デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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7/23 語呂的に七罪と読めるから七罪の番外編を。
時系列的に四章と五章の間です。
そして、書いていたら、分量が想定の倍近くになったので、前後編に。

あと、七罪視点で話が進みます。


番外編 七罪エモーション 前編

「はぁー……待ち合わせまでまだ時間がだいぶあるわね。士道ちゃんと来てくれるかな?」

 

私は駅前の時計の前のベンチに腰掛けて、足をパタパタさせて士道を待っていた。

今の時間は八時半、待ち合わせた時間が九時だからあと三十分も待つことになる。といっても、別に待つこと自体には不満は無い。士道を誘ったのは私だから先に来ているのは普通だと思う。でも、もしかしたら士道は私と一緒に出かけるのを好ましく思っていないかもしれない。

士道は優しいから私が傷つかないようにと、誘いに乗ってくれただけなのかとも思うと、憂鬱になる。

なんで、こんなことになったんだっけ?

あっ、五日前か……

 

 

 

五日前、私は唐突に遊園地のペア券を貰ってしまった。なんで?と聞いたら、行くの面倒だしねー、と返答されてしまった。私だって、一緒に行く人は特にいないのに……。というか、私が誘ってもみんな断る可能性もあるし……。まぁ、たぶん誘ったら付き合ってくれるだろうけど、私とじゃ楽しめる訳もない。だから、チケットを返却しようとした。でも、もう渡したから、もうそれはなっつんの物だよー、と言って受け取ってもらえなかった。で、持ち帰って、どうしようかと悩んでたら、千花にペア券が見つかり……士道を誘う流れにされた。

その後、士道を誘ったら予定が無い日を確認して五日後のちょうど休日の今日になった。

 

 

 

で、今に至る。本当は精霊荘で待ち合わせてもよかったけど、皆に茶化されそうだからここを待ち合わせに選んだ。

私の格好は、白系色のTシャツの上にオレンジのパーカー、紺の膝丈ほどのズボン、髪は一つに纏めたポニーテールといったラフな格好だった。

何時かの皆に選んでもらった服は、普通の日なら問題ないが、今日に限ってはスカートとかワンピースはダメだった。動きづらい服だと士道に迷惑かけちゃいそうだし……。

なので、いまいちこの格好が変なのか変じゃないのか分かんない。でも、組み合わせなんて分かんないから、私の霊装っぽい配色になってしまった。

なんか、周囲の人の目線を感じて居心地は悪い。やっぱり、変かな?

 

「うぅ、やっぱり私は外出ちゃ駄目だったんだ」

「ん?何が駄目だったんだ?」

「うん、今からでも取り止めにしてもらおう」

「ふーん?で、何を取り止めにするんだ?」

「そう、今なら連絡すれば間に合……ん?」

 

私が一人、決意を固めていたらちょくちょく相槌を入れていることに気付いた。

嫌な予感がして恐る恐る顔を上げると、目の前には士道がいた。

 

「えっ?士道!?なんで、まだ約束の時間までだいぶあるじゃん」

「それを七罪が言うか?俺より先に来てるじゃん。おはよう七罪」

「あ……うん、おはよう士道。本当に来てくれたんだ」

 

士道がこんな早くに来たことには驚いてしまったけど、よくよく考えれば皆とのデートの時にも士道って早くに来てたっけ?

ん?てか、今日のってデートなのかな?どうなんだろ?もしそうならうれしいんだけど。

 

「誘ってくれたの七罪だろ?それとも俺が約束破ると思ったか?」

「ううん、でも、私とじゃ楽しめないかもと思ってたり。それに本当は他に用事があって無理してるんじゃないかとか、嫌々ながら付き合ってくれてるんじゃないかって心配にはなってたけど……」

「もしそうだったら、誘ってくれた時に断わってるよ。それに、七罪から誘ってくれたのはうれしかったから嫌じゃないよ」

「そう……それならいいんだけど」

 

とりあえず、士道が嫌々ながら来ていないことはわかったけど、本当なのか疑いたくなる。精霊荘にいるみんなの方が私より可愛いんだし、私よりみんなと一緒の方が楽しいんじゃないのかな?

