デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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3話 三重奏

「お嬢ちゃんたち、俺たちと遊ばない?」

「いえ、結構ですよぉ。私たち、三人で遊んでるんでぇ」

「いや、俺たちとも遊ぼうよ。いいとこ知ってるよ」

「あ、いえ、私たちそういうのはいいんで」

「いいじゃん、暇させな――」

「……」

「あー、他のところ行こうぜー」

「あぁ、そうだな」

 

三人は洋服店に行こうと歩いていたら、ナンパに遭った。千花と士織が基本的に対応し、もう少しひっぱろうとしたところで急にナンパしてきた人たちが諦めた。士織的に何が起きたのか分からなかったが、もう済んだことだしと考えるのを止めた。

 

「さぁ、私が二人をコーディネートしてあげますねー」

 

洋服店に着くと美九は開口一番に目をキラキラさせてそう言い、二人の手を取って店の奥に引っ張っていく。

 

「やぁめぇろぉー」

「引っ張るなって、自分で歩くから!」

 

二人は拒絶するが、何処からそんな力が出てるのか、抵抗虚しく連れて行かれる。勘だが、二人とも美九にコーディネートされたらフリフリな服とかを着せられる気がしていた。

 

「あぁ、もちろん。フリフリな服選んじゃいますよー」

「人の心読むなー」

「ふむ、女子は投げない、と(ボソッ)」

 

試着室前まで連れて行かれると、いつ手にしたのか美九の手にはフリフリな服があった。

その服を持ってにじり寄ってくる美九に対して、

 

「このままではまずいぃ。必殺士織ちゃんシールドォ」

「人を盾にするなー」

 

美九と千花の間に士織を挟むことで、千花は美九に服を着せられないようにする。完全に士織は被害を受けるが、何処からそんな力を出しているのか千花から逃れることが出来ず、美九に捕縛された。

 

「よいではないかー、よいではないかー」

「きゃぁぁー」

 

こだまする士織の悲鳴。幸い、運よく客はいなかったので問題になることは無かった。店員もいつの間にか<ラタトスク>の機関員になっていたので。

 

 

 

~☆~

 

 

 

「お嬢ちゃん可愛いねー、おじさんと楽しいことしない?」

「え?」

 

私――美九はおじさんに絡まれています。洋服店を出てショッピングモールに着くと、士織さんとちーちゃんは花を摘みに行ってしまいました。今は戻って来るのを待っていたところでこれです。こんなことなら私も行けばよかったー。

私としては、ナンパに対する対応がいまいちわからず困っています。これまでにも何度かありましたが、どれもちーちゃんと士織さんが何とかしていました。

つまり、今は私一人……これは私がなんとかしないと!

 

「お譲ちゃーん」

「あ、はい。私、友達を待っているところなので、一緒に行くことは、できません」

 

私、きっぱりと断れました!男性は苦手なので話すのは心配だったのでしたが。

これで、きっとこの人も何処かに行ってくれることでしょう。

 

「そう言わずどうだい?どうせならその友達も一緒でもいいよ」

「え?」

 

なんということでしょう。断ったのに、諦めてくれないようです。しかも友達も一緒にって。このままでは二人も毒牙に……。

 

「いえ、私たち、普通に遊びに来てるだけなので。それに、知らない人と一緒というのも……」

「あちゃー、そうかい。まぁ、君だけでも一緒に行こうか。用事が出来たって、連絡すればきっと分かってくれるよ。さぁ」

 

おじさんはそう言って私の腕を掴みました。

その瞬間、私の中で何かが動き……

 

「きゃぁぁー」

 

私は無意識に腕を掴み返して、背負い投げをしておじさんを投げてしまいました!あー、この前五河さんを投げちゃったのにー。

五河さんとは違い、おじさんは受け身を取れず背中を打ちました。

 

「痛た!いきなり投げるなんて。怪我したらどうするんだい?」

 

おじさんは痛みに耐えながら体を起こし、文句を言って来ます。先に触れたのそっちなんですけどー。

 

