「前回のデート・ア・ライブぅ
皆が頑張ったことで無事?士道君の暴走が収まったよぉ。私の方も狂三ちゃんが乱入してうやむやになったから帰れたしねぇ。
<ラタトスク>に伝言を伝えに行った真那ちゃんは無事伝言を伝えてくれたみたいだし、これで一件落着だねぇ。
えっ?この章で伏線張り過ぎぃ?そんなの知らないよぉ」
~~~~~
狂三が<時喰みの城>で人々の寿命を奪った翌日。
天宮祭はなんの問題も無く三日目が行われることになった。本来なら大事件となり、天宮祭など行えなくなるはずだったが、千花の【記憶樹】によって<時喰みの城>の被害にあった人すべてに記憶を植え付けて、何も無かったことにした。人の数が多くて時間はかかったが、【記憶樹】を大量に育てたことで、それを精霊達、<フラクシナス>のクルー総動員で運搬して事に当たったら二・三時間程度で済んだ。
「それにしても、昨日は皆に迷惑をかけちゃったんだよな」
「士道君、まだ言ってるのぉ?済んだことをいつまでも言ってても何も変わらないよぉ」
「と言ってもな、やっちゃったことは無くならない訳で」
「いいのぉ。士道君は今まで皆の為にしてくれたんだから、みんながそれに報いただけだよぉ。だから、思うなら謝罪じゃなくて、お礼の気持ちでいてほしいかなぁ?」
士道と千花は通学路を歩きながらそんな話をしていた。士道がいつまでも気にしていると、千花はじれったくなってそう言う。
「まぁ、そう言う訳で、早く行こう?準備があるんだからねぇ、料理長」
「はぁ、昨日は休んじゃったから行きづらい……」
「平気だよぉ、誰も文句は言わないからぁ」
「そうならいいけど……狂三どこ行ったんだろ?」
「さぁ、分かんないよぉ」
士道が狂三の名を口にすると、最後に狂三にあったはずの千花は知らないと口にした。ちなみにエレン達は狂三の登場で乱戦になり、活動限界で撤退していたと聞いている。
そうして、士道は昨日あったその後のことを思い出す。
~☆~
士道たちが<フラクシナス>に回収されると、すでに千花は戻って来ていた。とりあえず、千花の無事に安堵すると、琴里は早速千花を問い詰める。
「で、真那は?」
「ん?真那ちゃんなら、<ラタトスク>本部に行ってもらってるよぉ」
「え?なんで本部に?」
「だって、<ダインスレイフ>?を撃ったからねぇ。だから、伝言をねぇ」
千花はいつもの調子でそう言うが、琴里は「はぁー」、とため息をつく。
そこから、さらに問おうとすると、艦橋のドアが開き、令音が現れる。
「色々聞きたいことはあるんだろうけど、後にしてくれないかい?皆の検査をしないとだろ?」
「……そうね。じゃ、後で洗いざらい話してもらうからね」
「うん、わかったよぉ」
そう言って、精霊達と士道は検査を受け、全員の検査が終わり、<時喰みの城>の被害にあった人すべての記憶の改修を終え、精霊荘に戻って来たら午後八時を回っていた。士道は遅くなったが夕飯を作ろうと思いながら共有スペースに行くと、
「おかえりなさいです、みなさん。夕飯出来てますよ。といっても、時間があんまりなくて鍋ですけど」
いつ帰ってきたのか真那がおり、机には夕飯に作られた鍋が置かれていた。精霊たちから真那のことを聞いていた士道と琴里は真那の姿を見るや、
「真那、今までどこに行ってたんだ?」
「真那、あなたのこと話してもらうわよ」
そう聞くのだった。真那は頬を掻くと鍋に視線を向け、
「えーと、食べながら話しますね……」
苦笑いを浮かべて、そう言った。
二人はその前に聞こうと思うが、お腹の音が鳴り席に座った。精霊達も座る。
「で、何処から話したものでしょうか……」
「んと。じゃぁ、精霊になった経緯から話してくれ」
「そうですね。そこからですね」
各々鍋から具材をすくっていると、真那はそう言い、士道は経緯から話してもらうように促す。
真那は四糸乃・琴里の一件の翌日に魔力処理を無くす手術の過程で精霊になることで治したこと、今日士道と別れた後狂三を負かしたこと、<ダインスレイフ>から士道を護って千花のもとに行く途中で千花の伝言をウッドマンのもとに行って、直に伝えたことを話した。
皆、なんともいえない顔(千花は大体すでに知っていたのでいつも通りの顔)をする。
すると、二亜は皆の反応に疑問を持ち、首を傾げた。
「あれ?でも、マッチが精霊ってみんな知ってたんじゃ?」
