デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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七章開幕、のんびりと。


七章:美九ライブ
1話 開演


「と言う訳で、禁忌の祭典に行かぬか?」

「えーっと……来て早々どこに行くんだ?後その喋り方なんなんだ?」

「ふむふむ、誰かのライブチケットのようですね。えーっと、宵待月乃、美九さんのライブですか」

 

シルバーウィークに入る前日、学校から戻った士道が家でのんびりしていたら二亜が襲来した。で、二亜が最初の言葉を言っていた。士道はなんなのかわからず困惑し、真那は二亜の手に握られている紙を見て口にすると納得した。二亜の喋り方は謎だが。

 

「そういうことだ!ちょっとした魔の契約で手に入れたのだよ。十枚」

「どんな伝手なら十枚も手に入るんだよ!美九のライブってすごい人気だろ?」

「にーはっはー。それを知ることは禁忌であるぞ、我が眷属よ」

 

二亜はカッコよさそうなポーズをとりながらそう言った。二人はこの数回の会話でなんとなく察した。二亜が中二病になったのだと。

 

「それで、どう思う?中二病っぽかった?」

 

一体何があったのかと思っていると、二亜は唐突に喋り方を戻してそう聞いた。今までのことなど全くなかったかのように。

 

「中二っぽかったけど……何があったんだ?」

「うん、シルブレの新キャラに中二病設定を付けようと思って研究中なんだよね。それで実践してみたんだけど、いまいちよく分かんないんだよね」

「まぁ、中二病なんてそんな居ないよなー」

「えーと、耶倶矢さんを観察しちゃダメなんですか?あるいは兄様とか」

「(゜~゜)」

「Σ(゚□゚;)」

 

真那は別の案としてそう提案する。士道は即座に我関せずといた感じでそっぽを向いた。二亜は二亜でその手があったかみたいな表情をする。

 

トットットッ

 

「あ、少年が逃げた」

「逃がしません!」

「あ、マッチが飛んだ」

「うがッ!」

「あ、少年がマッチに捕まった」

「二亜、いちいち言わなくていいから助けてくれー」

「あっ、少年があたしに助けを乞うてきた。だけど断る!少年の自業自得だよー」

 

二亜はお茶を飲んでその光景を眺め、真那は士道を解放すると、二人とも椅子に座った。

二亜はコップを置くと、士道に目線を向ける。

 

「さて被告人、五河士道。何故逃走を図ったか話してもらうとしようか」

「いや、あのままだと俺が被害受けそうだし」

「と言っていますがどうしますか?二亜裁判官殿」

「えー、被告人五河士道に判決を言い渡す」

「え?もう判決言うの?あと何この茶番?」

「さぁ?よく分かんないですね」

『士道君が何かやらかしたんじゃないのかなー?』

「……いつの間に入って来たんだ?」

「おっ、なっつん、よっしー、ウサギン、ちわー」

 

三人で喋っていたら、いつの間にか七罪たちが上がり込んでいた。一応七罪達には合鍵を渡してあるが、ここまで気配を消して物音一つ立てずに入って来るとは思わなかった。

 

「うん、勝手にお邪魔してるけど……何があったの?」

 

士道の視線を物音立てずに入ったせいで怒っていると勘違いしているか、このよくわからない状況に困惑しているのか、七罪は気まずそうにそう言った。

 

「あー、カクカクシカジカなんですよ。あ、私は入って来たのに気づいていたので問題ねーですよ」

『ほえー、なるほどねー』

「つまり、士道さんは黒歴史を掘り返されたく無いが為に逃走を図ったんですね」

 

そして、真那が説明すると納得していた。何故カクカクシカジカで通じたかとか、どうして入って来たのに気付いたかとか言いたいことがあるがツッコめない士道だった。

 

「さてと。じゃぁ、私はもう行くかな。チケット渡しに来たのが目的だし、これから担当さんと会わなきゃだし」

 

二亜は伸びをすると立ち上がった。どうやら本当にこれだけが目的のようだった。

 

「って、宵待月乃のシークレットライブのチケットじゃないですか!たしか……」

 

で、二亜が机にチケットを置くと、四糸乃はそんな反応をしていた。

 

「ん?月乃のライブがどうかしたのか?」

「あれ?士道さん知らないんですか?昨日のニュース」

「あっ、私と兄様、昨日は夜から寝るまで映画を見まくっていたんで、起きたのもつい二時間ほど前ですし……だから、美九さんのスキャンダルなんてこと、知らねーですよ」

「はっ?美九がスキャンダル?」

 

それは昨日の出来事で、夜のニュースになっていたらしかった。美九が過去に何人もの男性と付き合ってたとか、ドラッグパーティーに入り浸っているとかとか。

士道はその話を聞かされ、無いなと思うと、皆もそんな感じだが、この世界の美九のキャラが違う可能性もあると、一概に否定できなかった。

 

「まぁ、あたしの<囁告篇帙(ラジエル)>で調べれば一発だけどね」

 

