デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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だいたい二ヶ月ぶりですねぇ。
偶数話なのでいつも通り本文中の発言抜粋サブタイトルです。何を押したのか?
そんな感じで、スタートです。


8話 「仕方ないなぁ。ぽちっとにゃぁ」

「それで、今どこ向かってんですか?」

「六喰ちゃん探すって言ったでしょぉ?どこ行っちゃったのか知らないけどぉ」

「知らねーんなら、ほんとにどこ向かってんですか?まさか、あてもなく適当に歩いてるなんて事ねーですよね?」

「ぷい」

「って、まさか」

 

零奈に逃げられた後、二人は街を歩いていた。

零奈がなぜか魔王を使えるという状況の為、早急に六喰と二亜を見つけて対策を打たなければならない。十の魔王だけならまだ能力を知っているから対応できなくはないが、もともと零奈は始原の精霊の半身?三分の一身のため天使を使える可能性は高い。千花のいた世界では澪が十天使を保有していたから使われなかったが、ここでは魔王が使える以上可能性は0ではない。さすがに二十の天魔が相手では千花一人では厳しい。と言ってもここで士道たちを巻き込むのも得策とはいいがたい。限定霊装と制限のある天使では相手にはならないし、逆に霊結晶を奪われかねない危険もある。

 

「大丈夫だよぉ。六喰ちゃんの居場所に関してはあの子に聞けば最悪なんとかなるからぁ。どっちかと言えば、問題はどうすれば話を聞いてくれるかなんだよねぇ」

「そういえば、話の途中で追い出されたんでしたっけ?」

「そうなんだよねぇ。真那ちゃんのコミュ力でどうにかならない?士道君の妹でしょぉ?」

「兄様と同じにしねーでください。だいたい、私だって口下手な方なんですから」

「むぅ。二人の捜索に、対抗手段の模索にやることがいっぱいだよぉ」

 

結局問題は山積みで、しかもどれもこれといった案もない。

というわけで、ようやく千花はとりあえずやるべきことの一個目の場所にたどり着く。

 

「……ここは」

「とりあえず、あの子に会わないとだからねぇ。あー、確か最上階の端っこだったかなぁ?カーテン閉まってて中見えないかぁ」

「ベランダから入る人初めて見ましたよ」

「いやぁ、一応私ここの住人じゃないしぃ?ばれると琴里ちゃんとか来ちゃうしぃ?」

「そうですか」

「よし、これでおっけぇてことでぇ」

 

コンッコンッ

 

『やっと来た。まさかベランダから来るとは思わなかったけど。琴里にばれると後が面倒そうだからとりあえず入って』

 

そして、ベランダ側から侵入してノックすると部屋の主――七罪は呆れた様子で千花を見てドアを開け、二人を仲に招き入れる。

靴を脱いで中に入ると、適当に座る。この世界の七罪の部屋は精霊荘にいた時と同じような感じで、生活に必要そうなものはそろっていた。

七罪は冷蔵庫からお茶を出したお茶を注いだコップを机に置くと口を開く。

 

「で、話してくれんでしょうね?」

「ん~、カクカクシカジカって感じだよぉ」

「ふーん。零奈がね。確かに放置はできないわね」

 

「それにしても意外だったよぉ」

「こっちとしてはマジで意味わかんないわよ」

 

「七罪ちゃんがなぜかこっちの世界に来ちゃってたなんてねぇ」

「戻ってくる未来が違うとこだなんて」

 

 

~☆~

 

 

「で、私がそっくりさんかよくわからなかったからとりあえず初めましてな感じでいたとぉ」

「仕方ないでしょ。みんな私の知ってるみんなとずれてるわ、なんか昔の私は六喰と友達になってるわでよくわかんなかったし。六喰のところで会って、ようやく私の知ってる千花だって確信したんだから」

 

これが、この世界で七罪が千花を見てもすぐには接触しなかった理由。

どうやら、この世界の七罪もまた微妙に違っていたらしい。ただ、このずれも千花たち的には良い方向。事情を理解してくれてる七罪のおかげで六喰との接触も出来、そもそも七罪の力も借りられる。

