デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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5話 宇宙へ

「はぁ、本当に宇宙に来れてしまいましたわね」

「まぁ、意外といけるモノだな」

『士道、そんなのんびりしていないで、急いで見つけますよ。十五分ほどしかないんですから』

 

宇宙にたどり着いた士道と狂三は本当に来れてしまったことに、なんとも言えない感じになっていた。そして、鞠亜は二人を急かす。

鞠亜が急かすのは、言った通り時間制限があるからだった。

 

「ああ、分かってる。十五分しかこの機械動かないしな。それで、六喰の居場所は分かるか?」

 

士道は手にした機械――小型の顕現装置を見ながらそう呟くとポケットにしまう。

士道たちが宇宙に来た方法は、ある意味単純なモノで、精霊荘に戻り、空間跳躍機を起動させて宇宙に飛ぶというモノだった。宇宙に行けるのかはわからなかったが、そこはなんとかなった。ちなみにネルは地球でお留守番。そして、宇宙には空気が無い為小型の顕現装置で、士道の周囲を囲むことで、宇宙での活動を可能にしていた。しかし、小型故か十五分でバッテリー切れしてしまい、試作品なようで霊力でバッテリーの代用はできないため、時間が惜しかった。

辺りを見回すと、少し離れた場所でいくつかの人影が見え、まるで戦っているようだった。

 

「探す必要も無いですわね。あそこでドンパチやっていますわ」

『ですね。あの中から六喰の霊力も感知しました。それにしても何故魔術師がいるのでしょうか?』

「さぁな。そんなことよりも助けるぞ」

「ええ、そうですわね。せっかくここまで来たことですし」

『了解です。では、すぐに済ませましょう』

 

移動中、魔術師たちが無事なのは元々宇宙にでもいたのでは?と鞠亜はそんな推測を話した。士道が起きた時の鞠亜の説明で地球上の時が止まったと言っていたことから、士道もそんなとこかと思う。

士道と狂三は六喰のもとに近づくと、だいぶ状況が見えてきた。宇宙にはたくさんの機械の残骸が漂っており、それは破壊されたバンダースナッチだった。そして、六喰は二人の魔術師、エレンとアルテミシアとわんさかいるバンダースナッチを相手にしていた。エレンはいつもの装備なのだが、アルテミシアは前回あった時の装備では無く四肢にクローが付いたどこかで見たようなタイプのCRユニットだった。士道はどこで見たのか思い出せないが、思い出せないならいいやと割り切る。

 

「士道さんは一直線に六喰さんのもとに行ってくださいまし。わたくしたちでバンダースナッチの相手をしますので」

「わかった。来い、<鏖殺公(サンダルフォン)>」

 

士道は<鏖殺公>を顕現させ、二人に向かって一閃して斬撃を飛ばす。二人は斬撃に気付くと六喰から距離を取りながら回避する。

その隙に士道は六喰のそばにたどり着く。

 

「大丈夫か、六喰」

「むん!主様のお化けが出たのじゃ!」

 

六喰は士道の姿を見ると驚いたような表情をする。

そして、士道の姿を見た六喰がそんなことを言ったので、士道は六喰の中で死んだことにされているのを思い出す。

 

「まぁ、色々あって生きてたからお化けではないぞ」

「ふむん、とりあえず無事なら良かったのじゃ」

「まさかあなたが来るとは思いませんでしたよ」

「だね、五河君が来ちゃうのは誤算だったや。宇宙に来る術はないと思ったのに」

 

距離を取っているエレンとアルテミシアは士道と狂三の姿を見て面倒だなといった顔をする。しかし、来てしまった物は仕方ないと割り切る。

 

「アルテミシアは<ナイトメア>の方を任せます。私はあの二人を拘束しますので」

「ん、了解だよ、エレン。でも、二対一で平気?」

「私を誰だと思っているんですか?」

「自称最強(笑)」

「それは違います!」

 

アルテミシアの軽口にエレンは顔を赤くしてツッコむと、アルテミシアは、逃げるように狂三たちの方に飛んで行った。

エレンは咳払いをすると、士道たちの方を向き、今のがなかったかのように振る舞う。

 

「さて、無抵抗で捕まると言うなら怪我をせずに済みますがどうしますか?」

「俺がここにいる時点で、答えは分かってるだろ?」

「ええ、確かにそうですね。今のは無駄な質問でしたねッ!」

 

エレンはスラスターを噴かして一気に近づくとブレイドを振るい、士道は<鏖殺公>で攻撃をガードする。そして、士道の後ろから六喰が<封解主>を振るう。しかし、それを随意領域でガードされる。

士道と六喰はその場のノリでうまく連携して、エレンと戦う。士道がガードすればその隙に六喰が攻撃し、また逆もしかり。だが、戦闘経験があまりない六喰と、無重力になれていない士道は苦戦する。

