デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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5話 四糸乃の望み

「ハッ!」

 

未だにブレスを放っている四糸乃たちに対して<灼爛殲鬼>を振るって炎の斬撃を飛ばし、四糸乃たちはブレスを止めて斬撃を回避する。

 

「おや?あなたは誰かな?見た感じ精霊みたいだけど」

「えぇ、私は精霊で士道の妹よ」

『なるほど、お兄ちゃんのピンチに駆けつけたって訳かー』

 

突然現れた琴里に対して疑問を持ちながら、二人は琴里の答えを聞き納得する。

 

「さて、選手交代いいかしら?私的にもAST潰されるのは……まぁ、(壊れた建造物を直す点で)困るから」

「ふーん、まぁいいよ。でも、炎だからって氷と相性がいいと思わない方がいいよ」

「あらそう、てことで士道はそこにいなさい。四糸乃は私がなんとかするから」

「待て!おまえ大丈夫なのか?見た感じ完全に霊力が戻ってるよな?たしか、破壊衝動が来るんじゃ……」

 

琴里が四糸乃と対峙しようとすると、士道は琴里に問う。

士道の記憶が確かだと、琴里は精霊化すると破壊衝動に襲われるはずだった。

 

「ん?あぁ、たぶん三日間だけならなんとかなるわよ。だから、後のことは後で考えなさい。ほら来るわよ」

「三日か。じゃぁ、俺もうかうかしてられないな。てことで、俺も四糸乃を救って、琴里おまえも救うからな」

 

言いながら、無理して体を起こす。そして、顕現させていた【穿つ者】を消すと、四糸乃の方に目を向ける。

琴里は士道がそういう気がしていたのか半ば呆れたような表情をしながら呟く。

 

「はぁー。そんな体で無理しようだなんて。まぁ、それでこそ、私のお兄ちゃんだけど」

「あぁ、気にすんな。俺の勝手な行動だ。それに、四糸乃との勝負は元々俺がしてるから選手交代も無しだ」

「ふーん、士道君もまだやるんだ。じゃぁ、精霊さんも一緒でいいよ。これハンデねー。今の士道さんじゃ、簡単に終わっちゃうから」

『ってことで、第二ラウンドかな?行くよー』

「行くわよ、士道。攻撃は全て私がなんとかするから、士道は行けそうなタイミングで行きなさい」

 

直後によしのんの額に氷の角ができ、両者は一気に地を蹴って接近し、<灼爛殲鬼>と角が激突する。両方ともやたらと硬いのか、ぶつかった状態で鍔迫り合いになる。

硬直した状態になると、士道も四糸乃に接近し、勢いよくジャンプしてよしのんの背に乗る。

 

「さてと……って、どうやって四糸乃をよしのんから降ろせばいいんだ?」

 

そして、乗ってから四糸乃の姿を見て、今更ながら気づいた。四糸乃の両腕は<氷結傀儡>を操るために背というか首元に入っている。

(ん、これは引っ張れば簡単に抜けるのか?でも、簡単に抜ける訳もないよな?)

士道がどうしたものかと悩んでいると、大きな揺れが来る。目を向けると、琴里が一度距離を取り、よしのんが追撃しようとして動いたようだった。

 

「士道、とりあえず四糸乃の身体を掴んで引っ張って見なさい。もしかするかもしれないわよ」

 

士道が何とか振り落とされないようにしていると、何度か攻撃と回避をしている琴里がそう言い、もう一度鍔迫り合い、揺れが一時的に収まる。

その間に四糸乃に近づくと、四糸乃は<氷結傀儡>から腕を離し、士道の方を向く。

 

「あれ?手を離していいのか?コントロールしていたんじゃ?」

「ん?別にそういう訳じゃないよ。ただ落ちないようにしてただけで」

「え?そうなのか?」

「うん。それじゃ、士道君との勝負を終わらしちゃうよー。うりゃー」

 

四糸乃が飛びかかって来たが体格差のせいか、士道は四糸乃を受け止めてしまい、なんとも言えない空気になる。

四糸乃はジタバタして離れようとするが、たいした意味もなく士道は受け止めた状態を維持した。

 

「士道さん、降ろしてくださいよー」

「いや、このまま四糸乃を降ろせば、別の手に出られ……うおッ!?」

 

突然四糸乃の身体から冷気が立ち込め、突然のことすぎて力が緩み、四糸乃が脱出してしまう。

四糸乃の足がつくと同時に、大きく揺れ士道が<氷結傀儡>の背から落ちる。

が、ギリギリのところで琴里がキャッチする。

 

