デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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4話 友と鳥と戦場で

「では、そろそろ選定の儀を始めるとするか」

「開始。では、答えを聞きましょう」

 

士道たちが水族館の入り口に戻ってくると、耶倶矢が待っており、近くの広場まで行くと、二人がそう言って、ついに始まった。

耶倶矢と夕弦はまるでデートの最後に言ったことなど無かったかのように、あっけらかんとしていた。

 

「そうだな。俺の考えた選択を言うか。俺の選択は――」

 

ウゥゥゥゥゥゥ――――

 

士道が選択を言おうとした瞬間、辺りに空間震警報が響いた。

周りにいた人たちは、一斉にシェルターに避難し始めた。

士道たちは避難せずに辺りを見回す。

 

「まさか、新たな精霊が来るっていうのか?」

『いえ、違うわ。空間震の前震は感じなかった。つまりそう言うこと。来るわよ、ASTだのDEMが」

 

士道が警報に疑問を持つと、琴里がそう言い、士道は空を見上げる。

そこには、たくさんの人影がこちらに向かって飛んで来ていた。

よく見ると、全て同じ形の機械の人形だった。

 

「あれは、バンダースナッチか?」

「ふむ、せっかく我らの未来の道が決まるという時に、とんだ横槍が入ったものだな。選定は後にする。よいな?」

「憤慨。邪魔しないでほしいものです。耶倶矢、私もそれでいいです。終わったら結果発表です」

「だね。なら、やっちゃお。<颶風騎士(ラファエル)>――【穿つ者(エル・レエム)】!!」

「呼応。<颶風騎士(ラファエル)>――【縛める者(エル・ナハシュ)】」

 

二人は霊装を纏うと、その手にそれぞれ槍とペンデュラムが握られる。

そして、二人はバンダースナッチを撃墜しに飛んで行ってしまった。

 

「俺はどうするかだな。さすがに飛べないし、千花たちはどこ行ったんだろ?琴里分からないか?」

『ん、と……駄目ね。連絡が取れないわ』

「もしかして、皆もDEMに襲われているのか?」

『分からないわ。もしかしたらシェルターに避難して電波が届かないだけかも。こっちでも調べているけど』

 

琴里がそう言い、とりあえず士道は耶倶矢たちのもとに行こうとする。

 

『どうするつもりですか?飛べもしないのに』

 

その行動に、インカムから鞠亜の声が響く。

 

「確かに、俺は飛べない。でも、二人を放置していい理由にはならない」

 

士道が自身の考えを口にすると鞠亜は、はぁー、と吐息を吐き、

 

『分からないのですか?今やるべきことが。あんな雑魚に二人はやられません。それよりも、連絡の取れない皆です。シェルターに避難した?あり得ないですよ、彼女たちは精霊に魔術師ですよ』

「……まさか。襲われていて連絡が取れないっていうのか?でも、戦闘が行われていれば、琴里たちが気付くだろ?」

『随意領域で囲んでしまえば、視覚や音を遮断して偽造情報も流せるんです。なので、士道も探してください』

「そうなのか?じゃ、皆も危ないのか?」

『そういうことです。あと、あれはただの時間稼ぎで、あの後に本命もいると思われます』

 

鞠亜の言うことが本当なら、確かに皆が危ないかもしれない、と士道は思い、鞠亜に言った。

 

「わかった。じゃぁ、俺も皆をまず探す」

『そうゆうことです。最後に確認したのは遊園地エリアですので、そちらの方に行ってみてください』

 

そして、士道は皆の捜索を始めた。

 

 

 

~☆~

 

 

 

警報が鳴った直後ぐらいから、遊園地エリアに居た折紙と真那は限定霊装とCRユニットを纏い、敵と相対していた。

四肢にはオオカミのようなクローを装備した金髪の真那と同い歳ぐらいの少女。

 

「ねー、真那っち。今戻って来るなら、社長さんとかの説得手伝っちゃうよー。正直、真那っちがいなくなってからつまらないんですよ」

「嫌ですよ。あそこで真那の身体を散々いじっておいて、よくそんなこと言えますね。知らなかったんですか?ミリィ」

 

真那が怒りをあらわにして、そう言うと、

 

「ああ、らしいね。でもそのおかげでアダプタス2にまでなれたんでしょ?じゃぁ、いいじゃん。それに――」

 

ミリィ――本名、ミルドレッド・F・藤村。真那がDEMの本社に居た頃の整備班に居て、年が近かったことからも仲が良かった。

しかし、そのミリィはクローを二人に向けて言い放った。

 

「真那っちがいなくなって、戦力が落ちたせいで、<ナイトメア>にだいぶ支部が破壊されてるんだよー。そのせいで、前にDEMにいた精霊も移送中にどこか行っちゃったし。それに、私はユニットだけ作っていたかったのに、私まで現場によこされちゃったじゃないですかー!」

「でも、それは私たちには関係ないことのはず」

 

対して、今まで静観していた折紙が<絶滅天使>を展開させ、真那も右手のブレイドを構える。

 

