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でも、今回は、ほぼ日常回
1話 雨の日
「今週も雨多いねぇ」
千花は机に突っ伏してそうぼやいていた。
七月に入り、雨が全く降らなかったこともあって雨から解放されたと思ったら、七夕の数日後から雨続きの日々になり士道もうんざりしていた。
「だな。というか、こう雨が多いと気分がな」
「なんか雨降るたびにこの話をしている気がする」
士道が千花の言葉に同意すると、折紙はそんなことを言う。
一か月前もこんなことを言っていた気がしたが気にしない。
「ま、この時期はこの時期で台風が増え始めるからな」
「でも、二人の霊力を封印したし、案外いつもよりも少ないかもねぇ」
「だといいけど。まぁ、雨だけなら問題は無い」
窓の外に目を向けても、外は雨。
(洗濯物も乾きにくくなるし、買い物も若干大変になるし……あれ?この考え方って完全に主夫目線じゃん。あーなんだろ)
この雨と自分の感覚に対してため息をついた。
すると、ホームルームのチャイムが鳴り、
「みなさぁん、おはようございまぁす。席についてくださぁい」
前の扉からそう言いながら、タマちゃんが入って来た。
「最近雨が多いですけど、気落ちしていちゃだめですよぉー。では出席とりますねー」
それから出席がとられ、連絡が伝えられた。
四階の角教室が雨漏りしたとか、学校に小動物が迷い込んだとか、夜に誰かが侵入しているかもとか、いくつかあったがほとんどの生徒は憂鬱な気分に、聞いている生徒が何人いたことか。
士道は一応聞いていたが、さして気にはしていなかった。
~☆~
「士道よ。食が進んでおらんようだが、体調不良か?」
「心配。もしそうでしたら言ってくださいね」
「ん?いや、体調は平気だよ。ただ、ちょっと考え事してた」
士道はとりあえず弁当に手を付ける。対して、八舞姉妹も購買で買ったパンを食べる。
八舞姉妹は、霊力を封印した一週間後に来禅高校に編入してきて、二人とも隣のクラスになった。
最初は不満そうにしていたが、人数の問題では仕方ないとすぐに切り替えてくれた。
で、降っていた雨は今も降っていて、今は三人で空き教室で昼食を食べていた。
千花と折紙は、飲み物を買いに行っていて今はいない。
「疑問。それで、考え事とは?」
「うん、どうやって二人を中学に編入させるか」
士道が悩みを打ち明けると、二人は察したかのような顔をした。
七罪と真那は未だに中学に編入していない。
今までも何度か言ってきたが、七罪は断固拒否の姿勢、真那はDEMに居た頃に中学の教養課程を終えたからという理由で拒否していた。
七罪の日常は<フラクシナス>に行って仕事を手伝うか、家(精霊荘)の掃除やら千花の菜園の手入れなどをしている。ここ二週間ぐらいは不定期であるが何処かに出かけているようだが、何をしているかわからない。七罪に聞いても秘密にされ、まぁ危ないことではなさそうなので、深くは追及していない。
真那の場合も似た感じで、他に戦闘のトレーニングもしている。
あと一週間に一度くらい検査をしているらしく、なんでもCRユニットを安全に使うためだとか。
「あぁ、なるほどな。といっても、二人とも中学の勉強は全部できるのであろう?」
「あぁ……だけどな。このままじゃ、七罪も真那もこの先の人間関係で苦労しそうだしな」
「同意。確かにそうですね。しかし……でしたら、来禅に編入させるのは?士道といられるとなれば」
「うん、それも考えたんだが、まず無理だな。二人とも見た目の年齢が高校生じゃないからばれるだろうし。あと、<
「ふむ、まぁ、七罪に関しては四糸乃がおればな」
「肯定。そうですよね。四糸乃とは特に仲が良かったですし……」
「いや、四糸乃今いないからなー。それに、四糸乃も人見知りが激しいから厳しいだろうな」
「やっほぉ、戻って来たよぉ」
「なんの話?」
「ん、二人が学校行かない話ー」
唐突に四糸乃の話になったが、千花たちが戻って来たことで、一言でそう言うと、それで話の内容を察してくれた。