 

「で、六喰だけど正直私が言ってもたぶん無駄よ。協力はしてくれても連携は無理だろうから零奈戦は……」

「そっちは私が何とかするからいいよぉ。六喰ちゃんの協力が得られれば」

「そ。なら、連絡とって会いに行くか。問題は……」

「?」

「何かあるんですか?」

「琴里たちよ。というか、巻き込まない方向なのよね?」

 

七罪の言う問題とはそういうこと。琴里に見つかると強制攻略イベントが発生してしまうという事。霊力を今封印されてしまうと戦力ダウンしてしまう。それは六喰と二亜も同様で、二人の攻略が今始まると困る。

なので、二人と接触しつつ、<ラタトスク>との接触は避けたい。

 

「てか、狂三と折紙は?」

「うーん。狂三ちゃんは気分屋だしぃ、オリちゃんは暴走するからねぇ」

「誰が気分屋ですか」

「そうやって影をつたって人の部屋に不法侵入するとこじゃないの?」

「げっ!時崎狂三!」ヴァナルガンド

「というか、パーティーに真那ちゃんがいる時点で狂三ちゃん誘えなくない?勇者と魔王をパーティーに入れるようなものだよぉ?」

「死にやがれ!」ケンツキサシ

「きひひ。狭い部屋で怖い事ですわ」ヒラリトミヲカワシタ

「なら止めなさいよ」

「えー、面倒くさくない?」

「あんまりやってると十香たち来るわよ?」

「あー、それは不味いなぁ。私見つかるわけにはいかないしぃ」

「ならこれで!」ジュウ

「なら、止めなさいよ。あんたら、壊したら弁償してもらうからね」

「あらあら、真那さん。七罪さんもああ言ってますわよ?」ヒラリッ

「なら、避けるなです!」ジュウ

「……真那が何か壊しても連帯責任だからね。【千変万化鏡(カリドスクーペ)】で二亜の<囁告篇帙(ラジエル)>と六喰の<封解主(ミカエル)>模倣してでも追い回すからね」

「うわぁ。調べ上げて追い回すとかストーカーじゃん。七罪ちゃんこわーい」

「千花。あんたにだけは言われたくないわよ?」

「はーい。というか、地の文どこ行ったぁ?」

「あの二人がバトッテる間は地の文無いわよ?」

「マジかぁ。見づらくない?」

「なら、さっさか二人を止めなさいよ」

「えー、七罪ちゃんが止めてよぉ。家主でしょ?」

「賃貸だから、大家の琴里か令音に連絡しなきゃいけないわね」

「ごめんなさぁい。それだけはやめてくださぁい」

「だったら……」

「仕方ないなぁ。ぽちっとにゃぁ」

「これで!……え?」

 

七罪に脅されて千花がポケットから出した謎の機械のボタンを押した瞬間、真那が纏った<ヴァナルガンド>の機能が停止して、いきなりの事に真那は転倒して棚に突っ込む。棚にしまわれていた本類が散らばる。

狂三はずっと回避に専念していたので回避すると「あらあら」と口を押えて言う。

千花が使ったのは元の世界でも持っていた魔力遮断機。ここ数日で作った物で、それで<ヴァナルガンド>の魔力生成を止めただけ。しかし、真那はそんな機械の存在を知らなかったからこそ何が起こったのかわからなかった。

 

「よしぃ。バトルが終わったから地の文が帰ってきたぁ!」

「今までツッコみませんでしたが、お二人ともメタ発言しすぎでは?」

「それが私クオリティだよぉ」

「で、結局方向性どうすんの?」

「あのー、機能切られてて動けねーんですけど」

「こんな場所で暴れたんだからそこで反省してなさい」

 

狂三の登場で会話が中断されていたが、とりあえず仕切り直して先ほどの会話の続きに戻る。なお、<ヴァナルガンド>が動かないからドッグタグに戻すこともできないため、真那は重い機械を纏った状態で動けない。そんな真那に七罪は言うと千花と狂三は藪蛇をつつきたくないから触れないでおく。

 

