デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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気づけば初投稿から三周年~。
てことで、【終わった世界と続く世界】の後のお話です。でも【千花アフター】とは違う世界線?
いわゆる記念投稿ってやつ?


精霊荘のゆかいな少女

「士道君、引っ越し業者を雇うのが面倒だから手伝ってぇ」

「はっ?」

 

高校入学の一週間前。千花と再会した翌日。

唐突に士道の家にやってきた千花は開口一番にそう言ったことで、家の掃除をしていた士道は驚きと疑問でそんな言葉を漏らした。

千花の家は崇宮家の裏にあるアパート“精霊荘”で、大家は千花のおばあちゃんがやっている。小学校の頃にはよく遊びに行ったりしていて、本当のおばあちゃんのように接していた。

 

「千花。聞きたいことがある」

「うん、なにぃ?」

「なんで俺が手伝わされるんだ?それに引っ越しって?」

 

士道には千花を手伝う意味が全く分からなかった。

 

「うん。精霊荘の入居者がいるからねぇ。それで、士道君は優しいから手伝ってくれると信じてるよぉ」

「信じられてもな」

「にーさまー、お客さんは誰だったんですかー」

 

千花に信じていると言われて士道は困惑すると、家の奥から掃除をしていた真那の声が響く。士道がなかなか戻ってこないから声を掛けた感じだった。そして、士道からの返答がないからと、二階にいた真那は顔だけ出して玄関を見る。

 

「あ、千花ちゃんでしたか」

「やっほぉー、真那ちゃん」

 

千花は呑気に手を挙げて真那に挨拶をする。

そして、話は戻る。

 

「それで、士道君。手伝ってよぉ」

「兄様。真那は事情がさっぱりわかんねーんですけど?」

「ああ、引っ越しの荷物を運んで欲しいんだと」

「正確にはうちに運んだはいいんだけど、新しい住人の荷物であふれかえって廊下が通れなくなっちゃってぇ」

「ん?そういうのは千花のおばあちゃんが手配してくれるんじゃないのか?」

「あ、そう言えば士道君には言ってなかったねぇ。今年から私は精霊荘の大家だよぉ」

「え?」

 

千花からその後話された内容を要約すると、前までは千花のおばあちゃんがやっていたけど、千花が戻ってきたことで大家の仕事を千花に任せて、千花の両親のもとに行ってしまうらしかった。なんでも、最近は体調が良くなかったからとか。

それを聞いて、そう言えば最近は体調が悪そうなのを見たりしていたことを士道は思い出した。

 

「そう言う訳で、昨日荷物が届いたから開封したりセッティングするのを手伝って欲しくてねぇ」

「はぁ。まぁいいけど。でも、こっちの掃除が終わってからでいいか?途中で止めると後でやった場所もやり直しだから」

「いいよぉ。手伝ってもらうからにはそっち優先なのは当たり前だよぉ」

 

千花は士道の了承が得られたから笑みを浮かべると、ぱたぱたと走って帰っていった。千花を見送った二人は、途中になっていた掃除を手早く済ませると、もうすぐここからいなくなってしまうおばあちゃんへのお別れと、千花の手伝いの為に千花の待つ精霊荘に向かったのだった。

 

 

 

~☆~

 

 

 

「「お邪魔しまーす」」

「おや、士道ちゃん、真那ちゃん。いらっしゃい」

 

精霊荘に行くと千花のおばあちゃんがおり、何やら荷造りをしたのか廊下には段ボールがいくつか積まれていた。

 

「えーと、これは?」

「おや?千花ちゃんから聞いていないのかい?私は息子たちのところに行こうかなってね。本当はここを閉じようかと思っていたんだけど、ちょうど千花ちゃんが戻ってきたことだし引き継いでもらってね」

「そう言えば、さっきそんな話もしたような」

「ですね。それで、いつ引っ越すんですか?」

 

おばあちゃんからそんな話を聞くと、真那はいついなくなるのかを聞く。千花からもおばあちゃんからもいつなのかは聞いていなかった。

 

「ああ、今日だね。この後挨拶に行こうと思っていたんだけど、凜祢ちゃんたちといい士道ちゃんたちの方から来てくれるなんてね」

「え?凜祢も来てるの?」

「凜緒ちゃんと一緒に今は二階にいるよ。今日荷物が届いて整理を手伝ってもらってるみたいだよ。あの子はなんでこう周りを巻き込むのかねぇ」

「あはは、まぁ千花だから……」

 

