デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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連日投稿6日目


6話 あの日の真実

「……半信半疑だったけど、この時間軸に来たってことはそういうことだね……君を倒せば零音()は精霊にならずに済む」

「え?何のことだ?」

「おまえの話を聞く気は無いッ!」

 

零奈は士道があの事故の犯人なのだと判断したのかそう言って、手に霊力を集中させて剣を形成させる。士道はなんで犯人だと勘違いされているのか分からず、聞き返すも怒りに身を任せた零奈には届かず、零奈は士道に向かって剣を振るう。

士道はそれを寸での所で回避すると剣が床を斬り裂いて若干切れ跡が残っていた。

(あれ、当たってたら完全に離れるな……)

 

『士道君、ここは天使で応戦するしかないよぉ。そうしないとこっちがやられちゃうだろうしぃ』

「(うーん、でも誤解してるだけなんだから……)」

『それでもだよぉ。大体話を聞く気ないと思うよぉ。だから、戦って霊力を尽きさせるなりしないとだよぉ』

「(はぁ、そうするしかないか)」

 

士道はあまり気が乗らないが零奈を止めるために腹をくくり、<鏖殺公>を顕現させて零奈の剣を受け止める。

士道が<鏖殺公>を顕現させたことに零奈は驚き、そして何を思ったのか……

 

「なんで、天使を持ってるの?」

 

そんなことを言う。士道はそんなことはしていない為、否定しようと口を開く。

 

「ん?何言ってるんだ?これは俺の…みんなから借りてる力だ!」

「皆?……あんたあの子たちから霊結晶(セフィラ)を奪ったんだ」

「……どう言っても変な方向に解釈されるし」

『士道。ここはガツンとやっちゃいましょう!正当防衛なら仕方ないですね』

『うわー、鞠亜ちゃん士道君が悪者にされたから怒ってるねぇ』

 

士道の発言は見事に悪い方向に解釈されてしまい、零奈は完全にキレていた。そして、士道の話をちゃんと聞かないことで鞠亜も怒っていた。

 

『あっ、士道君。言い忘れてたよぉ。早急にこの工場から零奈ちゃんと一緒に離れてねぇ』

「(ん?なんでだ?)」

『いやぁ、だってぇ。このままじゃ事故が起きちゃうんだもん』

「(えっ?)」

 

千花はいつもの調子でとんでもないことを言い、士道は驚き、そして何処かでつながった。そもそもなんで機械が誤動作したのかについて。

 

「結局、今回もなんだな……」

 

士道は事の真実に到達して、呆れというかなんともいえない気分になり、一人呟いていた。しかし、そんな士道のことなど知らず、零奈は士道に向かって剣を振るい、それを<鏖殺公>でいなすと、左手を空に向け、

 

「来い!<封解主(ミカエル)>――【(ラータイブ)】」

 

<封解主>を顕現させて空間に穴を開けてそのまま穴に飛び込んだ。

 

「逃がさないよッ!」

 

零奈は士道が逃げたと判断したのかそう言って士道が開けた穴に飛び込んだ。

出てきた場所は工場の上空であり、本来ならもう少し遠くにしたいところだったが、まだ慣れていないことと霊力の消費が多い為こうなってしまった。

 

「さて、あんたが妙な力を持っていることはよくわかったから、一気に押し切らせてもらうよ」

「その前に俺の話を聞いてほしいんだけど?」

「悪党の言葉を聞く気は無いよ」

 

零奈の剣を全て捌いていくが、零奈は士道の言葉に聞く耳を持たず攻撃を繰り返す。何度目かの攻撃で士道は手に力を込めて押し返して零奈はバランスを崩して、その隙に距離を取る。

 

「はぁ、やっぱりそれ<鏖殺公(サンダルフォン)>なんだね。となるとこっちの分が悪いから趣向を変えるかな」

 

零奈がそう言うと、剣の形状が変わって銃になり、左手にも銃が形成されて握られる。

そして、士道に銃を向けて霊力の弾を発砲する。それを身体の前に<鏖殺公>を構えてガードするが、数が多くて徐々に反動で手が痺れ始める。それと同時に<鏖殺公>も耐えきれなくなってきたのかひびが入る。

 

「なッ!このままじゃ……」

『士道、回避してください』

 

鞠亜がそう言うと同時に士道は<鏖殺公>を零奈の方に投げて弾を数発弾くと砕け散り、その間に斜線上を離れた。

士道が回避したことで零奈は銃を士道の方に向け直して再び弾を撃つと、八舞の風で高速移動して回避する。

 

『士道君、零奈は実体を持たず霊力だけで身体を構成してるからガンガン攻撃して平気だよぉ。というか、それで霊力を空気中に散らせていかないと埒があかないよぉ』

「それ、先に言ってくれよ」

 

数発回避すると<絶滅天使>を顕現させて周囲にビットのように羽を飛ばして弾を全て弾いていき、<灼爛殲鬼>を顕現させて零奈に接近して振るう。零奈は二つの銃を交差させてガードを試みるが、<灼爛殲鬼>の前では無意味で銃を切断して零奈の身体を斬り裂いた。零奈の身体からは血は出なかったが霊力が溢れ出し、零奈は距離を取りながら傷口に触れて傷口を塞ぐ。

