デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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7話 鬼VS獣

士道たちが鳥取砂丘の地に降り立つと、太陽の熱と光が士道たちを襲った。

 

「暑いよぉ。そしてバッドニュースだよぉ。私ここじゃ植物使えないから戦力ダウンだよー」

「気のせいかな?千花の天使って弱点多すぎない?」

「あっ、確かにそうかも知れぬな。とりあえず寒さ・暑さが駄目だった」

「それに、植物が無ければ<死之果樹園(サマエル)>を振るうだけ」

『なんで来ちゃったわけ?』

「うぇーん。士道君、皆がいじめるよぉ。霊力を多めにとればできなくは無いのにぃ。それに、他にも戦う方法はあるよぉ。主に魔術師にだけどぉ」

 

すると、ぼやいた千花の口にした重大な問題に対して、皆いらない子発言をする。それで、士道に泣きつく(ウソ泣き)。

 

「よしよし、皆はただからかってるだけで千花はいらない子じゃないよ」

「そうよ、あとウソ泣きってみんな気付いてるわよ」

「うん、知ってるよぉ。じゃ、琴里ちゃん探そうかぁ」

 

先まで何もなかったかの如く千花は切り替えると、士道から離れて皆辺りを見回す。すると、遠くの方に人影があるのが見えた。

 

「【神威霊装・四番(エル)】、<氷結傀儡(ザドキエル)>」

『よし、きたー。よしのん、進化ー』

 

すると突然、四糸乃が霊装を纏い、よしのんが<氷結傀儡>の姿になると、周囲に氷のドームを作る。

一瞬皆が四糸乃を見やると、何処からか飛んできた攻撃が氷のドームに着弾し、攻撃は弾かれる音が響く。

 

「敵襲か。助かったよ、四糸乃、よしのん」

「いえ、私は私の力を誰かを護るのに使いたいので」

『そういうことー。それで今の攻撃はそのDEMとかいうのでOK?』

「たぶん、そうだと思うよぉ。全く、こんなところにまで来るなんてねぇ。暇なのかなぁ?」

「たぶん、琴里さんの霊力を発見して来たってところでいやがるんでしょうね」

 

その後にも、何発も飛んできているが、四糸乃の氷のドームには一切の傷がつかないので、皆そんなことを言っていた。

が、外から誰かがドームに接近し、氷のドームを切り裂くと、いとも簡単に砕け散る。

そしてそこには、魔力を一点集中させてドームに攻撃をしたエレンがおり、その後ろには十数人の魔術師と三十機前後のバンダースナッチが飛んでいた。

 

「久しぶりに<イフリート>の霊力を感知したので来てみれば、まさか<ハーミット>に、微かですが<ガーデン>、<ウィッチ>、<エンジェル>、<ベルセルク>、それに真那までいるとは」

『ありゃー、やっぱり即興で作ったから柔らかかったかー』

「さて、ここはどうするかのう。彼奴らの相手をしてから行くか、分担するか」

「分担を推奨する。琴里が何処かに行くかもわからないし、三つ巴の乱戦になるのは好ましくない」

「そういうことですね。では、真那はエレンの相手をしやがります!」

「わかったぁ。でも、約束は忘れずにねぇ」

 

真那は言うと同時に<ヴァナルガンド>を纏い、千花に了解の意味で左手を上げるとエレンに向かって剣を振るう。エレンは手にした剣でガードする。

 

「真那、久しぶりですね。どうですか、日本での生活は?全く、アイクにも困ったものですよ。ただでさえ、私と組めるほどの魔術師が少ないというのに、真那を退社させるなど」

「いいじゃねーですか。私の身体のことはもう知っているので、もしDEMに残っていたら、それこそ社長さんの首を取りに行くところでしたよ」

「あぁ、なるほど。自分の力量も測れないから解雇したのですね」

「何言ってんですか?真那がエレンあなたを倒せないとでも?」

「えぇ、そうですよ。誰も私には勝てないですよ」

「言ってろです」

 

二人は高速戦闘に移行し、互いに攻撃し合いながら会話をしていた。そして、二人は徐々に離れていく。エレンのことは真那に任せようと士道は思うが、千花が最後に真那に向けて言った言葉が気になっていた。しかし、今は琴里の方を優先するために切り替える。

 

「じゃ、士道君は四糸乃ちゃんと一緒に琴里ちゃんのとこ行ってぇ。あれは私たちが相手しておくからぁ」

「いいのか?結構数がいる気がするけど」

「愚門。私たちがあんなのに遅れを取ると思いますか?」

「そうであるぞ。故に、お主はお主の使命をなせ」

「あの、会って間もないのに、士道さんと行動するのが私でいいんですか?」

「そこは問題ない。それに、完全に精霊化しているところに限定霊装では足手まといになりかねない。しかし、四糸乃なら互角の実力はあると考えられる。それに、士道を護ってくれるんでしょ?」

