場所は変わり、千花たちは未だに遊園地エリアに居た。
結局、千花と七罪は結界を張っていたユニットを<贋造魔女>で変化させて入って来て、変化させたユニット以外で結界を張られてしまい、脱出を試みた。
が、ミリィに邪魔をされて四人は出られなくなっていた。
で、千花たちが今何をしているかといえば……
「いやー、ミリィちゃんの作った機械いい出来だねぇ」
「いえ、千花さんこそなかなかの技術を持っているんですね」
「そっちこそ、いい技術を持っているんだねぇ。なんでDEMになんているのぉ?」
「んと、ただ単にあそこ、開発資金が潤沢で好きなだけ機械をいじれるからですねー」
「あぁ、確かに開発資金は経営担当に頼めば、ある程度は通りやがりからね」
「いいなー。私はギリギリの資金でやっているのにぃ」
「……なんでこんなことに?」
何故か、機械作りが好きな千花とミリィが意気投合して喋っていた。
そこに、ミリィと仲の良かった真那も混ざっていた。
で、ミリィと面識のない七罪と折紙はこの状況に困惑していた。
まぁ、折紙に関しては、この世界では、だが。
「ところで、あなたはこんなところで喋っていていいの?」
今まで静観していた折紙がそう言うと、ミリィは一瞬ポカーンとする。
「あぁ、問題ないですよ。私の仕事は皆さんの足止めですから。ここに居てもらえれば、危害は加えないですよー」
「でも、向こうで何か大きな音がしなかった?あと、眩い光も」
七罪が水族館の外の方で聞こえは音と見えた光に疑問を持ち、ミリィに問う。
千花たちも気付いており、疑問を持った顔をしていた。
しかし、ミリィは何が起きていたのか知っているらしく、別段驚いた表情もしない。
「あぁ、あれはDEMの新兵器『朱雀』の攻撃ですねー。別に精霊を死なせるのが目的でなく、捕まえるとのことでしたよ。まぁ、生きている分には、いくらでも治療をして治せますからね」
「そう……」
「では、私たちはここを出て助けに行かなくてはいけねーですね」
「まっ、そうなりますよねー。でも、四人を行かせるわけにはいかないんですよー」
「じゃぁ、私たちは無理やりにでも出るかなぁ」
千花も仕方なさそうに<死之果樹園>を顕現させると、臨戦態勢に入る。
三人もそれぞれ武器又は天使をミリィに向ける。
そんな光景にミリィはため息をついた。
「はぁー、完全状態でない精霊に、無理している真那っちじゃ私に勝てないですよー。せめて、完全な人が一人でもいれば話が変わったかもですが」
「ふーん、四対一で勝てるだぁ。なめられたもんだねぇ」
「いえいえ、別になめてはいないですよー。ただ、このCRユニットは私が作ったものですから百パーセントの力が出せるんですよ」
そう言いながら、地面に落ちていたユニットが一瞬光り、分離してミリィの装備したユニットに収納される。
時間が経つことで自動的に魔力が生成されているようだった。
「だって製作者なんですから機能は熟知していますからねッ」
ミリィは背中のスラスターを噴かせると一瞬で消え、
「まぁ、こんな感じですよ。で、それでもやりますか?」
四人の後ろにミリィが立っていた。
「確かに、これは……速いねぇ」
四人とも目が追い付かず、ギリギリ後ろに回ったと分かった感じで、四人は苦い顔をする。
ミリィはミリィで、実力差をはっきりしただろうから戦うのを諦めてくれるだろうと考えていた。
しかし、すぐに四人の表情が戻り、
「まっ、いくらでも相手取る方法はありますね。それに彼女のあれよりは、おせーですから」
「私たちには私たちのやることがあるから、押し通るまで」
「……私、戦力にはならない気がするんだけど……」
「驚きはしたけど、割となんとかなるかなぁ?」
ミリィのそんな考えを裏切るかのように、四人はそんなことを言った。
一人はなんだかネガティブなことを言っていたが……。
その言葉を聞いて、ミリィは頭を掻く。
「はぁ、そうですか。ちゃんと忠告はしましたからねー。まぁ、死なないでくださいね」
で、完全にやる気な目をしていた。
そして、再びスラスターを噴かせて、その場を高速で移動した。
「じゃぁ、こっちも時間が押していることだし、すぐに終わらすかなぁ。あぁ、真那ちゃん。出力は五十パーセントまでねぇ」
千花は千花で呑気にそう言いながら、真上に<死之果樹園>を振り上げる。
すると、真上から攻撃をしたミリィのクローと接触し、その攻撃を止める。
「なッ!」
高速の動きに対応した千花に、ミリィは驚いていた。
しかし、そんな一瞬の硬直を見逃すわけもなく、真那が接近してレーザーブレイドを振るう。
ミリィはそれをもう片方のクローでガードすると、真那のそばにあった<絶滅天使>がミリィ目掛けて光線を放つ。
その光線を、随意領域にぶつけて別方向にねじ曲げて、攻撃を回避し、空中でクローを振るってブレイドごと真那を弾き、スラスターを一気に吹かせて距離を取る。
