を消して霊装を纏ったまま適当な椅子に腰を下ろす。

 

「それで、どうするんですか?早速始める感じですか?」

「うん、真那に封じに行ってもらったけど、どんどん綻びはできてるわけだから、あっちが動く前に始めようと思うよ」

「ん、了解です」

「んと、俺はいまいち状況が分からないんだけど?」

 

まだ澪の計画の全容を聞いていない為、士道は困惑していると澪は「あっ」と声を漏らし、真那はそんな二人の様子から「まだ話終わってなかったんですか」と呆れた顔をする。

 

「そもそも、三十年前に飛んで始現の精霊が現れるのを阻止するってどうやるんだ?まさか、ウッドマンさんたちを……?」

「ううん、それじゃ狂三ちゃんの計画と同じだし、結局別の人間によって同じことが起きるよ」

「そうなのか……じゃぁ、どうやるんだ?」

 

士道の思った方法とは違うようで、ならどうやるんだ?と思うと、唐突にラボのドアが開いた。精霊の誰かがヒントからここに来たのかと思うが、ドアの向こうに現れた人物は……

 

「邪魔するよ」

「令音……さん?」

 

そこから現れたのは令音だったのだが、士道は言葉の途中で疑問が浮かんだ。その姿は令音なのだが、何故か髪の色が黒く染まっており眼鏡もしておらずいつもと雰囲気が違ったからだった。

しかし、士道が疑問に思うのも一瞬のことだった。

 

「来て!<封解主(ミカエル)>」

 

澪が<封解主>を顕現させて空間に穴を開けて、真那も慌てた様子で士道の腕を掴んでそのまま穴に飛び込んだからだった。

そして、澪も穴に飛び込んで穴を閉じた。

穴から出たそこは高台公園で、士道は二人の慌てように困惑を隠せずにいた。

 

「さっきのって令音さんだよな?なんで逃げるんだ?」

「さっきのは令音さんであって私たちの知っている令音さんじゃねーんですよ」

「えっ?それはどういうことなん――」

「いきなり逃げ出すことは無いだろ?」

 

士道の声にかぶせるように令音?の声が響き振り返ると、令音?がいた。澪が開けた穴でここまで移動してきたのに、令音?がいきなり現れたことに士道は困惑し、それだけの情報しかないが、士道はなんとなく察してしまった。

 

「まさか、令音さんが始現の精霊なのか?」

「うん、そうだよ。といっても、あそこにいるのは士道が知ってるのとは少し違うけどね。あそこにいるのは、反転して色々あって霊力だけで姿を保っている状態で、私は一応零奈って呼んでるよ」

 

令音が始現の精霊なのかという問いに澪は半分肯定を示すと、零奈は一歩足を動かし、一瞬で士道の目の前に移動して見せる。

 

「えっ!?」

「とりあえず、その霊力もらうよ」

 

そして、零奈は右手で士道の身体に触れて士道の中の霊力を抜き取ろうとすると、零奈の右腕がスパッと切れて地面に落ちた。

零奈はさっと身を引いて距離を取ると、腕を大鎌で斬り裂いた真那と右手に<鏖殺公>左手に<刻々帝>の短銃を持った澪が士道の前に立つ。何故か澪が持っている銃は光っていた。

 

「兄様には指一本触れさせねーですよ」

「そう言うこと。お引き取り願いたいかな?」

「なるほど、君たち二人が私の邪魔をしていた原因みたいだね」

 

零奈は二人を見て、即座に精霊であり敵だと認識する。対する二人も警戒した状態のままどう動くかを考えていた。

そして、澪は地を蹴って零奈に近づいて<鏖殺公>を振り下ろす。零奈は簡単に後ろに飛んで回避するが、澪の目的が別にあったことを零奈は知らなかった。

 