 

四糸乃が疑問を口にすると、折紙は平然と返し首を傾げて確認する。

 

「あ、はい。もちろん、護りきります!」

「えぇ、お願いね。じゃ、士道たちも気を付けて」

「あぁ、皆もな」

「はい、行ってきます」

『行ってくるねー』

 

士道と四糸乃はこの場を皆に任せると、琴里のもとに走る。残ったメンバーは各々限定霊装を纏って天使を顕現させると、魔術師たちに対して戦闘を開始した。

 

 

 

~☆~

 

 

 

士道たちが琴里のもとに着くと、琴里は下を向いてそこに制止していた。

そして、士道たちの気配を感じると、顔を上げその双眸が士道たちを捉える。その眼は完全に暗く、意識は完全に持っていかれているようだった。数瞬の間があると、その手に<灼爛殲鬼>が握られ、一気に士道との距離を詰めるとなんの躊躇いもなく<灼爛殲鬼>を振るう。士道は突然のことに驚き、うまく身動きが取れなかったが、間一髪のところで四糸乃の氷の壁によって攻撃が阻まれ事なきを得る。

琴里は連撃を繰り返すが、ただ力任せに攻撃するだけでは壊れないようだった。エレンの場合は氷の中にある微小な隙間に随意領域を張り、内と外から同時に攻撃をしていたからだったりする。

 

「士道さん大丈夫ですか?」

「あぁ、助かったよ。それにしても琴里の奴、一切の躊躇が無かったな。俺嫌われてるのかな?」

『あー、ボケるだけの元気もあるみたいだし問題なさそうだね』

 

心配している四糸乃に対して、琴里に嫌われてると思いこむ士道、それをボケだと解釈するよしのん。

琴里はそんな三人のことなどお構いなしに攻撃を続けている。

 

「さて、完全に琴里は意識を持っていかれているわけだが、どうやって戻したものか……」

『士道、琴里を戻すのなら霊力を浪費させてみてください。琴里を暴走させている原因は霊力なので、霊力が減ったことで正気に戻るかもしれません。憶測ですし、危険を伴いますが』

「鞠亜、それでなんとかなるのか?てか、どうやってそんなに霊力を使わせろと?」

『はい、そこは士道たちになんとかしてもらうしかないのですが……』

「こっち次第、か……」

 

士道が鞠亜の助言を聞き、どうやるか悩んでいると、四糸乃が壁を維持させながら士道に向けて言う。

 

「じゃぁ、私がなんとかしますね。精霊相手なら向こうもガンガン力を使ってくれると思うので」

「いいのか?四糸乃は戦いたくないんじゃ……」

「はい、たしかにそうですけど、今がよしのんの言っていた“時”なんです。私は弱虫でいつも逃げてばかりだったけど、士道さんは私のことを強い子と言ってくれた。だから士道さんの言葉に恥じないように本当に強くなりたい。だから、私は私にしかできないことをやりたい。そして、今私にできることは琴里さんを救うこと。これは嘘偽りのない私の意思なんです!」

 

四糸乃は胸の内に秘めた言葉を、願いを言い切った。

すると、四糸乃の中から霊力が溢れ出す。まるで四糸乃の意思を反映したかのように。

突然のことに四糸乃も驚き、困惑する。

その際に氷の壁が消滅し、琴里が二人のもとに突っ込んでくるが、四糸乃が士道の腕を掴み、よしのんがバックジャンプして回避する。

 

「これは、私の中から力があふれてきてる?」

『うん、そうだよ。これは四糸乃が覚悟を決めたことで、今まで閉じられていた霊力が解放されたんだよ。だから、今なら四糸乃の願いを実現できるよ!』

「……分かったよ、よしのん。士道さんはいつでも行けるように準備だけしておいてください。行くよ、よしのん。<氷結傀儡(ザドキエル)>――【獣装(ビスアム)】」

『ほい、きたー』

 

士道が地に足を付けると、四糸乃がその言葉を言い、<氷結傀儡>の身体が光りだして四糸乃は<氷結傀儡>纏う。すると、四糸乃の纏っていた霊装の上に氷の装飾がなされ、フードから頭を出して髪がポニーテールになる。そして、両腕には氷でできたクローが、両足には鉤爪のついた獣の足に似たものが装備されていた。

初めて見る四糸乃のその姿は、スピードが速そうなイメージだった。

 

