デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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5話 士道人質になる

「ぎゃー、士道君が本に食われたぁ」

 

かれこれ時間は遡り、二亜が【心性世界】を発動した直後、千花は騒いでいた。

突然士道の足元に巨大な本が現れたと思ったら士道は本に飲まれてしまい、一冊の単行本サイズになって地面に落ちた。他の皆も目の前で起きた現象に困惑の色を隠せなかった。

しかし、そんな状態からすぐに戻り、琴里が二亜に食って掛かる。

 

「ちょっと二亜、どういうつもり。士道をどこにしたの!?」

「にーはっはー。少年は預かった、返してほしくば……返してほしくば……」

 

対して二亜は、どこぞの悪者かのように笑って、士道を返す条件に何か要求しようとする。

が、

 

「んー、どうしよう。何も思いつかないや」

 

本当に何も思いつかないのか、頭を掻いた。一部メンバーは、ズコーとなったが二亜は無視して何か思いついたかのように続ける。

 

「おお、そうだ。このまま少年を拉致って、ずっとメシスタントにしてしまおう」

「いや、自分で自炊しなさいよ」

「あ、正論返されちゃった。だが、断る」

「なんでよ!」

「なぜなら……」

「なぜなら?」

 

「少年のご飯美味しんだもん!」

 

「あー。そういうこと」

「さて、もうちょっと話していたかったけど、お客さんが来ちゃったみたいだね」

 

二亜は空を見上げ、次いで精霊達もその方角を見ると魔術師たちが飛んで来ていた。二亜が霊力を使ったことで、観測してきたものだった。

その中にはエレンがおり、魔術師たちはDEMの者だった。

エレンは着くや否や、二亜に発砲しようと銃を向ける。

しかし、弾が放たれることは無かった。

 

「未来記載。あたしの能力の一つね。先手は打たせてもらったよ」

 

二亜は口元に笑みを浮かべて、手にしていた<囁告篇帙>をちらつかせてそう言うと、

 

「では、さらばっ!」

 

なんのためらいもなく走り去っていった。士道を封じた本を持って。

 

「逃がしません!」

「待てぇ」

 

エレンはそう言って二亜を追い、千花たちも二亜を追いかける。

走ること数分、やたらと大きめな公園に着くと、二亜は唐突に足を止めた。

追いかけていたエレン達魔術師と精霊達も追いつくと、エレンはふぅーと息を吐く。

 

「追いかけっこは終わりですか。しかし、諦めたという訳ではなさそうですね」

「まぁね。さすがにあそこで戦闘はやばいでしょ」

「ほう、人間の心配をするのですか<シスター>」

 

二亜はコミコ会場の方を見ながらそう言うと、エレンはそんな返しをする。しかし、二亜は頭に“?”を浮かべ、すぐに納得すると口を開く。

 

「ん?何か勘違いしてない?人の心配なんてしてないよ。聖地(コミコ会場)の心配ぐらいしか。あそこが壊されるのは忍びないからね。それに壊されたら次回は中止になるかもだし」

 

精霊たちは、おいっ、と突っ込みたくなるが自重する。結果的に人的被害はなかったので。

 

「そうですか。まぁ、情報の隠蔽の必要が無くなったので楽にはなりましたね。では、さようならです」

「いや、私はそんなの許容しないよぉ」

 

エレンはレーザーブレイドを握り、二亜に向かって一閃する。しかし、その攻撃は二人の間に入った限定霊装を纏った千花が<死之果樹園>で防ぐ。

二亜は何故?って表情をして千花を見る。

 

「士道君が二亜ちゃんに捕まっちゃてるんだし、二亜ちゃんがやられたら戻ってこないかもだしねぇ」

「なるほど、あたしはついでなんだ……」

「違うよぉ。私は全精霊を護るんだもーん。おりゃっ」

 

エレンとつばぜり合いながら、二人は会話をする。

そんで、千花は<死之果樹園>を振り抜き、エレンを押し返す。

エレンは前回の戦闘もあってか、千花を警戒し距離を取って出方を見る。

すると、予想外の方向から何かが飛んで来て随意領域を張ってガードすると、それは光線のようだった。

 

「あなたの相手は千花だけではない」

 

光線を放ったのは折紙で、<絶滅天使>の砲門をエレンに向けて静かにそう言った。

エレンは周囲を見回すと、他の魔術師たちは皆精霊たちの相手をしていて、増援は見込めなかった。

 

「まぁ、いいでしょう。私は最強なのですから」

「えぇー、前回私に負けたのに最強を名乗るのぉ?」

 

エレンは気を取り直してそう言うと、千花はそう抗議した。負けておいて最強と言うのはどうかと折紙も思ったが、千花が言ったので言わなかった。

 

「オリちゃん、二亜ちゃん、エレンは私たちで倒しちゃお」

「えぇ、三人ならなんとかなるはず」

「ん?なんか私も人数に含まれてるんだけど、そこまで戦闘向きじゃないんだけどなー、私の天使」

 

