デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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放置してたけど七罪ちゃんの誕生日だから、どうにかこうにか間に合わせたー!?
偶数話だからいつも通り、途中のセリフをサブタイに。



10話 「あっ、その手があったか」

「って、なんで真那ちゃん食べてるのぉ!?」

 

なぜか<死之龍>が真那を丸吞みにしているという光景に千花は声をあげた。

なにをどう考えたら真那を食べるという事になったのか全く分からない。心聴きをしようにも、サマエルはある意味自分自身みたいなところもあるからできず、そんな訳でサマエルの思考は読めない。

 

「ぺっ」

「ふげっ」

「真那ちゃん出てきたぁ」

 

そして、サマエルが口に含んだ真那を吐き出すと、真那が地面に尻餅をした。真那自身もいきなりすぎて困惑した表情。それは零奈たちや七罪たちも同様。

 

「意味が分からないから死んで」

 

サマエル自身の行動はわからないが、真那を吐き出したという事は真那に何かをしたという事で、その何かはおそらく零奈にとっては都合が悪い何か。そのため、零奈は真那に接近して剣で切り裂こうと振るう。

襲い来る零奈の姿を認識すると、真那は小さくその名を呼ぶ。

 

「<月華狩人(サリエル)>」

 

そして、零奈の剣が真那に届くことはなかった。

真那の手に握られた大鎌に弾かれたから。

 

「……何その天使」

「<月華狩人(サリエル)>。真那専用の天使だそうですよ」

 

自分が持っている天使と魔王以外の新たな天使に困惑を隠せない表情の零奈。

そもそも、先ほどまでは真那から一切の霊力を感じすらしていなかった。それこそ、真那が<月華狩人>を顕現するその瞬間まで。

 

「サマエルゥ~、天使というか霊結晶(セフィラ)持ってきてないんじゃなかったのぉ?」

生命の樹(セフィロト)の十天使はね。<月華狩人(サリエル)>はこっちの世界に存在しないからいけるし。まぁ、真那専用だから真那以外には無理だけど」

「さいですかぁ。じゃぁ、凛祢ちゃんとかの天使もみんながいないから無理かぁ」

「無理だよ。というか、<死之果樹園(サマエル)>と<月華狩人(サリエル)>あればどうにかできるでしょ?」

 

というわけで、零奈に対抗できる戦力が増えた。さすがに<ヴァナルガンド>では二十の天魔を相手にするのは厳しかったのでちょうどよくはあった。

 

「でもぉ。これでもまだ厳しい気がするけどねぇ」

「それでもなんとかして」

「はぁーい。真那ちゃん、いけるぅ?」

「一応は。なぜか喰われた一瞬で頭に使い方は入ってきましたので」

「あっ、その手があったか」

 

<死之龍>に丸呑みにされた一瞬で真那の中に<月華狩人>の霊結晶を入れたことで真那の精霊化ができた理由。ついでに食べた一瞬で<記憶樹>の効果を付与して使い方も真那にインプット済み。ただし、本当に真那の中に霊結晶を入れてしまうと回収が困難になるため、そのあたりの布石はすでに準備済みだからその心配はいらない。

とりあえず、この場に霊力を枯らせられる<死之果樹園>と霊力を喰らう事ができる<月華狩人>という、ある意味対精霊戦向きな二つの天使がいる状況。

 

「りょうかーい。なら、ガンガン行くよぉ!」

「ええ」

 

言って千花は地面を強く踏みしめて零奈に向かって飛び出す。まっすぐ直線状に突っ込む千花を止めようと分身体が進路上に来るがそんなのお構いなしに<死之果樹園>を振り回して吹き飛ばす。

 

「力任せかっ!」

「いえーい」

 

急な戦闘スタイルの変更に零奈は歯噛みをするもすぐに切り替え、複合天魔の羽を光速で飛来させる。

 

「<月華狩人(サリエル)>――【理解(ビナー)】――【一の弾(アレフ)】」

 

しかし飛来させる直前に真那は能力を発動させ、<月華狩人>に触れると同時に一瞬で千花の側に移動してそのまま羽を全て弾き飛ばす。

 

