デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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今回は二話同時更新です。


5話 ラタトスクの真実?

七罪が<ラタトスク>の所有している施設から脱出して二日が経った。

この二日間は、近くで空間震も起こらず、七罪と会うこともなかった。

で、士道たちは今、来禅高校にいて、今は昼休みだった。

この二日間七罪の捜索がなされていたが、一切の成果が無かった。

(結局、変身計画だけじゃ、七罪の不安は扶植し切れなかったんだよな)

 

「……道君」

 

(七罪はこの世界にほとんど馴染んでいるから生活には問題は無いと思うが、隣界に飛ばされては空間震を起こしてしまうので、どうしたものか)

 

「ねぇ、士道君てばぁ。ていっ」

 

考えに耽っていたせいで、千花が呼んでいるのにも気づかなかったことで、口の中に無理やり弁当のおかずを入れられた。

とりあえず士道は咀嚼する。

 

「もう、七罪ちゃんが心配なのはわかるけど、今は普通でいよぉ?」

「あぁ、そうだな。悪い」

「それに七罪ちゃんなら大丈夫でしょぉ?」

「まぁ、次会ったら、ちゃんと話はしたいな」

 

士道は自分の頬を叩き、気を取り直すと食べている途中だった弁当に手を付けた。

 

 

 

~☆~

 

 

 

学校が終わり、二人は家に向かって歩いていると、突然横から誰かが士道に向かって突っ込んできた。

 

「士道。やっと、見つけたわ」

 

士道に突っ込んできたのは、黒いリボンを付けた琴里だった。

 

「こ、琴里?一体どうしたんだ?」

「わぁ、琴里ちゃん大胆だねぇ」

 

士道と千花がそれぞれ、そんな反応をすると、慌てているのか琴里は早口に言う。

 

「大変よ。実は、七罪がASTにやられてしまったの」

「は?」

「ん?」

 

話を聞くと、つい先ほど七罪が静粛現界して、歩いていたところをASTの隊員に見つかり、ASTに囲まれたらしい。で、そのままやられてしまったと。

士道は話を聞き、真那に連絡しようと、バッグから携帯を出そうとすると、

 

「ギリギリのところで、助けられたんだけど、重症なの。付いてきて」

 

琴里は急にそう言って走り出したので、士道は連絡を諦めて、二人はついて行く。

少し、走ったところで、周囲に何もない廃工場に着く。

 

廃工場の中に入って、辺りを見回すが、ほとんど何もなかった。

 

「ここは?」

「ふふっ。ほんとバカね、士道。まさか、ホイホイと着いてくるなんて」

 

そう言いながら、琴里は扉を閉める。

 

「琴里、これは一体。七罪はどうしたんだ?」

「七罪はここにはいないわ。私たち<ラタトスク>の本当の目的はね、精霊の霊力を抜き取り、それを利用して、世界を牛耳ることよ」

 

唐突に告げられた、<ラタトスク>の真の目的。

士道たちはそんなことを信じられず、聞き返す。

 

「なんで、急にそんなことを言うのぉ?今までは私たちに隠してきたのにぃ?」

「それはね。ここであなたたちは死ぬからよ」

「なんで、急にそんなこと言いだすんだ?」

「だって、七罪の霊力を全て抜き取って私が戦えば、精霊を捕らえるのはたやすいからよ。あなたたちはその障害になりそうだから先につぶすまで」

 

琴里がそう言うと、和装のような霊装を纏う。

そして、<❘灼爛殲鬼《カマエル》>をこちらに向ける。

 

「さぁ、今どんな気分?最愛の妹に殺されそうになっている気分は」

 

琴里はそう言いながらじりじりと距離を詰める。

 

「そうだな。はっきり言って、最悪な気分だな」

「うん、まさか、この前突然抱きついたことを根に持っていたなんて……ごめんねぇ」

 

士道は今の気持ちを吐露し、千花は今の状況とは的外れなようなことを言っていた。

 

「そうよ。あの時のことは忘れないわ」

 

千花の言葉に対して、琴里はそう言った。

(ん?おかしくないか?)