二亜はあまり乗り気じゃないが、自分の身は自分で護ろう精神と楽したい精神で二人の隣に立つ。その際に士道を封印した本は適当な場所に置いていた。

 

「ほう、今回はその中途半端な霊装で相手をするのですか。なめられたものですね」

「なめてなんてないんだけどなぁ。というか、あれ疲れるんだしぃ」

「え、そんな理由で本気を出さないの?」

 

千花が限定霊装を纏っている理由に、二亜は驚いて反応した。折紙は表情こそ出さないが呆れているような感じで、エレンは少しムッとしていた。つまり、本気を出す必要が無いといわれたようなものだから。

 

「ならば、本気にさせてあげましょう」

「ん?本気になったら負けるのにぃ?ま、いっかぁ。今日は新兵器出しちゃうよぉ」

 

千花に一直線で突っ込んでくるエレンに対して、千花はその場を動かず、ポケットから種を出す。

そして、<死之果樹園>に当てると、地面に放る。

 

「<死之果樹園(サマエル)>――【植物魔物(プラントン)

 

そして、種から芽を出すと、一気に育ち、どこぞのモンスターのようなモノが生まれた。十本ものツタがうねうねと動き、中心部には顔があった。

 

「ギャァオォー」

「ぎゃー、モル○ル生み出したー」

 

【植物魔物】は生まれ出でると、大きな叫びというか吠えた。で、二亜は絶叫した。

そんな叫びをよそに、【植物魔物】はエレンを迎え撃つ。十本のツタがエレンに伸び、エレンはブレイドで斬りつつ、折紙が放つ光線を随意領域も張って対処していく。

折紙は新たなる植物?を見ながら思った。千花の能力は、本当は危険な能力なのではないかと。植物の種類は多種にわたる。それこそ、狂三の天使の能力を軽く超える量はありそうだった。たしかに、砂漠のような植物の育たない場所や雪国では出せないのと、種が有限という弱点はあるが、それでも十分すぎる力だと思っていた。

そして今回のは別格だった。似た植物の【速樹】を超える能力。それに、種一つであの大きさで、勝手に動くと考えればそうとうな物だった。

しかし、よく見たら少し違っていた。

 

「二亜ちゃん、これは、モル○ル、じゃないよぉ。【❘植物魔物《プラントン》】だよぉ」

 

千花はかなり集中しているようで途切れ途切れにそう言った。十の指を器用に動かしてまるでマリオネットを動かすかのように。

エレンもそんな千花の行動に気付いたようだった。

 

「まさか、これはただの人形のようなものですか?」

「わぁ、もうばれたぁ」

 

まだばれないと思っていたのか、千花は驚き【植物魔物】を見ると、顔の部分はただの模様で生み出され位置から全く移動していなかった。折紙的にさっきの咆哮は謎だが、ツタ同士で擦った音とかだろうと勝手に判断していた。

つまり、【植物魔物】には千花の行動が制限される弱点があった。おそらくは、普通に千花が<死之果樹園>を振るった方がよさそうな感じなのだが。

 

「おりゃぁ」

 

千花はそんなこと気付いていないのか、【植物魔物】を動かしていた。

が、

 

「あぁ、めんどくさーい」

 

すぐにエレンに対しては効果が無いと気づき、操るのを止めて【植物魔物】を地面に放置して、エレンに向かって飛んで<死之果樹園>を振るう。

結局何がしたかったのか分からなかった。

とりあえず、エレンを倒すことが先決なので、折紙も<絶滅天使>を飛ばして、光線を放っていく。

その間に、二亜は<囁告篇帙>に何か書き込んでいた。

 

「前回のように悠長にやらず、速攻でケリを付けましょう。穿て、<ロンゴミアント>!」

 

エレンは砲門を千花に向けて<ロンゴミアント>を放つ。

千花は<死之果樹園>を地面に刺して、棒高跳びの要領で真上に飛んで回避し、エレンの真上から攻撃する。

エレンはブレイドでガードしようとすると、手から力が抜けブレイドが手から滑り落ちる。エレンは突然の事態に一瞬驚くがすぐに切り替えて、随意領域を張る。千花は随意領域に叩き付けるように振るい、随意領域ごとエレンを地面に叩き落す。

なんとか地面の衝突を随意領域で緩和したエレンは今起きた不可解な現象に眉を顰める。ブレイドが手から滑り落ちた際、身体が意思とは無関係に勝手に動いていた。

 

「ふっふっふー、見たかあたしの天使の能力、未来記載。<囁告篇帙(ラジエル)>に描いた現象を引き起こす能力ー!」」

 

二亜は未来記載がきれいに決まったことで喜びながら説明していた。何故説明したのかは謎。

 

「してやられましたね。しかし、その能力は発動までに時間がかかるようですし、それほどの脅威ではありません、ねっ!」

 

エレンは飛翔すると、二亜が未来記載する前に攻撃をする。対してステップを踏んで回避していく二亜。

そして、

 

「ぎゃぁー、士道君がぁー」

 

