デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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どうも、前回の3話で六喰が星の流れを止めたせいなのか、小ネタを入れたせいなのか、お気に入りが二人も減ったのが謎です。
まぁ、あんま気にしませんけど・・・

と言うわけで、どうぞ。


4話 閉じた世界

ペロペロ

『士道、起きてください。色々大惨事になってますよ』

 

士道の頬を何かになめられているような感覚と、鞠亜の声で士道は目を覚ました。

 

「んん。あれ?ここは?」

 

士道は身体を起こして周囲を見回すと、そこは森の中。

六喰を突き飛ばして、士道も後方に飛んで光線から護った訳なのだが、勢いをつけ過ぎたせいで士道は高台の柵を越えてしまいそのまま落下し、運悪く上から降って来た岩に頭を打って落下してしまった結果がこれだった。

そして士道はあることに気付く。

 

「ん?なんで辺りの物すべて固まってるんだ?それと……」

 

周囲の木々、空を飛ぶ鳥などなどすべての物が一切動くこと無く、まるで時でも止まっているかのようだった。

そして、士道の頬を舐めていた犯人に目を向け困惑する。

なぜだか、士道のそばには仔ライオンがおり、その下には士道のスマホが転がっていた。

で、画面には鞠亜が映っていた。

 

「なんで、ネル?がいるんだ?」

『上で士道がスマホを落したのを、この仔が偶然見つけて、意思疎通を取ったらここまで持って来たんですよ』

「へー、なるほど。ありがとな」

 

士道はネルの頭を撫でると、ネルは気持ちよさそうに目を細める。

頭を撫でながら、士道が気絶している間にあったことを聞く。

それらをまとめると、六喰は士道がいなくなったことで六喰が世界の時を止めたこと。地球上にあるすべてのモノの時が止まったこと。穴を開けて六喰はどこかに消えたこと。そして、あれから一時間ほど経っているということ。

 

「つまり、六喰の中では俺死んだことになってるのか?それと、みんなもか?」

『前者はイエスです。だから時が止まっているわけですし。それで、後者に関しては分からないです。カメラをジャックしようにも、完全に機能を停止しているので。おそらくは精霊達も例外なく固まっていると思います。私は皆さんと違う時間を生きているから例外だったわけですけどね』

「なるほど。じゃぁ、なんで俺とネルは無事なんだ?」

 

ネルに目を向けて士道は疑問を口にする。士道だけならば霊力保有量で説明がつくが、ネルには霊力は無いはずなので謎だった。

 

『ああ、それはおそらく共通点を考えると、彼女の空間の穴を通ったことがある、と仮定すればいいのではないでしょうか?それ以外ないですし。それと、重大なことが一つあります』

 

鞠亜は士道の疑問に答えると、真剣な表情でそう前置きをした。

 

『世界が止まっているわけですけど、止まっているのは地球だけで、他の星、宇宙自体の時は止まっているわけではないんです』

「ん?てことは、このまま時間が経つと……」

『はい。そのもしかしたらです。早急に時間の流れを戻さないと何が起こるかわからないですね。リミットとしては夜明けぐらいでしょうね』

「なるほどな。さてと、じゃぁ六喰を探して流れを元に戻してもらわないといけないわけか」

 

さしあたっての行動の指針ははっきりしたが、六喰の居場所が不明というのは痛かった。そして、地球上という点から、誰にも助力を願えないので、士道一人の足で探す必要があった。

 

「ガウッ!」

 

六喰のいそうな場所も分からず、困っていると、ネルはピョンと士道の腕から抜け出し、ついて来い、とでも言う様に一吠えすると、何処かに向かって歩き出す。

 

「ついて来いってことなのか?」

『士道、ついて行ってみましょう。どうせ手詰まりな状態な訳ですし』

 

士道はネルの後を追いかけて、歩いて行くと何故か見覚えのある場所にたどり着いた。

そこは来禅高校で、ネルは敷地内に入ると、屋上の方を見て止まる。

 

「ん?どうして止まったんだ?」

『士道。スマホをその仔に近づけてみてください』

「ああ、よくわからんがわかった」

 

鞠亜に言われた通り、ネルにスマホを近づけてみる。

 

『アニマル翻訳モード起動』

「え?何そのモード?」

『屋上に行きたいガウ、とのことです』

「いや、だから何そのモード?あと、その語尾も」

『早く行きましょう』

 

鞠亜は答える気がないようで、士道の質問をスルーしてそう言うのだった。腑に落ちないが士道は従うことにして、校舎に入る場所は全部閉まっていたので、ネルを抱っこすると、周囲に風を起こして、一気に屋上に上がる。

