デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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連日投稿8日目


8話 止まらぬ始現

「ぐっ……」

 

身体を斬られて大量の霊力が大気中に放出された零奈は傷口を抑えながら地面に落下して、地面に倒れる。その間にも傷口からは霊力が漏れ出ており、傷口の修復には時間がかかりそうだった。

 

「まだやるのか?もう俺の勝ちだと思うけど?」

「私はまだ負けてない。だから、私は私の命を対価に世界を終わらせる!」

 

士道は零奈の前に立って、もう決着が付いたようなものなのでそう言うと、零奈は負けを認めなかった。

そして、零奈の周囲に霊力が収束し始める。霊力が零奈の周囲を覆うと徐々に樹に変わっていき、零奈の姿が見えなくなる。そして、どんどん大きくなっていく。

 

『士道君、これはまずいかもぉ』

「ん?これは一体?それで、何がまずいんだ?」

 

木の成長は著しく、瞬く間に数十メートまで伸びていく。士道は後ろに下がりながら困惑すると、千花は何かまずそうな声を発する。

 

『成長の為に地球上のエネルギーを使っててぇ』

「それがどうまずいんだ?地球のエネルギーは膨大だろうから、すぐには尽きないだろ?」

『そうなんだけどぉ。局所的にエネルギーが減ることで、バランスが崩れて火山噴火とか地割れが起きるかもぉ。それに、この樹に成長限界があるかも怪しいからねぇ』

「つまり、下手したら地球上のエネルギー全てを使うかもってことか」

 

千花の言葉からそう推測するも、現実離れした話に実感がわかなかった。そもそも、エネルギーが尽きるのかも謎だから。そうしているうちにもどんどん高さが増していく。

 

『と言う訳で、士道君。ちゃちゃっと、斬り倒しちゃおー』

「それしかないか」

 

手にしていた剣を構えて、樹に接近して振るうが、だいぶ大きくなっている為なのか、普通の樹じゃないからか表面に傷が付く程度だった。そして、直後にその傷も修復されてしまう。

 

「傷は浅いし、即座に修復されてたらきりがないな」

 

数度振るうが、やはり修復されるため毒づくと、別の策を練る。

試しに<灼爛殲鬼>で焼いてみるが、瞬く間に炎で燃えている部分だけ切り離されて、即座に元通りとなる。<氷結傀儡>で凍らせて成長を遅めようとするも、これは大きさ的に焼け石に水なようで意味は無さそうだった。

 

『うーん。これは厄介だねぇ』

「<死之果樹園(サマエル)>で枯らせられないか?」

『多きすぎるから時間がかかりそうだしぃ、表面上じゃ無理だと思うよぉ。枯らせた部分を切り離して終了だろうしぃ。まぁ、この樹の核に当てれば行けるかもだけどぉ』

「この樹の核ってどこだよ……」

『あっ、やばぁ。士道君回避ぃ』

 

千花が何かに気付いてそう言い、士道の身体が陰り、上を向くと巨大な実が降って来る。おそらくは士道を迎撃するために攻撃をしてきたようだった。

士道は回避すると、実が地面に激突して弾け……地面の一部が消し飛んだ。

 

「は!?」

 

目の前で起きた現象に士道は驚きの声を発した。抉れた地面を見ると、何処かで見たことがある気がして、すぐにそれがなんなのか気づく。

 

「これって空間震の跡に似てないか?」

『だねぇ。てことはあれ一個一個が空間震と同じことを起こすっぽいねぇ』

「なんで、そんなにのんびりとしたテンションなんだよ……」

 

千花のテンションが全く変わらないことに疑問を持っていると、空からまた実が降って来たので回避する。

 

『だってぇ。私幽霊状態だからくらうこと無いしぃ』

「そう言うことかよ」

 

のんびりしたテンションの理由が、千花自身には一切の危害がないからだと分かり、なんともいえなくなる。士道は危険と隣り合わせなのが現状だから。

その間にも、隙を見ては色々な方法を試していくが、修復速度を上回らないといけないのと、核の位置が分からないのが問題だった。

 

『うーん。物量で無理やりこじ開けるのが無難だよねぇ』

「といっても、俺しかいない現状だから厳しいよな……ん?」

 