おばあちゃんは千花に対して悪態をつき、士道は苦笑いを浮かべるしかなかった。まさに、巻き込まれて士道も来た感じだから。ちなみに真那は暇だから来た感じだった。

 

「そう言えば、二人は何しに来たんだい?私の見送りだけって訳ではなさそうだけど」

「まぁ、別れの挨拶と千花の手伝いかな?」

「あの子、二人も巻き込んでいたのかい」

「まぁ、怒らないであげてください。真那たちは気にしてませんので」

「そうかい。ありがとねぇ」

「あ、士道君、真那ちゃん。いらっしゃーい」

 

玄関でそんな話をしていると、段ボールを持った千花がやって来て、積まれた段ボールの上にさらに積んだ。

そして、

 

「御邪魔しますよー」

 

玄関から澪が現れる。朝早くに何も言わずにふらーと何処かに出かけていたため、士道と真那は首を傾げた。

 

「あ、二人も来てたんだ」

「澪姉、どこ行ってたんだよ」

「ん、車を借りにね。荷物が少ないから、乗用車で運んでそのままおばあちゃんを千花ちゃんの両親のもとにお連れするんだよ」

「姉様はおばあちゃんがいなくなるのを事前に知っていたんですか?」

「んと、今朝千花ちゃんから聞いたんだよ。まさか、当日にお願いされるとは思ってなかったけど。それと、士道。荷物詰め込むの手伝って」

「わかった」

 

澪が何処かに居なくなっていた理由が分かるもそこからさらに疑問が生じ、結論として千花に巻き込まれたみたいだった。

 

「悪いねぇ。わざわざ送ってもらうことになっちゃって」

「いえいえ、おばあちゃんには昔からお世話になっていましたから」

「そうかい。そう言ってもらえるのなら助かるよ」

「あれ?みんな集まってる……って、もうそんな時間か。凜緒、こっち来てー」

 

部屋の一つの掃除をしていたらしい凜祢が階段から顔を覗かせると、そろそろおばあちゃんが行く時間なのだと察し、部屋の奥にいる凜緒に声をかける。

すると、その声を聞きつけ、二階にいたもう一人も二階から降りてきた。

 

「よっと。おばあさん、行っちゃうんだって」

「おばーちゃーん」

 

降りてきたのは万由里で、真那はどうして万由里がいるのか疑問だった。しかし、その疑問を口にする前に話は進む。部屋から出てきて階段を降りてきた凜緒はおばあちゃんに抱きつき、おばあちゃんは受け止めると頭を撫でる。

 

「おやおや、こんな老いぼれが去るだけなのにこんなに集まってもらっちゃってね。私はうれしいよ」

「おばあちゃん、私は本当のおばあちゃんだと思ってたよ」

「真那だってそう思ってますよ。真那が生まれた時にはおじいちゃんもおばあちゃんもいませんでしたし」

 

それぞれおばあちゃんに別れの挨拶をしている間に士道と澪はおばあちゃんの引っ越しの荷物を車に詰め込み、あっという間に詰め込み終える。

 

「そう言う訳で、私は行くね。みんなも元気でね。それと、千花ちゃんが迷惑かけると思うけど、よろしくね。時々でも家に帰って来なさいね」

「うん、任しといて。俺たちがちゃんとフォローするからさ。お婆ちゃんもお元気で」

「ちょっとぉ。私がやらかすの前提なのぉ。夏休みとかお正月には私も帰るからねぇ」

「じゃ、さよなら」

 

そう言って、おばあちゃんを乗せて千花の両親の元へと走り出していった。

六人はそれを見送ると精霊荘の中に入る。

 

「ところで、なんで万由里がいるんだ?」

「ん?ああ、私ここに住むから」

「そうなのか?なら、納得だけど」

「ちなみに、今日はあと二人引っ越してくるよ。姉妹だってさぁ」

 

士道は何故か荷ほどきではなく、空き部屋の掃除をする羽目になりながら、廊下で荷ほどきしている万由里にそう聞いた。そして、万由里の他にも新たな住人が来ることを知った。その為、掃除をしているのだが、士道にはどうしても気になることがあった。

 