「じゃ、兄様は過去に飛んでもらいますね」

「えっ?澪か真那が飛ぶんじゃないのか?」

「残念ながら、千花さんの身体を借りてる澪さんじゃ到達できないんです。本当は真那が行く予定だったんですけど、想定より早くに出て来ちゃったもんで……あれの足止めは必須で、尚且つ今のあの人の足止めができるのは真那だけなんです。澪さんはさっきので、だいぶ霊力を消耗してるんで」

「なるほど?でも、何をどうすればいいか知らないんだけど?」

 

真那は連撃を加えている澪の方に目を向けて言うと、士道は未だ全容を知らないのでそう返答をする。すると、真那は「それは平気です」と言い、ポケットから【霊種】といつしかの小型顕現装置を取り出して士道に渡す。

士道が受け取ると、真那はこれからすることを簡潔に伝える。

 

「澪さんが兄様に【十二の弾(ユッド・ベート)】を撃つので、それで過去に飛んでもらいます。やるべきことに関しては行けば分かるんで。あと、【霊種】は今のうちに食べといてください。顕現装置は念のためですので」

「あぁ、分かった。これを食べとけばいいんだな」

「では、ササッと始めてしまいましょう」

 

真那に言われて顕現装置をポケットに、【霊種】を口に放り飲み込むと、真那は澪の方に飛んでいき、大鎌を零奈に向かって振るう。零奈は霊力障壁を張って身を護ると、その隙に澪は士道のもとに戻って来る。

 

「よし!霊力のチャージ完了。じゃ、後は任せたよ。詳しいことはあの子が教える手はずだから。精霊皆の未来、私の願い……そして零音()のこと、士道に預けるね」

「よくわかんないけど任された」

「うん、いい返事だよ。<刻々帝(ザフキエル)>――【十二の弾(ユッド・ベート)】」

 

澪は銃口を士道に向けると、【十二の弾】を士道に向けて放った。

放たれた弾丸は士道の胸に触れ、士道の姿が一瞬にして消えたのだった。

 

「なるほど、なにがなんでも邪魔をする訳か」

 

真那の攻撃をそれから回避し続けてた零奈は士道たちの行動を見てそう言い、真那は余裕そうにしている零奈に毒づく。

とりあえず、士道を過去に送ることに成功したわけなので、ここからは周りを気にする必要も無くなり、真那は本気を出すことにする。対する零奈も真那の力がどのようなものなのかわからないから観察をしていた。

 

(それにしても、この天使は一体?こんな天使私は知らないのだが……まさか、隣界に閉じ込められている間に新たな力が生まれたというのか?だが、所詮はただの精霊。霊力の絶対量は私の方が上だ)

 

しかし、見た限り問題ないと判断すると、振られた大鎌に対応して腕を振るう。直後、大鎌と零奈の手に突如握られた霊力が形を成した剣がぶつかりあう。

膠着状態も一瞬で、空から白い光線が零奈に向かって降り注ぎ、零奈は風・炎・音の併用で光線を弾く。一瞬気が逸れた隙に、真那は大鎌に力を込めて振り切ると、零奈はわざと足を力離して振り切った勢いに乗って距離を取る。

<絶滅天使>の光線を撃った澪が真那のそばに来ると、左手の短銃を消して氷の盾を形成する。

 

「真那、深追いは禁物だよ。こっちは士道が完遂してくれるまで足止めすれば勝ちなんだから」

「澪さん、真那は今の打ち合いで思ったんです」

「何を思ったのかな?」

「別に、あの人を真那が倒してしまっても構わねーのでは?と」

 

澪が真那に注意すると、零奈に視線を向けたままそう言った。

澪は額に手を当てて天を仰ぐ。別に零奈から視線を外しても霊力を感知できるので問題は無い。

 

「うん、確かに倒しちゃうのも手だよ。……でも、それ負けるフラグだよ」

「真那的に、フラグは折るものだと思ってるんで問題ねーですね」

 

澪が言っても、真那はあっけらかんとそう返答するのだった。

 

 

 

~☆~

 

 

 

