デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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今回と次回はフラクシナスとか精霊とかとか、1巻の前半パートなので……。

では、どぞ


学校

ふと目を覚ますとお腹の上が重かった。

 

今日は、四月七日。

 

一周目の世界なら、十日が始業式なのだがこの世界は微妙に違っていた。

まぁ、そんなことを考えているが、そろそろ動く。

今士道の上には白いリボンの琴里が乗っかっており、ピョンピョン跳ねている。

 

「に、逃げろ、琴里。お兄ちゃんは『とりあえず、あと十分は寝ないと妹をくすぐり地獄の刑に処してしまうウイルス』略して、T‐ウイルスに感染してしまったんだ。俺の意識があるうちに……」

 

と言う感じのことを言い、士道から逃げた琴里をなだめ、二人で朝食を食べ、昼にファミレスに行く約束をする、とできるだけ一周目と同じ感じに行動してみた。

そして今、士道は来禅高校に登校し、クラスを確認して教室に着いた。

 

「とうッ!」

「げふっ」

 

そんなこんなで、教室に入ると背後から背中に平手打ちが叩き込まれた。

 

「何しやがる殿町!」

 

平手打ちの犯人はなんとなくわかったので叫ぶ。

 

「よう、セクシャルビースト五河」

 

士道の友人、殿町宏人は言い放った。

 

「この前、公園で一緒に居た少女は誰だ、ええ?」

「はっ?なんのことだよ?公園の少女って……あ」

「わかったようだな。あの少女とはどういう関係なんだ?」

 

どんどんヒートアップしていく殿町と面倒そうな顔をする士道。

 

「いや、倒れているように見えたから声をかけただけで、しかも、寝てるだけだった……」

「本当だろうなー。あっ、でも五河ならあるか」

 

だんだん、テンションが戻っていく殿町。

しかし、この後事態は悪化した。

開けたままだったドアから一人の少女が入って来る。腰近くまで伸びた茶色と一部黒色の髪に白い花のヘアピンを付け、眼鏡をかけた千花だった。

千花が士道に気付くと話しかける。

 

「おはよぉ、士道君。今年は同じクラスなんだねぇ」

「おはよう、千花。これからもよろしくな。あと、眼鏡姿も似合うな」

「いいよぉ、こんなところで褒めなくてもぉ。でも、ありがとぉ」

 

まぁ、二人でそんな話をしていたら、蚊帳の外にしていた殿町のテンションが振り切った。

 

「五河ぁ、どういうことだぁ。その子はさっきの話題にしていた少女じゃないかー」

「あぁ、ご近所さんだ」

「あ、どうもぉ。私は士道君の裏の家に住んでいる、木野千花ですぅ。えっと……」

「あ、殿町宏人だ。よろしく」

 

殿町は普通に自己紹介をする。

あれ?なんか違和感が、と感じる士道。

 

「殿町君ねぇ、これからよろしくねぇ」

「あぁ、よろしくな」

 

千花が笑顔でそう言うと、殿町も返す。

そこで気づいた。

殿町の女の子への免疫が高くなっていることに。いつもは十香たちと会話するだけでも緊張していたはずなのに。

そんなことを考えていたら、殿町が士道と千花を交互に見る。

 

「なんだ、ご近所さんだったのか。じゃ、問題ないよな……まさか付き合ってないよな?」

「あぁ、別にそんな関係ではないよ」

「うん、そんな関係ではないよぉ……まだ」

「まぁ、そうだよな。五河に関してはそこまでの度胸もないか」

 

そんな感じに返答した。本当のことを言うと面倒なので。

千花は最後に小さな声で何か言っていた気がしたが、殿町の納得する声にかぶさって聞こえなかった。

 

「おっ。そろそろ始業のチャイムも鳴りそうだな」

「俺たちも席に座るか」

「だねぇ」

 

黒板にかいてある席順を確認するとカバンを席に置いて座る。

士道の席は窓際の一番後ろの席で、その隣が千花の席だった。

といっても、二人の席の後ろには転校生とかが来たらそこに入るのか、スペースがあった。

そして、この学校には折紙はいないようだった。おそらくは、両親と一緒に暮らしているのだろう。真那の話でもASTに折紙はいなかったとのこと。

 

「まさか、五河の前になるとは……」

 

どうやら、士道の前の席が殿町の席だったらしく士道の席の前に座っていた。

 

「ほんとまさかだな。てか、何か心配になって来た。このままじゃ、腐女子の格好の的に……」

「五河も気付いたか。うまく対処していかないとな」

「大変だねぇ」

 

二人でそんな会話をして、千花が突っ伏してそう言った。

すると、教室の前のドアが開き、岡峰珠恵教諭ーー通称タマちゃんが入ってきた。同時にチャイムが鳴る。

 

「はい、皆おはよぉございます。これから一年担任を務めます、岡峰珠恵です。では、出席を取りますね」

 

そう言って、出席を取り始めた。

 

 

 

~☆~

 

 

 

それから、約三時間後。

始業式や連絡等を終え、帰り支度を整えていたら、

 

「五河、暇だったら飯いかねー?」

 

鞄を肩にかけた殿町が話しかけてきた。

ちなみに、千花はもう家に帰ったのか、この場にいない。

 

「すまん、琴里とファミレスで昼を食べることになってる」

「そうか、わかったよ」

 