その際に、折紙は光線を何発も放ち、ミリィは回避していたが、そのうちの何発かは当たりそうになっていた。
「確かに、私の動きについてきているようですね」
「あなたの動きは確かに早い。しかし、簡単なこと。あなたの動きを先読みして攻撃をすれば対処はできる」
「そう言うことだよぉ。<
千花はポケットから種を出し、<死之果樹園>に種を一度当てて地面に放ると、種が一気に発芽し、巨大な花を咲かせる。
「じゃぁ、次はこっちが攻撃するかなぁ」
千花の言葉と同時に、砲花の中心から黄色の塊がミリィ目掛けて放たれる。
それをジャンプして数メートルほど離れた場所に着地をすると、黄色の塊は地面にぶつかって砕けると、黄色の粉が周囲に舞う。
続けてどんどん砲花から乱射されていき、挟むように後ろからは<絶滅天使>の光線も飛んでいた。
真那は真那で高速で移動しながら左手の武器で魔力弾を撃って遊撃し、いくつかの光線を随意領域で無理やり曲げて、予測不能な軌道に変えてミリィに攻撃をする。
ミリィはそれらの多重攻撃を回避し、時に随意領域でガードしながら、これらの攻撃からの反撃のチャンスを探っていた。
その為、ミリィは重大なミスを一つ犯していた。
いつの間にかこの場から一人消えている、ということに。
「ん?あの子は何処に?」
ミリィが気付くと攻撃の回避を止めて、近くにあったメリーゴーランドの屋根に乗って、メリーゴーランドの周囲に何重にも随意領域を重ねて張る。
その中で辺りを見回して、この場から消えた七罪を探す。
視界に入る限りでも、アトラクションの建物、クレープの売店、植物でできたオブジェ、一台だけあるライオン?のカートみたいなやつ、と多岐にわたり、いくらでも隠れることが出来てしまう。
(しかし、隠れた所で何が……)
そして、千花たちの真の目的に気付いた。
「しまった!この数任せの攻撃はあの子を私から隠すため……まさか、結界を作っているユニットを壊しに行った?」
見つからない七罪に、ミリィはそんな予想を立てる。
「あぁ、もういないことがばれちゃったかぁ」
対して、千花は別段慌てることもなく、【砲花】でどんどん攻撃していく。
ミリィはその攻撃を随意領域でガードしながら、次の策を練る。
(このまま、相手をしていたらあの子が結界を張っているユニットを無力化して、彼女たちの脱出を許してしまうことになりますね……ですが、どこに行ったか分からない今、この広い敷地内から探し出すのも困難と)
しかし、結界だのガードだの頭を使っている状態では、なかなかいい策が思いつかなかった。
だから、最も手っ取り早い手をミリィは考えた。
ユニットをフルに使って、三人を瞬殺するという方法。
高速移動をして攪乱しつつ攻撃することで、相手は攻撃の照準を定められないのですぐに済むという考えだった。
そして、随意領域を解除して、メリーゴーランドの屋根から飛び出して、飛んでくる攻撃の隙間を縫うように回避しながら三人に接近すると、真那が目の前に飛び出し、ブレイドを振るう。
対して、ミリィもクローで迎え撃ち、二つの武器がぶつかり合う。
同時にミリィに向けて<絶滅天使>が光線を放つが、随意領域で全弾防ぐ。
千花は折紙の攻撃すらも防がれると予想していたので、それらの攻撃が薄くなっていた場所から接近し、<死之果樹園>をミリィ目掛けて振るう。
ミリィに当たると思った瞬間、ミリィはもう片方のクローでガードする。
「ふぅ、やっぱりクローだけでは倒せません、か」
両手のクローと自立ユニットで攻撃をしのぎ切ったミリィはそう溢すと、装着していたユニットの背中に収納した、半分ほど魔力チャージが出来た自立ユニットを周囲に三十個ほど展開し、そこから光線を出す。
千花と真那は急いでミリィから距離を取り、三人はその光線をギリギリで回避しようとするが、数が数なだけに回避しきれず何発か被弾してしまう。
霊装とCRユニットの耐久力でなんとか命には別状ないが、被弾したことによる硬直が出来てしまう。
(いくら単発でダメージが少ないとしても、何発も攻撃していけばいつかはダメージが蓄積するはずですよねー)
その隙をミリィは逃さず、そう言う考えで、もう一度三十もの光線を放とうとした。
が、そこで気づいた。
いつの間にかミリィのそばにライオン?のカートがあることに。
「お願い。<
そして、いきなりライオン?のカートから声が響くと、淡い光が放出され、ミリィの身体を包み込んだ。
~☆~
「……まさか、一つに戻ったのか?」
士道は目の前にいる後ろ姿の少女に困惑しながらも声をかける。
しかし、今も上空に機鳥が殲滅対象を確認すると再び士道たちに向けて熱線が放たれる。
士道は慌てて回避しようとするが、それより先に少女が上空に手をかざす。