千花は大きな叫びを上げた。

二亜がエレンの攻撃を避けた際に、その流れ弾が士道を封じた本に着弾して本が吹き飛んだ。吹っ飛んだ本は遠くに飛んで行き、中にいる士道が無事なのかわからなかった。

 

「……士道。よくもッ!<絶滅天使(メタトロン)>――【砲冠(アーテイリフ)】」

「オリちゃん、ここでそれはダメェー」

 

士道の生死が分からなくなり激昂した折紙は【砲冠】を放とうとする。<絶対天使>は【光剣】から【砲冠】に変形し、上空のエレンに狙いを定める。千花は慌てて折紙を止めようとする。エレンの後ろにはいくつものビルがあり、今放てば相当な被害が出る。空間震警報も鳴っていないので、おそらくはビルの中に人がいるようだった。

しかし、そんな千花の声も折紙には届いておらず、【砲冠】が放たれる。

エレンは再び<ロンゴミアント>を放ち【砲冠】に対抗する。そして、【砲冠】が<ロンゴミアント>を押し返してエレンを包む。

 

「ふむ、これが愛の力なのか」

 

二亜は顎に手を当てて、そんなことを言っていた。で、【砲冠】はエレンを包んでそのままビルの方まで飛んで行く。そして、ビルに当たる直後、

 

「おりゃー」

「<氷結傀儡(ザドキエル)>!」

 

千花は【植物魔物】を投げ、唐突に現れた巨大な氷の壁と一緒に【砲冠】に当たり、ビルへの被害は無かった。【植物魔物】は意外と役立ったようだった。

 

「ふぅ、なんとか間に合ったけど、なんであんなのが飛んでたんだ?」

「まぁ、それだけ強敵だったってことだと思いますよ」

『ヒャッハー、向こうはだいぶ片付いたよー。後は耶倶矢ちゃんたちが戦ってるけどすぐ済むと思うよー』

 

そう言って、茂みから士道と四糸乃、よしのんが現れる。

 

「( ゚д゚)ハッ!、よかった。士道が無事だった」

「あぁ、なんとかな。まぁ、世界が砕け散って気づいたら知らない場所にいた時は焦ったけど……」

 

折紙は士道が無事だと分かり、安堵の息を吐き、士道は皆に迷惑かけたなと思いながら、頬を掻く。

 

「それを言ったら、私も驚きましたよ。いきなり士道さんの入った本が飛んできましたから」

『そんで、いきなり光ったと思ったら士道君が出てきたからねー』

「ほぇ、そんなとこまで飛んでたんだね」

「ほう、一般人が紛れ込んでいましたか」

 

四糸乃、よしのんが補足をすると、二亜は感心しており、【砲冠】に包まれたエレンはギリギリで随意領域を張って難を逃れたようだった。どうやら、士道のことは一般人と思っているようで、【砲冠】からビルを護ったのも四糸乃一人の力だともっている感じだった。本当は士道と四糸乃の二つの<氷結傀儡>の力なのだが、勘違いしているようなのでそのままにしておく。言う必要も無いので。

 

「まぁ、巻き込まれたのは残念ですね。後で記憶処理をするとしましょう。ついでに精霊達との関係についても」

「うわぁ、記憶処理だってよぉ。正気なのかなぁ?じゃ、私もあなたの記憶いじっちゃうぞぉ」

 

エレンが士道に対してそう言うと、千花はのほほーんと言いながらもその眼は本気のようでエレンを見据える。

 

「ほう、精霊が人を護るのですか。護れるものなら護ってみてください」

 

エレンはそう言って、二刀流になると千花に襲い掛かる。千花は<死之果樹園>で一本を防ぐと、もう一本は折紙の【光剣】が防ぎ、直後エレンの真下から氷柱が伸びる。

 

「あなたの相手は千花だけではない」

「そうです。私たちも相手します」

 

エレンが氷柱に飛び退くように回避すると、二人はそう言った。

エレンは面倒そうな顔をし、士道はその様子を見ていた、そして、背筋が冷えるような感覚があり、士道は何か嫌な予感がした。士道は辺りを見回すと、ビルの天辺で一瞬チカッと光った。まるで、狙撃のスコープが反射したかのような。

狙いは千花たちかと思ったが、千花たちは動き回っているので狙うとは思えなかった。そもそも狙えるのならもう撃っていると思った。

では誰を?と思うと、近くで二亜は未来記載をしようと何か書いていた。全く動かない二亜は、完全に的になっている気がした士道は、

 

「うわッ!……少年何を――」

 

二亜を思いっきり突き飛ばした。

突き飛ばされた二亜尻餅をつくと、顔を上げて士道に抗議するが、士道からの返答は無かった。

二亜の視界には、地面に倒れた士道の姿があった。




植物魔物はたぶん今後はもう出ないと思います。焼かれたし。投げたし。

15巻を読み終え、今後の展開を変えるか迷い中です。あっ、六喰はでます。性格は多少変えると思うですが・・・。そして、当分先です。

では、ノシ
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