デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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2話 序曲

「ちーちゃん、士織さん!早く行きましょう(ハァハァ)。時間は有限ですよー」

「みーちゃん今日は元気だねぇ。と言うことで早く行こぉ、士織ちゃん!」

「はぁ、なんでこんなことに……」

 

キラ☆キラと目を輝かせている美九といつもよりテンションの高い千花と士織になっているテンションが低い士道。

三人はそんな調子で歩き出し、別の店に入った。

(あー、確かに美九の霊力の封印は必要だけど、なんで士織に……)

士道が士織になっていたり、美九と千花と一緒出かけていたりする理由は昨日のライブ後の夜にさかのぼる。

 

 

 

~☆~

 

 

 

「はっ?美九が精霊になってるって?」

 

五河家リビングに響く、琴里の声。

ライブが終わり、夕飯を食べながら琴里に美九が精霊ということを話したらこうなってしまった。士道としてはすぐにでも話そうと思ったりしたが、皆美九の能力で完全にニュースのことを忘れていたし、能力を使っているところも記憶に残っていなかったため、下手に言うことが出来なかった。どうせ、今日を過ぎれば思いだすようだったので。

しかし、その前にテレビでそのニュースをやっており、琴里たちの記憶が早い段階で戻り、能力が不完全に解けて混乱していた為話した。

 

「ふむ、やはり美九さんは精霊でしたか。あと、食事中なんですからそんなに大声出さなくても」

「ん?やはりって、真那は気づいていたのか?」

「いえ、可能性の一つに考えていたってだけですよ」

「それで士道、なんで今になって話したかと、何か知ってることを話してちょうだい」

 

琴里はいつの間にか黒いリボンにするとそう言った。真那も聞く気満々なのか、話せー、みたいな目線を向けていた。

その為、士道は美九が洗脳でニュースの記憶を消したこと、千花と親友だということ、男を無意識に投げてしまうことを話す。

二人は静かに夕飯を食べながら、相槌を打って聞いていた。

 

「なるほど、美九にそんなことがねー。とりあえず、精霊と分かった以上は封印しなくちゃだけど、無意識の拒絶は厄介ね。これじゃ、デートしても手は繋げないわね」

 

琴里は顎に手を当てながら考えにふける。

すると、真那も何か考えながら、ふとした疑問を溢した。

 

「ところで今更なんですけど、精霊の霊力って封印する必要あるんですか?空間震起こして現界する精霊メンバーは分かりますけど、二亜さんみたいに隣界に飛ぶのも割と任意にできるんでしたら問題ねーんじゃ?」

「確かに完全に任意なら空間震の問題はなんとかなるかもだけど、DEMが何かする可能性があるでしょ。現に二亜は不意打ちで捕まったって話だし」

「まぁ、そうらしいよな。でも、美九の霊力封印するのは難しくないか?しかも、デートに誘うのも困難だろうし」

「では、霊力封印する手立てですか……正直言って、私自身恋愛経験ねーんでよくわかんねーんですよね。だから、そういった案は私立てれねーですよ」

 

三人で思考するが特にいい案が出ない。と言うよりも重大な問題があった。

 

「美九がアイドルだから、デートできないよな」

「ですねー」

「一瞬で週刊誌にスキャンダルで登場ね」

 

美九がアイドルだからデートもままならない。

士道(あとはどう連絡して、デートに誘うかだよな。デートする方法は一つだけあるし。やりたくないから言わないけど……)

真那(どうやって美九さんを誘うかですよねー。誘えれば、最悪<ラタトスク>の使えるものすべて使って遊園地を貸し切りにするとかできそうですし。ついでに皆さんと遊べますしねー)

琴里(美九の連絡先は調べるか、千花にでも聞けばなんとかなるだろうけど、誘いに乗るかしら?士織にすればスキャンダルにはならないでしょうし。まぁ、士道は拒否するでしょうけど……)

