デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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4話 悪意

真那が家を出た後、士道も家を出ようとしていた。

真那を止めたいところだが、駐屯地に行っても門前払いされてしまうだろう。なので、高確率で街にいる可能性がある千花を探そうとしている。

千花と話をして戦わないようにしたかった。やはり、危険に変わりわないし、真那と本格的に戦えばどちらも危ない。このままだと更なる危険が起きるような嫌な予感があった。

そして、士道の予感は現実となってしまっていた。

 

「さて、荷物は持ったし、千花を探すとして駅前かいつもの公園か。どこに……え?」

 

バッグの中を確認してから、行き先を考えながら玄関を出ると、あるモノが見えた。

それは昨日までは無かったモノ。

 

街の中心に空高くに伸びている巨木がそびえ立っていた。

 

 

 

~☆~

 

 

 

千花はその日、買い物のために近くのホームセンターに来ていた。

今は昨日の士道とのデート?で買ったグレーの洋服に白のロングスカートをはいていた。

千花は植物栽培のコーナーに来ると、肥料を見てどれにするか考える。

 

「えっと、肥料は……あっ、あったぁ。これ買ったらすぐに帰らないとぉ。と思ったけど、新しい植物の種とかも買って行こうかなぁ」

 

そう言いながら肥料の袋を手に取り、他のコーナーにも行く。

肥料と種を数種レジに持っていき、会計を済ました千花は袋を持ちながら家に向かって歩く。

 

「ふぅ、今日は特に何もなければいいけど……はぁ、そううまくはいかないかぁ」

 

独り言を呟いていると、目の前で見てしまった。おばあさんのバッグをひったくり、こっちに走ってくる男を。

千花は肥料などの入った袋を地面に置き、男の進路を塞ぐように立つ。その際、髪に霊装のヘッドドレスだけつける。

 

「嬢ちゃん、怪我したくなければ退きな!」

 

ひったくり犯はそう言いながら走ってきて、そばまで来ると道の中央にいる千花を手で押して退かそうとする。

千花は逆にひったくり犯の手を掴み、背負い投げの要領で地面に倒す。

当たりが良かったのか、悪かったのか男はそのまま気絶した。

気絶したのを確認すると置いておいた袋と盗まれたバッグを拾い、おばあさんにバッグを手渡す。

 

「おやおや、取り返してくれてありがとうね。怪我はないかい?」

「どういたしまして、問題ないですよぉ。しばらくは起きないと思いますからぁ。では、お気をつけてぇ」

 

おばあさんのお礼を聞き、家に向かって歩き出し、おばあさんから見えなくなると走り出した。

 

「どうしよう、あと二人でアウトだぁ。急がないとぉ」

 

千花はヘアピンの花びらが九個黒くなったことで焦っていた。

そして、また見つけてしまった。バイクに乗った人が、歩行者の男性のバッグを奪い走ってくるのが。

 

「連続でひったくりってなんなのぉ?この町平気なのぉ?まぁ、一人ならぎりぎりセーフだよねぇ」

 

突っ込んでくるバイクに合わせて動き、乗っている人の手を掴み、男をバイクから落とす。

誰も乗っていないバイクは数メートル進んで倒れる。

千花は男が地面に強打しないようにしながら、男を地面に放る。

 

「一体、何なんだよ。なんで落とされたんだ?」

 

状況を理解していない男は、ぶつぶつ言っていた。

 

「ひったくりをしたから、罰が下ったんだよぉ。さぁ、選びなぁ。バッグを返して自首するか、抵抗してみるか」

「畜生、こうなれば」

 

男は懐からナイフを出すと、千花に襲い掛かる。

千花は冷静に男の腕をつかみ、そのままナイフを叩き落とす。

 

「これだから、人間はダメなんだよぉ。まぁ、だからこそ私は人間が嫌いなんだけどぉ」

 

そう言うと足をかけて体勢を崩して、首に手刀を食らわせる。

手刀をくらったことで、男の意識が奪われる。千花は男を地面に倒しておき、バッグを回収する。

バッグを奪われた歩行者が走って来て、千花のもとに着くと、バッグを渡した。

 

「取り返していただきありがとうございます」

「いえいえ。では、急いでいるのでぇ」

 

そう言って千花は走りだし、男性は走っていく千花と空き巣をして手に入れたバッグを見ながら呟いていた。

 

「やっぱり、犯罪はダメだよな。……自首しよう」

 

走っていた為、千花は気づかなかった。

この男性の悪意を消していたことに。そして、ヘアピンの花が真っ黒に染まったことに。

 

 

 

~☆~

 

 

 

巨木が街に現れた頃。天宮市の上空の<フラクシナス>では、

 

「はぁー。一体何が起きているというのよ」

 

艦長席に座っている琴里は困惑していた。

突然巨木が現れたと思ったら、瞬く間に東天宮を覆ってしまったからだった。

 

「どうやら、識別名<ガーデン>の能力のようだね。そして、睡眠作用のある粉が散布されているようだ」

 

モニターを操作し、情報をまとめた令音は淡々と情報を告げる。

 

「つまり、ついに精霊が本格的に動き出したのね。で、被害状況は?」

「はっ。住民は皆眠っており、AST十名が巨木に接近し、<ガーデン>と交戦しているようです」

 

神無月も機械の操作を行いながら状況を分析する。

 