【十二の弾】を撃たれた士道は気が付くと、辺り一面いくつもの時計が逆向きに時間を刻んでいる空間にいた。

ここは何処?と思いながら首を傾げて周りを見渡すが時計以外はなくそれ以上の情報は得られなかった。

 

「ここは一体?」

「ここは時を遡り中の空間だよぉ」

「……ッ!」

 

一人呟くと唐突に返答があり、ここには誰もいないと思っていた為士道は驚いてしまう。

そして、声がした方を見ると、ぷかぷかといつものメイド服の霊装を纏っている千花が浮いていた。

なんで千花が?とか、なんで浮いているんだ?とか疑問があった。

 

「あっ、と言っても正確に言えば時を遡り中の士道君の心の中なんだけどねぇ。だから、こんな感じでぷかぷか浮ける感じだよぉ。それに、さっき【霊種】食べたでしょぉ?あれに私の霊力を込めといたしねぇ」

 

口にしていないのに千花は士道の疑問に答えると、士道と同じ高さに降りて来てその場に座る。

そして、パンッと手を叩くと辺りが千花の部屋になる。そして、グレープジュースと適当なお菓子が机の上に置かれる。その際に千花の格好もメイド服からグレーの洋服に白のロングスカートといった恰好に変わる。士道の心の中だからこの辺は思いのままのようだった。

 

「さてぇ、のんびり話したいところだけど、ここはパパッと話しちゃうねぇ。澪ちゃんと私が立てた計画の話されていない部分をぉ」

「……あぁ、頼む」

 

千花がそう言って、士道は頷くとコホンッと咳払いをしてから話し始める。

 

「うん、この計画の目的は二つあるよぉ。一つ目は零奈の目的の世界崩壊の阻止ねぇ。二つ目は皆が精霊になるのを阻止して普通の人間として生活を送ってもらうことだよぉ。まぁ、もっと簡単に言えばこの世界から精霊という概念の消滅だねぇ」

「概念の消滅?ってことは、つまり」

「うん、精霊はみんな元々人間だよぉ。十香ちゃんたちみたいな純粋な精霊と思われていたメンバーは、精霊になった時に記憶を無くしてる感じぃ」

 

精霊がもともと人間だと言われ、士道は驚く――ことは無く腑に落ちる感じがした。琴里と折紙、美九は霊結晶を得て精霊の力を宿したことからもしかしたらと思ったことがあったから。

しかし、そうなると疑問が生じる。

 

「でも、なんで精霊を生み出す必要があるんだ?その意味はどうも分からないんだよな」

 

千花はその疑問を聞いて、そう思うのは当たり前であり、聞かれると思っていたのでさして驚くこと無くうんうん頷く。

 

「聞くと思ったよぉ。でも、その説明をするにはちゃんと一から説明する必要があるからねぇ。そう、全ての始まりは大体三十年ほど前、あのウッドマン、ウエストコット、エレン、カレン、そして令姉の五人がDEMインダストリーを創設した後に起きた事故だよぉ」

「令音さんもいたのか?それに事故って?」

「うん、そうだよぉ。といっても、始現の精霊自体は令姉だけどねぇ。あと、本当の名前はこう書くのぉ。零奈は色々あって生まれた存在だよぉ」

 

千花は紙に“零音”と書いて士道に見せると、それを置いて話を続ける。

 

「じゃぁ、話すねぇ。どのようにして零音がこの世界に現れ、どうして零奈が生まれたのかぁ。そして、私と士道君、真那ちゃん、澪ちゃんのことをねぇ」




これで澪アタックは終わりです。
結局、澪は敵ではなかったので、今までのはなんだったんだと思う人もいるかもですが、澪が言ってた通り、必要なことだったので。あと、魔王を出したかったので。
本当は士道と澪も戦おうかと思ったりしましたが、それすると大変なので。二人とも十の天使を使える訳で・・・。

と言う訳で次回から始まります。
では、ノシ
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