各々そんなことを考えていた。すると、唐突にインターホンが鳴った。士道がインターホンに出ようとすると、外から家の鍵が開けられた。

 

「やっほぉ、突撃隣の夕ご飯!」

「あ、取材NGなのでお引き取りください」

 

千花はそんなことを言いながら入って来たので、士道も適切にそう返した。

 

「普通に拒否られたぁー」

「じゃぁ、夕飯はもう食べ終わったと返す。それで、こんな時間にどうしたんだ?」

「うん、結構重大な情報があるから持ってきたぁ。と言うことでお邪魔しますぅ」

「あ、お邪魔されまーす」

「……」

「あ、スルーって寂しい」

 

士道は二亜の気持ちを感じながら、リビングに千花を通す。

千花は空いていた椅子に腰かけると、早速話し始めた。

 

「こんな時間に来たのは、みーちゃんのことねぇ」

「美九がどうしたんだ?」

「明日みーちゃんと遊びに行くことになったぁ、ということを伝えておこうかなと思ってねぇ」

 

千花の話を要約すると、美九は明日仕事がオフらしく久しぶりに千花と遊ぼうとしていたらしかった。そして、千花はどうせなら美九の男性を投げてしまうのを直そうということになり、士道を同行させるという話をしたらしかった。美九は最初拒否していたが千花の説得でなんとか了承したらしかった。

 

「なるほど、美九と士道をどう接触させるか悩んでいたからちょうどよかったわ。で、どうするつもりなの?街中で美九が男性といたら一発でスキャンダルよ」

「んーとぉ、その辺は琴里ちゃんになんとかしてもらおうかと思ってねぇ」

「完全に人任せなのね……てっきり何か考えているのかと思ったわ」

 

千花の他力本願に琴里は呆れていた。士道たちも若干呆れていたが、千花が何も考えていないとは思えず、なんとも言えなかった。

 

「えー、一応考えたよぉ。見つかるたびにみーちゃんに洗脳してもらって記憶を消すぅ!」

「何する気よ!それに結局他力本願だし……」

「じゃぁ、私の植物で片っ端から眠らせていくぅ」

「いちいちそんなことする気?」

「じゃぁ、士織ちゃんを召喚するぅ」

「そうよ、そんな感じの」

「おいッ!」

 

千花と琴里の不穏になり始めた会話にツッコミを入れる士道。士道的に士織になるのは極力避けたいところだった。

 

「と言うことで、琴里ちゃん。明日は<ラタトスク>の力フルに使って人払いよろしくねぇ」

「え?士織で行くんじゃ?」

「だって嫌がってる士道君に女装させるの可哀想でしょぉ」

「あぁ、俺も女装はしたくないからな。人払いの方で頼む」

「はぁ、分かったわよ。でも今からで間に合うかしら?」

「そこをなんとかしないと、町中の人が洗脳とか睡眠の被害に遭うんでしょうね。まぁ、兄様はどちらにしろ大変でしょうね」

 

そんな感じで明日の予定を大まかに決めるとお開きになった。

 

 

 

~☆~

 

 

 

翌日、士道は日の光で目を覚ました。体を起こすと胸の辺りに違和感があったり、何か髪が伸びたりしていた。

 

「……きっと夢だよな」

 

声が一段高くなっていてそう呟いた。嫌な予感がするがきっと夢、士道はそう思いながら頬をつねる。頬をつねると痛く、どうやら夢では無いようだった。

つまり、そういうことだった。

 

「きゃぁー」

 

士道は朝起きたら何故か士織になっていた。それも女装とかではなく完全な女体化していた。士道は何故こんなことになっているのか分からず、頭を抱えて混乱する。

(なんで、朝起きたらこんなことに……こんな非現実なことどうやったら……?女装じゃなくて完全に姿が変わってる。こんな七罪が変身したみたいな、あ)

士道は嫌な予感がして、慌てて部屋を出てリビングに行く。

そこには何故か琴里がおらず代わりに千花がいた。

 