「……いや、知らないわよ。二亜は知ってたの?」
「んと、会った頃は霊波を感じなかったけど、コミコの時にはマッチから霊波感じたから。てっきりみんな知ってるのかと思ってたや」
「やっぱり、二亜さんにはばれていましたか。まぁ、そんな気はしてましたけど」
二亜は苦笑いをすると、真那は二亜にばれていたことに納得していた。
すると、士道は話を聞いている間からあった疑問を口にする。
「ん?でも、真那一度も隣界に行ってないんだよな?それに、琴里も知らないってことは<フラクシナス>で感知できなかったってことになるけど……」
「そうよね。一度も真那から霊波を感知しなかったわよ」
「あー、それはですね。真那にもどうやら兄様と同じ能力があるみたいなんです。まぁ、真那の場合<
「真那にも、俺と同じ能力が?……なんで今まで隠してたんだ?」
真那から霊波が完治できなかった理由はわかったが、そうなるとそれを隠していた理由が分からなかった。皆もそんな感じで真那に視線が注がれる。真那は、具を飲み込むと説明を再開する。
「それはまぁ、極力使いたくなかったんですよ。<リエサル>だけで済ましたかったんで。それに、<ラタトスク>が分析したがるのが目に見えていたんで。現に、今日そんな話が出ましたし」
「それでも、私たちに話したっていいじゃないの?それとも信用無い?」
「いえいえ、そう言う訳じゃなくて、完全に秘密にしとけばいざって時の切り札になるんで。結果的に狂三さんにも勝てたわけで……」
「って、狂三はどこ行ったのよ!」
すると、話は狂三のことに移った。真那はやっと、のんびり鍋が食べれると、モグモグと食べ始める。(すでに食べてはいた)
「狂三ちゃんなら、士道君に合わせる顔が無いって逃げて行ったよぉ」
「ちょっ、あの人約束破って逃げたんですか?」
「あ、でも明日はたぶん学校来るよぉ。来なかったら、狂三ちゃんのもとに突撃訪問しようねぇ」
千花は狂三の所在を言うと最終的にそう言った。
その後はこまごまとした話や雑談をして過ごしたのだった。
~☆~
士道と千花が教室に着くとすでにほとんど集まっており、先に来ていた折紙と十香はそそくさと荷運びをしていた。士道たちに気付くと折紙は荷物を所定の場所に置いて近づいてきて、十香はまだ仕事があるのか何処かに行った。
「おはよう、士道、千花」
「おはよぉ、オリちゃん」
「おはよう、折紙。なんか、バタバタしてるけど荷運び、俺も手伝った方がいいのか?」
士道は折紙に挨拶すると、荷運びをしているクラスメートを見てそう聞く。すると、折紙はクラスメートを一巡してから口を開く。
「その必要は無いかな?人数は足りてるから。士道は厨房で材料の確認した方がいいかも、料理長だし」
「昨日休んだわけだから、気まずいような……」
「ふーん、まぁ支配人に指示仰いだら?あっ、そろそろ着替えないといけないから行くね」
「あっ、私もシフト入ってるんだったぁ」
「ん、分かった」
二人はそう言って、ウエートレスの衣装に着替えに教室を出て行った。士道は折紙が言っていた支配人に覚えが無く首を傾げていると、クラスメートと話していた亜衣が士道に気付き声をかけた。
「あっ、五河君だ。体調は回復したんだ」
「あぁ、昨日しっかり休んだら完治したよ。で、折紙が支配人に指示を仰げとか言ってたんだけど」
「ん?私に何か用があったの?」
「山吹がその支配人だったのか……」
「うん。と言ってもただ単にクラス展示の責任者だから、みんながそう言ってるだけだけどね。で、用件は?」
「昨日休んじゃったから、結構困ったんじゃないのか?」
士道は申し訳なさそうな顔でそう言うと、亜衣はそんなこと気にしてたのかと、呆れた表情をする。
「別に病気だったんだから仕方ないでしょ。それに準備とか一昨日とか結構無理させちゃったし、むしろこっちの方こそごめん」
「いや、謝らなくていいよ。俺がちゃんと体調管理出来てなかっただけだから。こっちこそごめん」
結果、二人して相手に謝る絵になり、二人して噴き出す。亜衣はそれで、士道の体調が戻っているのが確認でき、士道の肩を叩く。
「まぁ、昨日の分は五河君にも頑張ってもらうよ。まぁ、シフト分だけ働いてもらうだけだけど」
「ん、了解」
そう言って、亜衣は他のクラスメートへの指示に行き、士道は厨房に仕込みに行ったのだった。
(あれ?そう言えば狂三は?)