士道がどうしたものかと思うと、上空で何かが起きたような気がした。しかし、上を向いても特に何もない。あるのは樹だけ。

 

と思ったら降って来た。

 

「シドー!」

 

十香が<鏖殺公>を携えて。

 

降ってきた十香は、樹を斬り裂くもやはり途中で勢いが止まってしまい内側からどんどん修復されていく。そして、斬った衝撃で樹に付いていた実が大量に降り注ぐ。

十香は今の攻撃で樹の感覚を掴むと士道のもとに下りてくる。

 

「大事ないか、シドー」

「危なかったよ。それで、なんで十香が?」

「来ているのは私だけではないぞ」

 

十香は悪気が無いようだったが、樹を攻撃したことで降って来た実で大事になりそうだった。しかし、それを言っても意味が無いので何がかは言わず、逆に聞き返す。すると、十香は意味深なことを言い、話している間にも実が降ってきて、さらに樹からツタが伸びて二人に襲い掛かり、

 

「焦がしなさい<灼爛殲鬼(カマエル)>」

 

空から降って来た琴里が<灼爛殲鬼>でツタを斬って燃やし、何処からか二つの光線が飛んで来て一方は実を穿ち、もう一方は凍らせる。

 

「士道、助けに来た」

「士道さん、お手伝いに来ました」

『ヤッホー、士道君』

 

そうして、さらに空から折紙と四糸乃も来て、さらに他の精霊たちまで来た。結果的に向こうにいたはずの澪を除く精霊たち全員が来ていた。二亜はずっと<囁告篇帙>とにらめっこしているが。

どうやって来たかに関しては狂三の【十二の弾】だと思うも、この人数を全員過去に送るのは霊力量的に無理なはずなので分からなかった。

 

「一体どうやって?」

「今はそんなこと話してる場合じゃないんじゃないの?あれをなんとかしないと」

 

疑問を口にするも、先にやるべきことがあるため後回しにすることになった。しかし、樹を壊す方法が無いという問題があるため手詰まり感が否めない。

 

「よし!検索完了!あれの核はこの樹の中心だね。中心は空洞になっているっぽいから、樹の何処かを壊して突入するしかないかな?」

「そうなのか?て、さっきから<囁告篇帙(ラジエル)>を見てると思ったら、調べてくれてたのか。ん?というか、なんでこっちの状況をそんなに理解してるんだ?」

「うん。あたしは戦闘よりはこっち系だしね。知っているのは半分聞いてたのと、もう半分は調べたってとこ」

 

二亜は「にしし」と笑みを浮かべながら<囁告篇帙>を閉じる。謎が謎を呼んでいるが、今は気にしている場合ではない。

 

「で、どうするのだ?普通の攻撃じゃ、厳しそうだが」

「まぁ、普通に考えれば、修復を超える威力で一気に叩くしかないよね。全員の攻撃を同時にやるぐらいのね」

「そうね。それに、バラバラじゃなくて一点突破で」

 

琴里がまとめると各々その手に天使を顕現させる。

 

「かかっ。ならば、初撃は我らに任せてもらうぞ」

「宣誓。夕弦たちが切り開きます」

「あっ、私も行きますよぉ~。<破軍歌姫(ガブリエル)>――【行進曲(マーチ)】」

「<颶風騎士(ラファエル)>」

「呼応。【天を駆ける者(エル・カナフ)】」

 

耶倶矢と夕弦がそう言うと天使を重ね、天使を合わせて【天を駆ける者】形態にする。美九も<破軍歌姫>の鍵盤を叩くことで皆が強化される。

 

「<鏖殺公(サンダルフォン)>――【最後の剣(ハルヴァンへレヴ)】」

「なっつん、むっく。あれ、やるよ!<囁告篇帙(ラジエル)>――」

「ほんとにやるの?まぁ、いいけど。<贋造魔女(ハニエル)>――」

「やるのじゃー!<封解主(ミカエル)>――」

「「「【次元召喚(ディメンション・サモンズ)】――バハムート」」」

 

十香が<鏖殺公>を玉座にぶっ刺して【最後の剣】形態にすると、何故か二亜が二人に声をかけ、七罪は困惑、六喰はやる気満々で、謎の技を発した。二亜が<囁告篇帙>に何かを描きこんだものを放り、それを七罪が<贋造魔女>を振るって光が覆う。すると、地面にそれが同化し、巨大な魔法陣を形成する。最後に、六喰が<封解主>を中心に刺すと、魔法陣が輝きだし、中心が開く。

