ゲームや映画の内容、他作品をガンガン使いますので、ご容赦ください。知らなければ読まないほうがいいかも?というか、この前の話が、最終回と一応思ってくださいな。
これは、ロスタイムな感じのノリですので。
あと、区切りの問題でやたらと長いです。
1話 始動、そして童話の世界
「さてさて、鞠亜ちゃん。それで、隣界の中心はどっちぃ?」
『それなのですが、困ったことが起きました』
「ん?何があったのぉ?」
『隣界の中心に行くには十個の
「ああ、番外の精霊は何人もいるから、そっちも必要なのねぇ」
『理解が早くて助かります』
「うーん。じゃぁ、ちょいと裏技をしちゃおっかぁ。今の私は始源の精霊状態だからある程度はできるしねぇ」
『そう言うことですね』
「じゃぁ、早速始めないとねぇ。<
~☆~
「ここはどこなんだ?」
三十年前の世界から現代に戻っていたはずの士道は、何故だか現代ではなくよくわからない森の中にいた。
周りには誰もおらず士道一人だけ。結局、千花が無事に隣界に
「ばあ」
「うおっ!」
背後から誰かが士道の耳元に息を吹きかけ、士道は身体をビクッとさせて振り向きながら、息を吹きかけた主を見る。
そこには、色素の薄い白の髪に、白い修道服のような恰好をした少女――鞠亜が立っていた。鞠亜は士道の反応に口元に手を当てて笑みを浮かべる。
「士道、驚き過ぎです。まぁ、状況把握が出来ていないことと、私がここに居ることから仕方ないかもしれませんが」
「鞠亜?なんで鞠亜がここに?それにその姿……」
目の前にいる鞠亜はモニター越しの鞠亜では無く、ゲームの世界、<
(鞠亜がここに居るってことは……まさか?)
「鞠亜、もしかしてここは<
だから、士道はもしかしたらの可能性でそう口にする。鞠亜がこの姿でいられる理由がそれ以外に思いつかないから。すると、鞠亜は首を横に振り、士道の言葉を否定する。
「いえ、ここは<
「じゃぁ、ここは?」
「はい。ここは千花が天使を【
「千花が作った世界?なんでそんなことを?」
「まぁ、隣界の中心に行くために必要なものがありまして、千花がズル……ではなく強引に天使の力を複合させて世界を作っているんです」
「ん?いまズルって聞こえた気が?」
「気のせいです」
鞠亜の説明の中におかしな言葉が含まれていたが、鞠亜は気のせいだと一蹴する。これ以上聞いてもはぐらかされそうなので、士道は諦めてなんでこうなっているのか聞くことにする。
「それで、俺が呼ばれた理由は?千花が一人で対処できなかったのか?」
「はい。世界を作るのが限界で、後は士道たちに丸投げです。そして、私はその補佐の為にこの世界に来ました」
「なるほどな。で、俺は何をすればいいんだ?」
「理解が早くて助かります。この世界は魔王に支配されており、私たちの目的はその魔王を倒すことです。それに当たって、魔王の手中に置いた三つの世界を救う必要があり、今いる場所はそのうちの一つの世界です」
「ゲームか!」
鞠亜の説明がまるでゲームのような感じで、ついつい士道はツッコミを入れてしまう。すると、鞠亜は説明の途中で挟まれたことでムスッとすると、そこに関して返答する。
「いえ、ノンフィクションのリアルタイム進行形です。そして、この世界で死ねば本当に死んでしまいます」
「なんで、そんなことに?大体、俺は千花に霊力渡したからもう炎の回復もできない訳だし」
「まぁ、そう言う訳で、行きましょう。この世界は童話が混ざりあった世界であり、この世界でなすべきことは四人の童話キャラを運命の結末に導くというものです」
「童話のキャラを導く?なんでそんなことに?あと、俺の発言は無視なのか?」
「士道、質問が多いです。まずは一通り聞いてください」