 

「なぁ、おまえ本当に琴里なのか?」

「何言ってるの?妹の顔を忘れるなんて、脳細胞死んでるんじゃないの?」

 

琴里はこの状態で罵って来た。そこで気づいた。よく考えたら琴里の封印した霊力が琴里に流れた感覚が無かったことに。

そして、もう一つ、あることを思い出した。

 

「なぁ、こんなの止めないか?琴里……いや、七罪」

「ッ!……何言ってるの。七罪はASTに襲われて、今は<フラクシナス>の中よ」

「まぁ、そう言うよねぇ。でも、分かってるからぁ。だって、私まだ琴里ちゃんには抱きついたこと無いんだぁ。なのに、さっき抱きつかれたって言ったよねぇ?」

 

琴里は、ハッとした顔になると、うつむく。

そして、琴里の姿が光に包まれオレンジのT‐シャツの上に黒いパーカー、紺のスカートという恰好の本来の七罪の姿になる。

 

「はぁー。そうよ、私は七罪よ。よくわかったわね。参考までに、いつから分かっていたの?」

 

諦めた顔をした七罪は士道に問う。

 

「俺はついさっきの、抱きつかれたと、言ってた辺りからだな」

「そう。で、あなたの方は?それより前から分かっていたわよね?」

 

続いて、千花に問う。

士道もいつから千花が気づいていたのかは気になった。

 

「私はねぇ。士道君に琴里ちゃんが突っ込んで、その後に話を聞いた時だよぉ。だって、カバンから携帯を出すふりをして、確認してもらったんだぁ。ねぇ、鞠亜ちゃん」

「「え?」」

 

千花の答えは士道の予想の斜め上を行っていた。

(それって、割と最初から?)

そう言いながら、千花は携帯を出し、スピーカーを最大にする。

 

『はい、私はすぐに<フラクシナス>に確認し、琴里はそこにおり、何もないことを確認したら、すぐに千花の携帯に戻り、文章の形で伝えました』

 

辺りに鞠亜の声が響き、七罪も驚いていた。

 

「じゃぁ、なんでここに来たの?気づいた時に言えばよかったんじゃ?」

「それはねぇ。七罪ちゃんの目的がよくわからなかったからだよぉ。まぁ、もう一つあるけどぉ。……それよりも、ここを離れるよぉ。どうやらここにASTが向かっているみたいだからぁ」

『そうです。七罪の霊力がASTに見つかり、今こっちに向かっています』

 

千花と鞠亜はそう言って、廃工場を出るように促す。

士道たちが出ようとすると、七罪はその場にただ突っ立っていた。

 

「おい、七罪。早くここから出るぞ」

「……」

 

七罪に声をかけるが、反応が無かった。

七罪を置いていく気もなかったので、七罪のもとに行くと、七罪を背おう。

 

「な、なんのつもり?私は二人を殺そうとしたのよ?なんで、助けようとするのよ」

「そんなの、七罪を置いて行きたくないから。それに、ただ試しただけだろ?それだけ、だ!」

 

そう言いながら、大きくジャンプしてその場を離れる。

すると、ついさっきまでいた位置に銃弾が当たる。

そして、天井を破壊して、ASTが現れる。

 

「予想より早いねぇ。早く逃げるよぉ」

「あぁ、今行く」

 

そう言いながら、廃工場を出るが、ASTは追いかけてくる。

 

「そこの少年、止まりなさイ。撃つわヨ」

 

ASTの一人が警告してくる。そのASTはこの前千花にやられた人だった。

 

「さっき、撃っただろ。今更だぞ」

 

そう叫びながら返すと、広い所に出る。

 

「総員、面倒だから、あの少年ごと撃ちなさイ。後で精霊に襲われたってことにすればいいワ」

 

さっきの警告してきた人が平然と言う。

しかし、他のAST は戸惑って攻撃をしない。

 

「ちっ、これだからASTハ。面倒ネ。なん私ガ。これもアダプタス2が何処かに行ったせいヨ。もう私一人でやるワ」

 

そう言って、銃を向け、発砲する。

士道は回避しようとするが、随意領域によって阻まれる。

そして、銃弾が当たると思った瞬間、銃弾が別の随意領域によって阻まれる。

 

