\(>▽<)/
「んと、そんなに警戒しなくていいよ。俺は君に危害を加えたりしないから」
士道はとりあえず、すごく警戒している四糸乃の警戒を解くことから始めた。
会ってそうそう、こんなにビクビクされたら、なんか悲しいし。
それに、士道のHP(精神面)がガリガリと削られていた。
だからこそ、士道は四糸乃に近づこうと一歩踏み出す。
「うおっ!」
が、その途端氷柱が士道の目の前に突き刺さり、士道は慌てて立ち止る。
四糸乃は木から少しだけ顔を出して警戒している表情をしていた。どうやら、士道が何かする気なのかと思ったらしく、今のは警告のようだった。
「こない、でください……それとも、いたく、しない、ですか?」
木の陰から顔を出したまま聞いてきた。
士道はできるだけ警戒を解くために、両手を一度挙げ攻撃の意思がないことを伝える
「一体どうしたんだ?俺は、別に痛くしないけど……」
「でも、私が、ここに居ると、皆、私に攻撃、します」
四糸乃はビクビクしながらも、たしかにそう言った。
「そうなのか?でも、俺はしない。それに危害を加えるなら、君に気付かれる前にしてると思うよ」
「……本当、ですか?」
「あぁ、本当だ」
「本当に、本当、ですか?」
「本当に、本当だ。あっ、俺は五河士道だ」
「……四糸乃、です」
いつまで繰り返すんだろう?と思い、自分の名前を言うと、士道に若干怯えながらも、とりあえず木の陰から出てくる四糸乃。
一周目で初めてであった時と同様、ウサギ耳の大きなフードのレインコートの霊装、その左手にいるよしのんが――いなかった。
「……どうかしましたか?」
士道がまじまじと見ていたことで、四糸乃は疑問な顔をする。
(おっと、まじまじ見過ぎたな。でも、なんでよしのんがいないんだろ?)
士道はハッとすると、気を取り直す。
「いや、ずいぶんと可愛い恰好だなぁ、と思ってな」
ボンッ
「……」
四糸乃は、顔を真っ赤にして、頭から湯気が出ているような感じになっていた。
おそらくは、士道が唐突に可愛いといったからだろうけど……。
「おーい」
「……」
で、四糸乃は反応が無かった。
四糸乃が落ち着くのを待ち、
「大丈夫かー。とりあえず座んないか?」
「あっ、はい」
そう言って、神社の境内に二人は腰を下ろす。
四糸乃はまだ完全には信用出来ていないらしく、二人の間には一人から二人分の距離が開いていた。
「それで、四糸乃はこんな所で何してたんだ?何か探していたみたいだったけど……」
「はい、私の友達を、探していたんです」
「そうなのか。ちなみにその友達って?」
「えっと、左目に眼帯を付けたウサギで、よしのんといいます。私の友達であり、ヒーローなんです」
やっぱりか、と士道は思い、となるとやることは決まったようなものだった。
「そっか……いつからいなくなったんだ?」
「たしか、三日ぐらい前からです。よしのんは困った人の気配を感じると、助けに行くんです」
「なるほど?つまり、それっきり戻ってきてないと」
「そうなんです。いつもは、その日のうちに、戻ってくるんですけど……だから心配で、探しているんです」
そう言うと、四糸乃は境内から立ち上がる。
急にどうしたんだろ?と思っていると、四糸乃が士道の方を向く。
「では、私はそろそろ、よしのんを探しに、行きます」
「ん?俺も探すのを手伝うよ」
すると、四糸乃は顔を横に振る。
「いえ、迷惑は、かけたくないので……」
「でも、ここまで聞いたらな。それに一人よりも二人の方がもしかしたら、早く見つかるかもだし」
「いえ、大丈夫、ですので!」
そう言って、走り出してしまう。雨は通り雨だった様でもうやんでいた。
士道も慌てて立ち上がると、四糸乃を追いかけようとする。
すると、四糸乃が躓き、転びそうになる。
「危ない!」
士道はギリギリで四糸乃の腕を掴み、なんとか転ぶ前に体勢を保った。
四糸乃は驚きながらも、助けられたことに頬を赤らめていた。
「あの、ありが、とうござい、ます」
四糸乃は士道にお礼を言うと俯いていた。
結果的に、四糸乃は転ぶこと無く無事だった。
しかし、
「何してんのー!」
何処かから士道の腹に緑の髪の少女が突っ込んできて、士道は押し倒された。
「ついに、犯してしまったのね。私たちがいるっていうのに……まさか、四糸乃を襲うなんて……」
士道に突っ込んだのは、私服姿のやたらと怒っている七罪だった。
たぶん、士道が四糸乃を襲っていたと勘違いしている。
さっきの光景も見ようによっては、四糸乃の腕を無理やり掴んでいるようにも見えたのかもしれない。
「誤解だ!七罪。あれは転びかけた四糸乃を支えてただけだ」
「……え?……本当?」
「うん」
「そうです、七罪さん」
士道と四糸乃が七罪の問いに頷く。
「あっ……ごめん。てっきり襲ってたのかと……」
七罪はポカーンとすると謝り、士道の上から退いた。
士道は背中をさすりながら立ち上がると、四糸乃は不思議そうな顔をして聞いた。
「あの……お二人は知り合いなんですか?」
「んと、士道とは友達な感じ」
「あぁ、そんな感じだ。ところで、七罪と四糸乃も面識があったのか?」
七罪との関係を説明すると、逆に二人の関係を聞いた。
どうやら面識はあるようだったので。
「えっと、会ったのは、昨日です」
「うん、昨日出かけてた帰りにここで四糸乃がうろうろしていて、話しかけたら、何か困ってるみたいだったから……士道みたいに、誰かを助けられたらなぁ、と思って……」