士道がいちいち質問を挟んだことで鞠亜はそう返して話を続ける。
「その世界での目的に関してはランダムでしたので、仕方ないです。千花が設定したのは最終目的と士道たちをこの世界に突っ込んだだけで、皆さんがどこにいるかはランダムです。一応三つの世界の何処かに居て、その世界のカギを握る役割を持っています。とりあえず、以上です。質問はありますか?ちなみに士道が死ぬ自体は起こらないように善処しますので」
「なるほどな。ちなみに、魔王の撃破が何で必要なんだ?」
「それは、魔王を倒せばわかりますよ。それとも、ネタバレを希望ですか?倒さない限りこの空間から出られませんけど」
鞠亜は首を傾げて口元に笑みを浮かべると、そう言い、士道は頭を掻いて了承するのだった。
Now Loading…
「士道、ここで情報収集をしましょう。情報が少なすぎますし」
士道と鞠亜が訪れたのは、ゲームで言うところの始まりの村的なのどかな村だった。士道は鞠亜の発言を聞いてそんなものかと思うと、近くにいた村人Aに話しかける。
「すいません。人を探しているのですが」
「ああ、今日は赤ずきんちゃんが南の森に走って行くのを見たね」
「そうなんですか?」
「ああ、今日は赤ずきんちゃんが南の森に走って行くのを見たね」
「……やっぱり、ゲームか!」
村人Aは赤ずきんの情報を言うと無限ループに入り、士道はこの世界にツッコミを入れる。そんな士道を「やはりツッコみましたか」と鞠亜が呟いていた。
そうして、繰り返し様々な村人に話しかけた結果、この世界のキャラは、“赤ずきん”、“桃太郎”、“アリス”、“マッチ売りの少女”だということが分かった。
しかし、赤ずきん以外は今現在の居場所が分からず、とりあえず赤ずきんを見たという南の森に向かう。
森の中は草木がたくさん生い茂っており、道を間違えば迷いそうだった。そうして歩いていると、
「あっ、士道さん。それに……鞠亜さん?」
赤い頭巾を被って手提げの籠を持った四糸乃が驚いたような声を上げ、鞠亜を見て首を傾げていた。士道が最初に鞠亜を見た時と同様に、現実で居ることに驚いているようだった。
「四糸乃。この姿では久しぶりですね」
「はい。そうですね。ゲームの世界の時以来ですね」
「ところで、四糸乃はここで何を?それと、よしのんは?」
いつも四糸乃のそばにはよしのんがいるのに、今はよしのんの姿が見えないのでそう聞くと、四糸乃はハッとする。そして、鞠亜は何故か暗い顔をする。
「そうでした。この世界に来たら私は赤ずきんのキャラになってて、よしのんの姿が見えないから探していたんです。二人は見てませんか?」
「いや、見てないな」
四糸乃は士道の返答を聞いて落胆すると、頬を掻く。
「そうですよね。そもそも見てたらそんな質問しないでしょうし、よしのんもここにいますよね」
「ああ。とりあえず、よしのんと他のメンバーも探さないとな……」
「おお、シドー。こんなところにいたのか」
「だーりん発見ですー」
「はぁー。士道の気配がするって言って変な道を通った時は焦ったけど、本当に会えるなんてね」
「十香、美九、琴里?」
四糸乃を発見したから、このまま他三人も探そうとすると、生い茂る草木をかき分けるようにして十香が出て来て、その後ろから美九と琴里も現れる。
十香は陣羽織と切り袴、腰に刀を携えた、桃太郎。
美九は水色と白のドレスを纏った、アリス。
琴里は、四糸乃と似たような格好だが、手にしているかごには大量のマッチが入っており、おそらくマッチ売りの少女。
そんな三人を見て、理解した。
これで、この世界にいる四人のキャラがそろったことに。
「一応、この世界の情報は得ているわ。私たちのキャラに沿ったラストを迎えるんでしょ?と言っても、それだと私は凍死だけど」