~☆~
「ふぅ、とりあえずどこ行くかなー」
士道は校舎内を歩いていた。いざ仕事だと思ったら士道は客が多くなる昼時にシフトが割り振られ、暇を持て余していた。十香と折紙は前半シフトらしくこの場にはいない。
「士道君と久しぶりにデートな気がするねぇ」
「これをデートとカウントしていいのか?」
士道と同じシフトになっている千花は久しぶりに士道と二人きりなことに喜び、そんなことを言う。一緒に見て回るのがデートなのかという疑問を持ち士道はそう口にした。
「男女が一緒に出歩けばそれがデートでいいんじゃないのぉ?と言っても、士道君に会う前は一切男子と関わってなかったから知らないけどぉ」
「そんなもんか。ん?あれって狂三じゃないか?」
「あ、ほんとだぁ」
そうして、二人で歩いていると、狂三が屋上に向かって行くのが見えた。二人は顔を見合わせると、一度うんと頷いてから狂三の後を追い屋上への階段を登る。
屋上の扉を開くとそこには狂三がおり、フェンスの上に立っていた。
それを見た千花は、
「狂三ちゃん、命は散らしちゃダメだよぉ」
狂三が自殺しようとしていると思い、狂三を止めるために慌てた様子で駆け、フェンスに立っている狂三に飛びついた。
その結果、悲劇は起きた。
飛びついたまではよかったが、千花が勢いを付け過ぎたせいでフェンスが外れ、二人は屋上から姿を消した。
「ちょっ!」
士道が慌てて二人のもとに行き、地面の方に顔を覗かせる。といっても、二人とも霊装を纏えば一応宙を浮けるので、生きてはいるだろうと士道は思っていた。
「二人とも無事かー?」
「うん、無事だよぉ」
「千花さんのせいで落とされかけましたわ」
二人は屋上脇についている非常階段に飛び移っており無事だった。狂三は千花に不機嫌そうな視線を向けていた。
二人が非常階段から戻ってくると、
「で、狂三はなんであんなところにいたんだ?」
「……えぇ、街の景色を見ていただけですわ」
「本当にぃ?悲願が邪魔されたから生きる希望を失ってとかじゃない?」
「本当に景色を見ていただけですわよ。それに、死ぬつもりならこんな場所では無く、もっと人のいない場所にしますわ」
「いや、死ぬなよ!?」
狂三が不穏なことを言い、士道がそう言うと、狂三はポカーンと意外そうな顔をした。
そして、
「士道さんは怒らないのですか?わたくしが余計なことをしたせいで体調が悪化して昨日の事態を引き起こしてしまったというのに……」
そう口火を切った。士道は、ん?と首を傾げると、そう言えば<時喰みの城>をもろにくらってから記憶があいまいになったなぁと思い出す。しかし、それだってもともと士道が体調を崩していただけであって、狂三が悪いとは士道は思わなかった。
「別に狂三のせいじゃないだろ?単にタイミングが悪かっただけなんだろうし」
「ですが……士道さんのご学友を含め、多くの人を危険にさらしたのですわよ」
「それだって、狂三が自身の悲願の為だったんだろ?それに、誰一人死人は出ていないし、元から少し寿命を貰うのにとどめるつもりだったんだろ?」
「ですが……」
「それに、狂三がやろうとしていたのは自分のためじゃなくて精霊皆に魔術師たちから襲われることに怯える必要のない生活を送ってもらいたかったんだろ?まぁ、方法に問題はあったけど……」
士道にはどんな罵倒をされても受け入れる覚悟をしていたのに、一切罵倒も文句も言われず、狂三は反応に困った顔をする。
「士道さんはわたくしを許すというのですの?」
「許すも何も、狂三は悪いことなんてしてないんだから。狂三は一人で頑張りすぎたんだよ」
士道は狂三の目をまっすぐ見てそう言うと、狂三はもう何を言っても士道は狂三のことを否定しないのだとはっきりと感じ、言葉が出なくなる。そして、気持ちが揺らぎ、目から涙がこぼれる。
「く、狂三!?どうかしたのか?」
「見ないでくださいまし」
そんな狂三を見て士道は慌てるが、狂三は士道に見られるのが嫌になり、士道の身体に抱きつき、顔を士道の服にうずめる。
士道はどうしたものかと悩み、とりあえず狂三の背中をさする。
一分程背中をさすっていると、狂三は顔をうずめたまま言葉を口にする。
「ごめん、なさい。士道さん。わたくしのせいで……」
「いや、気にしなくていいよ。俺は現に無事でピンピンしてるんだから。まぁ、迷惑をかけた皆には謝った方がいいと思うけど……」
「ええ、もちろん、後でそうしますわ」
士道は狂三のことを元から恨んだりしていないが、それでもちゃんと言葉にしないと気持ちが伝わらないので、そう言葉にした。すると、狂三は士道の言葉に頷く。