それに合わせて突風が吹き、周囲に風の結界が張られ、周りが見られなくなるが熱線から身を護る。
何発も放たれているようだが、びくともしないようだった。
「ふむ、一体我らの身に何が起きたのだ?本来の想定とは少し違う結果になってしまったか」
少女が腕を組んで振り返りながら呟き、その喋り方と表情は耶倶矢そのものだった。
「無事だったのか?てか、耶倶矢だよな?じゃぁ、夕弦は?」
「うむ……実に説明しにくいのだが……我らは確かに一つになったのだが……」
耶倶矢がどう説明したものかと悩み、歯切れの悪い感じだった。
「面倒。耶倶矢、私が説明をしますよ。それに、見てもらった方が早いですし」
すると、耶倶矢?が唐突に口調を変えてそう言った。
何故か表情はどこか気怠そう、まるで夕弦になったかのようだった。
「説明。私も無事ですが、こういうことです。簡単に言えば二重人格の少女になったみたいです」
夕弦の言ったことに、士道が驚き、疑問を持った。
「え?なんでそんなことに?」
「不明。本来はどちらかが消えてしまうはずでしたから、私たちにもわからないのです」
「まぁ、我らの問題もあるが、今はあの飛んでいる奴が先ではあるな」
「そうだな、たしかに話をしている場合でもないな」
そう言って八舞(今の状態の呼称)は、風の結界を解いて上空に顔を向けると、熱線が効かないと判断したのか、放つのを止めて空中で旋回していた機鳥を見える。
結界の周囲は熱線でボロボロになっていた。
「うわー、どんだけ熱線放っていたんだか」
「だな、想像以上にしつこかったな。では、我はあれを倒してくるとするか。士道、お主は被害を受けない場所にでも避難しておれ」
「でも、一人で行くのは危なくないのか――」
「否定。そもそも私たちは一人ではありません。大丈夫ですよ、私たちはあんなものに遅れを取りませんので」
「でも……」
「問題は無い!お主はお主のするべきことをするのだ。では行って来る」
そう言って、地を蹴ると風を纏って八舞は朱雀のもとに飛んで行ってしまう。
残された士道は、
「じゃ、俺はどうするかな」
一人そう呟き、顕現させているだけでも疲労するので<絶滅天使>を消す。
結局二人の身に何が起きたのかもわからず、千花たち方も分からないという、わからないことばかりの状況に悩んでいると、
『士道、皆さんの方ですがDEMの魔術師と交戦しているとのことです』
インカムから鞠亜の声がして、そう報告した。
「えっと。みんなは無事なんだよな?」
『はい。皆さん無事で、魔術師は自分たちでなんとかするとのことなので、士道は八舞姉妹の方に行ってください』
「分かった。あと、千花たちの方の状況を教えてくれ!」
鞠亜からの情報を聞きながら、上空を見る。
すでに八舞は朱雀とほぼ同じ高さにおり、そのまま風を纏った状態で朱雀に突進をする。
あまりにも速度を出していたこともあって、朱雀はそのまま勢いに負けて吹っ飛んでしまう。
で、八舞は朱雀に追撃するために、飛んで行ってしまう。
「……あいつらのもとに行くって言っても、あんなに速くて、飛んでいたらなー」
飛ぶすべもなく困っていると、何か浮遊感があった。
で、いつの間にか<フラクシナス>の中にいて、令音が転送装置をいじっていた。
「突然すまないね。八舞姉妹のもとまで連れて行こうかと思ってね」
「なるほど。正直どうやって行こうかと悩んでいたところですから助かります」
「うむ、あまり時間が無いから、手短に説明するけど、彼女たちのそばは風がすごく、戦闘の邪魔になってしまう恐れがあるからその真上まで行く」
「はい、そうすれば確かに近くまで行けますけど、その後って?……まさかとは思いますけど」
この時、士道は嫌な予感がしていた。
なんか、こんな状況をいつかあった気がした。
たしか、一周目の十香の時に……。
「上空から紐無しバンジーで二人のもとに行ってもらう。おそらくはシンをキャッチしてくれるだろう」
「あの、もしキャッチしてくれなかったら?」
「……」
「あのー」
「……まぁ、なんとかなるだろう。仮に地面にぶつかったとしても、琴里の炎で治るだろう」
士道が自分の身を心配するも、令音はさして気にしていないようだった。
(というか、地面にぶつかって本当に生きていられるんだろうか?)
「どうやら着いたようだ。さぁ、行ってきたまえ」
「ちょっ、まだ心の――」
士道が言い終える前に<フラクシナス>の外に転送されてしまった。
千花の【砲花】はTo-LOVE-るの、モモが出してたのと同じようなやつです(名前をフラウカノンにするか迷った)。
なんとなく出したけど、これ出したらウネウネしてた(触手的な)植物とかも出せることに・・・
あ、【速樹】ウネれる。
そのうち、そんなこと(今のところ予定なし)にも?被害者は日下部隊長かな?それともエレン?
では、ノシ