狂三の方も真那ばりに強いアルテミシアなので、分身体では勝ち目がなく、本人が移動しながら銃を撃っていくスタイルを取っていた。

いまいち決め手に欠けるため、長引いてしまう現状に士道も焦りを覚える。顕現装置のバッテリーも残り七分ほどで、<灼爛殲鬼>を使いたいが空気が無い為威力も半減してしまうだろうしと困ったものだった。

すると、六喰は空間に穴を開けようとする。

 

「邪魔をしないでほしいのじゃ」

「逃がすとお思いですか?前回は油断しましたが、今回は前回のようにはいきませんよ」

「むん、そんなのどうでもいいのじゃ。そもそも、なんでむくを襲うのじゃ?」

 

しかし、エレンは六喰の行動の邪魔をし、六喰はそんなことを問う。六喰は襲われる理由を士道から聞いてはいるが、やはり本人の口からも聴いておきたかった。

 

「そんなこと簡単なことですよ。そこに敵がいるのなら倒すだけです」

「ん?なんでむくは敵なのじゃ?むくは一度も空間震を起こして地球のモノを壊したことも無いのじゃ」

「それでは、何時か牙をむく前に危険の芽を摘むと言いましょう」

「なるほどなのじゃ、よくわかったのじゃ」

 

六喰は数言エレンと言葉を交わすと、なにかの決断をしたようだった。どんな決断をしたのか士道にはわからないが、あまりいい決断をしたとは思えなかった。

 

「どうやら、むくはお主を倒さねばならぬようじゃな」

 

六喰はそう言うと、空間に穴を開けるのを止め、エレンを倒すことにした。士道は六喰を連れて帰るのが目的な訳で、そんなことしないでほしいが、六喰は止まりそうにないのでため息をつく。

 

『残り約七分ですから、その間に終わらせるしかないでしょうね。それに、ここでなんとかしないと追いかけて来そうですし』

「だな。さっさか終らせるか……て言いたいけど、決め手に欠けるんだよな。それに、エレン倒したのって千花な訳で、今いないし。まぁ、二人でやればなんとかなる、か?」

「たぶんなんとかなるはずなのじゃ」

 

二人はエレンの方を見て、そんなことを言うと、エレンの方にもアルテミシアが何故か慌てて飛んで来ていた。ついさっき狂三との戦闘になったはずなのに随分と早いお帰りだった。

そして、数言言葉を交わすと、エレンの表情が変わり困った表情をする。

 

「はぁ、何故誤作動をさせるのでしょうかね」

 

エレンが肩を窄めてそう言ったが、士道たちは何のことを言っているのか分からず首を傾げる。すると、遠くから光る何かが迫って来る。

それは青色の四、五メートルほどの大きさの機械の龍だった。

そして、それが二人を困った顔をする原因のようだった。

 

「青い龍だな」

『青い龍ですね』

「青い龍なのじゃ」

「青い龍ですわね」

 

三人が率直な感想を言うと、いつの間にかそばに来ていた狂三もそんなことを言う。アルテミシアが来ていたことから、なんとなくわかっていたので驚かない。

そして、青い龍が近くまで来ると、

 

「え?」

 

なんの躊躇いもなく、口から光線を出した。エレン達を中継して、士道たちに向かって。五人は光線の起動上から避けるが、何故エレン達にも一緒に攻撃したのか分からず、困惑する。

 

『なるほど、あれは暴走ないしは制御不能のようですね』

「何その欠陥品」

 

鞠亜の推測を聞き、そう呟くが、そう考えればエレン達に攻撃したのにも納得はいく。

それからも、青い龍は敵味方無く関係なく暴れまわる。

 

「ねー、エレン。青龍止めるのってどうやるんだっけ?」

「私に聞かないで、製作指揮したミルドレットに聞いてください」

「えーと、ミリィは徹夜続きで寝てるからエレンに聞いてるんだけど」

 

エレン達もこの状況は芳しく思っていないようで、止める方法を話していたが、おそらくは止まらなそうだった。そして、青龍の実験の為に宇宙に来たようだった。

 

「仕方ない。青龍の攻撃を避けながらあの子たちを確保するかな?」

「それしかないでしょうね」

 

エレンは青龍の攻撃をぬって士道たちに接近し、ブレイドを振るう。士道も<鏖殺公>でガードするが、その直後に青龍の光線が飛んでくる。

それを士道の背後に空間の穴を開けて、六喰が士道の身体を引っ張って助ける。

 

「主様、大丈夫か?無理は禁物なのじゃ」

「助かったよ、六喰。それにしても、厄介だな。無差別だからいつ攻撃してくるかもわからないし」

『ガァー』

 

