次の番外編はバレンタインかな?でも、内容が思いつかない・・・
「えーと、今なんて言った?」
「むくは主様に一目惚れしたのじゃ」
唐突な一目惚れ発言に、士道は聞き違いだと思ったが、聞き違いでは無いようだった。
と言うか、この一瞬で士道の呼び方が変わったが、士道はそんなことよりも一目惚れ発言に驚いていた為、そんなことは気にしていなかった。
(まぁ、好感度が高いのはいいんだけど、こういうタイプは初めてだからどうすればいいんだろ?)
「んと、気持ちはうれしいんだけど、まだ、君のことを全く知らないから、ちゃんとした返事が出来ないんだよな」
「ふむん、むくとしたことが忘れていたのう。むくの名前は
「そっか、六喰か。よろしくな」
「うむ、よろしくなのじゃ」
六喰は士道に言われて気付き、自己紹介をする。士道から見た六喰の印象は、のんびりとしたマイペースな少女といった感じだった。
(というか、普通に精霊だって言ってるし)
「それで、主様は精霊という存在は知っておるのじゃろ?この家にも複数の霊力を感じるのじゃ」
「ああ、知ってるな。てか、ここ精霊たちが暮してる家な訳だし」
「ふむん、つまり主様はむくが精霊だと知っていてここに連れてきたのか?」
「んと、六喰が空から降って来たのを助けて、その時に精霊だと知った訳だ。で、普通の病院に連れて行けないからここに連れてきたって感じだな」
下手に言いつくろう必要を感じないので、ありのまま話すと、六喰は納得していた。そして、かねてからの疑問を口にする。
「それで、六喰は一体何があったんだ?普通空から降ってこないだろ?」
「むくにも色々あったのじゃ。まぁ、話すとしよう」
長話にでもなるのか、六喰は近くにあった椅子を引き、腰を下ろす。士道も話を聞くために、座り直す。
「むくは、いつもは宇宙を漂っていたのじゃ」
「ん?宇宙って、息できるのか?」
「それは、こう、周囲を霊力が包んで息ができるのじゃ。それと、話を一気にしたいから、質問は後にして欲しいのじゃ」
「ああ、わかった。話の腰を折って悪かったな」
「今日もまた、宇宙を漂っていたのじゃ。そう、いつも通り、地球で買った本を読みながら――」
いきなり突っ込みたくなったが士道は自重した。
そこから、六喰の話は続き、話を要約すると、突然空中艦が攻めてきて、二人の金髪の女に襲われたのが始まりだった。最初は抵抗したのだが数の利が向こうにあった為、次第に押され始め、最後に空中艦から放たれた機龍に一発大きいのをもらいながらも、なんとかその場を去ったらしかった。しかし、傷が深く途中で気を失ったとのことだった。
(たぶん、空中艦ってDEMだよな。てことは、金髪の二人はエレンとアルテミシアか。なんで、六喰が宇宙に居るのを知ってたんだろ?)
「なるほどな。と言うことは、六喰はここにいた方がいいんじゃないのか?まだ怪我も治っていないんだし」
「むくとしては主様と一緒にいたいのじゃが、それで主様が被害を受けたら嫌なのじゃ。だから、早急に立ち去るつもりじゃ」
「いや、俺のことは気にしなくていいよ。それに、一人でいたら危ないだろ?」
「主様は優しいのう。でも、むくの決意は固いのじゃ」
なんとかこの場に止まるように説得をするが、六喰が言った通り考えを変える気は無いらしく、椅子から立ち上がる。六喰は手を空にかざすと、錫杖の鍵のようなものを出現させその手で掴む。
「<
そして、鍵の先端を何もない場所に向けて差し込むと、空間に穴が開いた。
(ん?穴が開いたな)
「では、むくは行くのじゃ」
六喰はそう言うと今しがた開けた穴に入って行った。
そして穴が閉じ始めた段階で士道は気付いた。
(って、どっか行ってるし……)
士道は慌てて六喰を追いかけ、穴に飛び込み、士道が穴に入ると、穴は閉じられ、
「士道君、どんな感じぃ?……あれぇ?」
部屋に入って来た千花は、部屋に誰もいないことに首を傾げたのだった。
~☆~
穴を抜けると、そこは辺り一面広大な青が広がっていた。
雲一つないような澄み渡った青空に、いくら見回しても陸が見えないような青色の海。状況があれでなければ、さぞ綺麗に見えたことだろう。まぁ、それ以前に、気にするべき部分があるのだが・・・。
「て、なんで俺空に放られてるんだよ!やばい、また落下する」
「主様、何故ついてきてしまったのじゃ?」