「さっすがぁ。<刻々帝(ザフキエル)>の加速能力だねぇ」

「なるほど。確かにこれなら翻弄され続けたのも納得ですね」

 

真那は今までずっと苦労させられ続けた狂三の天使の能力に呆れた表情をする。文字通り加速。それも自身の動く速度だけでなく思考速度すらも加速していることにも。思考速度すらも加速しているのならば今の今まで戦闘中に後手に回らされていたのにも納得がいく。納得したくはないが。

攻撃されてからでも十分余裕をもって対応できるのならば攻撃が当たらないし、攻撃後にどの攻撃をすればより対応がしづらいかも考えられる。

 

「千花、私の封印解除できる?正直封印状態じゃ足手まといもいいとこだし」

「たしかにぃ。逆によくあの数の天魔を前に生きてたねぇ」

「暢気すぎ。でっ、できるの?できると踏んでるんだけど」

「時間制限ありならできるよぉ」

 

七罪は千花に聞き、千花もさも簡単そうにそう言った。限定霊装出力で今の今まで零奈に立ちまわれていたのが不思議なレベルだが、その辺りは七罪だからで片付ける。七罪の観察眼と状況判断能力的にできなくもない。

 

「というわけで、七罪ちゃんの要望に応えるためにも、私たちも本気出してくよぉ。真那ちゃんと六喰ちゃんはその間対応よろぉ」

「気楽に言ってくれますね」

「逃げていいとか言ったのに戦えというんじゃな」

「千花が本気を出すなんて珍しい」

「だって、長期戦にしたら面倒事増えそうだもーん。それに<死之果樹園(サマエル)>だけじゃ無理だしねぇ」

「だね。行くよ」

「『<死之果樹園(サマエル)>――<死之龍(サマエル)>――【龍園(ドラゴ・ノート)】』」

 

千花が二つのサマエルを一つにあわせて一つの薙刀にする。それと同時に千花の霊装も黒と白の配色から、黒と白と紺の配色に変わる。

 

「【複合(コネクト)】した?いや、それだと霊装が変わる説明が」

「【複合(コネクト)】みたいなものだけど、微妙に違うよぉ。まぁ、いっかぁ。<死之龍園(サマエル)>」

「ルビ変わってな……なっ!」

 

千花が二つのサマエルを薙刀にして且つ霊装が変わったことに零奈は疑問に思うが、そんなのよそに千花は七罪の側によるとそのまま<死之龍園>の峰を七罪に当てる。七罪は七罪でまたサマエルの漢字の部分が変わってることに突っ込むが途中で急に自身の霊力があふれ出したことで驚きの声をあげる。同時に自信が纏っていた限定霊装から魔女の完全霊装に変わる。

<死之龍園>を当てたことで能力が発動して、本当に七罪の霊力封印が解除されたらしかった。

 

「(といっても、感覚的に本当に時間制限ありみたいね)」

 

ただし、七罪の感覚的に霊力の箱にかかっていた鍵(オートロック)を開けて箱を開けただけで、箱を閉じたら自動的に鍵がかかるような状態だった。

なので士道にまた封印をしてもらうようなことはしなくて済むことに半分安堵。士道に面倒を増やさずに済む安堵半分、士道とのデートのチャンスを一回無くした残念半分だが。

 

「それでぇ、七罪ちゃんは何企んでるのかなぁ?わざわざ完全霊装にしてぇ」

「さっきも言ったけど、限定霊装出力じゃきついだけよ」

「そういう事にしといてあげるぅ。種あげるから頑張ってぇ」

 

千花はそう言って七罪にいくつかの種を渡すと、とっとと零奈の方に行く。実際は七罪に心聴きして何のために封印を一時的に解除させたのかわかったからだが、とりあえず問題はなさそうだからそれ以上の追及はしなかった。

 

「君はあれが何なのか知ってるの?」

「知らねーですよ。知ってるのは、真那にとって敵ではねーってことだけです!」

「むくもなのじゃ!というか、逆にむくが聞きたい」

 

千花と七罪がやり取りしてる間、真那と六喰は零奈を相手取っていた。ただ、分身体がいる以上、普通の方法ではすべて捌き切るのは不可能。二対数十なわけで。

その数的優位をどうにかしているのは、普通じゃない方法。

 