「ふー、想像以上に厄介ね。というか、相手が相手なだけにやりにくいわ」

「へー、手加減してくれていたんだ。じゃぁ、私はちょっと本気出してあげるよ<氷結傀儡(ザドキエル)>――【氷爪(クロー)】」

『行くよー、おりゃー!』

 

琴里は相手が四糸乃であることもあってかやりづらそうで、四糸乃は四糸乃で謎の技を発動させた。

何が起きるのか警戒していると、周囲の雪がよしのんに集まり、よしのんの四肢にクローが装備され、角も一回り大きくなる。

 

『四糸乃は士道君をお願いね。僕は精霊さんを』

「分かったよー。じゃ、よしのんも気を付けてね」

「来るわよ、士道!」

「あぁ、分かってる!」

 

まず、よしのんが琴里に突っ込み、琴里は<灼爛殲鬼>でガードする。

しかし、質量差があり過ぎるのと足場が悪いことで、そのまま後方に吹っ飛ばされる。そして、吹っ飛んだ琴里を追撃するために、よしのんはダッシュして琴里が吹っ飛んだ地点に行ってしまう。

 

「さて、これで一対一になった訳だけど、士道さん降参しない?」

「いや、無理な相談だな。それに、やっと四糸乃と二人きりになれたんだしな」

「んと、どういうこと?」

「ただ単に、四糸乃が考えていることを聞けると思っただけだよ」

 

士道の言葉の意味を測りかねて疑問顔をする四糸乃。

 

「それで、四糸乃は結局何がしたいんだ?ASTを潰したって新たな組織が発足されて、また襲われるだけだぞ」

「……確かにそうかもしれませんね。でも、何もしないで逃げ回るのはもう嫌なんです。だから私はやるんです」

「でも、四糸乃は痛いのが嫌なんだろ?」

「はい、そうですよ。でも、もう我慢の限界なんですよ。なんで私が襲われなきゃいけないんですか?べつに私の意思で空間震を起こしているわけでもないのに」

「確かにそうだが、そうとは知らないASTはそう考えないな。こんな被害が起きる以上、何とかしようとした結果であるわけだし」

「じゃぁ、いいじゃないですか?別に私が攻撃したって。襲っておきながら自分たちは襲われないなんてことあるわけないんですから。だから、私は反撃するだけです」

 

四糸乃は士道の目を見てはっきりとそう言った。

四糸乃の目は本気で、士道はその言葉を受け止める。

 

「確かにそうだな。四糸乃が悪いわけでもないのに襲われのは俺も許容できない。けどな、四糸乃が誰かを傷付けるのも、俺は許容できない!」

「ん?それって無茶苦茶じゃないですか?ASTが攻撃するのを理解していながら私たちを攻撃するのは許せない。で、私が攻撃するのも許せない。じゃぁ、士道さんは一体どうするのが正しいっていうの?私は無理だよ。そもそも、あの人たちは皆を護るために私たちと戦ってるんでしょ?でも、士道さんが巻き込まれたと知っても、助けようとはしなかったよ。そんな人たちに容赦する必要あるの?」

「その人たちは、多くの人を救う方を選んだ、それだけだ。それに、俺はこうしてピンピン?しているんだからいいだろ?」

 

士道は大丈夫なことを証明するようにその場でジャンプして見せる。その際に、よしのんに吹っ飛ばされた時の傷が痛んだが、なんとか表情に出ないようにする。

 

「それにだ。今の言葉だと、四糸乃が攻撃されたことよりも、ASTが俺を助けなかったことに対して怒っているような気がするんだが?」

「そうですよ。人を助ける人が見殺しにした、だから私は怒ってるんですよ」

「そっか、やっぱり、四糸乃は優しいんだな」

 

四糸乃が士道の為に怒ってくれたことがうれしかったのと、この世界でも四糸乃は優しいと確認できたことで、士道は笑みを浮かべた。

 

「私は優しくないですよ。それに、私自身もあの人たちが迷惑だからです。あの人たちさえいなければ、私は平穏な生活が送れるんです」

「じゃぁ、なんで、そんな悲しそうな顔をしているんだ?本当にそう信じているのなら、そんな顔はしないでくれ」

 

四糸乃は言いながらも、悲しいような暗い顔をしていた。まるで、そんなことをしても、たぶん無理だと分かっているかのような。

 

「四糸乃は、本当はどうしたいんだ?本当にASTさえいなければ、平穏な生活が送れると思うか?」

「……じゃぁ、私がASTを潰す以外に平穏な暮らしが送れる方法があるっていうの?私だって、誰かを傷つけないで済む方法があるならそうしたいよ!でも、私にはそんな方法はわからないよ」