「でも、わたくしのことを皆さん許してくれるでしょか?」
「あぁ、きっと許してくれるさ。皆優しいからさ」
「そうですわね」
狂三はそう言って士道の身体から離れる。その顔には憑き物がとれたかのようで晴れやかなものだった。と思ったらすぐに暗い顔をする。
「それにしても、本当は士道さんに謝ったら雲隠れするつもりでしたのに」
「え?そんなこと考えてたのか?」
「ええ、顔を会わせづらいと思ってましたから。それに、わたくしの悲願が失敗した今、もうわたくしは何をすればいいのか分からなくなりましたし」
そんな言葉を聞き、狂三の悲願を邪魔してしまった原因の士道は頬を掻く。狂三の悲願を挫いたのは真那だが、真那は士道の気持ちを汲んで狂三と戦った訳で、士道自身も無関係とはいえず、自分は無関係とは思いたく無かった。
「だったらさ、俺と一緒に精霊皆が安心して暮らせる方法を考えないか?もちろん俺だけじゃ頼りないだろうから、皆にも相談してさ」
「本当にいいのでしょうか?結局これはわたくしが勝手に思っているだけで……」
「いいんじゃないのか?それに、狂三は一人で頑張りすぎたんだよ。だから時には誰かを頼ってもいいだろ?」
士道はそう言って狂三に手を差し伸べる。これからみんなで考えればいいのだからと。
狂三は逡巡すると、士道の手を取る。
「そうですわね。これから、一から考えることにしますわ。士道さんも手伝ってくださいますか?」
そして、狂三は顔を傾けてそう問うた。士道は狂三から頼られたことにうれしく感じると、
「あぁ、俺でよければいくらでも力を貸すよ」
士道は笑み浮かべて、そう返答した。狂三は士道が全く悩むこと無く了承してくれたことに安堵する。
そして、繋いだ手を引いて士道の顔に近づけると、士道の唇にキスをした。士道の中に霊力が流れ込んだ感じがし、狂三はすぐに顔を離すと、頬を赤らめながら口に手を当てて微笑み、士道は突然のキスに茫然としていた。
(え?狂三にキスされた?でも、狂三の好感度ってそんなに高くないんじゃ?それとも、今までで何かあったのか?)
「ふふっ、士道さんの驚いてますわね。これでも、士道さんのことは好きですわよ」
「あ、うん。みたいだな」
士道はたじたじになりながらもそう返し、狂三は気持ちが軽くなったようだった。
そして、二人は横から視線を感じたのだった。二人して視線の方に同時に向くと、今まで蚊帳の外になっていた千花がジト目で二人を見ていた。
「完全に私のこと忘れて二人の世界に入ってたよねぇ。あ、うん、そうだよねぇ。私はお邪魔だよねぇ」
そう言って、千花はふてくされながら屋上を出て行こうとする。二人とも途中から完全に千花のことはが頭から抜けていた為、何を言っても言い訳にしかならないので、うまく言葉が出なかった。
「千花、ごめんて」
「千花さん、あなたにも迷惑をかけましたわね。ごめんなさい、そしてありがとうですわ」
「んー、仕方ないから、私のことを忘れていたことに関しては許してあげるよぉ」
少し間があってから二人が謝ると、千花は足を止めて逡巡した後許す。
二人は千花の機嫌が直り安堵すると、千花は士道のそばにパタパタと走ってきて、士道の顔に背伸びをして近づく。
「でもぉ――」
千花はそのまま士道の唇にキスをした。士道も狂三も千花の行動に驚いていると、千花は士道から離れ、笑みを浮かべる。
「目の前でキスしたことは別だからねぇ。いいでしょ?昨日、私が二人の相手をしてる間に皆としてたんだからぁ。これくらいあってもぉ」
千花は不満を言わせる気が無いのかそう言い、士道はまぁいいかと思うのだった。千花がエレン達の足止めをしてくれたおかげで、皆が円滑に士道を救うことが出来たわけだからと。
隣で狂三はやれやれと肩を窄めていた。
「じゃ、戻ろっかぁ。せっかくの文化祭なんだから楽しまないとねぇ」
「だな。と言っても、あと数時間でシフトだけど」
「いいじゃないですか、それまででも。それにシフト上がりにはちゃんと美九さんのライブが見られるのですから」
「と言うことで、レッツゴォ」
こうして、狂三から始まったごたごたも終わり、三人は屋上を後にするのだった。
これで、十章は終わりです。最後はバタバタと終わらせた気もしますけど・・・。
次回からは最終章(前)に入ります。もうすぐこの物語も完結しますね。
注)最終章は長いけど。エピローグが全く書けてないけど。さらに、最後の方書き直してるけど。
次回から、「前回のデート・ア・ライブ」はやめます。だんだん、面倒になってきたので。お気づきかもですけど、雑になってきてますし。
では、ノシ