「それにしても同じことされるのは厄介だね」

「そうですか」「それはまぁ、真那によくわかりますよ」「でしょうね」「というか、便利すぎやがりますね」

「むく目が回るのじゃ」

 

零奈同様真那もまた【八の弾】の能力で過去の分身を複製して数の優位を覆した。ただし、真那は精霊化してまだ数分なので切り取れる数にも限界がある。加えて、<刻々帝>は霊力消費が激しい問題、<月華狩人>の天使能力コピーの制限時間と長期化は望ましくない。

それでも、真那たちの方がある意味優位には立てていた。

<月華狩人>の能力で分身体の霊力を狩り取り吸収すれば霊力は回復するので分身体が分身体を狩れば回復する。そして、分身体は<刻々帝>の能力=<刻々帝>の霊力で駆動しているから<刻々帝>の霊力が手に入るわけで【知識】の能力が発動し続けられる。

 

「永久機関だねぇ」

「おや、準備完了ですか?」

「うん。七罪ちゃんは完全状態だよぉ。それにしても、やっぱり真那ちゃんだけで十分じゃない?」

 

周囲でバトッテいる零奈と真那の分身体の光景を見て千花はつぶやく。真那の分身体はやられているのもいるが、零奈の分身体を倒せているので数的問題はどうにかなっている。このままなら零奈の霊力が尽きるのが先なのは目に見えている。それこそ、さらにややかしくなることをされない限り。

 

「君の天使の能力わかったよ。私の霊力を吸収することで能力が使える。そして、制限時間付き」

「げっ。なんで、速攻でばれてんですか」

「<囁告篇帙(ラジエル)>を分身体が使ったんじゃないのぉ?」

「ずりーですね」

「てことで<刻々帝(ザフキエル)>――【一の弾(アレフ)】」

 

零奈は一の弾を放つ。

なぜか、加速する弾を真那に向けて。

それも、ありえない速度で飛んできて<月華狩人>での吸収も間に合わずに真那に当たる。

結果、真那の【知識】の効果が切れる。

零奈がしたのは【一の弾】を同時に放ち、【一の弾】を加速させた。それによって、仮に真那が【一の弾】で加速していても、結局【一の弾】で加速していない時の弾速と変わらないので間に合わなかった。

そして、真那にかかっている【知識】の効果が加速して切れてしまった。結果、真那の加速と分身が消滅する。

 

「なら、またかければ」

「<変刻魔女(バアル)>」

「えいっ!」

 

ならばと真那はもう一度使おうとすると、いつの間にか左手の剣握られた<変刻魔女>から放たれた光が真那の身体を包む直前に千花が間に割り込んで<死之龍園>を振り下ろして光の効果を枯らせて無力化する。

 

「真那ちゃん。しばらく【知識(ビナー)】は止めておきなぁ。ただでさえあれ霊力以外も持っていくんだからぁ」

「確かにそうですけど。でも、数圧倒的不利ですよ?」

「わかってるけど、時間を使いすぎるのはダメだよぉ。ただでさえ、真那ちゃんの時間は少なくなってるんだからぁ」

 

【知識】の再度の使用を千花に止められる。

実際、千花が言った通りやっていることは<刻々帝>の能力のコピー。そのため、霊力と同時に時間も使ってしまう。ただでさえ真那は魔力処理の影響で寿命が縮んでいるのでそこに<刻々帝>の能力コピーで追加で消費してしまうわけにはいかない。

ただしそうなると、これで数的に零奈の方が有利になってしまうのが現状。

 

「わかってますけど、いい方法はおありで?」

「さてぇ。数は圧倒的に不利だけど、どうするぅ?」

「質問を質問で返さねーでください。なにかねーんですか?分身するとか、能力消すとか」

「分身は無いねぇ。さすがにあの数はずるいよねぇ」

 

襲い来る零奈の攻撃を天使で捌きながら会話する二人。

普通に会話されていることに零奈は苛立つが、ずっとこの調子なので何か言う気はもう無かった。

 