ま、それは追々考えるとして、そろそろ行かないと。

 

「じゃ、そろそろ行こ?早くしないと混み始めちゃいそうだし」

「だな。……あ、そうだ」

「ん、何?忘れ物でもした?」

 

駅に向かって歩き出そうとしたら、急に士道が立ち止まった。そして、私の格好をじろじろ見てくる。

 

「それにしても、七罪がズボン履くなんて珍しいな。うん、その格好似合っているよ」

「ふーん、そう?お世辞として受け取っておくね」

「……んー、お世辞じゃないんだけどな」

 

士道が突然可愛いと言ったことに私は驚きながらもそう返すと、頭を掻きながらそんなことを言っていた。そして、私はそそくさと駅に向かって歩を進めた。

まさか、服を褒められるなんて思ってなかったから、反応に困る。

でも、士道は私と一緒に出掛けるのは嫌ではないみたいだし……安心かな?

まぁ、今日ではっきりさせたいことがあるけど……。

 

 

 

~☆~

 

 

 

「さて、最初はどれに乗る?私的にはいくつもあるジェットコースターには全部乗りたいんだけど……」

「そうだな、来たからには全アトラクションに乗るくらいのつもりで行きたいかな?じゃ、あれから乗るか」

 

士道が指差したのは、割と空いていたジェットコースターだった。まぁ、空いていることだし、制覇するためには効率よく回りたいので、とりあえず並ぶ。

 

「ところで、ここはなんでこんなに人が少ないんだろ?」

「このジェットコースターはこの遊園地で、一、二位を争う程すごいらしいからな。だから、普通は朝の一発目から乗らないだろ」

 

私は並んでいる間に浮かんだ疑問を口にすると、士道が教えてくれた。って、そんな危険なものだったの!?並んでしまったからには、乗るけど……。

 

 

 

「うー、気持ち悪い。なにあれ」

「あぁ、まだ頭がくらくらするな」

 

すごいというだけあって想像していたよりは、やばかった。最初は、やたらと登るなぁ、と思ったが、そこからはすごかった。一気に急降下したと思ったら、縦やら横やらに回転して、色々なジェットコースターを無理やり詰め込んだようなものだった。まぁ、昔に一回、やたらと速い魔術師に追いかけられた時に比べれば問題は無かったけど。

 

「さて、次はどうする?これを超えられたということは、他のジェットコースターも平気なはずだ。このまま全部乗るか?」

「そうだね。時間は有限だしね。じゃぁ、次はあれ乗ろ?」

 

士道は自棄になっているのか、全部に回るつもりらしい。無論、私も全部に乗るつもりだけど。

そう言って、目についた次のアトラクションに向かう。

次に選んだのはフリーフォール。今日は晴れてるし一番上からなら辺りが一望できそう。

 

「……七罪、本当にこれに乗るのか?」

「うん、これに乗りたい。ダメ?」

 

いざ間近に来ると、士道は天辺を見ながら確認されてしまった。

怖いのかな?と思ったけど、さっきのに比べれば上下だけだからそんなに怖くないと思うけど。

すると、士道は覚悟を決めたような表情をしていた。

 

「わかった。……乗るか」

 

列に並び、十分程経つと私たちの番になった。並んでる間は終始士道はそわそわしてたけど。

 

「ねぇ、士道。本当に大丈夫?」

 

だから私は、シートに座ってベルトを締めながら士道に聞いた。

 

「……あ、あぁ、大丈夫、だよ」

 

士道はそわそわしながら返答を返した。明らかに大丈夫じゃなさそうだけど。

すると、準備が出来たようで、アトラクションが動き出し上に登り始める。

上昇中は辺りの景色を見ながら、何で士道がキョドってるのか考えていた。

別に高所恐怖症では無いはずだし……<フラクシナス>から見た方が高さは……あ、もしかして。

 