「そう。そろそろこちらも動きたいんだけど、円卓会議(ラウンズ)からの許可が下りないのよね。ところで、秘密兵器は無事?」

「すまない。彼がどこにいるかは分からないが今は無事なようだ」

「そう。さて、どうしたものか」

 

琴里が令音に聞くと、琴里は士道の無事に安堵しながら、この事態に嘆息した。

 

 

 

~☆~

 

 

 

突然現れた巨木は伸び続け、東天宮の街を覆ったことで太陽の光を遮り街を薄暗くしていた。東天宮に住む人々は不審に思い、困惑していた。

士道も何が起きているのか困惑しながら、とりあえず避難する。

走っていると空から黒い粉が降ってきて、吸わないように口をハンカチで覆う。

すると、粉を吸ってしまった周りの人が突然倒れだし、士道はこの現象に困惑しながらも倒れた人に駆け寄る。

 

「大丈夫ですか?……脈はある。眠っているだけか」

 

倒れた人の脈があることを確認すると思考する。

倒れた人の中には、士道と同じくハンカチやマスクで口を塞いでいる人もいた。しかし、その人も含めて眠っているのに、何故か士道は無事だということ。

そして、この眠っている人の状態は最近見た気がした。

 

「まさか、千花なのか?とりあえず、あの木に行ってみるか」

 

昨日の千花によって眠らされた人たちの事が浮かび、その可能性から巨木に向かって走り出す。

巨木に近づくにつれて、巨木の全容が見えてきて、突然巨木の近くで爆発が起きた。

よく見ると巨木を倒そうとしているのか、ASTが攻撃していた。

そして、その攻撃を一人の少女が止めていた。

少女の方を見ると、濃紺と黒の中間色の色合いのロングドレスの上に、白いエプロン。髪には十枚の黒い花びらの花型ヘアピンとフリルで飾られたヘッドドレスを付けた千花だった。

しかし違和感があった。

千花の髪は茶色だったのだが今は黒髪で、鮮やかな赤の瞳は闇色になっており、その手には一メートルほどのスコップがあった。

千花は巨木に飛んでくるASTのミサイルや銃弾をスコップで弾いて対処していく。

そして、だいぶ近づいた士道にASTと千花は気付いた。

 

「そこの君、早く避難しなさい」

「おや、士道君だ。それにしてもこいつら邪魔だな」

 

千花は見た目だけでなく、口調も少し変化していた。

すると千花はポケットからたくさんの種を取り出し、地面に撒く。

そして、

 

「【成長(グロウ)】――【速樹(プラント)】」

 

千花はそう言って、スコップを地面に突き刺す。

すると、種から植物が生えて一気に成長する。その植物はASTに向かって伸びていき、ASTは随意領域で身を守るが随意領域の上から絡めとる。ほとんどのASTが動けず、残りも植物が邪魔で身動きが取れなくなる。

その中の植物の一つが士道の足を絡めとると、そのまま千花の元に運ばれる。

千花のそばに着くと放され、地面に着地する。

 

「おっと。おう、千花昨日振りだな」

「ヤッホー、士道君。やっぱり来ると思ったよ。あ、今は刑の執行中ね。いやー大変だねー」

 

とりあえず、何が起きているのか分からないので、挨拶をしてみると、千花に軽いノリで返された。

 

「刑の執行中って、なんのことなんだ?」

「んとねー、この世界には悪意が満ちているからねー。だから世界を綺麗にするために粉を巻いているんだよ。悪意が一切ない人は身体に影響はないよ。まぁ、ほとんどの人は眠るだろうけど」

 

どうやら、千花がこの木を作り街の人々を眠らせたらしかった。

それと同時に士道が眠らないで済んでいるのは、士道自身に悪意が無いかららしかった。士道としては自分に悪意が一切ないのかわからないのだが、今の現状がそう物語っている。

 

「おまえの身に何があったんだよ?」

「ん、ただ単にいつもの私が悪意を吸い込み過ぎたんじゃん?だから、私は刑を執行して世界を浄化する!さてと、刑の執行を続けるかな。とりあえず、そこのASTから」

 

そう言うと、植物が随意領域を圧迫し始め、随意領域に穴を開けると粉が侵入し、ASTが倒れていく。

 

「やめるんだ、千花!こんなことをしても意味がないはずだ。それに新たな悪意を生むだけだ!」

「だろうね。だったら私はその悪意にすら刑を執行する。そうすれば、世界はいつか綺麗になるよ。だから、私は頑張るよ。士道君もそう思うし、手伝ってくれるでしょ?」

 

千花の言っていることも確かだが、士道としては同意する事が出来なかった。悪意が生まれるたびに眠らせていけば最後に行きつくのは全ての人が眠る未来だけ。

 

「だめだ。確かに、世界は悪意に満ちているかもしれない。だけど、こんなのは間違っている。だから俺は協力できない」

「ふーん。士道君ならわかってくれると思ったのに、決裂かー。なら私は一人で頑張るね!でも士道君はこんな景色もう見なくていいよ」

 

そう言いながら、千花が士道のそばによるので警戒する。

しかし、千花に警戒していたせいで植物の一つが士道の背後に来ていたことに気付かず、気づいた時には首に衝撃が走った。

 

「次起きた時には、世界を綺麗にしておくね。おやすみ、士道君」

 

そして、千花の声を聞いて士道は意識を失った。

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