 

「なるほど、私を消すことに躊躇いはないと」

「いや、躊躇いはあるからな。でも、実体がないし、そうでもしないと止まらないんだろ?」

「ふーん、まっ、そうだけどね」

 

士道の言葉を零奈は肯定すると、両手の銃を空にかざし銃に霊力が集中させる。すると、銃が一つに収束して大砲のような形状を取る。

 

「さてさて、回避されちゃうしこれならどうかな?」

 

そう言って、スコープ越しに士道を見て大砲から霊力の砲弾が放たれる。士道はガードするのが大変そうだからと斜線上から離れると、通り過ぎていき……数メートル先でターンして返ってきた。

 

「はっ!?」

 

まさかの事態に士道は驚くもすぐに切り替えて回避すると、またターンして士道の方に飛ぶ。いわゆるホーミング弾であり、回避し続けると零奈は再び砲弾を放ち、士道は二発の砲弾を回避することになる。その為、士道はこの手の弾の対処法を決行する。

 

「無駄だよ。その弾はスコープ越しに見た対象を追撃するし、私には当たらない仕様だから」

「まじか……」

 

しかし、零奈の方に飛んで零奈にぶつけるという策は無に帰した。そして、士道は二発の弾が自身の前に来たことで<灼爛殲鬼>を振るって斬り裂く。その結果、二つの砲弾は斬り裂かれて、四つになった。まさかの事態(二回目)に士道は対処が遅れて四発全てくらってしまった。傷口を炎が舐めて傷口を塞ぎ始めるが、零奈には塞がるのを待つ必要が無いので砲弾を放つ。

斬っても意味が無いのでどうすればいいのか分からず、士道は困惑しながら考えを巡らせる。

 

『士道君、これの対処法なんて簡単だよぉ』

「そうなのか?」

『うん、凍らせて斬ればいいんだよぉ』

 

言われて、士道はそれでいいのだと気づく。飛んできた砲弾に向けて手をかざすと、周囲の温度が下がっていき砲弾を左手で触れた瞬間凍結し、直後に<灼爛殲鬼>を振ってぶった斬る。氷の塊と化している為分裂することは無く、二つに裂かれた砲弾は地面に落下していった。

同時に傷口も塞がり、士道は反撃に出る。

<灼爛殲鬼>を零奈に振るうと、零奈は大砲でガードして大砲から手を放して士道から距離を取りながら、霊力で小刀を編んで士道に向けて放る。八舞の風で小刀の方向を逸らして凌ぐと、くらっと視界がゆがむ。

 

「ふむ、どうやら霊力の多様をし過ぎたようだね」

 

そんな士道を見て零奈は冷静に分析をすると、小刀をさらに放り、士道はギリギリで回避する。

士道は外に出てからずっと八舞の風で飛んでいる状態なので霊力の消耗が激しいのは仕方がないことであり、これ以上の戦闘は厳しそうだった。

 

『はぁ、士道君は後先考えないねぇ』

『ですね。まぁ、今に始まったことではないですけど』

 

千花と鞠亜は士道の脳内と耳元でそう言い、士道は言い返そうと思ったが、事実だから言い返せなかった。

 

『仕方がないですね。士道、風を解いてください』

「ん?なんのことだ?」

 

鞠亜が口にすると、士道は疑問に思いながら風で自身を包むのを解き、その結果、落下するはずだがふわっとした感覚があって浮いていた。

士道のポケットに入れていた携帯型の顕現装置で随意領域を張って士道の身体を浮かせる。鞠亜がしたのはただそれだけのことだった。

 

『バッテリー駆動ですので十五分が限界です。それまでに何とかしてください』

「わかった。ありがとな、鞠亜」

 

風生成に霊力を回す必要が無くなり、士道は<灼爛殲鬼>から<鏖殺公>に切り替える。霊力の消費量と攻撃速度の観点からの選択だった。

零奈はそれをただ見ているのではなく、霊力を集中させて<鏖殺公>と同じ形の剣を作る。

二つの剣がぶつかり、そこから縦、横、斜めといろんな角度で斬っていくが全て零奈に弾かれてしまう。

 

「なるほど、別段訓練をしてたわけではないみたいだね。動きが素人だよ」

「それがなんだって言うんだよ」

「そのままの意味だよ。一発一発が軽いからさ」

 

零奈の言葉にムッとして手に力を込め、振る速度を上げる。しかし、零奈にはあまり変わらないのか、いとも簡単にガードして見せる。その状態からスライドさせて士道にカウンターを行い、士道は身体を逸らして回避を試みた結果、服が若干切られるだけで済んだ。

 

『危なかったねぇ。回避が遅れてたらスパッといってたねぇ』

「(なんで、そんな呑気なんだよ……)」

『士道君なら何とかなるってわかってたしねぇ』

『士道、今すぐそこから離れてください!』

 