「はぁ、せっかくの申し出だったのに断るんだね。じゃぁ、これで完全に敵ってことだね。友達だからって容赦はしないよ。こっちもDEMをこれ以上破壊されたら困るんですから」

 

ミリィも引くわけにいかないのか、最後にそう言った。

そして、三人が動いた。

ミリィのCRユニットの背面についていた、いくつものパーツが外れると、それらが浮遊し、勝手に二人に突っ込む形で攻撃を始めた。

 

「<絶滅天使(メタトロン)>――【光剣(カドーウル)】」

 

折紙は<絶滅天使>で、真那は随意領域で攻撃をガードする。

 

「汎用型のユニットですか。さすがミリィですね。この量を操れるのは、エレンとミリィぐらいですかね」

 

汎用型ユニットの量は視界に入っているだけで二十近く。さらに、かなりの広範囲に戦闘を隠すために随意領域を張っていることを考えると、三十近くを同時に制御していることになる。

 

「折紙さん、援護頼みます。私は接近戦を仕掛けます」

「分かった。ユニットの攻撃はすべて封じてみせる」

 

真那が一気にスラスターを噴かせて接近し、ユニットが阻害しようとするが、<絶滅天使>がそれをさらに阻害する。

ブレイドを振るうと、クローでガードし、もう片方のクローで反撃に転じる。

その攻撃を随意領域でガードすると、その状態で左手の武器で魔力弾を放つ。

その魔力弾をミリィも随意領域でガードすると、二人は少し距離を取る。

 

「真那っち、なかなかいいユニットを使っていますね」

「そっちこそ、相当いいユニットのよーですね。それに、二人を相手取って戦えるとは」

「数が多くて、これは厄介。せめて、完全な霊装ならなんとかなったけど、今の状態では相手取るのが限界ってところ」

「いやー、そのユニットはAIが勝手に動いているんで、私がしたのは最初の起動だけですよ。まぁ、まだまだあるのでどんどん出しちゃいますよ」

 

ミリィはそう言って、さらに自立型ユニットを十個出し、真那に攻撃を始め、ミリィ自身はユニットに任せて傍観していた。

二人は苦い顔をしながら、ユニットを相手取る。

二十の自立型ユニットに対して、折紙の限定霊装での<絶滅天使>の数は十だったこともあり、苦戦を強いられていた。

真那に関しても、一人で十個を相手取るので苦戦する。

 

「くっ、結構厄介ですね。自立型となると」

「でも、人口のAIならば相応の弱点もある」

 

相手取ること数分、自立型ユニット同士がぶつかるように動いたり、一度で数個同時に攻撃することで、二人にも余裕ができ始める。

 

「おー、戦況のコントロールをしているんですね。でも、ユニットの攻撃ではユニットが壊れない強度に設定しているので、自滅は狙えないですよー」

 

ミリィは少し上空に滞空して、ユニットに戦闘を任せ、どこから出したのか分からない機械をいじりながらそう言った。

見た感じは小型の機械で、何に使う物なのかも分からない。

 

「一体あれは?とりあえずこれを片付けねーといけねーですね」

「そうすべき。まずは、あれを一か所に集める」

「了解です。では、真那もちょっと無茶をしますかね」

 

だからこそ、何かされる前に手を打つ。

真那がそう言うと、<ヴァナルガンド>の出力を上げ、一瞬で消える。

そして、その状態で全てのユニットに攻撃をしていき、無理やり一か所に集め、

 

「今です!」

 

真那が地面に着地して、そう叫ぶ。

 

「えぇ、<絶滅天使(メタトロン)>――【砲冠(アーテイリフ)】!」

 

そして、放たれた光線が一か所に集められたユニットを包む。

光が消えるとそこには、形を保っているユニットがあり、どうやら全てのユニットが随意領域を張り、それらを結合させて耐えきったようだった。

 

「え?あの攻撃を耐えきったんですか?」

「くっ、今のを耐えきるなんて……」

 

二人はこの現状に苦い顔をする。

 

「おやー、精霊の力ってこの程度なんですか?思っていたよりも弱いんですね」

 

ミリィはいじっていた機械をどこかにしまうと、地面に足をつける。

 

「では、お二人には寝ていてもらいますね」

 

そう言って、ミリィはユニットの砲門を一斉に向け、砲門に魔力がチャージされ始める。

が、

 

「あれー?なんで、ですかー」

 

何故かチャージされず、ユニットが全て地面に落下する。

見た感じ、先ほどの折紙の攻撃をガードする際に、ユニット内にあった魔力のほとんどを使ってしまったらしかった。

しかし、それにしては一切反応が無いのもおかしかった。まるで、外部干渉があったかのように。

 

「二人が戻ってこないから探しに来たんだけど、まさか襲われていたなんてね」

「いやぁー、このエリアに入るのに手間取っちゃたよぉ。なんで、あんな大きな随意領域張ってるのぉ?」

 

三人が声のした方を見ると、そこには限定霊装を纏った千花と七罪が立っていた。

 

 

 

~☆~

 

 

 

耶倶矢と夕弦は次々とバンダースナッチを破壊し、百近く居たのも残り二十ほどになっていた。

 