「七罪ちゃんのあれいければワンチャンあるかもだけどぉ」

「七罪さんの?」

「そぉ」

「六喰。【(シフルール)】お願い」

「任せろなのじゃ!」

「させないよ」

 

そう言ってるうちに七罪たちも次の段階に動く。

六喰の<封解主>を七罪に突き立てようとするが、零奈もまた何かさせるのを赦す気も無く二人に接近する。

しかし、その分身体の邪魔を千花がして、六喰は七罪に<封解主>を突き立ててそのまま回し、七罪に【放】を発動させる。

それによって七罪の中の霊力が増大化する。

 

「ありがと」

「どういたしましてなのじゃ。ついでにむくも」

 

七罪が六喰に礼を言うと、六喰も物のついでとばかりに自分に【放】をかける。

結果、六喰の<封解主>が錫状から矛状へと、霊装もまた形状を変える。

 

「あっ!私も六喰ちゃんに【(シフルール)】かけてもらえばよかったぁ!」

「むくがかけるのは七罪だけじゃ!千花の事なんて知らぬ」

「ちぇ~。六喰ちゃん物のついでくらいの気持ち出かけてくれればいいのにぃ」

「間違えて【(セクヴァ)】とか【(へレス)】かけるかもせぬぞ?」

「うわぁ、どんな間違え方よ……」

 

七罪は六喰と千花の会話を聞いて小さくツッコみを入れると、攻撃してきた零奈の分身体の攻撃を回避する。そして、

 

「<贋造魔女(ハニエル)>!」

 

その分身体を踏み潰すと、その辺にいた木人形に<贋造魔女>の先端を向けて光を放ちそのまま木人形の一部を変える。

 

「え?」

 

木人形の腕がツタから<鏖殺公>に変わり、零奈に襲い掛かる。まさかの一部を天使に変えさせるとは思っておらず、零奈は驚きの声を漏らす。

これが七罪の考えた零奈への対抗策。本人よりは劣るも、普通の木人形よりは強く、尚且つ限定霊装出力の天使の力は期待できる。

他の木人形も【穿つ者】だったり【縛る者】に腕を変え、零奈に襲い掛かる。

ただし、限定霊装出力の天使と十全に使える天使ではその差は圧倒的で最初は天使の複製に焦った零奈だったが、さして脅威ではない(真那の分身と比べると)と判断すると瞬く間に木人形を倒してしまう。

 

「千花なんかないのか?こんなのじゃ決定打にかけるぞ」

「知ってるけどぉ、どうしろって言うのぉ!」

「やはり真那がまた<刻々帝(ザフキエル)>を使うしか」

「こうなると、うーん」

「千花。少し準備するからその間完璧に護ってよ」

 

やはり付け焼き刃の木人形の天使武装では決定打に欠ける。

零奈の分身体を相手にするのなら、やはり真那が分身体を出すしかない。しかし、それはやはり皆の心情的にもやりたくはない。真那にかかる負担を理解しているゆえに。

そうなると、取れる選択肢はあまりなく、七罪は千花にそう言った。

 

「いいけどぉ、ほんとにやるのぉ?てか、使い方知ってるのぉ?」

「知らないからぶっつけ本番よ」

「りょうかーい」

「何やるつもりですか?」

「なんでもいいから、どうにかしてほしいのじゃー!」

 

零奈本体と分身体が襲い掛かる状況なので、そこまでのんきな会話をしている余裕もなく、六喰は悲鳴じみた声をあげる。

零奈も七罪たちの会話を聞いていたから、七罪に攻撃を集中させようと、分身体が集まりだす。

 

「ていっ!」

 

そんな分身体に薙刀を振り回して千花は七罪のお願い通り零奈の相手をする。本体は千花の攻撃を喰らったらアウトだから遠くから複合天使の霊力の斬撃などの遠距離攻撃を繰り返すため、やはり決定打に欠ける。

本体が来ないのならまだ何とかなり、そして七罪の準備が完了し、次の瞬間周囲の景色が一変する。

 

「<贋造魔女(ハニエル)>――【千変万化鏡(カリドスクーペ)】」

 

七罪を起点に周囲の地面から膨大な量の樹のツタが生えてくるという形で。

 




次回、たぶん最終回(唐突)
いつかは不明ですが
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