 

「何この技……」

『なんかすごいねぇ』

 

士道と千花は目の前で起きていることを見て呟くと、魔法陣の中心からバハムートと呼ばれた巨大な竜が出てくる。どうしてこうなったのか疑問に思う隣で、琴里、四糸乃、折紙が動き出す。

 

「<灼爛殲鬼(カマエル)>――【(メギド)】」

「<絶滅天使(メタトロン)>――【砲冠(アーテイリフ)】」

「<氷結傀儡(ザドキエル)>――【凍鎧(シリョン)】」

 

三人も各々技名を発すると、天使が形状を変える。琴里と折紙は砲形態になった天使を樹に向け、四糸乃は<氷結傀儡>をその身に纏い、両手を前で合わせて巨大な氷の円錐を形成する。

 

「「はぁー!」」

「<刻々帝(ザフキエル)>――【一の弾(アレフ)】」

 

耶倶矢と夕弦が弦を引いて、最初の一撃を放ち、直後に狂三が矢に向けて【一の弾】を当てる。すると、放たれた矢は高速で一直線に樹の幹に向かい、幹に大穴を開ける。

直後に修復が始まると、続いて十香が【最後の剣】を振るって斬り裂き、バハムートが樹に向かって特大サイズの火炎弾を放つ。

結果として幹の穴はさらに大きくなり、だいぶ削ったが、まだまだ先は長そうだった。

 

「じゃ、私もやるかしら」

「私も行く」

「私も行きます!」

 

まず、四糸乃の氷の円錐が樹に向かってドリルのように回転しながら突き刺さり、その後に炎と光線が樹に襲い掛かる。結果、だいぶ抉られていた幹がさらに抉られる。

 

『士道君、仕上げだよぉ。【龍焉の剣・改(ドラグへレヴ・エンハース)】』

 

千花がまた勝手に能力を発動させると、士道の手にあった【龍焉の剣】が巨大化し始める。

勝手に行われたことで士道が慌てている間にも剣は巨大化し続ける。

 

『それで斬っちゃえー』

「それでいいのか?」

 

千花がそんなことを言ったので、士道は千花の言葉に従って斬り裂く。しかし、まだ足りなかったのか、中心の空洞まで足りなかった。

他のメンバーは今の攻撃で霊力のチャージが必要で、チャージの必要が無い十香と士道が動き、

 

「<月華狩人(サリエル)>――【侵蝕月天(ムーン・イーター)】」

 

その前に空から巨大な刃をのサイスを持った真那が降って来て、樹を斬り裂く。真那の一撃により、ようやく樹の中心の空洞が見えた。しかし、修復が速く、すぐにでも塞がりそうな勢いだった。

 

「真那と兄様で行きますので、みなさんはこの樹を少しでも攻撃しておいてください。この樹の成長の妨げになるので」

「たしかに、この樹が成長しすぎて時間切れになったら困るわね。わかったわ。そっちは二人に任せるわ」

「頼んだよ、みんな」

「では、行ってきます」

 

士道と真那は言って、こじ開けた穴に飛び込んだ。それを見届けると、

 

「じゃ、こっちも始めるわよ」

「そうだな。どうせなら崩壊させてしまうぞ」

「まぁ、それくらいのつもりで行かないとね」

「ですわね。あなたも行ってもらって構いませんわよ。ここはわたくしたちだけで十分ですから」

 

各々やる気を出し、樹の周囲を散開して攻撃を始める。七罪と二亜はそれぞれ天使の能力で他の天使を模倣して攻撃し、琴里と折紙は何度も大きいのを撃っていく。六喰は【解】で霊力分解させ、四糸乃はガンガンドリルの要領でえぐり、十香も斬っていく。美九は銀筒をたくさん展開して音波で攻撃をし、狂三は影から分身体がたくさん出して発砲していく。そんな中本体はその場から動かず、そう言った。

 

「そうかい。じゃぁ、まかせたよ。すぐに終わらせてくるから」

「そうしてくださいまし」

 

 

 