「おはよぉ、士織ちゃん。勝手にお邪魔してますぅ」

「あぁ、おはよう。ってそんなことより一体何が起きたんだよ!」

 

千花がさして驚いていないことから、何か知っていると思い質問をする。千花は千花で、生で見る士織に興味津々なようでじーっと見ていた。

 

「あぁ、それは七罪ちゃんがやりましたぁ」

「ちょっ、私のせいにしないでよー」

 

千花が士道の問いに答えると、ソファーの陰に隠れていた七罪が抗議する。その声に士道は七罪を見ると、七罪はしまったみたいな顔をして、ソファーの陰に隠れる。

士織にしたことを怒られると思い、七罪はビクビクしていた。

 

「七罪、怒ってないから説明してくれ」

「本当に怒ってない?」

 

七罪はソファーの陰から目元を出して確認する。

士道としても、なんの理由も無く七罪がこんなことをするとは思えないので、きっと何か事情があるはずだと思っていた。

七罪は観念したようで話し出した。

 

「最近士道が女の子になりたがってるって聞いて。だから<贋造魔女(ハニエル)>で……」

「ちょっと待て。そんなこと一言も言ったこと無いぞ。しかもそんなこと思ったこと無いし。さらに、寝込みにやるなんて」

 

七罪の発言に士道はストップをかける。そもそも、士道は少女化願望など一切ない。

士道の反応に、七罪は顔を出して頭に“?”を浮かべて、首を傾げていた。

 

「え?でも千花が……それに起きてる時にやるのは可哀想だからって」

「犯人は千花かー」

「あっ、七罪ちゃんがばらしたぁ。にっげろぉ」

 

七罪がどうしてこんなことしたのか聞くと、犯人の千花の方を見た。そして、千花は逃亡を図った。

しかし、不幸なことに

 

「いたっ」

 

千花がドアノブに手をかけると同時に、ドアが勝手に開き、千花の腕に当たり、千花は腕をぶらぶらさせてそんな声を漏らした。

千花は数歩バックすると、ドアを開けてリビングに来た真那は困惑していた。

 

「おはよーです。で……一体何が?あと、あなたは……」

 

千花は痛みでピョンピョン跳ねていて、七罪はソファーの陰に居て、極めつけに知らない女がいるせいだった。

士織になった士道を凝視しながら、今の状況を冷静に分析し始める。

 

「ふむふむ……なるほどそういうことでしたか」

 

そんで、勝手に納得していた。士道としては何かとてつもない勘違いをしている気がした。

 

「何故かいる姉さま、隠れる七罪、逃げようとした千花さん。つまり……」

「うん、つまり?」

「あなたがお二人を襲おうとしていたんですね!非常に悲しいです。えぇ、悲しいです。まさか、兄様がそっちに目覚めるなんて。何処で間違えたのでしょうか」

 

真那はそんな見解を述べると、遠い目をしていた。

(というか、なんで真那はそんなに冷静なんだよ。しかも、俺って気付いているし……。てか、そっちってなに?)

 

「あ、ちなみにそっちと言うのは、女子化とそれによる百合のことですので」

 

真那は士道の心を読んだかのようなタイミングでそう口にした。

 

「全くもってそんなことする気ないぞ。起きたらこうなっていたんだし」

「まぁ、知っていますよ。兄様にそんな趣味はねーはずですし。それで、どうするんですか?その状態で行くんですか?」

「そうだよ、士織ちゃん!男のまんまで行ったらみーちゃん驚いちゃうでしょぉ」

「千花は最初からそうするつもりだったろ……てか、本当にこの状態で行くのか?確かにスキャンダルにはならないだろうけど……」

 

士道はそんな感じの反応をし、千花はニヤニヤしていた。

 

「さて士織ちゃん、もうすぐ時間だからそろそろ行こぉ」

「ちょい待て。その前に千花は説教な」

「えー、私は悪くないもーん!」

 