屋上の床に足を付け、ネルを床に降ろすと、辺りを見回すが、そこには誰もいなかった。ネルはてくてくと歩きだし何処かに行く。

 

「あれ?誰もいないな」

「あらあら、無事だったんですのね。士道さん」

 

士道も一人呟いて歩き出すと、いきなり後ろの貯水タンクの上から声がかかり、声の方を向くとそこには霊装を纏った狂三が座っていた。

完全状態の精霊なら影響を受けないとも思ったが、そもそも狂三は時の精霊なので影響を受けなかったようだった。

 

「狂三も無事だったんだな。よかったよ」

「本当にそう御思いですの?今の士道さんには助けてくれる仲間が誰もいない状況ですのよ。今ここでいただいてしまいましょうかしら」

 

狂三は貯水タンクの上から降りて士道の前に着地すると、士道を喰らおうと士道に手を伸ばす。狂三の言っていることは最もであり、今まで襲われてこなかったこと自体がおかしなことだった。一か月近く居て、何も無かったが故に士道は油断していた。

 

「きひひ、遂にこの時が来ましたわ。士道さんが完全に孤立することがそうないので長かったですわ」

「くっ、まさかこんなところで……」

「さぁ、いただきますわよ」

 

狂三はそう言って、士道に触れて影の中に士道を入れようとし、士道はここまでかと諦めかけた。

(まさか、狂三がずっと狙っていたなんて……)

 

「ガウッ!」

「ひゃッ!」

 

しかし、士道が影に引き込まれることは無かった。

狂三の背後にいつの間にか居たネルが狂三に飛びかかり、背後からの攻撃に狂三は体勢が崩れ、同時に影が消えたことで助かった。そして、バランスを崩した狂三の上にネルは乗っかり舐めていた。

 

「くっ、まさか、こんなところに伏兵がいたなんて……誤算でしたわ」

 

狂三はネルを引き剥がそうとしているが、相手が仔ライオンなために、下手に力が込められず、舐められている為に力も入らないようだった。

 

「ふぅ、助かった。ありがとな」

 

士道はネルにお礼を言い、頭を撫でる。その間に狂三は影に潜り、ネルから脱出してすぐそばに現れる。

 

「わたくしの分身が失礼しましたわ」

 

出てきた狂三は先ほどと同じでオリジナルの狂三のままにしか見えず、狂三は今あったことを分身のせいにして片付けようとしていた。すると、士道の腕の中からネルが飛び出し、狂三に飛びかかった。そして、狂三は回避行動をしようとするも、なにかに気が付き、回避行動を止めると、ネルを捕まえた。そして、何故か撫で始めた。撫でられたネルは、気持ちよさそうにしており、もう戦力にはならなそうだった。

 

「ふぅ、こんな場所で飛びついたら、柵を越えてしまいますわよ。さてと、冗談はこの辺にして、今後の話をしましょうか」

「本当に冗談だったのか?目がマジだった気がするけど?」

 

狂三が先ほど取った行動を冗談で済まそうとするのに対し、士道は半眼を向ける。すると、狂三はさもありなんみたいな顔をする。

 

「まぁ、確かにそう思うのでしょうね。今は士道さんの霊力をいただくのには絶好の機会ですし」

「やっぱり、冗談じゃなかったんだな」

「ですが、今はこっちの方が問題ですわ」

 

そう言いながら時が止まった空を指差す狂三。

狂三自身もこの事態はどうにかしないとはいけないと思っているようだった。

 

「さてと、ここからが問題ですけど。この状況を打破する方法は二つありますわ」

「ん?六喰に元に戻させる以外にあるのか?」

「ええ、ありますわ。わたくしがこの止まった世界を動かしてしまうのですわ。【四の弾(ダレット)】を地球に撃てば戻るでしょうし」

 

狂三の提案に、士道はそんなことが本当にできるのかと首を傾げる。そもそも、本当に可能ならば狂三が既に実行に移しているような気がした。

 

「本当にできるのか?できるのなら、なんでやらないんだ?」

「霊力が足りないのですわ。流石に対象が地球規模となると、膨大な霊力が必要になりますわ。そうですわね……おそらくは精霊一人分の霊力でしょうか?」

「……多いな。もしかして、さっきのって」

「ええ、そうですわ。士道さんの中の霊力ならと思いましたが、ダメですわね。時間が経ち過ぎているようですし、標的の規模も大きすぎますわ」

 

狂三は肩を窄めてそう言うと、士道はどうしたものかと悩む。

六喰を見つける以外に手が無いが、六喰がどこに行ったのかもわからず、完全に手詰まり状態だった。

 

「と言う訳で、どうしますの?」

「六喰を見つけるしかないよな。でもどこにいるのか分からないんだよな」

「そうですよね。わたくしたちにも探してもらっているわけですけど、一向に見つからないようですわ」

「ん?いつの間に探してたんだ?」

 