~☆~

 

 

 

「やはりこの中に来てしまったか」

 

空洞の中に入った二人は、上を目指して突き進んだ。真那が霊力を感知した結果、樹の中の上空の方から零奈の霊力を感じたためだった。

そして、樹の上空にたどり着くと、そこには零奈がいた。零奈に付けた傷からは、霊力が放出しており、それでこの樹を形成しているようだった。

 

「すでに、樹の形成はできた。あとは地球のエネルギーを吸い上げ続けるだけのこと」

「なら、おまえを止めてやめさせるだけだな」

「そうですよ。真那たちがしっかり止めますよ」

「私は霊力と人間の負の感情でできた存在。故に、私に死なんてない。人間がいる限り何度でも蘇れる。だから、止めることは不可能だよ」

『うわぁー、なんかラスボスの散り様みたいなセリフを言い出したぁ』

「だったら、何度でも俺が止めるだけだ」

『あれぇ?私の言葉無視なのぉ?』

「ふっ、残念ながら、もう手遅れだよ。制御はすでに私から離れている」

「えっ?」

 

割と大切な話なので、千花の発言は無視して三人は会話をする。

(零奈から制御が離れていて、零奈を倒すことも不可能?それじゃ……)

零奈は倒しても倒しきれないという問題に士道は悩み、そして考える。しかし、考えてもどうにもならなかった。

(いや、そもそも……)

 

「そうだな。止めれるとは限らない……」

「兄様?」

「そうだよ。無駄なんだよ」

「だから、俺が澪みたいにお前を封印する。いや、正確にはこの樹ごとか」

「そんなことをすれば、自身の存在が無くなってなにが起こるかわからない……それでもやる気?」

 

士道は零奈を真の意味で止める術を持たず、零奈を止められなければ最悪何度でも零音が精霊になるように仕向ける可能性があった。零音が精霊になった原因に零奈が絡んでいたという事実があるから。だから、零奈をどうにかしない限り何度でも繰り返されてしまう。

その結果、士道が出した答えが零奈ごと、この樹を封印するだった。それも、澪のような不完全では無く完全な封印を。

しかし、零奈の封印をするということは、澪同様誰にも認識されない存在になる可能性があること、もしかしたらそれ以上の可能性があることを意味していた。

 

「なるほど……しかし、そんな覚悟が君にあるのかな?震えているように見えるけど?」

 

零奈は呆れた視線でそう指摘する。指摘されて士道は初めて自身が震えていたことに気付く。自身がどうなるかという恐怖は、士道の気づかないところで確かにあった。零奈は士道にはそんなことができないと判断し、さらに士道の心を揺さぶりにかかろうと口を開き、

 

「じゃぁ、真那も一緒にやりますよ。兄様を一人になんかさせません」

 

言葉を口にする前に、唐突に真那が現れてそう言い、真那の発言に二人は驚く。

 

「真那?何言ってるんだ?これは俺が決めたことであって、真那は付き合う必要なんてない」

「その言葉そっくりそのまま返しますよ。真那は真那でちゃんと考えてそう言ってるんですから」

「それでもだ。俺一人で十分だよ!」

「いやいや、兄様震えてたじゃねーですか。どうせなら兄様の中にある霊力を全部真那がもらって真那一人で封印して来ちゃいますよ!」

「いや、なんでだよ!真那を危険な目に遭わせる訳に行かない」

「真那だって、兄様を危険な目に遭わせる気は無いんですよ!」

『なんで、二人は口論してるんだろぉ?あっ、逃げるのは無しだよぉ』

 

士道は真那を巻き込みたくなく、真那は士道に無茶してほしくないため、どちら自身の主張を通そうとして口論になっていた。

そんなことをしているうちに、零奈はこの場を後にしようとし、千花は霊力の龍を士道の霊力を使って勝手に出して零奈を捕縛する。

 

「大体兄様は毎回自分のことを二の次にしすぎなんですよ」

「なっ、今は関係ないだろ。それに、俺の代わりに真那がやるって言っても、真那だって自分のことを二の次にしてるだろ?」

「いいんですよ。真那は精霊を狩る精霊ってことになってるんで、精霊である零奈は真那がなんとかします。大体、兄様がいなくなったら皆さんのことはどうするんですか?反転祭りが起きますよ」