「ねぇ、士道。もしかして、落下系のやつ苦手だったりする?」

「……」

 

頂上に着き、その答えに至ったので、隣でビクビクしている士道に声をかけるけど、何か聞こえてないようだった。決して無視されたわけじゃない……はず。

あ、士道の顔がどんどん青くなってる。そんなにダメなら、言ってくれればよかったのに。あ、私が乗りたいって言ったからか。

そして、遂に落下が始まる。

 

「ふぅー」

 

士道が悲鳴を上げそうになると、私は士道の手の上に手を重ねた。士道は突然のことにキョトンとしていた。こんなんで落ち着くかはわからないけど、これくらいしか思いつかなかったしね。

 

 

 

「なぁ、七罪。さっきのって」

 

フリーフォールから降りると、士道にさっきのことを聞かれてしまった。

それで気づいたけど、今更ながら士道って私に触れられることに対してどう思ってるんだろ?やっぱり、触れられるのは嫌かな?そう考えると悪いことをしてしまった。

 

「やっぱり、私に触れられるのは嫌だよね……」

「いや、そうじゃないよ。逆だ、七罪が手を乗せてくれたおかげで、多少は落ち着いたし……その、ありがとな」

「ッ!……あ、うん」

 

どうやら、触れたことに嫌気は感じなかったようでよかったけど、やっぱりお礼を言われると、なんかむず痒い。

だから、曖昧な返事になっちゃったけど仕方ないかな?

 

 

 

~☆~

 

 

 

その後、いくつものアトラクションに並んで乗り、昼食を食べ終えると私たちはあるアトラクションの中にいた。

正直あんまり私としては行きたくなかった。

列に並んでいる間にも何度か言おうと思ったけど、フリーフォールに無理させて乗せた手前言うに言えない。まぁ、お化け屋敷なんてたかが知れてるだろうけど。だから、私は士道に悟られないように、ポップコーンを食べて気を紛らわしていた。

でも、いざ中に入ってみると、想像よりも暗いし、クーラーで涼しくなっていて恐怖感を煽ってきた。

 

「なぁ七罪、大丈夫か?見るからに顔色が悪いよな。まぁ、暗いからよく見えてないけど。もしかして、熱中症とかか?」

 

士道は私の顔を見ながら、心配をしてくれている。

でも、別に熱中症という訳ではない。

 

ゴソッ

 

「ヒッ!」

「うおッ」

 

突然の物音に私は驚いて、士道の腕に抱きついてしまった。

たぶん、そういう仕掛けだったのだろうけど、たぶんこれで士道にもばれちゃった気がした。

 

「七罪、もしかしてお化けが怖いのか?」

「……う、うん」

 

ばれてしまったからにはもう仕方が無かった。

私はどうもお化けの類は苦手。だって、実体がないっていうから、<贋造魔女>で撃退することもままならない。

しおらしくそう返すと、士道に笑われてしまった。

 

「なに?私みたいなのが、お化けが怖いなんて変って思ってる?」

「いや、そうじゃないよ。七罪って絶叫系も普通に乗れてたから怖いものないのかなって。でも、七罪がお化けを怖がってるから、微笑ましくてな。それに、なんか可愛いなと思ってな」

「へ?かわ……可愛い?」

「あぁ、可愛いよ」

 

士道に可愛いと言われて、一気に顔が赤くなってしまう。何で士道は恥ずかしがることなくそんなこと言えるんだろ?