「やっぱ、七罪ちゃんは人になれないと無理でしょぉ」
「真那もあまり人付き合いが得意でないはずだし」
二人も同じ考えらしく、いい方法が思いつかなかった。
(そう言えば、四糸乃って元気かなー)
~☆~
それから午後の授業も終わり、放課後になった。
折紙と八舞姉妹は掃除当番ということで士道は千花と二人で校舎を出た。
(そう言えば、千花と二人だけで帰るのって久しぶりな気がするな)
士道はそんなことを考えながら歩を進める。
最近は折紙や八舞姉妹と一緒に帰ることが多く、千花が用事で早く帰ることもあったから、二人きりで帰るのは大体一か月ぐらいぶりだった。
殿町は士道とは逆方向だから一緒に帰ることもないし。
「なんか、二人で帰るのも久しぶりだねぇ」
どうやら、そう感じていたのは千花も同様なようで、そんなことを呟いた。
「そうだなぁ、どうせだし、どっかいかないか?もちろんこの後に用事が無ければだけど」
「いいねぇ、私も平気だよぉ。ってことで放課後デートに行こぉ」
「士道君、この仔ふさふさだよぉ」
「こっちもいい感じだな」
二人が来たのは猫カフェだった。
千花は猫カフェに来たことが無かったらしく、だったらと割と色々な店がそろっている駅前にあった猫カフェを選んだ。
二人は窓側の席に座っていて、千花は膝の上に猫をのせてモフモフしていた。
外が雨のせいか、客は士道たち以外いないので割と静かな空間だった。
「あー、なんで猫ってこんなにモフモフなのぉ。病みつきになるぅ。ちょっと行って来るねぇ」
「おう、行ってらっしゃい」
で、どんどんモフモフしたくなったのか、膝にのせていた猫を地面に降ろすと、席を立って猫が集まっている方に行く千花。
士道は猫が近づいてきたら頭を撫で、猫カフェを楽しんでいる千花を眺めていた。
千花はソファーに寝転んでいる猫達に近づくと頭やら背やらを触っているが、何故か逃げられていた。
「士道君ー、猫達が逃げるよぉ」
千花は猫達が逃げたことに、ぼやき士道に助けを求める。
士道は辺りを見回すと、ソファーに目が行く。
「じゃー、ソファーの脇にあるおもちゃとか使ってみるのはどうだ?」
ソファーの脇にはいくつかの猫のおもちゃがあり、おそらくは猫達と遊ぶためのものだった。
「なるほどねぇ、じゃぁこれでぇ」
千花は何故か、ソファーの脇……の奥の棚からある物を手に取った。
そこには、猫のぬいぐるみやら猫のストラップやらの、いわゆるお土産的な商品が陳列されていた。
そして、
「どぉー、士道君?似合ってるぅ?」
千花は髪の色と同じ茶色のネコミミを付け、士道に感想を求めた。
はっきり言えば、かなり似合っていた。
なんか、他の男には見せたくないと思ったが、今ここには店員の女性しかいなかったので、そんな心配はいらないようだ。
「うん、かなりいいな。可愛いし、似合ってると思う」
千花の姿に見とれていたが、とりあえず感想を言う。
「ふふ、ありがとねぇ。じゃぁ、ちゃんと猫達とも遊ばないとねぇ」
千花は腰を下ろし、次はソファーの脇から猫のおもちゃ手に取って猫達を引き寄せると、やってきた猫達と遊び始めた。
ちなみにネコミミは付きっぱなし。
なんだかんだで楽しそうな千花を見ていたら、なんだか眠くなり、少しぐらいいいか?という感じで突っ伏すと、すぐに眠りに落ちてしまった。
「もう、間違えないから……きっと護ってみせるから。だから……」
数分か数十分か、どれくらいか経ち、なんか頭が重くて、もぞもぞ動くような感覚で目を覚まし、瞼を開くと、頭の近くで猫が歩き回っていたり、乗ったりしていた。そして、机に乗り出す形で千花が士道の顔をのぞき込んでいた。
なんか夢を見た気がしたが、全く覚えていなかった。
士道はとりあえず体を起こしつつ、頭に乗っていた猫を降ろす。
「あ、起きちゃったぁ。もう士道君の寝顔、見終わりかぁ」
「あ、ごめん。もしかして相当寝てたか?」
「いやぁ、たぶん十分ぐらいだよぉ。猫達と遊んでて気づかなかったし、士道君疲れてると思ったからそっとしておいたけどぉ」