六喰のもとに着いてすぐに青龍は士道を補足して光線を放つ。士道ばかりを狙っているようで、おそらくは士道の中の霊力が今いるメンバーで一番多いからだと予測する。六喰は士道の襟を掴んで、開けたままになっていた穴に放り込んで自分も入ってすぐに穴を閉じることで回避するが、またエレンのそばに来てしまった。

エレンの攻撃をしのぎ、なんとか体勢を整える。狂三がアルテミシアの相手をしている為、エレンと青龍の相手をしなくてはならず、

 

「あの機械の龍はむくに任せるのじゃ」

 

六喰は自信満々にそう言って、青龍に向かって行った。結果、士道一人でエレンの相手をしなくてはならず、極めてまずい状況だった。

そして、事態はさらに悪化する。

 

『士道!小型顕現装置をどこにしたんですか!?』

 

インカムから鞠亜の声が響き、ポケットから顕現装置が消えていることに気付く。いつ落したのかもわからず、もし壊れでもしたら士道は呼吸できなくなるため、慌てて辺りを見回すと、

 

『見つけました。先ほど六喰がいた場所です』

 

鞠亜が先に見つけてそう伝える。六喰に穴に放り込まれた時に落としたようで、顕現装置の随意領域を張る範囲を鞠亜が士道の身体を設定していた為、なんとか息はできていたが、乱戦中なので流れ弾等で壊れたら一大事なので取りに行く。しかし、そんな士道を見逃すわけも無く、エレンは追撃してくる。エレンが大ぶりの一撃を放ったので、<鏖殺公>でガードして、その反動で後ろに飛んで行ってもう少しで顕現装置に届きそうで……

 

「『あ……』」

 

どこからか飛んできた青龍の光線が目の前を通過して顕現装置を包んだ。そして、光線が通り過ぎた跡には何も残っていなかった。その直後、士道に張ってあった随意領域も消え息苦しくなる。

士道の動きが止まった隙にエレンは士道の意識を狩り取ろうとブレイドを振るう。

呼吸ができず、エレンの攻撃も防げそうになく、士道は何もできない。そして、士道の意識が朦朧とし、エレンの攻撃が、

 

「なッ!」

 

来なかった。

次いで士道の周囲に空気でも流れてきたのか呼吸ができるようになる。鞠亜が何かしたのかとも思うが、だったら落してすぐにやらない理由も無いのでわからなかった。

 

「間一髪でいやがりましたね、兄様」

「ん?真那?」

 

で、士道のそばに現れた真那が、エレンの攻撃を防ぎながら士道の周囲に随意領域を張ったようだった。真那が纏っているのは<ヴァナルガンド>なのだが、両手足にはブレスレットのようなものが付いており、細部は若干変わっていた。魔力処理を除去したはずの真那が随意領域を使っていることについては前に汎用機なら使えると聞いていたから驚かない。そして、<ヴァナルガンド>は汎用機ではないのでは?という点はツッコまない。止まっていないということは、真那が精霊だったのか、地球にいなかったかの二択しかないが、真那が精霊な訳も無いので、士道は時が止まった段階で真那が宇宙にいたのだと判断した。

(なんで宇宙に居るのかについては謎だが……)

 

『あー、あー、てすてすぅ。士道君聞こえてるぅ?』

 

と思っていると、インカムから千花の声まで聞こえてくる。この時点で千花も無事な訳だが、やはり何故?という疑問は尽きない。

 

「んと、千花。聞こえるけど、無事みたいでよかったよ」

『あ、ちゃんと通じたやぁ。それで、無事ってなんの事ぉ?もしかして、何かあったのぉ?士道君が六喰ちゃんに拉致られた後は、真那ちゃんとこっちに来てたから知らないよぉ』

「無事なのはわかったけど、なんで宇宙なんかに居るんだ?それも、六喰が現れたこのタイミングで」

『ん?だって、特にすること無かったしねぇ。それに何かあったら連絡してって言っておいたからぁ。こっちにいるのは真那ちゃん用の新しいユニットの実地テストだねぇ。何があるかわかんないから宇宙に居る感じだよぉ。邪魔されたくないしぃ』

 

二人が宇宙に居る理由は分かったが、なんでこっそりと宇宙でやっているのかは謎だった。

(邪魔されたくないからって、宇宙でやるかな?普通。まぁ、無事だったからいいけど)

 

「兄様、説明は後にして手伝ってくださいよー。兄様の周りに張りながらじゃ、やりづれーんですけど」

 

そんなことを考えていると、エレンの相手をしている真那が文句を言う。

 

「ん。ごめんな、真那。てことで、通信切るけど、千花って今どこいるんだ?」

『ん、DEMの戦艦荒らしてるぅ。じゃっ、また後でぇ』

 

千花は物騒なことを言って通信を切り、士道は何やってんだよ、と思いながら真那のもとに行くのだった。

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