「それで、昨日は一緒によしのんを探してもらっていました。見つかりませんでしたけど……」
「それで、今日も一緒によしのんを探そうと思って、ここに来たって訳」
二人が何時知り合ったのか聞いて、士道は納得した。
(あの七罪が人助けかぁ。それとも、四糸乃だからかな?まぁ、それでも進歩だよな)
「なるほどな。じゃぁ、三人で探すか?いいかな、四糸乃?」
「……はい。士道さんが問題ないなら……七罪さんもその、よろしくお願いします」
「うん、早く見つけないとね」
「じゃぁ、捜索開始だな」
そう言って、三人はよしのんの捜索を始めた。
~☆~
「いないなー、よしのんと最後に分かれたのは、この辺りなんだよな?」
「はい、ここなんです。だから、戻ってくるとしたらここだと思ったんですが……」
士道たちは神社とその周辺を重点的に探していた。
四糸乃の話だと、この神社で困った人の気配を感じて、何処かに助けに行ってしまったらしい。
だからこそ、三人はここに戻ってきている、或いは戻ってくると思ってここを重点的に探していた。
しかし、探し始めてから一時間ほど経つが見つかる気配もなく、しだいに辺りも暗くなり始めていた。
士道がふと、七罪の方を見ると、七罪は暗い顔をしていて、何か考える素振りをしていた。
七罪が考える素振りを止めると、
「ねぇ、もしかしてなんだけど、誰かが連れて行っちゃったんじゃ?」
そんなことを聞いてきた。
士道も、もしかしたらとは思っていた。
(よしのんが一人でいるのなら、誰かが見つけて連れって行ってしまうかもなんだよな。一周目だと、折紙が連れて行っちゃったわけだし)
「あぁ、あり得るな。そう考えれば、戻ってこないのにも納得がいく」
「……じゃぁ、もうよしのんと、会えないって、ことですか?」
七罪の推測に、士道もそんな予感が同意し、四糸乃は悲しそうな顔をする。
「いや、まだそうと決まったわけじゃないから!」
「そうだぞ、ただ迷子になってるだけかもしれないだろ?」
二人は慌てて四糸乃をなだめていると、
きゅるるる。
きゅるるる。
プルルルル。
という間の抜けた音と携帯の着信音が辺りに響いた。
四糸乃と七罪は、顔を真っ赤にして俯いていた。
(二人も恥ずかしそうにしているし、ここは触れないでおくべきか。さすがに、下手なことを言うわけにはいかないよな)
と士道は考え、ポケットから携帯を出し、着信の相手を確認する。
『士道君、ヘルプー。私の菜園が~\(゜□\)(/□゜)/』
送られてきたのは千花からのメールで、何故か一行だけ書いてあった。
慌てているということは、なんとなく顔文字で分かった。
だが、正直言って、この文章だけじゃ全く状況が読めない。
(菜園がどうしたんだろ?)
とりあえず、千花に電話してみる。
プルルルル、プルルルル、プルルルル、ツー。
しかし、電話は繋がらなかった。
(本当に何が起きているんだ?もし、敵が来たなら琴里から連絡が来るはずだし……)
しかし、琴里からの連絡もないということは違うのだろう。
仕方がないので、携帯をしまうと、だいぶ落ち着いたっぽい二人に声をかける。
「……だいぶ暗くなって来たし、そろそろ切り上げるか?こんな暗かったら、見つからないかもだし……それに、よくわからんメールも来たし」
「……でもよしのんは……」
「もしかしたら、よしのんも何処かで休んでるのかも……だから、四糸乃も少しは休憩しよ?四糸乃が倒れちゃったら元もこうもないし」
「……はい。そうですね」
「とりあえず、行こう。俺の家で何か作るから」
四糸乃は、よしのんを心配して、渋々といった感じで、士道たちは神社の敷地を出た。
~☆~
歩くこと十分。
三人は精霊荘に着いた。
一体さっきのメールがなんだったのか?という疑問を持って敷地内に入ると、
「夕弦、そっち行ったー」
「了解。分かっています。ていっ」
「もう、すばしっこいよぉ」
「これは、何か罠を張るべきですかね?」
『やっはー』
庭の方、というか千花が作ってる菜園の方で五人の声が聞こえて来た。
菜園の方に行くとそこには、白いウサギを追い回している四人がいた。
どうやら、あのウサギが菜園に侵入し、四人が捕まえようとしている構図のようだった。
(あれ?さっきは五人分の声が聞こえた気が……)
四人はウサギを捕まえることに必死で、士道たちには気づいていないようで、いくら捕まえようとしても、ウサギは軽やかな身のこなしで回避していた。
たぶん、ずっと続けてたから電話にも出れなかったのだろう。
(四人に捕まらない辺り、あのウサギなかなかすごいな。なんか、左目に眼帯付けてるし……)
士道がそんなことを考えていると、四糸乃がハッとする。
「あっ、よしのん!」
『やっほー、四糸乃』
そして、四糸乃は小さく、そう呟き、よしのんが返していた。
同時に、ウサギのよしのんが四糸乃一直線に動き、四糸乃の頭の上に飛び乗った。
(もし、よしのんがアンゴラウサギだったら危なかった……。具体的には、精霊荘を喫茶店にする必要が出るところだった。……いや、ありか?)
「良かった……よしのんが無事で……」
『やっはー。やっと四糸乃を見つけられたねー。四糸乃、久しぶりー』
四糸乃に乗ると同時に二人は互いに言葉を交わし、二人?は三日ぶりの再会に喜んでいるようだった。
(といっても、よしのん声がどこから出ているのやら?気のせいじゃなければ、よしのん自身が言ったような……いや、ないよな?)