「それだよな。十香は鬼を退治、四糸乃は狼に襲われて猟師に救われる。琴里は寒空のした凍死。美九は……そもそもどうやるんだ?あれって夢落ちだよな?」
「ですね。とりあえずは猟師の確保と鬼の情報ですね」
「まぁ、誰も欠けずに何とかする道を探すしかないな」
「ですね。誰かが欠けるのは嫌ですし」
「そうなりますね~」
皆思っていることは同じようで、こうして誰も欠けずに終わらせる道を探すこととなったのだった。
Now Loading…
「はぁ、そう都合よくは行かないよな。鬼の情報も得られないし」
この世界でのいわゆる中心の都市部に来た六人は、そこで情報収集をしていた。しかし、鬼の情報は一切得られず、狼もこの辺りにはいないとのことで前途多難だった。十香は鬼退治をする途中でこの世界に現れ、どうして鬼退治に行くことになったのか分からない為、目的地の当てもなく、四糸乃もおばあちゃんの家が分からないから辿り付けずにいた。
そうして時間が経ち、日が落ちてきたので今日はどこかに泊まって明日ということになるが、六人が泊まれるほどのお金を持ち合わせていなかった。
「つまり、野宿するしかないのか?」
「いや、さすがにそれは嫌ですよ~。お風呂も入りたいですし~」
「そうですよね。でも、お金が無いと宿にも泊まれませんし」
「はぁー。ちょっと待ってなさい」
すると、琴里がため息をついてから、近くにあるお店に向かい、窓口で店員と数言話すと、琴里はこの世界でのお金を渡し、一枚の紙を貰う。それはスクラッチカードのようなもので、琴里はその場でスクラッチを削り……
「おめでとうございます。三等です」
何故だか三等を当てていた。というか、宝くじをしていることとか、この世界にあることとかツッコミどころが多かったが、他のメンバーもまさかの展開に驚いていた。
琴里はその場でお金をもらうと、士道のそばに戻って来る。
「これだけあればたぶん足りるでしょ?」
「なんで、さも当然のように宝くじで投資してるんだよ」
「別にいいでしょ?これくらいレディのたしなみよ」
「別に宝くじはレディのたしなみではないと思いますけど」
さも宝くじをしたことを当然のような琴里に対して、士道は問い、鞠亜は冷静にツッコむ。しかし、琴里のおかげで今日の宿代は目途が立ったのでそれ以上は言わなかった。
近くにあった宿に入ると、六人で三部屋取り、そのうちの一部屋に入り、ベッドや椅子に腰を降ろす。
「それで、今後の方針だけどどうする?」
「まぁ、明日も足で情報を探すしかないよな?」
「そうなってしまいますね。この世界の情報が不足しすぎていますし」
「案外、向こうから来たりしませんかねー?そしたら探す手間が減りますし」
「いや、流石にそれは無いだろ?」
「でも、狼なら私を食べようと現れる可能性も……」
結局のところ情報不足感が否めず、六人はこれ以上の議論は無駄な感じになっていく。
そうして、夕食を取り就寝して、明日の朝早くから情報収集することになり、この日は解散となった。
Now Loading…
「士道、聞かないのですね」
「ん?何がだ?」
士道は鞠亜と同じ部屋にいた。四糸乃と琴里、十香と美九、鞠亜と士道と言う部屋分けになった理由は、士道に話があるからと鞠亜が言ったためだった。もしそう言わなければ士道と相部屋になる為に一悶着が起こっていたかもと後で士道が思ったりしていた。
そうして、二人はそれぞれのベッドに潜ると、唐突に鞠亜が問い、士道は何のことかわからず問い返す。
「いえ。よしのんの件です。士道はあの時、気づいてましたよね?」
「あぁ。よしのんの話になった時、鞠亜が暗い顔をしたことか?」