「行きますよ、琴里さん」

 

四糸乃がそう言って地を蹴ると、一瞬で琴里のそばに居て、クローを振るう。一瞬のことで琴里も反応が遅れると、もろに食らい傷がつく。

しかし、すぐに炎が傷を舐め、できた傷が無くなると琴里は四糸乃に<灼爛殲鬼>を振るう。

四糸乃はクローをクロスさせてガードするが威力があり、このままだと押しつぶされる、と瞬時に判断するとバックダッシュをして押し切られる前に距離を取る。

琴里の恐るべき攻撃力・回復力には四糸乃も驚いたが、そんなことよりもダメージを受けたのに一切顔色が変わらなかったことの方が気がかりだった。

 

 

 

~☆~

 

 

 

その頃、真那とエレンの戦闘も続いていた。CRユニットの性能はほぼ互角なのだが、エレンの方が戦闘の経験が豊富なため、真那は押され気味になっていた。

息一つ乱していないエレンに対し、真那はもう<ヴァナルガンド>の出力を七十五パーセント近く出していることで若干息が乱れていた。

 

「いいユニットを使っているようですが、無駄なことです。人類最強の私には遠く及びませんよ」

「くッ、やっぱり今の状態ではだめですか。じゃぁ、もうちょいやり方を変えるとしましょうかね」

 

余裕そうにしているエレンに対し、DEM時代と同様勝てそうにない真那は仕方がないので、さらに出力を上げ、九十パーセントにする。

(これ以上出力は上げちゃいけねーことになっていますが、これでなんとかなりますかね?いえ、これでなんとかしねーと)

スラスターを噴かせて一気にエレンにブレイドを振り、エレンも剣でガードをする。鍔迫り合いをしている所で、チェーンソーのように真那のブレイドの刃が回転し、一気にエレンの剣を切断し、そのままエレンに刃が届こうとすると、随意領域が張られ、ブレイドが止められる。しかし、真那はそんなこと承知していたので刃を回転させて続け、ついでとばかりに左手の砲門から魔力弾を放つ。エレンは少し眉を動かすが、随意領域を張り続け、その攻撃もガードして見せる。

 

「ほう、今のはいい攻撃でしたね。まさか、その装備にそのような機能があるとは。それに、今の砲撃はなかなかの威力でしたよ。私でなければ随意領域を破られていたでしょう」

「たく、今のでも破れないってどんだけ硬いんですか。これ以上の攻撃となると、隙がでけー技とかになるんじゃねーですか」

「そうですか。では、次はこちらから行きましょう」

 

エレンは折れた剣を捨てると、腰に付けていたデバイスを手にし、魔力で編まれた刃を出現させ、真那に切りかかる。真那はブレイドでガードしていくが、エレンの連撃全てをガードしきることはできず、何か所か切り傷を作る。何度か随意領域でガードを試みたが、エレンも随意領域を張って邪魔をしてきたので失敗に終わった。

 

「おや?だんだんと息も上がってきていますね。そろそろ諦めたらどうですか?今後邪魔をしないというのなら命までは取りませんよ」

「何言ってんですか?私はまだ負けてねーですよ」

「そうですか。忠告はしましたからね」

 

エレンが言うだけ言うと、二人は再び剣を交える。何度かエレンの懐に入り攻撃を加えるが、どれも回避かガードされてしまい、未だに攻撃がクリーンヒットしない。

(やはり、ここは百パーの出力にするしかねーのでしょうか?まさか、ここまでやってもダメージが無いとなると……。千花さんとの約束を考えるとやりたくねーんですけど、ここでエレンを行かせてしまえば、皆さんが危険にさらされる)

そんな真那はエレンに攻撃を続けながら打開策を模索していた。

 

 

 

~☆~

 

 

 

その頃、精霊達は未だに数が多い魔術師、バンダースナッチの相手をしていた。半数ほどは倒したのだが、敵が多いこと、やたらと暑いことでだいぶ体力を消耗しているせいで効率が落ちていた。

 

「むっ、こうも暑いと体力があれだな」

「同意。それに加えて、相手が多いのも面倒ですね」

「てか、あいつら全く暑そうにしてないけど、もしかして随意領域で日光遮断とかみたいなことしてる?」

「えぇ、CRユニットには温度調整機能が搭載されている。集中できないと随意領域を張ることが出来ないから」

「なるほどなー、して千花はいずこに消えた?」

「千花なら、士道たちの方にバンダースナッチが飛んで行ったと言って、追撃しに行ったはずだけど……あれ?いない」

 

七罪は士道たちの方を指差すが、そこには千花はおらず、七罪は首を傾げた。

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