「はぁ、全くジェシカは。その短気は直すべきだと教官にも言われていたじゃねーですか。それに一般人に手を上げるとは……見損ないましたよ」

 

何処かから声が聞こえ、声の方を見ると、青と黒のCRユニット<ヴァナルガンド>を纏った真那がいた。

 

「真那、どうしてここに?」

「はい、鞠亜さんから連絡を受けて、急いで飛んできました。今のうちに退避を。ここは私が受け持ちます」

「でも、危険すぎる。この人数差は」

「平気だよぉ。あのCRユニットは<フラクシナス>にあった物を、さらに私が改造したから。それに、真那ちゃんとあの装備なら問題なく戦えるよぉ」

「千花さんの言う通りです。ここは私に任せてください!」

「……分かった。だけど、危なくなったら、俺たちに気にせず逃げろよ」

「はい、了解しやがりました!」

 

二人の言葉を聞き、士道は渋々承諾して走り出す。

 

「さて、ここからは私が相手をしてあげますよ」

 

真那はそう言って、ASTに突っ込んでいった。

ジェシカ・ベイリー、DEMに真那が居た頃はアダプタス3だった人間。とにかく短気だったが、仕事はしっかりこなすタイプの人間で、意外と長い付き合いではあった。

 

「長い付き合いだからと言って、手は抜かねぇですよ」

「私もヨ。それに、ウエストコット様を裏切ったのなら、確実に消さないとネ」

 

そう言って、二人はぶつかる。

 

他にいた魔術師は、士道たちに会う前にもうスラスターを破壊して、無力化してあった。

だからこそ、ジェシカに集中して戦える。と言っても、そんなに時間をかけるつもりも真那には無かった。

真那は右手についているブレードを振り、ジェシカはレーザーブレードでガードする。その状態で、力を加えて押し込むと、ジェシカはスラスターを噴かせて、距離を取る。

が、真那も一気にスラスターを噴かせて、ジェシカに接近する。

 

「もう終わらせますよ」

 

そう言って、ブレードをもう一度振るう。

ジェシカは随意領域を張って身を護ろうとするが、ブレードに触れると随意領域を切り裂き、そのままレーザーエッジごとジェシカの身体を切り裂く。

 

「クッ」

 

ジェシカは短い苦悶を漏らし、腰にあったもう一本のレーザーエッジを振り抜くが、随意領域で受け止めると、左手に装備した巨大な銃のような武器を向け、魔力の弾を打ち出す。

弾がジェシカに当たると、そのまま地面に落ち、地面に叩き付けられる。

 

「クハ……ッ」

 

ジェシカは地面にぶつかった衝撃で再び苦悶を漏らす。

ジェシカのそばに寄ると、ブレードを向けて言う。

 

「勝負ありですよ。それとも、まだやりますか?」

「マナ……しかし、時間は、稼げたワ。今頃、あいつらは、あれにやられた頃ネ……」

 

ジェシカは言うだけ言うと、気絶した。

 

「あれとは一体?急がなくては」

 

真那は、急ぎ兄様たちの元へ行くために、一気に飛んだ。

 

 

 

~☆~

 

 

 

真那と別れて、数分が経ち、立ち止っていた。

別の広い場所に着くと、そこには一体の機獣がいた。

 

「白虎、まだあったのか」

「だねぇ。といっても前より一回り小さい気もするけどぉ……」

 

士道たちの前にいるのは、いつしかの『白虎』なのだが、何故か三メートルほどの大きさだった。

そう言うと、士道の背中から降ろされた七罪は聞いた。

 

「なに?あれを知ってるの?」

「あれは、DEMの所有する無人兵器だ。と言う訳で七罪は逃げろ。あれの狙いはお前だ!逃げ切る時間ぐらいは稼ぐ」

 

士道は警戒しながら、七罪に逃げるように促す。

七罪は心配しているのか、士道たちを見ていた。

 

「え?でも、あなたたちは?」

「大丈夫だよぉ。私たちが普通の人じゃないことは調べがついているんでしょ?」

「……分かったわよ」

 

そう言って、七罪は走っていった。

士道と千花は七罪が離れたのを確認すると、向き合う。

 

「さて、七罪が逃げ切るまでは相手をしないとな」

「そうだねぇ。来て、<死の果樹園(サマエル)>」

 