「真那が消えても皆不安に思うだろうし、反転するぞ」

 

二人の口論は未だに続く。千花と鞠亜は事の成り行きを見守る。下手に入れば面倒だから。

そんな二人の口論は意外な形で終わった。

 

「シン、真那。その辺にしてくれ。二人の気持ちはありがたいけど、封印する必要は無いから」

 

口論する二人に何処からかそんな声が響き、声がした方を向くと、

 

「「えっ?令音さん?」」

 

そこには令音が立っていた。その背には何故か千花の身体を背負って。

二人は令音の登場に驚くと共にある疑問が生じた。何故ここに居るのかという疑問が。

ここに居る令音は明らかに二人のことを認識しているので、この三十年前にいた零音ではないことはすぐにわかった。

 

「ただ単に<刻々帝(ザフキエル)>で過去に飛んだだけだよ。自分のことは自分で片付けないといけないからね。よっと、千花を頼むよ」

 

二人の疑問を察した令音は二人が疑問を口にする前にそう答えると、千花の身体を士道に預ける。そして、零奈のそばに寄る。

 

「さて、零奈()。私の中に戻ってもらうよ」

令音()の身体を奪って、私は生き続ける!」

 

零奈は令音の身体を乗っ取ることを画策し、龍の拘束を力任せに解き、そのまま令音の身体に触れ、令音もそう言いながら零奈の身体に触れる。すると、零奈は霊子に溶けて令音の周りを渦巻き、令音の身体を包んだ。

 

「君たちは外で待っていてくれ。あと、危ないから樹から離れていてくれ」

 

令音は全く慌てた様子が無く、手を薙ぐと二人の後ろの空間が開きその穴が二人を吸い込み、

 

「「令音さん!?」」

 

二人は令音が零奈に身体を乗っ取られること、令音のまさかの行動に対して声を上げるが、穴は閉ざされた。

これで、懸念事項が無くなり、令音は周囲の霊子に目を向ける。

 

令音()じゃ、私に抗うことはできない。私はその身体を得てこの世界を終わらせる」

「無駄だよ。零奈()には不可能だからね」

 

周囲を渦巻く霊子から零奈の言葉を響くが、真っ向から令音が否定すると、零奈はそんなはずはないと令音の精神に侵食し、

 

「無駄だよ。だって私もいるんだから」

 

そんな声と共に令音の身体から何かが出て来て、零奈は弾かれた。

そこには澪がいた。

 

「そもそも()零音()なんだからいるに決まってるでしょ」

 

澪は呆れた表情でそう言う。

現代で真那を過去に送り出した後、澪のもとに令音が現れ、二人が一つになったことで全ての天使を一時的にではあるが十全に使えるようになって、十香たちを連れて過去に飛んできた。全ての清算を付けるために。

そして、霊力が収束した樹の中では澪はいとも簡単に姿を形成することができた。

 

「悪かったね。ずっと、あの時の負の感情を押しつけさせ続けてしまって。その感情は私が引き受けるよ」

「そんな必要は無い!これは私の感情だ!だから、令音()にも渡さないし、私は私の目的を成す!」

「はいはい。意地張ってないで一緒に共有しよ」

 

令音と一つになることを拒否する零奈に、澪は頭をポンポンとやってそう言う。

しかし、それでもかたくなに拒否する零奈に二人はため息をつく。

 

「大体、世界を滅ぼしたってその感情は無くならないよ。ただこれからの目的を失ってしまうだけだよ」

「知らないよ。というか、どうでもいいよ。世界さえ滅ぼせれば」

「……なんか、論点ずれてないかい?」

 

零奈はだんだん雑になっていて、令音は頬を掻く。これではいつまでも平行線な訳だから。

その結果、澪も自棄になったのか、妙な提案をする。

 

「よしっ!じゃぁこうしよう。三人が一つになって最終的に残った人格が勝ちってことで」

「はぁー、ここにも論点がずれてきてるのがいるし……」

「そうだ!それでいい。私の目的は絶対に果たす!」

「はぁー。もういいよ、それで。もしも(零奈)が残ったら、シンたちに頑張ってもらうとするから」

 

こうして、無理やりではあるが三人は一つに戻ることとなったのだった。

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