「最近の子は、すぐ手を出してくる」

「あー、大丈夫ですか?」

「大丈夫な訳あるか!いきなり投げておいて」

 

激昂するおじさんの声に、周囲の視線が集まる。そして、騒ぎを聞きつけたのか、店員もやって来る。

 

「どうしましたか?」

「あぁ、いきなりこの子が私の腕を掴んで投げてきてね」

「はぁ、この子が……投げたですか」

 

おじさんの言葉に店員は困った表情をする。当たり前ながら、女の私が男性を投げれるなんて思えないようですねー。

 

「その子が私を投げたのは本当だ!だから私は悪くない!」

「はぁ、しかし……」

「私の言葉が信じられないというのかい!?」

「それは……どなたか、その時の状況を見ていた方はいませんか?」

 

店員はそう言いながら辺りを見回すが、周囲の人たちは面倒ごとに巻き込まれたくないのか、集まっていた人たちは早足に去ってしまう。

その中にはその時の光景を見ていた人も混ざっていました。見ず知らずの私を助ける人なんていませんよね……。

 

「はぁー、とりあえずお二人とも事情を聴きたいので、事務所まで」

「私は関係ないだろう!」

「いえ、無関係ではないので。それに、一応手当を」

 

はぁ、このまま事務所に行ったらお二人にご迷惑が!こうなったら私の力で……

 

「ちょっと待つべきであるぞ、そこの店員!そこの少女は無実であるぞ!」

「提言。そこの女性の行動は正当防衛です」

 

なんてことを考えていたら、いきなりそんな声がありました。そこには橙色の髪の双子のように似ている少女がいました。しかも美少女です!なんということでしょう、まさかこんな美少女がいようとは。……( ゚д゚)ハッ!そんなことより今はこのピンチをどうにかしませんと!

 

「えーと、お客様は見ていたってことでいいんですか?」

「うむ、しかと我が魔眼がとらえておったぞ」

 

勝気そうで中二病?みたいな少女がそう言って、おじさんが私を連れて行こうとしたこと、拒んでいるのに無理やり腕を掴んだこと、その結果正当防衛で背負い投げをしたこと、と余すこと無く二人が説明してくれました。

というか、そこまで見ていてなんですぐに出て来てくれないんですかー。

 

「なるほど、この説明に不備はありますか?」

「あ、いえ、そのとおりですよ」

「はぁ、完全にその二人の言った通りです」

「……わかりました。では、あなたは事務所まで。お客様はもういいですよ。時間を取らせました。そしてご協力感謝です」

「いや、我らは当然のことをしたまでであるぞ」

「同意。困っている人がいたら助けるだけですので」

「はい、お手数かけましたー」

 

店員は私たちにそう言うと、おじさんを事務所に連れて行きました。

 

「あの、説明していただきありがとうございました」

「当然。さっきも言いましたが、当たり前のことなので」

「うむ、我らも昔ある者に助けられたことがあったからな。だから、我らも魔に魅入られしものはなんとかせねばな」

 

美少女さん二人はそんなことを言ってくれましたが……

 

「ところで、一部始終見ていたのに、なんですぐに言ってくれなかったんですか?……あっ、いえ、文句とかではないんですけど……」

「あぁ、確かに見ていたのだがな……そのー。魔の濁流に呑まれてのう」

「謝罪。本当はすぐに言いたかったんですけど、人混みに飲まれて流されてしまいました。で、あのタイミングで戻ってこられたんです」

 

そんな理由で遅れたとなると、なんだか不憫ですね。

 

『まもなく、タイムセールが始まります』

 

すると、館内放送でそんな放送が流れて来ました。

お二人はその放送を聞くと、ハッとして、

 

「我らには重大な任務が!さらばだっ!」

「挨拶。では、もう行きますね。タイムセールに間に合わなくなってしまいます」

「はぁ、さよならでーす」

 

そう言うや否や、走って行ってしまいました。お二人がタイムセールに間に合うことを祈りましょう。そんなことを思っていると、

 

「はぁ、まさか混んでいるなんてぇ」

「あー、時間かかったな、悪い。ん?何かあったのか?」

 