「……四糸乃」

 

途中から四糸乃は感情を爆発させて、自分が本当はどうしたいかまで口にする。

 

「そうだよ、私だって誰かを傷つけるのは嫌だよ。私がいるせいで、さっきの士道さんみたいに誰かを巻き込むのは嫌だよ。だけど、私の力じゃ何にもできない。私は弱いから。だから……だから……」

 

途中から泣き出して、今まで無理していた感情があふれているようだった。

 

「四糸乃は弱くないよ。四糸乃は今まで一切反撃もしなかった。本当に弱かったら、力を使って反撃もしていたと思う。それでも、四糸乃は力を行使しなかった。だから、四糸乃は十分強いよ。まぁ、今日は俺の為にやったことだし」

「……士道、さん」

「それとな、四糸乃。ASTを潰すこと無く平穏な暮らしをする、そんな方法があるよ。俺にならできるんだよ」

「……え?」

 

士道の言葉が余程意外だったのか、四糸乃は驚いた表情をする。

四糸乃は涙を拭うと、

 

「本当にそんな方法があるんですか?本当に私は誰も傷つけないで済むんですか?はぁ、よかった……あっ、でもダメだね」

「なんでだ?」

「だって、私は人じゃなくて化け物なんだよ――」

「――四糸乃は化け物なんかじゃない!一人の優しい女の子だ!」

 

士道は四糸乃の言葉にかぶせるように否定する。四糸乃はごくごく普通のおとなしく優しい少女だから。そして、士道の心のオアシスだから。

 

「士道さんは私のことを認めてくれるんですね。そっか、士道さんにとって私は化け物じゃないんだね」

「あぁ、それに、四糸乃のことを認めてくれているのはもう一人いるだろ?四糸乃の友達にしてヒーローが。な、よしのん」

 

四糸乃が喜んでいるその後ろに声をかけると、

 

『そうだよ、四糸乃。四糸乃は強い子だよ。それに、無理して自分を偽って戦う必要は無いよ』

 

二人のもとに戻って来たよしのんがそう言った。何故か<氷結傀儡>の姿から、初めて会った時のウサギの姿に戻っているが。

 

「うん、そうだね。よしのんは最初から分かっていたんだね。私は私のしたいようにすればいいんだよね」

『うん。もし戦う時は、四糸乃自身が本当にそうしないといけないと思った時だよ。それに、その時は僕も一緒だよ』

「うん、ありがと、よしのん」

 

そう言って、よしのんは四糸乃の頭に乗っかった。

(とりあえず、これで四糸乃は大丈夫だよな?)

そんなことを考えると、そろそろよしのんに聞きたいことがあるので切り出す。

 

「それで、琴里はどこ行ったんだ?たしか、戦ってたよな?」

『あっ!そうだった。あの精霊さん、急に頭を抑えてうずくまったと思ったら、やたらと好戦的になってね』

「そうなのか?でも、琴里は……」

『それで、ちょっと危なくなったから、雪で作った偽物とすり替わってやり過ごしたら、ちゃんと倒したかも確認しないでどっか行っちゃったんだよ』

「え?」

 

 

 

~☆~

 

 

 

その頃、七罪と真那は。

 

「じゃ、空間震警報も解除されたことだし私たちは戻っていい?」

「そういうことなので、今日は失礼しますね。お疲れ様です、二亜さん」

「ん、なっつんとマッチもお疲れー。ごめんね、空間震警報が鳴ってたのに長居させちゃってー」

 

とあるマンションに居て、結局空間震警報が解除されるまで出られずにいた。

二人とも本当は士道のもとに行こうとしていたが、何故だか必要以上に邪魔をしてきて、なかなか振り切ることが出来ず、今に至る。

そして、二人はやっと、部屋を出ることが出来た。

 

「それで、君は何しに来たのかな?時の精霊さん?」

 

二亜と呼ばれていた少女は軽く伸びをすると、何もない所に向かって話しかける。

すると、そこから狂三が現れる。

 

「あらあら、気づいていらしたのですね」

「まぁ、君が来ることは事前に知っていたからね」

「そうですか。では本題に入らせてもらいますわね。全知の精霊のあなたに聞きたいことがありまして。本条二亜さん」

「ありゃ?どうやら、それなりに調べては来てるみたいだね。それで、何が知りたいのかな?情報と引き換えに一つお願いを聞いてもらうってところでどうかな?時崎狂三?」

「えぇ、いいですわよ。まぁ、お願いにもよりますが」

「じゃっ、交渉成立ね」

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