「……なるほど?」
そう言いつつ、だんだん寝ぼけ眼がはっきりしてくると、千花の惨状に気付く。
「で、何があった?」
千花の頭に一匹、足元にたくさんの猫がいた。
頭に乗っているのは膝にのせていた仔だった。
「うん、なんかすごく懐かれたぁ」
「何をどうやったら、この十数分でそんなに懐かれるのやら?俺もそれぐらい懐かれたいけど」
そう言いながら士道も足元にいた猫を撫でる。
まぁ、千花ほどではないが猫も寄ってくるし、撫でても嫌な顔されないからいいのだが。
「んー、猫堪能したぁ~。じゃぁ、そろそろ帰ろっかぁ。夕飯も作らなきゃだしぃ」
千花は猫を頭に乗せたまま伸びをすると、頭の猫を降ろして、立ち上がる。
「だな、なんか一気に疲れとか取れた気もするし、来てよかったな」
士道もそう言って立ち上がると、出入口に向かう。
そこで、飲んだコーヒーといくつかのストラップ等(千花の装備したネコミミを含む)の会計を済ませると、二人は猫カフェを出ようとする。
しかし、
『ミャオォー(もっと居て~)』
猫達が寂しそうにそんな鳴き声を出す。
その声を聴くと、二人の足が止まってしまう。
そして、千花は士道と猫を交互に見る。
「……どうしよう。何か出づらいよぉ」
「言うな、俺も思った」
何か出づらい雰囲気に二人が困っていると、唐突に扉が開き、
『ミャァァ!(きたぁ!)』
猫達のテンションが上がったかのような鳴き声が響き、扉の方に向かって行く。
その扉からは、黒髪で左目を隠した女子が入って来た。
「おや?今日は準備万端なんですわね」
どう見ても時崎狂三、その人だった。
大体霊装を纏っていない時の格好なのか、黒いブラウスにロングスカートという恰好をしていた。
狂三は士道たちに気付いていないようで、腰を下ろして寄ってきた猫たちを撫で始める。
「……狂三?」
「……あら、士道さんに千花さん。珍しいですわね」
「おやぁ、狂三ちゃんだぁ。久しぶりだねぇ。猫ってモフモフで気持ちいいねぇ」
士道が声をかけてやっと気づいたらしく、どんだけ猫好きなんだろ、とか思うが口にはしない。
狂三は狂三で自分のペースを保ち続け、猫を撫でながら話す。
「えぇ、お久しぶりですわね。なるほど、だから今日はこの仔たちが準備万端だったんですのね」
「まぁな。俺たちはもう帰るけど、狂三は楽しんで行けよー。琴里たちには言わないから」
「じゃぁねぇ」
「えぇ、お願いしますわね。では、さよならですわ」
狂三が来たことで猫達も寂しくなさそうなので、二人は改めて帰る決心をすると、二人は猫カフェを出た。
なんで、狂三のことを琴里たちに報告しないかって?
(猫をモフるという、至福の時間を奪えるわけがないだろ!)
~☆~
その翌日、久しぶりに雨が降っておらず、士道は学校終わりに、一人で買い出しをしていた。
千花は何か用事があると先に帰り、折紙と八舞姉妹は、今週中は掃除当番だからいない。それに、一人でも買えるからいいか、と思ったからでもあるが……。
それで、食材の買い出しを済ませた士道がスーパーを出ると、雨が降り出していた。
なんだかなぁ、と思いながらも一応持っていた折り畳み傘が役立った。数日分の食材を買うだけだったので、あまり荷物にはならず、片手で十分持つことが出来たので濡らす心配も無い。
傘を差して歩いていると、神社に差し掛かり、何か予感があって一応入ってみる。
なんだか、誰かがいる気がしたから。
すると、そこには、
「……」
緑のウサギ型のレインコートを着た少女が何かを探しているかの如く歩き回って、辺りをキョロキョロしていた。
(あれって、四糸乃だよな?なにしてるんだろ?)
何かを探しているその途中で、サファイアのような青の瞳が士道の姿を捉えると、慌てて木の影に走り隠れてしまう。
士道は突然のことに困惑をしていると、
少女はびくびくとした様子で木に両手を添えて、顔を出して言った。
「こ、ない、で……ください……」
次回から本格的に進めます。
そして、忙しいのと、スランプで次章が書き終わっていない。