立ち上がったものの二亜は、リビングからは出ず、立ったまま聞いていてそう言った。士道としても真実が分かるのはありがたいのだが問題が一つ。

 

「確かに一発だけど、二亜そんな簡単に限定霊装出せるのか?慣れてないと出せないんじゃ?」

「要するに、感情が大きく揺れれば出せるんでしょ?ん?てことは、皆は出すときは毎回感情が揺れているの?」

 

二亜のその言葉を聞くと、七罪と四糸乃はそっぽを向いた。

そこで、真那もそう言えばみたいな顔をする。

 

「いやー、たしかに最初の頃はこう嫌なことを考えて出してたんだけどねー」

「はい、私もなんですけど……」

「「なんか、出て来い!て思うだけで出てくるようになってた(ました)」」

 

その瞬間士道は思った。

(霊力の封印弱いのか?前はこんな簡単では無かったはずだけど……)

 

「なるほど、でてこいー、でてこいー。……よし来たー」

「「「「『本当に出てきたー!』」」」」

 

二亜は念じるように言うと二亜の手に<囁告篇帙>が顕現された。まさかの事態に皆驚くと、二亜はそそくさと検索を始める。

その結果。

 

「えー、誘宵美九氏は一切そういう関係も無く、ドラッグも全く知らない完全に白となり、ニュースは誤報となりました。ちなみに五河士道氏の逃走未遂の判決はライブグッズの奢りの刑ねー」

「あっ、忘れてくれたと思っていたんだけどなー」

 

士道は頭を掻いて、困り顔をする。

(というか、黒歴史を掘り返されたくが無いが為に逃走を図ったんだけどな……。なんでこんなことに?)

 

「さてと、ではあたしはそろそろ。あ、ライブチケットはあのニュースを見て行かないと決めた人からもらったものだから気にしなくていいから。では、本当に時間がやばいので……さらばっ!ε( >0<)」

「あ、二亜が去って行った」

「さてと、それでどうするの?士道さんは美九さんのライブ行くんですか?」

「別に美九何かしたわけでもいいんだし、ライブには行くつもりだけど?」

「だね。というか、やっと美九に接近できる大義名分が来たわけだしね」

 

二亜が去り、四糸乃の問いかけに士道が答えると、七罪はそんなことを言った。

今までにも何度か、美九が精霊なのか確認しようとしたが、何分美九はアイドルなので会うことが出来なかった。アイドルなのだがあまりテレビには出ず、高校生なのでライブもそんなに出来ない為だった。そんな折に来たのがこのライブだった。一応ライブには応募したがそんなに大きな会場でもなかったため、抽選には外れてしまった。だから、結果的に二亜には感謝していた。

 

 

 

~☆~

 

 

 

二日後のライブ当日、多くの人がライブ会場に足を運んでいた。その大半の人のは、ニュースが真実なのか否か知りたい、そんなの嘘と信じ美九の歌を聞きに来たという者だった。

そんな感情が渦巻く中、美九――宵待月乃のライブが始まった。

一曲目が終わると、美九のMCに入る。

 

「みなさーん、今日は来てくれてありがとうございまーす。宵待月乃でーす!今日は精一杯歌うので楽しんでいってくださーい」

 

客たちは「うおぉぉー」だの「月乃ちゃーん」だの歓声を上げていた。そんな中、ニュースが気がかりなのか、

 

「月乃ちゃーん。ニュースは本当なのー?」

「何人とやったのー?ドラッグって犯罪だよねー」

 

といったニュースのことを言う声があった。前者は月乃の口から嘘だと聞き、心配事なくライブを楽しみたい本当のファン。後者はおそらくはマスコミや月乃にいい感情を持っていない人たち。

 

「いえ、私はそんなことしていません!あのニュースは全部嘘です!」

 

そして、月乃は憮然とし、はっきりと否定した。

その答えを聞き安堵するファンと、嘘をついているのでは?と疑う人間。

 

「本当に嘘なんですか?ここで嘘をついてもいつかは明るみに出るんですよ?」

「ほんとのことを話してー」

 

だからこそ何度も聞く人間がいた。

月乃はあまりにしつこいため、溜息を吐く。

 

「本当にあのニュースは嘘なんです!私はあんなことしていません!……あー、しつこいですね。“もうこの話は忘れてライブに集中しなさい”」

 

月乃はこの問答が面倒になったのか、そう言いきると、会場が静寂に包まれた。今まで何か言っていた奴も静かになると、月乃は笑みを浮かべる。

 

「じゃぁ、次の曲いっきますよー」

『『『うおぉぉー』』』

 

(今のって、美九の天使の能力だよな?ってことは、美九はこの世界でも精霊なのか。てか、皆も能力にかかっているし……)

さっきまでの問答が無かったかの如く、会場のボルテージが上がり、否定派すらも歓声を上げていた。

その中には精霊たちも含まれていて、どうやら能力にかかっていないのは士道だけのようだった。士道的にも掘り返すのもあれだし、せっかくのライブだし楽しむことにした。皆精霊だと気づいていないので。

 

 

 

~☆~

 

 

 