「今見た通り、二人が喧嘩しちゃうから無理だよねぇ」

「あらあら、わたくしは何もしてませんわよ?真那さんが突っかかってくるだけで」

「そうやって煽るから真那が突っかかるんじゃない。とまぁ、とりあえず狂三は今まで通りってことでいいのよね?」

「ええ。しかし、限定霊装程度の七罪さんを頂いてしまうのはありですわね」

「いや、あんたに喰われる気ないわよ?もし襲うのなら、死ぬその時までこの世界の猫を片っ端から犬に変えるからね」

「な、なんてことをしようとしていますの!?」

「私を殺すという事はこの世の猫の未来を左右するわよ」

「お、恐ろしいことを。仕方ありませんわね、止めておきましょう」

「猫を脅しに使う子と、それに屈する子初めて見たやぁ」

 

なぜか自身の身の危険を感じた七罪は猫を脅しの材料にし、その脅しで手を引く狂三のやり取りを見ていた千花はのんきにお茶をすすっていた。七罪の<贋造魔女(ハニエル)>ならば確かに可能で、自身の身を護るためならやりかねない。ただし、千花の知っている情報だと、ある程度怪我だの霊力を使いすぎると元に戻ってしまうはず。つまり、死んじゃったら元に戻るはずだから脅しとして成立していない。狂三はそのことを知らなかったようで手を引いたが、仮に知っていたのなら……そうなる前に千花が止めるが。

 

「で、狂三ちゃんがパーティーに入らないのなら、こっちはこっちで動くよぉ?」

「ええ。それで構いませんわ。わたくしはわたくしで全知の天使を持つ精霊を探さなければなりませんので」

「え?」

「今日参ったのも、千花さんたちが何か掴んでいないかと思いましたが、どうやらはずれのようですし、真那さんに襲われては怖いですからお暇しますわ」

「はーい。まぁ、何かあったら言ってねぇ。できる範囲で協力するからぁ」

「そうですか。では、千花さんの霊力を――」

「だが、断るぅ!」

「……せめて言い終わってから断ってくださいな。では」

 

狂三は千花に呆れながら一礼すると影に沈んで去っていく。それを見届けると、千花は魔力遮断機の電源を切り、ようやく真那は<ヴァナルガンド>を解除することが出来た。

私服に戻った真那は身体を起こし、千花に半眼を向ける。

 

「結局時崎狂三がいなくなるまで解除しやがらなかったですね」

「だって、私精霊を護る精霊だもーん。狂三ちゃんだって例外じゃないよぉ。例外は零奈だけだもん」

「まっ、いいですが。見た限り分身体のようでしたし」

「だったらここで暴れんじゃないわよ。てか、狂三が探してたの二亜じゃないの?」

「うん、そうだねぇ。この世界じゃお探し中だしぃ」

「そ。あっ、そう言えば結局千花は六喰に協力してもらって何したいわけ?零奈探すの?」

 

七罪はそういえばと今更ながら六喰の協力をお願いしたい理由を聞く。先ほどのカクカクシカジカはこれまでの経緯で、今後の方針は話していなかった。そのため、七罪は千花が何を考えているのか知らない。一応話の流れ的に零奈と戦うのはわかっているが、戦闘は千花がやってもいいと言っていたことからも六喰には他の何かをしてもらうのは察していた。

 

「うん。二亜ちゃんの居場所探しだねぇ。片っ端からDEMの施設回るとなると六喰ちゃんの協力が必要だしぃ」

「あー、そういう事ね。二亜ねぇ……あいつ外出んのかしら?」

「ふぇ?」

「ん、こっちの話。でも、そっか。あいつ見つけても外出すのに苦戦しそうよね」

「苦戦?DEMから連れ出すのがですか?」

「そ。あいつがどこの施設にいるのかは知ってるけど……」

 

七罪は言いづらそうに曖昧な言い回しをする。

二人からしたらなんで居場所を知ってるんだという話だが。

 