「なんで、こんなにぎりぎりなんだよ。来る当日に掃除って」

「士道君、世の中だいたいこんなものだよぉ」

「なんで悟りを開いてるんだよ」

「仕方ないでしょぉ。私だって昨日戻って来たばかりなんだからぁ。おばあちゃん一人じゃ無理だよぉ」

「なんでか逆ギレし出しましたね」

 

新住人が来る日に掃除という現状が気になったが色々あったようで、これ以上の詮索はまずそうなので士道と真那はこれ以上の事は聞かないことにして作業を進める。

 

「それで、その姉妹っていつ頃来るんだ?それまでに掃除と荷ほどきを済ませないとなんだろ?」

「うん。一応予定だとお昼くらいに来るってことになってるよぉ」

「割と時間が無いな」

 

今が朝の十時過ぎなので、残り時間が少なく見積もっても二時間ほどなので、士道は間に合うのかが疑問だった。しかし、そこはこの人員でなんとかすることにする。

 

「まっ、私の方は勝手にやってるから、掃除の方を先にやっていいよ。そもそも、私の荷ほどきなんて千花が大げさに言ってただけで、私一人でなんとかなるし」

「えー。万由里ちゃん、昨日は数日かけて荷ほどきするとか言ってたじゃん!」

「それは、千花がこの街を案内するからとか言って荷ほどきの時間を作らせないみたいだったからでしょ。だいたい、住人が来るなら、街案内よりもそっちを優先しなさいよ。新大家さん」

「うぅ、万由里ちゃんが私をいじめるよぉ」

「「「いや、千花(ちゃん)が悪いだろ(でしょ)」」」

 

千花と万由里が口論をし始めると、千花が泣きついて士道たちの元に寄る。しかし、士道、真那、凜祢は聞いた限り千花に問題があった気がするので、誰一人として千花を擁護することは無かった。

 

「ちかちゃん、よしよし」

「私の味方は凜緒ちゃんだけだよぉ」

 

結果、千花は凜緒に抱きついて、凜緒はそんな千花の頭を撫でる。はたから見れば年下になだめられているというシュールな絵だった。

 

「千花、凜緒にウソ泣きで泣きついてないで、さっさか作業を進めろー。これで間に合わなきゃ、来て早々文句を言われるぞ」

「あっ、それはまずいかもぉ。あの子は絶対グチグチ言うよぉ。ありがとうねぇ、凜緒ちゃん」

「うん!」

 

士道の言葉でハッとした千花は凜緒の頭を撫でると、凜緒のもとを離れ、てきぱきと掃除を再開する。千花があっさりと作業に戻ったことに凜緒を除くメンバーは意外だったのか、少し驚くか唖然とした。久しぶりに会った士道たちの記憶にはのんびりとしていて戻るまでに時間がかかりそうなイメージがあったからで、もしかしたらこの三年程でのんびりが改善されたのかと思った。

しかし、その三年の間で出会った万由里も驚いている点から、もしかしたら相変わらずのんびりな感じはそのままなのかもとも思う。昨日は公園で寝ていた記憶があるから故に。

 

「千花、新しい人はそんなに機嫌が悪い人なのか?」

「ううん。たぶん、Sなんだよねぇ。会ったことないけどぉ」

「会ったことないのに、なんでそんなことわかるんだよ」

「最悪の事態を考えてねぇ」

「まぁ、最悪の事態を考えておくことはいいことだよね」

「凜祢。別に千花の擁護はしなくていいんだぞ」

 

新しい住人が気になりながらも、それからも士道たちは掃除を続け、万由里も荷ほどきを進めたのだった。

 

 

 

~☆~

 

 

 

「で、何がどうなれば、二時間は覚悟していた掃除が一時間で終わるんだよ!」

 

時刻は十一時少し前。二階にある空き部屋五つの掃除が終わり、共有スペースにある椅子とソファーに座って休んでいた。

というよりもツッコまないといけない気がしたからツッコんだだけなのだが。

 

「それは、絶対あれのせいですね」

「うん、あれが一部屋終わらせてたからね。それと、私は士道たちが来る前から千花ちゃんと一緒に掃除してたから」

「りお、あれのりたいなー」

「凜緒、あれには乗らない方がいいよ。千花の作る物なんて生活に役立つモノかそれ以外のモノしかないから。それに、あれは前者に見せかけて実は後者で危険よ」

 

士道のツッコミを聞いた四人は、今現在廊下を走行している機械に目を向ける。無事荷ほどきを終えて部屋が綺麗になった万由里は禄でも無い物といった視線を機械に向けていた。