しれっとそんなことを言ったので、士道は首を傾げて問う。

狂三はネルの頭を撫でながら、その返答をする。

 

「世界が止まってすぐですわ。情報収集は重要ですので。せめて<フラクシナス>が無事でしたらもう少し簡単に見つけられたでしょうね」

「鞠亜はどうだ?<フラクシナス>の機械いじって、なんとか探せないか?」

『難しいですね。流石に転移されるとなると、霊力をたどるのも困難ですし……ところで、<囁告篇帙(ラジエル)>で調べられないんですか?』

「あ……」

 

士道の頭からすっぽり抜けていたが、鞠亜に言われて気付くのだった。そんな士道の反応に、二人は呆れた顔をする。

 

「んと、<囁告篇帙(ラジエル)>」

 

いたたまれない空気の中、士道は<囁告篇帙>を顕現させてさっそく調べてみる。

 

“宇宙の何処か”

 

「わかるか!」

 

そして、検索された情報がアバウトすぎてツッコむ。砂漠にある一粒の砂を見つける以上に広い範囲のせいで、完全に無理だと士道は思った。

しかし、そんな士道の考えとは裏腹に、

 

『なるほど、宇宙に居る可能性もありましたね。ずっと地球の中を探していました』

「ええ、それなら見つからないのも納得ですわ。流石にわたくしたちでは宇宙にはいけませんし」

 

二人はどこか納得していた。

(てか、六喰宇宙に居るのかよ。まぁ、地球の時間を止めてるわけだから、地球に居る必要は無いか……ん?)

 

「てか、居場所が分かってもどうやって行くんだ?」

『それが問題ですね。ロケットでもパクりましょうか?』

「残念ながらパクっても飛ばすのは無理ですよ。いろいろ問題がありますから」

 

鞠亜の危険な発言に狂三は冷静にそう言う。ロケットをパクっても、この止まった世界では飛ばすのは困難なようだった。つまり、普通の機械は使えないということだった。ロケットが使えないとなると、宇宙に行く手段が見つからない。

(<颶風騎士>の風じゃ宇宙に着く前に霊力切れしそうだし、なんかいい方法ないもんかな?)

 

『どうしましょうか?精霊の能力で滞空しても宇宙に着くのは困難ですし』

「そうですわね。普通の機械はすべて固まっているのが現状ですし」

「そうだよな。普通の機械は固まっているんだよな」

 

三人は空を見上げながらそんなことを呟く。二人は物理的に、一人は画面越しに。

 

「ところで、何故この仔は無事だったんですの?」

 

ネルを撫でている狂三は、首を傾げて質問をする。

鞠亜は簡潔に六喰の空間の穴を通ったことがあるから影響を受けなかったと思われることを伝えると、狂三はだからか、みたいな顔をする。

 

「なんか思い当たることでもあったのか?」

「はい、ライオンの檻のそばに空間の穴が残っていたモノでしたから疑問でしたの。ですが、これで納得ですわ」

 

(六喰あの時の穴閉めてなかったのかよ。てことは、その穴からネルが出て来て、俺のスマホを運んでくれたのか?)

 

「それとですけど、一つ勘違いを正しておきますわ。穴を通ったことは関係なく、おそらくこの仔は時間が止まるのと同タイミングで偶然穴を通ったことで影響を免れたってところですわ」

『なるほど、それでも説明は付きますね。穴の中なら影響を受けずに済むかもしれませんし』

「それと、一つ気になることがありますの。なんで、士道さんのスマホは固まっていないんですの?ここ一帯の機械はただの物体と化しておりますのに。士道さんの手元にあったならまだしも、時が止まった時には手元に無かったのですよね?」

「あっ……」

 

狂三はそんな補足をすると、人差し指を立ててそう口にする。

士道は鞠亜が言っていたことを思い出し、そう言えばと思う。

 

『それに関してはよくわからないですね。そもそも、このスマホも千花が作って、よくいじっているので何があるやら』

「あー、そういや、修学旅行の時に千花がなんか改造するとか言っていじってたっけか」

「また、千花さんですのね……そろそろ、あの人に【一〇の弾(ユッド)】を撃って過去を見たくなりますわね」

 

ちょくちょく千花の存在が関わってくるため、狂三は呆れ通り越し、疑問を持っていた。士道的にも、こうも千花が先読みしていたかのように準備されていると、いよいよ未来視とかの能力を持っているのでは?とも思えてくる。

そして、千花の話題、何故か動く千花作の機械で士道はある可能性に気付くのだった。

 

「あ、もしかしたら宇宙行けるかも」

「『?』」

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