ちーちゃんと士織さんが戻ってきました。

随分長いと思ったらそんな理由でしたかー。

 

 

 

~☆~

 

 

 

「さてと、次はどこに行くかな?」

 

士織は洋服店で買った服一式を持ちながら二人にそう問う。

お昼を食べたのち、ショッピングモールをぶらついていた。

 

「うーん、どこ行こうかねぇ」

「では……あそこですかねー」

 

美九はゲームセンターを指差す。

二人としても断る理由も無いので、三人で中に入る。

中に入ると、ゲーム機の音量が大きく会話がしづらかった。

 

「ところで、美九を見ても誰もそんな反応しないのはなんでなんだ?」

「あー、私も気になってたぁ。まぁ、あのライブもシークレットライブだしねぇ。顔を知ってるって人の方が少ないけどぉ」

「それはたぶん、シークレットライブに来る人って、何度も来てる人ばかりなので意外と顔を知っている人っていないんですかねー」

 

美九はなんとなしにそう言う。

その際に美九は微妙に目を逸らしているのを見逃さなかった。

おそらくは、ライブが終わった後に美九が能力で何かしたと考えていた。

 

「そんなもんなのか。ま、いいや。それで何やるんだ?」

「そうですねー、まずはあれからです!」

「ほぉ、いきなりプリクラかぁ。いいんじゃないのぉ?」

 

三人はプリクラ機に入ると、千花と美九はどんどん操作を進めていった。士織はそんな二人に任せて眺めていた。

 

「士織ちゃん、もっと寄ってぇ」

「そうですよー、ぎゅー」

「美九、胸当たってるー」

「あー、士織ちゃん、みーちゃんの胸に興奮しないぃ。なら私もぉ」

「ちょっ、二人とも当たってるー」

「「あててんのよ(ぉ)」」

 

プリクラ機の中でがやがや騒ぎながら撮影していき、やはり二人はノリノリで撮ったプリクラをいじっていく。

(ふー、一時はどうなるかと思ったんだけどなー。それにしても、美九は知覚してなければ投げないんだな)

 

「士織さんもいじりましょう!」

「ん、ほいほーい」

 

そう言って、士織もプリクラいじりに混ざるのだった。

その後、シューティングゲームやらUFOキャッチャーなどなどをした。シューティングゲームで千花が珍プレイをして人を集めてしまい、そこから三人が可愛いとナンパしてきたのを、棒音ゲーで勝ったら遊んであげようとか言って、全勝したりする、余談があった。

 

 

 

~☆~

 

 

 

次に入った店は、いろんな衣装のあるコスプレ店だった。

千花は二人を置いて一人で突迎して行った。二人も中に入るがすでに千花の姿は無く、試着室でもう着替えているようだった。美九と共にたわいのない話をしながら衣装を眺めていると、千花が着替え終わったのか出てくると、なぜか執事服を着て、髪は一つに纏めていた。

 

「士織ちゃん、ちーちゃん、似合ってるぅ」

「んと……」

「はわわわわ。なんということでしょう……」

 

千花はくるっと回転して見せるが、二人は少し間があった。というか、ツッコミどころがあった。美九は目を輝かせているのだが。

 

「あー、似合ってるよ。でも、サイズ間違ってないか?」

「キューットッ!これはやばいですよー!まず、ちーちゃんの身体のサイズよりも一回り大きいせいで、ダオダボで体の輪郭は完全に隠しているのでこの中には神秘の空間がー!そして手もすっぽりなので……つまり萌え袖に!そして、ちーちゃんのうなじー!(ハァハァ)」

「「ドォドォ」」

 

興奮する美九を二人で落ち着かせる。

(うーん、大きさがあってないのはあるけど、美九が言った通り可愛いんだよなー。まぁ、それ言ったら調子乗るから言わないでおこう)

士織がそんなことを考えていると、千花はじーと士織を見ていた。

 

「ふむぅ、士織ちゃんがそんなこと思ってるなんてぇ。もう照れちゃうよぉ。と言うことで、次は士織ちゃんが試着する番だよぉ」

「なんで、普通に心読んでるんだよ!あと、にじり寄って来るなっ!」

「慈悲は無い!レッツゴォ」

 