それはいわゆるルンバなのだが、普通に売られている市販品ではなくて一回り大きく、万由里が言った通りそのルンバは千花が作ったものだった。そして、機能を士道たちは掃除中に目の当たりにしていた。

ルンバの側面からはアームが飛び出て窓の雑巾がけを行い、高い位置では空気の逆噴射で浮上することで天井の掃除すらも行ってしまった。

はっきり言って、それ一台で掃除が完了してしまうというものであり、士道たちが手伝わなくても時間内に掃除が終わっていた可能性すらあった。

 

「万由里、あれのどこが生活に必要無い物なんだ?完全に生活に役立ちそうだけど」

「ええ、一見すればね。でも、あれは最初お掃除ロボットとして機能していなかったのよ」

 

その活躍ぶりから、万由里の言ったことがよくわからずに聞くと、万由里は複雑そうな顔をする。そして、その真実は千花の口から話された。

 

「およぉ?どうしたのぉ?みんなして私の作った、対強盗用防犯兵器“なんでもお掃除君”を見てぇ」

「千花、なんだその物騒な名前。あれどう見てもお掃除ロボットだろ?」

「ん?ああ、昨日のうちに急ピッチでお掃除機能を付けて、装備を変更したからねぇ。今強盗が来たら戦えないんだよねぇ」

「千花ちゃん、なんでそんな物騒な物が?」

 

千花の言う“なんでもお掃除君”が作られた経緯やらそんな危険そうなものをここに置いておくのが平気なのかといった疑問が尽きなかった。

その後の千花の発言を纏めると、中学の時に千花の両親が留守の間に強盗に襲われかけ、なんだかんだで無事で済んだのだが、それを知った千花の両親が千花を護るために後に作ったのが“なんでもお掃除君”だったらしかった。ちなみに、千花の両親は町のしがないジャンクショップを営んでおり、千花も触発された結果色々な機械などを作るようになったらしかった。

そして、千花がこっちに来るということで心配した両親に“なんでもお掃除君”を持たされ、今に至るとのこと。おそらく千花の両親もすぐに改造されるとは思っていなかったことだろう。

 

「あの……端折ったけどどうやって強盗から助かったんだ?その時はこれ無かったんだろ?」

「あぁ、それはねぇ。お父さんが試作品で作ったやたらと明るいライトとスタンガンを使ったら割となんとかなったんだよぉ」

「あの人たち、なんて物を手の届くところに置いてるんだよ……」

 

千花の両親に呆れた声を漏らすと、士道は嫌な予感がした。そもそも、そんなに触発された千花がここに“なんでもお掃除君”しか持ち込んでいない訳がない。というか、普通の家庭の設備で改造ができるとも思えない訳で。

 

「千花、ちなみにその改造はどこでやったんだ?もしかして、こっちに来る前か?そうだよな?」

「士道君、話聞いてなかったのぉ?昨日急ピッチでやったって言ったでしょぉ」

「えーと。じゃぁ、千花ちゃんは何処でその改造を?」

「地下よ」

「「「?」」」

「チカ?ちかちゃんのこと?」

 

真那が恐る恐ると言った様子で問うと、万由里はボソッと呟くようにそう言った。しかし、四人にはその言葉の意味を何故か変な解釈で受け取ってしまっていた。

 

「千花!おまえ人間辞めたのか!」

「ふぇ!?なんのことぉ!?」

「千花ちゃん、まさか強盗に襲われた際に怪我をしてロボットになってしまったんですか!?」

「え?地下って言ったよねぇ?……あ、そっちで受け取っちゃったのか」

「ん?ちか……地下?」

「何を勘違いしたのか分かんないけど、改造したのは精霊荘の地下でだよぉ!」

 

千花は途中で四人がどういう勘違いをしたのか察すると、ちゃんと言う。

 

「なんだ、地下か。ん?地下があるってことは……」

「色々あるよぉ。嘘発見機とか」

 

そして、そんなやり取りをしているうちにインターフォンが鳴り響き、それと同時に二人の少女の声が聞こえてくる。

 

「すいませーん、今日から引っ越してきた者ですけど」

「ちょっと、誰もいない訳?って、鍵開いてるわね」

「鞠奈、勝手に入るのはまずいのでは?」

「いいんじゃない?って、何この機械?」

「あれぇ?もう来ちゃったよぉ」




では、またいつの日か。ノシ
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