自身の置かれている現状を今更ながら理解した士道は慌ててそう叫ぶと、士道の斜め下を落下中の六喰が頭に“?”を浮かべながら首を傾げる。六喰はさして慌てている様子も無く、自由落下に身体を任せていた。
「いきなり、六喰が何処かに消えたからだよ。それに、心配だったからな。というか、なんでこんな微妙な場所にワープ?したんだよッ!」
「主様のせいじゃぞ!主様が無理に入って来たせいで、飛ぶ位置を変えたのじゃ!あのままなら宇宙だったのじゃ」
「……あっ、ごめん」
「素直に謝れる主様は、むく好きじゃぞ」
六喰の機転で事なきを得た士道は六喰に謝り、のほほんとした会話を繰り広げる二人。ちなみに、士道はインカムをつけてなく、スマホも置いてきてしまったので連絡は取れない。そのため、琴里たちがてんやわんやしているがそんなことは知らない。
とりあえず、宇宙に放り出されるという事態は無くなったが、未だ自由落下中。と言っても、何度目かの落下の為、だいぶ慣れて来た自分に士道は呆れる。
「で、ここはどこなんだ?」
「むん?よくわからんのじゃ。緊急修正をした故にな。それにしても、主様は慌てぬのじゃな。かっこよいぞ」
「六喰もわからないのか。あっ、何回も落下してるから慣れただけだ。それで、どうするんだ?下手に霊力を使うと魔術師たちが来るけど……とりあえず、さっきの場所に戻らないか?」
「主様、主様。魔術師とはなんなのじゃ?」
「うん、その辺も含めて説明したいからさ」
フリーダムすぎる六喰が心配すぎるので、士道は色々としてあげないといけないような気がした。
そして、六喰は士道の言った通り、落下しながら器用に空間に穴をあけ、二人はそのまま穴に入り……
ドンッ、ボフッ
無事?元の部屋に戻って……来ていなかった。
そこは何故か士道の部屋だった。着地点がベッドの上だったので痛みはないが、士道は六喰の下敷きになった。
六喰は士道の上から退くと、ベッドに腰を下ろす。士道も体を起こし六喰の方を向くと、なんでこんな所に来た?という目をしてみる。
「主様は鬼なのか?むくは大人数が苦手なのじゃ。もしも、戻ったら、あそこにいた精霊達に囲まれてしまうのじゃ。それ故、ここに来たのじゃ。ここなら逆に近すぎて気付かないはずなのじゃ」
「灯台下暗し的なことか。で、六喰は大人数が苦手なのか?」
「うむ、主様と一緒がいいのじゃ」
「そっか。まぁ、とりあえず色々説明するか」
いまいち会話がかみ合っていないが気にせずAST、DEM、<ラタトスク>の話をする。六喰は士道の話を静かに聞き、時々質問をしていった。それから、士道は何故か自分に備わっている能力も話す。方法については省略して。
(たぶん、このまま封印方法を伝えても信じてもらえないだろうな。皆の時も封印方法のときは色々あったしな)
「ふむん、少し信じられない話もあったのじゃが、主様が嘘をついているようには思えないから真実なんじゃろな。それにしても、主様は特別な人間だったのじゃな。やはり運命なのじゃ」
「案外すんなりと納得するんだな。他の皆はもうちょい納得するのに時間がかかったけど」
「嘘は感じぬし、嘘をつくメリットも無いじゃろ?それに話した内容はむく的にはよくわかったのじゃ。では、むくはもう行くのじゃ」
とりあえず、六喰は内容を理解したようなのだが、なんの脈絡もなくそう言った。この短い間でわかったが、六喰はどうやら狂三同様、気分で動くタイプのようだった。そんなことを思っていると、早速六喰は空間に穴をあけようとする。
その為、士道は慌てて止めようとする。このまま行かせたら次に出会えるのがいつになるかわからないので。
「このまま主様と一緒に居ても、主様を巻き込んでしまうだけなのだと分かったから行くのじゃ」
「んと、まだ話は終わってないぞ。六喰の霊力を俺なら封印できて、封印すれば襲われることはほぼ無くせるらしいんだ」
「むん?そんなことができるのか?もっと早くに行ってほしかったのじゃ。それでどうやるのじゃ?」
士道の言葉を聞くと、六喰は空間に穴を開けたのちに、それを放置して士道に詰め寄る。まさかの食いつきように士道は驚く。それぐらい平穏な生活を望んでいるのだと思うと、士道としてもちゃんと霊力を封印してあげたいと改めて思うのだった。
「あぁ、それはな――」
「士道君はここに居るのかなぁ?」
「いや、さすがにこんなところには居ねーと思いますよ?」
「えー、でも、さっき士道君の部屋で霊力感じたよぉ」