ライブはつつがなく進み、これといった問題もなく無事終わり、士道たちは会場を後にしていた。士道と千花は夕飯の買い出しがあるからと言って、皆と別れて会場の敷地を出ようとすると、帽子にサングラス、マスクという、ザ・怪しい人装備の女性が現れた。

百六十後半といった身長に抜群のプロポーションで、紫紺の髪が見えていた。

(んー、完全に美九だよな?何故ここに?そして、このままだと警備員が来そうだよなー。たぶん客にばれない為の変装だと思うけど……)

どう声を掛けたものかと悩んでいると、

 

「ち……」

「ち?」

 

向こうが小さく何かを呟き、思わず返すが、士道など目に入っていないかの如くスルーされる。

 

「ち、ち……」

 

「ちーちゃーん!」

「みーちゃーん!」

「「ヒシッ」」

 

美九らしき女性はそう言うや否や走り出し、何故か千花も同時にそう言うと、二人は抱き合った。

この状況に困惑していると、千花が士道の視線に気付く。

 

「みーちゃん、とりあえずここ目立つしぃ、場所変えない?」

「あ、そうでした!」

 

千花が中学に居た頃、美九はその中学の先輩だったらしく、偶然美九の自転車が壊れたのを千花が直したのが出会いだったらしい。それから、二人は意気投合し、よく一緒に出掛けたりしていたが、美九が高校に進学しアイドルになるとあまり会えなくなった。美九の仕事が忙しかったのと、学校が違くなり会いにくくなったためだった。

と言う感じの話を近くの公園で士道は聞いたのだった。ちなみに美九は男性恐怖症にはなっていないらしかった。

 

「それで、五河さんとはどういった関係なの?まさか、彼氏なんて言わないよね?ねー、ちーちゃん答えて~」

「んー、まだ、彼氏じゃないよぉ。友達ぃ」

 

美九は千花の肩を掴んでゆさゆさと揺すると、千花は士道との関係をそんな返事で返した。何故“まだ”のところを強調したのか士道は気になったが、そこを言うと面倒なことになる予感がしたため言わなかった。

 

「なるほど、友達でしたかー」

 

美九は安堵しながらもどこか遠い目をしていた。まるで、美九には友達と呼ぶ人がいないかのように。(注)千花は親友とのこと。

 

「じゃ、こっちも聞くけどぉ。あのニュースって一体何があったのぉ?」

「「え?」」

 

とりあえずその後和やかな会話をしていたら、急に千花がそんな口火を切り、士道と美九が反応した。士道は千花が覚えていることに、美九は千花に能力が効いていないことに対しての反応だった。

 

「えーっと。なんでちーちゃん効いてないの?……まさか……精霊に?」

「うん、精霊だったよぉ。今は霊力の大半を封印中だけどねぇ」

 

美九は困惑し、千花はのほほーんとした感じでそう言った。

(こんな簡単に暴露していいのか?しかも封印中なんて言ったら)

 

「ねー、ちーちゃん。封印中ってどういうこと?」

「あっ……ん?なんのことかなぁー」

 

そして、士道の予想通り美九は千花を問い詰め始める。千花は千花で話を逸らそうと画策していた。

美九と千花が喋りまくっていると、美九は何かに気付いたようにハッとし、ベンチから立ち上がる。

 

「しまった!この後仕事ライブの事後処理あるから行かないと……うわっ」

 

が、何故か美九はよろけた。士道は慌てて美九を支えようと、美九の肩に触れた。

 

「きゃぁー」

「へ?……うおっ」

 

直後、美九は足に力を込めて士道の腕を掴むとそのまま背負い投げをした。士道は突然のことに驚きながらなんとか受け身を取ることに成功し怪我は負わずに済んだ。

 

「あ、ごめんなさい。私男性に触れられると無意識に反応して投げちゃうんです!大丈夫でしたか?」

「あぁ、なんとかな。いきなりだったから驚いたよ」

「ま、士道君はあんなんじゃ怪我しないから大丈夫だよねぇ。と言うか時間平気ぃ?」

「あっ、そうでした。本当にごめんなさいです。では」

 

美九はもう言う一度士道に謝ると、パタパタと走って行った。士道は服に着いた砂を叩くと千花を見る。

 

「それで、なんで千花は美九の能力効いてないんだ?」

「あー、それはねぇ。耳にこれ付けてたからねぇ」

 

千花はそう言いながら、耳に付けていたイヤホンのようなものを士道に見せる。

 

「これは、周囲の音を聞き取りやすくするもので、同時に霊力とかを洗浄する機械ねぇ。開発途中でまだ一個しかないから、実験も含めてねぇ」

「ほんと、千花って危機管理能力すごいな。それとも運がいいのかな?」

「まぁねぇ、それじゃ行こぉ。早く買って帰らないと、夕飯が遅くなっちゃうよぉ」

 

千花は士道の手を取ると、引っ張りながら出口に向かって行く。士道は若干腑に落ちない点がありながらもついて行くのだった。




なんで、こんなに顔文字を入れたのか思い出せない。
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