士道は鞠亜があの時暗い顔をしたことに気付いていたが、鞠亜が話そうとしないことから、何らかの理由があるものだと思っていた。そして、鞠亜は苦笑いをすると話し始める。
「はい。よしのんは<
「やっぱりか……千花がよしのんに話を振った時にもよしのんの反応に違和感があったしな。すぐに人格が消えなかったのは、あの辺りに霊力が溢れていたからか?」
「はい、そうです。よしのん自身はあの時には気づいていたようでしたが、それを分かったうえで、四糸乃を傷付けない為に言わなかったのだと思います」
鞠亜は言い辛そうにそう言うと、士道は遠い目をする。結局、よしのんともお別れで、何も言わずによしのんは去ってしまったから。
「やはり、この話を四糸乃にもするべきなのでしょうか?」
「どうだろうな。そもそも、本当によしのんは消えたのか?よしのんはよしののもう一つの人格であり、だから、四糸乃の中に残ってないのか?」
「それに関しては……私にはわかりません。ただでさえ、よしのんはウサギの姿で日常を過ごしていましたから。霊力が無くなった以上はあの姿にはなれませんからね。パペットをはめれば可能性はありますが、改変前の世界と千花と過ごした世界だとよしのんのあり方も違いますから一概には言えません」
記憶の中にあるパペットとウサギの姿を思い出し、今更ながらなんでよしのんの姿が違ったのかという謎が生まれた。そもそも、なんでウサギの姿だったんだ?
「ちなみに、よしのんがウサギの姿を取っていた理由は、千花が士道に会う前に変なことを吹き込んで、その結果ああなったらしいです」
「結局、また千花が絡んでるのかよ!」
「はい。改変前の世界と千花のいたあの世界との差異の一部は千花が絡んでいますよ。十香が賢かったのも狂三に会わせたからですし、美九と六喰は以前に会ってましたし、二亜がDEMから脱出したのも千花が突撃したからですし」
「千花は何やってるんだ?その割に、二亜とか七罪とか十香とは初対面に見えたけど?」
七罪の時は完全に知らない感じだったし、二亜の時も名前を聞いてたし、十香に関してもだしといった感じで、疑問が浮かぶ。
(それとも、ファントムみたいに認識阻害をして皆を助けてたのか?)
「ああ、二亜の時は二亜の部屋まで穴を作って脱出させただけ、七罪が空間震で現れた時は七罪が逃走中に割り込んだため七罪が気付かなかった、十香の時はそもそも間接的に狂三に会わしたので」
「はぁー。なんか今更ながら千花は色々やってたんだな」
「まぁ、そうですね。今現在も世界構築中ですし」
「千花はどこまでやるのやら?」
「さぁ?」
話が結局謎の多いままの千花の話題になり、鞠亜は首を傾げる。鞠亜自身も千花のすべてを知っているわけではないから。
Now Loading…
ドーンッ!
「うおっ!何の音だ?」
「……分かりませんが……普通ではなさそうですね」
翌朝、唐突に響いた爆発音によって士道は目を覚ました。鞠亜も爆発音で目を覚ましたようで体を起こし、目を擦る。
しかし、寝ぼけているのか返事はあいまいだった。
士道は首を傾げながら、窓から外を覗くと、宿の道の前を鬼が闊歩していた。
「はっ?」
「ん?どうかしましたか?」
士道が驚きの声を漏らすと、鞠亜は寝ぼけ眼でのそのそと窓のそばにやって来る。そして窓の外を覗く。
「あぁ、鬼ですか……では」
鞠亜は鬼を見ても寝ぼけたままで、のそのそとベッドに戻って二度寝をしようとする。
士道はいい加減寝ぼけている鞠亜を起こそうと鞠亜の布団に手をかけると、部屋の外からどたどたと走って来る足音が聞こえ、
「シドー、一大事……だ?」
「だーりん。変な夢を見ちゃいました……よ?」
ノックもせずにガバッとドアが開かれる。そして、慌てた様子の十香と美九は士道と鞠亜の状況を見て声を止めた。