千花は抗議の声を上げ、七罪と真那は呆れながらそんな二人を眺めていた。

 

 

 

~☆~

 

 

 

「みーちゃん、おはよぉ」

「あ、ちーちゃん、おはようですぅー。それで、その方は?たしか五河さんが来るはずでは?」

「私は士織っていいます。五河君はそのー……」

 

待ち合わせ場所の美九の家(一周目の世界と違い何故か普通の一軒家)に着くと、千花はインターホンを押し、美九が出てくると挨拶を交わした。

何故美九の家が普通の家なのか謎だった。

 

「ふむふむ、スタイルは抜群ですねー」

 

そして、挨拶をするも美九は聞こえていないのか、目をキラキラさせて、じっと士織を観察していた。

士道としては、その視線がくすぐったくなんとも言えない気持ちだった。

 

「それで、なんで五河さんは来れなくなったんですか?あと士織さんが来た理由も教えてください」

 

美九はそろそろ事情を知りたいのか二人に問う。その際に、やはり美九は目を輝かせながら二人を見ていた。

 

「うーん、みーちゃんは勘違いをしているよぉ。なんと士道君はここに来ておりますぅ」

「え?でも、どこにも……?」

「あー、うん。千花さーん」

 

美九は辺りを見回して、士道を探すが見つかるわけがない。目の前にいるので。

士道は士道で嫌な予感がしていたため、千花に声を掛ける。

しかし、千花は士道の言いたいことを理解しているのか、取りあう気は無いらしい。

 

「なんとこの士織ちゃんこそが士道君なのですぅ」

「……?」

「……!」

 

そう言い放った千花に、美九は頭に“?”を浮かべ、発言を理解しようとしていた。士道はばらしたことに驚き、何故かと困惑する。

 

「ちょっと待ってください。つまりどういうことですか?五河さんは実は女子だったと?」

「ううん、士道君はれっきとした男の子だよぉ」

「なるほど、男の娘でしたか?」

「ん?今微妙に字が違った気がするんだけど……」

「あー、なるほどぉ。確かに今は男の娘状態だねぇ」

「そこっ、納得しない!」

「ふむふむ、完全に自前のようですね。タオルとかではな感触ですねー」

「ヒャッ!!……人の胸を揉むな!」

「ほぉ、感じるんだぁ」

 

美九が質問してからはカオスだった。男の娘扱いされる、美九がナチュラルに胸を揉む、千花もにじり寄って来るで。

美九の家の周り(庭の中)を逃げ回り、士道が二人に解放されたのは五分ほど経った後だった。

 

「ぜぇぜぇ、なんでこんな目に……」

 

士織化しているせいか、いつもより体力がもたず、士道は肩で息をしていた。

 

「士織さんが逃げるからですよー」

 

精霊だけど、戦闘系でない為そんなに体力のない美九はそんなことをぼやく

 

「二人とも体力無いねー」

 

元精霊だけど、菜園で植物を育てたり、重い機械部品をちょくちょく運んでいる千花はさして体力が減っていないようでピンピンしていた。

その後、美九に封印した<贋造魔女>の能力で元に戻ることで士道だと証明した(もしかしたら士織が真の姿説を美九が提唱したがなんとかしたが)。それで、ちゃんと説明し終えると、三人で出かけたのだった。

 

 

 

~☆~

 

 

 

で、今に至る。

 

「士道くーん、回想だけで五千字超えるのはどうかと思うよぉ」

「千花、メタ発言は止めてくれ……」

「二人ともー、そんなことはいいですから、早く買い物ー。さっきも言いましたけど、時間は有限ですよー」

「だねぇ。それじゃぁ、レッツゴォ!」

「りょうかーい」

 

そう言って次のお店に足を向けた三人だった。




さて、活動報告に書いたやつですけど、或守編は書く方向で考えてます。凜祢・凜緒・万由里編はどうするかは現段階では未定です。やるとしたら、生命の木になぞらえた10人の霊力を封印した後だと思います。
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