千花はそう言うと、頭にヘッドセットを、服の袖や裾に霊装の一部を顕現させ、手に<死之果樹園>を持つ。

 

「士道君はできるだけ<灼爛殲鬼(カマエル)>を使わないでねぇ。ただでさえ、体がぼろぼろになるし、私の植物を燃やしかねないからぁ」

「そうだよな。……でも、炎を出さずに<灼爛殲鬼>を振るえばいいだろ?」

「……わかったぁ。じゃぁ、私はあれのタゲを取るから、隙を見て攻撃してねぇ」

 

そう言いながら、飛び出す千花。

 

「来てくれ!<灼爛殲鬼(カマエル)>」

 

士道も<灼爛殲鬼>を顕現させる。

千花はポケットから八個の種を出すと、

 

「最初から飛ばしていくよぉ。<死之果樹園(サマエル)>――【成長(グロウ)】、【木人形(ツリードール)】、【速樹(プラント)】」

 

そう言って、種を地面に撒き、<死之果樹園>を地面に刺す。

すると、種が一気に成長し、【速樹】を手に纏った【木人形】が四体現れる。

そして、【木人形】達が一気に白虎に襲い掛かる。

白虎は前足のクローで、【木人形】に攻撃するが【速樹】をうまく扱ってガードし、その隙間を縫って、別の【木人形】が攻撃をする。

しかし、【木人形】の攻撃は白虎の装甲に弾かれるか、回避されてしまう。

 

「うーん。やっぱり硬いなぁ。あれが使えればよかったんだけど、限定霊装の状態じゃ無理だしなぁ」

「なら、俺が攻撃に専念するか」

 

士道はそう言いながら、白虎の足に<灼爛殲鬼>を振るう。

しかし、白虎の装甲に当たる瞬間、随意領域でガードされてしまう。

 

随意領域(テリトリー)か……」

「【木人形(ツリードール)】はガードしなかったのに、<灼爛殲鬼(カマエル)>はガードしたってことはそう言うことだよねぇ。なら、張る余裕もなくせばいい!」

 

千花はそう言いながら、【木人形】に再び攻撃させる。

そこからは、【木人形】にタゲを取らせ、士道が攻撃していった。

何回か、装甲に当たるが元が固く、へこませる程度しかできなかった。

そして、千花は何か策があるのか、いたる場所に種を撒いていた。

すると、交戦していた白虎が撒いた種の上に来た。

 

「来たぁ。<死之果樹園(サマエル)>――【成長(グロウ)】、【剣木(ソードツリー)】」

 

千花は<死之果樹園>を地面に突き刺し、そう言うと、白虎の足元から先端の尖った木が伸び、白虎の装甲に突き刺さり、【速樹】で絡めとり動きを止める。

 

「<灼爛殲鬼(カマエル)>――【(メギド)】」

 

士道は、<灼爛殲鬼>を【砲】形態にする。

 

「士道君、今だよぉ」

 

千花が叫ぶと、士道は<灼爛殲鬼>を白虎に向けて放つ。

 

「いっけー」

 

<灼爛殲鬼>から出た火焔の砲撃がまっすぐに飛んでいき、白虎に当たると思った瞬間、随意領域で火焔の砲撃をガードするが突き抜け、【剣木】と【速樹】もろとも白虎を包む。

しかし、威力が弱まったのか、前よりも装甲の強度が上がっているのか、多少装甲の一部が少し焦げ、もろくなった程度で、白虎は無事だった。

 

「これでもダメなのか?」

 

<灼爛殲鬼>を連続で使ったことで、士道はだいぶ疲労していた。

そして、【剣木】と【速樹】の拘束から抜け出した白虎は、千花よりも士道を危険と判断したのか、士道の方を見ると、装甲から大量のミサイルを放つ。

 

「士道君。逃げてぇー」

 

千花の声が聞こえ、回避しようとするが、士道は天使の使用による疲労がでかすぎて、その場を動けなかった。

そして、士道の視界にたくさんのミサイルが広がった。




注意ですが、七罪が言っていたラタトスクの話は、七罪の考えたそれっぽいことであって真実か否かは七罪自身知りませんので。
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