そして、改めて霊力封印の説明をしようとすると、扉の向こうから千花と真那の会話が聞こえてきた。どうやら、士道の捜索でも起きているかのようだった。灯台下暮らしになっていなかった。
すると、六喰はハッとして、何故か穴に飛び込んでしまう。士道は何故六喰が飛び込んだのか分からないが、ここで別れるわけにもいかないので机の上に合った物を手に取って、穴に飛び込む。
そして、穴が閉じられ、二人は士道の部屋に入ってきた。
「士道君入るよぉ……ありゃ?いないや」
「いや、流石にいねーと思いますよ。それにさっき六喰さんのお見舞いに精霊荘に行ったばかり……はて?なんで、こんなに霊力があるんでしょうか?」
「うーん、転移しちゃったみたいだねぇ。と言うことで、そろそろ、私たちも行こっかぁ。士道君捜索は皆に任せてねぇ」
~☆~
「主様、主様。なんで、またついてきたのじゃ?」
「なぁ、六喰。なんで、いきなり穴に入ったんだ?」
近くの児童公園にたどり着いた二人はそんなことを互いに聞いた。互いに疑問があったため、言うタイミングはほぼ同時だった。
「俺は六喰が急に穴に入ったから追いかけてきた感じだな」
「ふむん、むくはこうなんというか、ただならぬ嫌な予感がしたのじゃ。そう、入ってくる人に会ってはならぬような」
「ん?どんな予感がしたんだ?別に千花も真那も普通だぞ」
六喰の謎の予感が原因だと分かるも、謎過ぎてどうも腑に落ちない。ただの人見知りと言うだけではないような感じだった。
(真那は魔術師だから、DEMに襲われた時の……いや、魔術師って知らないから無いか。千花は千花で自由だから何かされると思ったのかな?まぁ、いいや。考えても分からないし)
「それで、また俺の前から立ち去ろうとするのか?正直、巻き込まないようにしてくれる気持ちはうれしいけど、六喰がひどい目に合うってことなら、俺は見過ごせないんだけど」
「それでもなのじゃ。DEMとやらはむくを見つければ、なりふり構わずに襲ってくるのじゃ」
「じゃぁ、見つからなきゃいいんじゃないのか?結局のところ魔術師たちは空間震が起きたらそこに来る感じだし、後は偶然見かけたらってぐらいだし。それも顕現装置で霊力を見ないとわからないらしいぞ」
「ん?つまり、普通は襲われない?」
六喰は首を傾げて、そう呟く。士道は六喰が、魔術師は精霊かどうかを視認しただけで襲ってくると思っていることが分かったので説明をする。
「ああ、そうだな。昨日襲われたのだって、精霊じゃなきゃ普通は宇宙を漂えないからってことだろうしな。それに、六喰は襲われたのって、あれが初めてなんじゃないのか?」
「うむ、確かにそうなのじゃ。でも、一度会ってしまったのなら、今後は照合されて襲われるんじゃないのか?」
「いや、他の精霊達は普通に生活が送れているし、魔術師の近くにいても他人の空似で済ませていたからな。まぁ、霊力を調べられたらばれるかもだけど……」
確かな確証が無い為、頬を掻きながらそう言うと、六喰は少し考え込む。色々と思うところがあったようで、考える時間が長いので、その間に士道もあることを考えて待つ。
そして、六喰はある程度まとまったのか、顔を上げる。
「結論が出たのじゃ。むくはやはり主様とは距離を取ることにしたのじゃ。絶対の確証が無いのなら」
「結局そこに行きつくのかよ……てか、今までの説明が無駄になったし。じゃぁ、一つ試してみないか?」
「ふむん?一体何をするのじゃ?」
「これから一緒に街に出かけて、本当に何も起こらないのかを。言うよりも、実際に見た方が実感も湧くだろ?」
六喰がそこに行きつく予感もしていたので、士道は六喰にそんな提案を持ちかける。実際問題いくら話しても六喰は考えを変えなさそうなので。それに、一緒に居ればそれだけ六喰のことを知ることもできると考えたからだったりする。
「ふむ……分かったのじゃ。つまりデートなのじゃな。主様もデートしたいのなら最初からそう言って欲しかったのじゃ」
「んと、まっいいや。じゃっ、いくか」
こうして二人のデートが始まるのだった。
次回は遂に六喰とのデート回に入ります。てか、二話使ってやっと話が進む・・・まぁ、一話は半分日常回でしたけども。
さて、やっと落ち着いてきたので、ガンガン書いていきたいなぁ。
あと、ゲーム・映画の精霊たちの話は、パラレルIFでは書かないことにしました。これ以上キャラ増やすとごちゃりそうなので。
あっ、あらすじ変えなきゃ