その後ろから、琴里、四糸乃も現れ、
「士道、流石にここで盛らなくても……」
「士道さん……」
士道と鞠亜の状況を見てそんな声を漏らす。士道が鞠亜の布団に手をかけて、いまから身体を揺すろうとしているところ。決して襲おうとしているわけではない。しかし、四人にはそう見えたようで、十香と四糸乃は困惑、琴里は呆れ、美九は……
「だーりん、わたしもー」
目をキラキラさせて士道のもとに飛び込む。士道は「うわっ」と声を出しながら屈むと、美九は士道を飛び越えそのまま士道が寝ていたベッドに頭から突っ込む。美九は士道のベッドに飛び込むと、
「だーりんの香りがしますー」
とか言って、ベッドに寝ころび、そのまま寝始めた。こうして二度寝する人間が二人に増え、士道と琴里は顔に手を当てて呆れる。
「鞠亜、起きろー。あと、美九も寝るなー」
仕方なく士道は二人を揺すると、鞠亜が身体を起こし眠そうな顔をする。美九もまだ完全には寝ていないので、身体を起こす。
「ふむぅ。士道、どうかしましたか?」
「だーりん、もう少し起こし方はなかったんですか?」
あいかわらず眠そうな鞠亜はそれでも士道に起こされたからか、一応そう問い、美九は何故か文句を言っていた。
(起こし方って、揺するが一番まともだと思ったんだけどな?)
「鞠亜、なんか表通りが騒がしいから動くぞ」
「はあ……一体何が?」
「鬼が歩いてた」
「なるほど……鬼ですか……鬼!?」
「あっ、起きた」
美九に関しては起きてはいるので、寝ぼけている鞠亜に今の状況を話すと、鬼と聞いてやっと意識がちゃんと覚醒したようだった。琴里はそんな様子を見てため息をついていた。
「なんで鞠亜はそんな眠そうな訳?まさか、本当に士道と何かしてたの?」
「ん?いえ。確かに昨日は夜遅くまでいろいろ話してはいましたけど?琴里が考えているような、いかがわしいことはしていませんよ」
完全に目が覚めた鞠亜は琴里の問いに首を傾げながらそう言うと、十香と四糸乃は琴里が何を考えていたのか分からず、首を傾げ「琴里は何を考えていたんだ?」「さぁ?」と話していた。もし、ここによしのんがいたら琴里をちゃかしていたのだと思う士道。
「琴里ちゃんは何を考えていたんですかー?」
と思えば、いつの間にかベッドから離れ、美九は琴里に抱きつきながらそんなことを聞く。
「それは……って、そんなことより、今は鬼の方でしょ?」
「あっ、話を逸らした」
「逸らしましたね」
状況が悪くなった琴里は慌てて話を逸らすと、そう言えばみたいな空気になり、やっと動き始める。
六人が外に出ると、建物の壁が壊されていたり、怪我をした人が壁に寄りかかっている状況だった。そして、元凶の鬼は近くの建物を破壊していた。
「これは、なんかまずいな。てか、なんで急に鬼が現れたんだ?」
「それは……おそらく昨日のフラグですね」
「あれ?なんでみんな私を見るんですかー?」
鞠亜がフラグと言ったとたん、五人は一斉に昨日の発言をした美九を見る。美九は昨日の発言を忘れているのか首を傾げる。
(そもそも、口にしただけで現れるって、この世界本当に雑じゃないか?)
「士道、下がっておれ。鬼は私が倒す」
十香はそう言って、腰にさしていた刀を鞘から抜くと、一直線に鬼に向かって駆けて行く。
十香は刀を振るうと、それに気付いた鬼はこん棒でガードする。
『何者だ!』
「ふっ、私は桃太郎の遺志を継ぐもの、十香だ!」
『桃太郎だと!?しかし、奴は先代を倒して隠居したはず……しかし、これは好機。我は今こそ先代の敵を討つ!』
十香と鬼が数言言葉を交わすと、そのまま互いの武器がぶつかり合う。
(なんか、変な設定が加わってるけど、ツッコまない方がいいんだよな?というか、俺たちはどうすればいいんだ?)