唐突に鞠亜の声がインカムから響き、鞠亜の慌てようから聞き返すより先に身体を動かす。そして、士道がさっきまでいた場所を白い光線が通り過ぎた。それは、零奈がいつの間にか上空に浮かべていた<絶滅天使>のようなビット状の物から放たれた攻撃で、順次士道の方へ光線が飛んでくる。それらを回避していくのだが何発か避けた時だった。

 

『あっ、これはまずいかもぉ』

 

千花が何かに気付きそう言ったのは。その言葉で士道も気付いた。

 

「気づいても、もう遅いよ」

 

士道の周囲は十分な量の霊子で満ちており、零奈がそう言った直後、士道を囲むように霊力で編まれた檻を形成し、士道は檻に囲まれて逃げ場を失う。

 

「これで終わり」

 

零奈は檻の上空に移動して真下に向かって特大の大砲を形成させる。士道は<鏖殺公>で檻を破壊しようとするがやたらと強度があり、びくともしなかった。

そして、大砲に霊力がチャージし終わり、一気に放たれて檻を霊力の放流が包んだ。

霊力の放流が止むとそこには何も無くなっていた。士道も檻も。

 

「ふぅ、これで私が精霊になるあの事故は……」

 

零奈は額を拭う素振りをしながら、事故の原因を絶てたことに安堵しながら工場の方(真下)を見て言葉を失った。転移装置のある工場自体は無事だったのだが、その隣にあった工場は消し飛んでおり、地面がえぐられてクレーターを作っていた。その威力はすさまじく、おそらくはそれなりの揺れが周囲に起きたはず。

 

「あれ?あの時の揺れは私のせい?てことは私が犯人?あれ?私はただ止めようと思って……」

 

零奈は混乱した。あの時の犯人に恨みを晴らすつもりでここにきたというのに、原因が自分だったということに気付いたから。

 

「ということは私が何もしなければこんなことにはならなかった?でも、あいつさえここにいなければこんなことには……あれ?でも、私が光線を撃ったから……」

 

零奈は何がいけなかったのか、といったことが思考を渦巻き、零奈はその場で思考し続けた。

そして、一つの結論に至った。

 

「そっか、私が全ての原因だったんだ……まぁ、いっか。そんなこと」

 

零奈は何も気にすること無くそう言った。どうでもいいかのように。

 

「さてと、そろそろ出て来なよ。死んでないんでしょ?」

「ふぅ、ギリギリだったな。あれ?なんか雰囲気が変わってないか?」

 

士道は空間に穴を開けたことで光線を回避していたため無事だった。士道は零奈を見て疑問を持つと、千花は士道の中で声を出す。

 

『ありゃ?自分が犯人だって気づいて吹っ切れちゃったかぁ』

「(何の話だ?)」

『あぁ、さっきまで零奈は揺れを起こした犯人に復讐するために来たんだと思うんだよぉ。でも、それが自分だったからって吹っ切っちゃったみたい』

「(そうなのか?……てかなんで?)」

『それはぁ……たぶん、人類殲滅が結局目的だからでしょぉ。ほらぁ、来るよぉ』

「はぁー、面倒だな」

 

霊力で形成した大剣を振るう零奈の攻撃を、呟きながら半歩後退して回避すると、<鏖殺公>を振るう。零奈の目的が人類殲滅に戻ろうが、士道がやることは零奈を止めるだけだから。

零奈は身体を折ることで回避して士道の足元を狙って大剣を振るうと、<鏖殺公>を振っている途中の士道は回避することが出来ず当たると思ったら唐突に士道の身体が後ろに引っ張られるようにして移動してギリギリで避けた。

 

『士道くん、そんな大ぶりな攻撃はやめなぁ。回避されることも考えておいた方がいいよぉ』

「ん、わかった。あと、助かったよ」

 

千花が顕現装置を駆動させて無理やり引っ張ったことが今の回避になったので、士道はお礼を言うと千花に言われた通り、大振りにならないように気を付けようと心に決める。

 

「はぁ、今の機動は予想外だよ。ということで、もう面倒だから、終わらせるね」

 

零奈は、顔に手を当ててさも面倒そうな顔をすると、そう言って、大剣を消す。直後、周囲の霊力が揺らぎだす。

 

『士道君、最悪の事態だよぉ。どうやら、この場で空間震を起こすつもりみたい。それも、ユーラシア大空災規模のをぉ』

「はっ!?それって……」

『完全に士道君を消す気だねぇ。そんだけの規模なら回避のしようもないしぃ、<封解主(ミカエル)>で逃げればこの辺の人たちはみんな死んじゃうよぉ』

 

そうこうしているうちに、周囲の霊力が収束し、

 

「じゃあね」

 

零奈の言葉と共に、辺り一帯が空間震に包まれ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まぁ、私がいるから空間震を起こしても意味ないんだけどねぇ。というか、私が外に出るのに利用するんだしぃ」

 

――ることはなかった。

士道と零奈の間に現れた黒の蛇龍によって。




零奈が一番消したかったのが、そもそもの事故を引き起こした原因であり、士道がそれだと思ったが故に零奈があんなことを言った感じです。
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