「ふむ、どうも手ごたえが無い敵だな。やたらと弱いし」

「疑問。これでは、なんの為に出て来たのか気になりますね」

 

あまりにも楽に倒せることで、二人は途中から、思考を巡らせながら戦っていた。

 

「提案。このままやっていても、時間の無駄なので、もう終わらせてしまいましょう」

「そうだな、夕弦。時間もあまりないことだしな」

 

二人がそう言っていると、二人の中から一気に霊力が漏れ出し、苦しそうな顔をして、胸を抑える。

 

「うッ、どうやら時間が来たのか」

「焦燥。予想よりも早すぎます。まだ、敵が残っているというのに」

 

そして、二人の状態が悪化し、天使が消えてしまう。

そんな無防備になった二人を、残り五体になったバンダースナッチは放っておくことは無く、攻撃をしようとする。

 

「くッ!」

「困、惑」

 

だが、宙に浮いているのがやっとの二人は、バンダースナッチに攻撃することもできなかった。

そして、攻撃が放たれると思った瞬間、別の方向から飛んできた光線が五体のバンダースナッチを破壊する。

 

「ふぅ、嫌な予感がして戻って来たけど。間に合ったか」

 

二人の真下の地面には、いつの間にか戻ってきていた士道がおり、周囲には白い羽のようなものが一つ浮いており、バンダースナッチの近くにも一つ浮いていた。

どうやら、士道が先ほどの光線を放ったと二人は判断していた。

 

「困惑。これは一体?」

「よくわからぬが、助かったぞ」

 

二人は霊力の放出がいまだに続く中、士道のもとに着地する。

 

「二人とも大丈夫なのか?まさか、一つに戻る時がだいぶ近いのか?」

 

士道は二人の症状を見ながら心配をする。

 

「うむ。だいぶ、辛いのだが、な」

「説明。夕弦たちは、前から今日がリミットだと、分かっていました。だから、今日を選定の日に、したのですが」

 

二人は辛そうな表情でそう言った。

 

「なんで、そんな状態になると分かっていて今日にしたんだよ」

「いや、できる限り、夕弦と一緒に居たかったから……」

「願望。耶倶矢と、一緒に居たかったので……」

 

「「え?」」

 

士道の問いに二人が同時に答え、互いの言ったことに驚く二人。

 

「夕弦、今のは、どういうことだ!」

「疑念。耶倶矢こそ、どういうことですか?」

「私は、夕弦が大切だからこそ、私が消える最後まで一緒に居たかっただけだから」

「大切。私も耶倶矢と一緒に居られる時間を大切にしたかったのです」

 

二人の隣で、士道はため息をつく。

 

「……はぁ、おまえら、一度もそういう話をしてこなかったのか?」

 

士道は一度、言葉を切って、言葉を紡ぐ。

 

「つまり、こういうことだろ?耶倶矢は夕弦以上に夕弦が大切で、夕弦は耶倶矢以上に耶倶矢を大切にしている」

 

士道の言葉に二人は顔を見合わせる。すると、互いに今までのことでいくつか腑に落ちることがあったのか、納得していた。

 

「……はー、そういうことね。私たちは、遠回りをしていたのね」

「嘆息。どうやら、そのようですね。ですが、もう時間切れのようです」

「だね、まぁ、最後に夕弦の気持ちが分かったから……」

「肯定。耶倶矢の気持ちが分かっただけでもよかったです……」

「「……ッ」」

 

二人が納得したのかそう言うと、二人はハッとして、周囲から強風を巻き起こして、士道は数メートルほど飛ばされてしまう。

士道は背中から地面に倒れる。

 

「痛ッ。一体……何が?」

 

何が起きたのか分からない士道は、背中をさすりながら立ち上がり、二人のいた方に顔を向ける。

二人がいた位置に空から熱線が降り注いでおり、熱線と砂煙によって二人の安否がわからなかった。

 

「耶倶矢!夕弦!」

 

士道は大声を上げて叫んだが、一切反応が無く、その場が静寂に包まれる。

二人は霊装を纏っているから無事だと思いたいが、そこまで防御力もなく、今の万全じゃない状態でもある。

そして、返事が無いということはそう言うことなのだと思った。

だから、士道は上空から熱線を放ったやつを睨みつけた。

そこには、全長二、三メートルほどの赤い装甲の機械の鳥が飛んでいた。

 

「よくも二人を!絶対許さない!」

 

士道は<絶対天使>で飛んでいる機鳥に光線を放つ。

しかし、機鳥は機動力が高く、光線を軽々と避けてしまう。

 

「くッ。俺じゃ二人の敵も取れないのか!」

 

士道は歯噛みをして、項垂れていると、

 

「憤慨。勝手に私たちを亡き者にしないでください」

「そうだぞ、士道よ。しかし、我らの聖戦(ラグナロク)の終焉がこんな形になってしまうとは……」

 

熱線の跡からそんな声が響いた。

士道がそこに目を向けると、そこには一つの人影があり、ジャンプして士道の前に、橙の長髪の少女が着地する。

その少女の装いは暗色の外套を身に纏い、四肢と首には錠が施されていて、その背には大きな両翼の翼があったのだった。

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