士道はそう思うと共に、皆の方に目を向ける。十香以外は戦闘するタイプのキャラにはなっていない為戦うことができない。士道も天使を顕現できない為戦闘ができない。何もできず、ただ見ているだけしかできない自分を責めていると、戦闘に変化が起きる。
「うわっ!」
鬼のこん棒の一撃を刀でガードすると、刀が折れ、そのままこん棒が十香の腹に当たって吹っ飛ぶ。吹っ飛んできた十香は一直線に士道の方に飛んで来て、士道はなんとかキャッチをしようとするが、勢いがすごく、その場で転倒し、なんとか十香が壁に激突する事態だけは避けられた。
「いたた。シドー助かったぞ」
「ああ。十香が無事でよかったよ」
「しかし、困ったわね。武器がこれじゃ」
十香と士道が起き上がり、皆も怪我が無く安堵すると、琴里は困った顔をしながら十香の手にある折れた刀を見る。刀が折れた以上、鬼を倒す手段が無く……。
『ふははっ。桃太郎など恐れるに足らぬな』
「どうしましょう。このままじゃ……」
「仕方ない。本当はやりたくなかったが、最終手段だ」
桃太郎に一発食らわせた鬼は勝った気になりそんなことを言う。すると、十香は懐から黍団子を一つ取りだす。五人は何故ここで黍団子?と疑問を持ち、まさか鬼に食べさせて仲間にする気か?と思うと、十香は黍団子を真上に投げ、
「来てくれ!」
そう叫ぶと、黍団子が真上に飛んで、途中で重力によって真下に落下し……落下する黍団子の真横を何かが通り、そのまま黍団子を食べて、十香のそばに着地する。着地したのは、
「ん?犬?」
茶色の体長が一メートルほどの普通よりは大きい犬だった。この犬が最終手段なのかと思う五人。すると、十香は犬のそばに寄って頭を撫でる。
「来てくれたか。牙狼」
『あぁ、マスターに呼ばれれば来る契約だったからな。それで、此度はどのようなご用件で?』
「うむ。鬼との戦闘になってな。手を貸してくれ」
『うむ。心得た。して、報酬は?』
「黍団子しかないが……」
『ふっ、まぁいいだろう』
十香は犬にそう言うと、犬は輝き、輝きが収まるとそこには一振りの剣があった。十香は剣の柄を握ると、二、三度振って感覚を確かめる。そして、
「行くぞ、牙狼」
十香は再びかけていった。目の前で起きているよくわからないことに困惑してると、十香は剣を振るい、鬼も迎え撃つようにこん棒を振るう。そして、一振りで決着が付いた。
鬼のこん棒が綺麗に切断され、そのまま鬼も切断される形で。斬られた鬼は、斬られた箇所から粒子になって消えていく。
『くっ。やはり我らは桃太郎には勝てぬのか』
「いや、これは私だけの力ではない。仲間の、護りたい気持ちの力だ」
『ふっ、仲間か』
鬼はそう言って完全に粒子になって消えていった。すると、十香の剣――牙狼が元の犬の姿に戻る。
「助かったぞ、牙狼よ。約束の物だ」
『たわいなかったな。確かに受け取った。では』
牙狼は黍団子の袋を受け取るとそのまま何処かに去って行った。こうして鬼は倒され危機は去ったのだった。
(これで、桃太郎のは終わったんだよな?)
士道は、やっと一つ目が終わり、あと三人もと思うと、四人は士道と鞠亜を見て驚いたような顔をしていた。
「シドー、身体が光っておるぞ?」
「どういうこと?一体何が?」
十香と琴里に言われて士道は自身の身体を見ると、本当に光っていた。何が起きているのか分からずに困惑すると、光に包まれている鞠亜は何が起きているのか理解したような顔をする。
「……あぁ、なるほど。この世界でやることが全部終わったようです。だから、次の世界に行くみたいですね」
「「ん?」」
「「え?」」
「はい?」
近々2話目を投稿します。
では、ノシ