「二人はシルブレが今どうなってるか知ってる?」

「ん?休載してるんじゃないのぉ?二亜ちゃん捕まってるんだしぃ」

「シルブレってなんですか?」

「二亜の描いてる連載漫画よ」

「なるほど。描いてる?描いてたではなく?」

「そ。今も連載中よ。最初の数か月は休載してたけど、突然再開して今も続いてる」

「てことは、まさか」

 

千花はこの段階でおおよその見当がついてしまった。二亜が今どうしているのか。なんで七罪が言いよどんだのか。

 

「二亜ちゃん、なぜかDEMに手厚くもてなされるってわけねぇ」

「そういう事よ。だから、わざわざ元の暮らしに戻れると言われても戻るわけもない」

「でもそれってぇ、明らかに企んでるよねぇ。あの社長さんも齟齬が起きてない限りは精霊の反転が目的のはずだしぃ」

 

色々と発生している祖語でウエストコットが善人にでもなっていない限り二亜に何かする可能性が高い。そもそも、DEMに幽閉されていた時点で黒なわけで、尚且つ以前にエレンたちにも襲われているので善人のわけもない。

 

「一番あり得るのは二亜が絶望する条件をなるべく多くしようとしてるってとこよね。多ければ多いほど絶望した時もまた大きくなって反転する可能性が高まる」

「つまりその前に二亜さんを見つけて連れ出すと」

「正直私一人じゃあってもどうにもなんないしこのまま流れに任せようと思ったけど、二人が来たんならまぁ連れ出すのもありか。連れ出した後は琴里たちに丸投げすればいいだろうし」

「丸投げでいいんですか?」

「いいんじゃないのぉ?二亜ちゃんに色々情報貰ったら、琴里ちゃんたちに任せるのが無難だろうしぃ」

 

二亜の<囁告篇帙(ラジエル)>で零奈の情報をもらえればそれ以上は二亜に無理は言えない。例えば、それ以上の干渉を嫌えば無理にパーティーに率いる気はなく、自由に暮らしてもらっても構わない。ただ、一人にするとDEMにまた襲われる可能性もあるので二亜の事を琴里たちに話すのも手ではある。

しかし、七罪は千花がただ単に霊力封印させるだけで琴里たちに話すとは思っていない。

 

「と言いつつ本当のところは?」

 

なので、千花の考えを聞いておこうと問う。

 

「二亜ちゃんの攻略に入ってくれればその間はこっちに干渉しないかなぁって。さすがに複数人の同時攻略はしないだろうしぃ。狂三ちゃんの時はただ単にトリプルブッキングしちゃっただけでしょぉ?」

「そういえば兄様トリプルブッキングしてやがりましたね。そうそう起こらねーもんだとは思いますけど」

「ん?この世界の折紙って士道に会ってないからそのイベントこっちで起きてないんじゃないの?」

「あ、そういえば」

 

すると、七罪は首を傾げた。

話題に出たトリプルブッキングデートだが、あれは十香と折紙と狂三のデートが被ったもので、この世界では折紙はまだ指導に会っていないからトリプルブッキングは発生しないはず。

 

「度々でる折紙さんとやらは謎ですが、トリプルブッキングは起きてますよ。四糸乃さんが兄様を誘っていて、引くに引けなくなったとか」

「ほぇ。そこも歴史の修正力が働いちゃうんだねぇ」

 

結局トリプルブッキングは起こっていることから変なところで変化がない場合もあり、意味が分からないと思いながらも直接関係するわけもないからその話を広げるのは止める。

 

「それで、方針としては六喰の説得したら二亜に会うでいいのよね?」

「うん。てことで、さっそくぅ」

「その前に棚直しなさい」

「ふぇ?」

 

何故ここでそんななしになるのか首をかしげると、真那はバツが悪そうな表情をした。

 

「私言ったわよ?壊したら連帯責任って。そもそも、千花があんな止め方したのが原因なんだから」

「えー。真那ちゃんが突っ込んだだけじゃん」

「その原因は千花がいきなり止めたからでしょ?二人の間に割って入って止めれば済んだのに」

「そんな危ない方法で止めるの怖いじゃん!」

「それは知らないわよ。とにかく直す。いいわね?」

「はーい」




次回はたぶん年末か年始に
では~
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