士織は抵抗するが、千花はそんな抵抗など無視して士織の腕を引いて試着室に放り込んだ。士織は諦めると、試着室の中にはすでに着させようとしていたのか服があった。

 

「これを着ろってことなんだよな?」

 

しかし、何故この服なのかと言う疑問があった。

(まぁ、いいか、楽な服だし)

こうして今着ている服を脱いで、士道は掛けてあった服に袖を通した。

 

「士道くーん、まーだぁ」

「ちーちゃん、この中にいるのは士織さんですよー」

「あー、そうだったねぇ。士織ちゃんだったねぇ」

 

着替えていると外からはそんな会話が聞こえ、士道は着替え終わったが出にくかった。

(でたら、おそらく……)

 

「早く出てこーい。着替え終わってるでしょぉ」

 

千花はなんのためらいもなく、試着室のカーテンを開いた。

(俺が着替え終わっていたからよかったものの、着替え途中だったらどうするつもりだったのだろうか?)

 

「士道君はいつもそれ着てるんだからそんなに時間はかからないでしょぉ。だから問題ないしぃ」

「……」

「まぁ、確かに着るのにそんなに時間はかかんないか」

「……」

「うん、士織ちゃんもありだけどやっぱりこっちだよねぇ」

「……」

「ん?まぁ、いいや。それより、おーい、美九さーん」

 

士道と千花が会話している間、美九は士道を観察していた。

そして、

 

「……し」

「し?」

「士織さんは何処に~」

 

美九はそう叫んだ。やはり、店内に人はおらず、店員も箕輪と椎崎だったので特に問題は無かった。

美九は士織を探すように、きょろきょろと見回していて、一切士道に興味を持つ様子が無かった。

 

「みーちゃん、士織ちゃんは士道君って言ったよぉ」

「信じません!士織さんは士織さんです!高校の制服を着ているこの人が士織さんなんて訳ありません!さぁ、士織さんをどこに隠したんですかー!」

「うー、揺するなー。グラグラしてやばい」

 

士織が消えたことで錯乱した美九は、士道の肩を掴むとゆさゆさと揺する。士道は抗議するが聞こえていないのか揺すり続ける。

 

「みーちゃん、落ち着いてぇ」

 

そんな二人に見かねたのか、千花は美九の服の襟元を掴んで引っ張り引き離す。首が閉まっているのか、美九は声を上げていたが、すぐに力の向きを変え、千花が引っ張っていて勢いがのって千花を押し倒していた。

士道は慌てて二人のもとによると、

 

「痛たぁ。危うく頭打つとこだったぁ」

「はわわー、ちーちゃんを押し倒しちゃいましたー。このままちーちゃんにボディーターッチ!」

 

二人はそんなことを言っていて、特に怪我をした様子は無かった。どちらかと言えば、そのまま美九が千花に襲い掛かっていた。

 

「士道くーん、ヘルプゥ」

 

千花はジタバタして士道に助けを求めていて、士道は美九の肩に手を置いて、止めようとする。

 

「きゃー、おとこー」

「うわッ!」

 

そして、例によって士道は美九に投げられた。幸い千花とは別の場所に飛ばされたのでぶつかることは無く、士道は慌てずに受け身を取る。

美九が士道を投げた間に千花は脱出したようで、士道のもとに来ると士道の腕を掴んで起こす。

 

「さて、どんどんコスプレを見ていこぉ!」

「おー!」

「お、おー?」

 

千花は気を取り直すとそう言って、コスプレショップで千花と美九はコスプレしまくるのであった。

(あれ?そういえば美九、試着室に居る俺を揺すったのに投げなかった気が……)




サブタイは、三人でのお出かけだから三重奏。

書き終わってから大変なことに気づいたのですが、士道はどっちの手洗いに入ったのだろう?


先に全員やってから或守編に入るか、途中に挟むか悩み始めた今日この頃。それとも、やらずにエピローグ?
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