あ、そろそろ士道から離れた方がいいかな。だいぶ私も落ち着いたし……。

 

ゴトッ

 

「ワァー」

 

士道から離れた直後、お化け屋敷の仕掛けが起動して驚いてしまった。

で、もうとにかく怖くて、早く出たくなって、無我夢中で走ってしまった。

分かれ道があれば勘で曲がり、それを繰り返していった。

何か所曲がったか分からなくなった頃、私は急に立ち止った。あまりの恐怖で走って、あの場に士道を置いてきてしまったことに気付いたから。

振り返ると、そこは真っ暗で、どの道を通って来たかわからなくなってしまった。

一応このお化け屋敷は迷路のように広いので、途中でリタイアできるように出口が何か所かあるらしい。だから、リタイアすればいいのかもしれない。でも、もしかしたら士道が中に残って私を探すかもしれない。たぶんそうすると思う。

そうなるとリタイアもできない。でも怖い。さすがに士道を探しに戻る勇気もない。

 

「うぅ、士道どこー」

 

一応声を出してみるけど、怖くて大きな声を出せない。もしかしたら、声を出した瞬間、お化け役の人たちがここぞと来るかもしれない。

もう怖いし、士道が見つけてくれるのを待ってようかなと思い、壁に寄りかかる。

 

「はぁ、もう無理。それに、このままじゃ他のアトラクションに乗る時間が無くなっちゃう。もういいよね?」

 

壁に寄りかかって、待つこと三分。

もしかしたら、士道は私が出たと考えたかもと思った。

だから、私も出ようと思うけど、出口が分かんないし、分かってもここを歩く気力が出なかった。それで、もう腹を決めた。

今日は何個か決めていたことがあった。そのうちの一つが変身しないことだった。大人の姿に変身すれば、気が大きくなるからたぶん出られると思う。でも、それじゃ、決めていたことの最大の目的が為せなくなってしまう。

 

「ううん、でもこのままじゃ士道に迷惑がかかっちゃう。来て、ハニ――」

「あ、いた」

 

私が<贋造魔女>を呼ぼうとしたら、唐突に声がして、ビクッとなってしまった。声の方を向くと、そこには士道がいた。

 

「……士道?」

「ふぅ、七罪大丈夫か?駆けだした時は焦ったよ」

 

士道は私を無事に見つけられて安堵しているよう、私も士道と会えてほっとしたけど、疑問があった。

 

「でも、どうやってここが分かったの?何通りも道があったはずだけど……」

 

時間からして、たぶん迷わずに私のもとに来たような感じだった。でも、私が口にしたように、ここは広いはずだった。

士道は、あぁ、と言い、私の肩に下げていたものを指差す。

 

「それは、七罪が走ったことで、ポップコーンが飛んだみたいで、七罪の通った道に落ちてたんだよ」

「あ、ホントだ。蓋が開いてる」

 

士道に言われて、ポップコーンの入ったケースを見ると、何故だか少し開いていて、たしかにポップコーンの量が減っていた。

勿体ない気もしたけど、結果的に士道と再会できたからと割り切る。

すると、士道は腕時計で時間を確認して口を開く。

 

「さてと、そろそろ出るか。まだまだアトラクションに乗りたいしな」

「うん……そうだね」

 

士道が近くにいるからか、今は比較的落ち着いてるけど、たぶんまた道中で驚いて士道を置いて行っちゃうんだろうなぁ、とか思ってしまった。

士道に会えたのはよかったけど、まだ先は長いと思うと憂鬱になる。まだまだ驚かせる仕掛けがあるはずだし。せめて、士道と手でも繋げたらなぁ。

そう思いながら、士道の手に触れようと思うけど、そんなことしたら士道が困っちゃうかな?

 

「怖いんだったらこうしてないか?別に一人じゃないし、俺を頼ってくれていいんだからな」

 

士道はそんな私の様子を見て、私の手を握ると、そう言ってくれた。

 

「あ、うん。ありがと」

「どういたしまして。さぁ、行こ」

 

士道は私の手を引いて、歩き始める。

歩幅を私に合わせてくれてるから、無理なく歩けた。

本当、士道は優しいよね。

私だからなのかな?それとも誰にでもそうするのかな?

はぁ、どうなんだろ?




七罪がお化け嫌い、絶叫系平気なのかはわからないので、勝手な想像ですので

後編は今日中に出す予定。何もなければですが
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