そう言うと、

 

ウゥゥゥゥゥゥ――――

 

教室の窓ガラスを揺らしながら、空間震警報が鳴り響いた。

 

「おいおい……マジかよ」

 

殿町が額に汗を浮かべながら、乾いた声を発する。

一応、携帯のGPSで琴里の位置を確認すると、ファミレスで止まっていた。まずは避難する振りをして流れに乗る。殿町も含めて、比較的落ち着いて避難して行った。

 

「しまった、忘れ物をしたみたいだ。ちょっと取りに戻る」

「わかった。すぐに戻って来いよ」

「わかってる」

 

そして適当なタイミングで殿町に言って、流れから離脱する。

昇降口に着くと、

 

「遅かったねぇ。まぁ、一応怪しまれないようにしないといけないかぁ。で、行くってことだよねぇ?」

 

帰ったはずの千花と警報を聞いてこっちに来た真那がいた。

真那は結局、次の日にASTとDEMを辞めた。DEMの社長さんも快く送り出してくれたとのことだった。何か裏があるか疑いたくなるぐらいに。

士道もおかしいと思った。DEMインダストリー業務取締役、アイザック・ウェストコット。実質DEMを裏で操っている人間。そして、おそらく士道と真那の過去を知っているようで、美九の一件で一度会ったが、何を考えているかは全く分からない謎が多い男。

しかし、いくら考えても分からないということで、保留となった。

そんなことよりも今は、空間震があった場所に行くのが先決だった。

 

「あぁ、せっかくのチャンスだ。今日の朝は同じような行動をとったら記憶通りに進んだから、なるべく行動を同じにすれば<フラクシナス>に連れて行かれると思う」

「つまり、兄様は精霊とASTの戦いに巻き込まれて、気絶をすると……」

「士道君って、実はドM?さすがにそれは……」

「いや、違うから!そうだよな、どうやって行くか……」

「まぁ、逃げ遅れた一般人の振りでもすれば保護されるかもしれないよぉ」

「それしかないか。じゃぁ、行くか……って、二人も来るのか?」

 

とりあえず方針が決まり、歩きだしたら二人もついてきた。

 

「もちろん」

「もちでいやがります」

 

そんな感じでファミレスの近くに来ると、大きなクレーターがあったが、どうやら、戦闘は終わってしまったらしく、ASTすらもいなかった。

 

「あれ?誰もいない」

「どうやら、消失(ロスト)したようですね」

「うん、じゃぁ、帰ろっかぁ――」

 

すると、士道たちに突然の浮遊感があり、<フラクシナス>に転送された。

<フラクシナス>の中に送られると、そこには屈強な機関員が数人いた。

 

「なんでしょう、この人たち?」

「嫌な予感がするよぉ」

「歓迎されてない、よな?」

 

率直な感想だった。

機関員は即座に真那と千花を気絶させにきた。<フラクシナス>が回収したいのは士道だけだったので、他の人には気絶してほしかったのだろう。

しかし、真那の動きは迅速だった。

機関員が動いた時にはもう動いており、背後に回るとそのまま気絶させて、時間にして数十秒もかからずに終わった。

 

「ふぅ、こんなの随意領域を使う必要もねーですよ」

 

真那は額の汗を拭うような素振りをする。

 

「真那、強くなりすぎだろ」

「わぁ、すごい」

 

率直な感想を呟くと近くの扉が開き、誰かが入って来た。

無造作に纏められた髪に、分厚い隈に飾られた目の二十歳ぐらいの見た目の女性だった。

 

「手荒な歓迎、すまないね。一応形式上やっておかなければならなかった。二人は呼ばれていないからね。しかし、私は君たちの話は聞いているよ。初めまして、それとも久しぶりと言うべきかな?シン、真那。そして、冬休みの時振りだね、千花」

 

村雨令音。<フラクシナス>の解析官で、謎が多い女性。

そして、人間だった時に一人になった千花を拾い、育てた女性。

 

「なんで、俺たちのことを知っているんですか?」

「まぁ、それは後にして今は来てくれ。まずは彼女に会ってもらおうか」

 

そう言って、歩き出してしまう。

仕方がないから、ついて行くと令音が事務的に言う。

 

「君たちのことを知っているのは、<フラクシナス>の中だと私だけだ。だから、聞かれるまでは知らない振りでもしていてくれ」

「はぁ、まぁそうしておきます」

「了解です」

「わかったぁ。令姉」

 

すると、艦橋に入る扉の前に着く。

令音は電子パネルを操作し、扉を開ける。

 

「連れてきたよ」

 

艦橋には、何人もの人がおり、そのうちの一人、金髪の長身の男が振り返る。

 

「ご苦労様です。そして、初めまして。私はここの副指令、神無月恭平と申します。以後お見知りおきを」

「は、はぁ」

「司令、村雨解析官が戻りました」

「歓迎するわ。ようこそ、<ラタトスク>へ。って、その二人は誰?」

 

神無月がそう言うと、艦長席が回転する。

深紅の軍服を肩掛けにし、黒いリボンで髪を括った琴里は二人に気付くと聞いた。

 

「あ、私は木野千花だよぉ」

「私は崇宮真那です」

「あ、五河琴里です。って違ぁう、なんで部外者がいるのよ、令音。たしか、転送室に機関員を配置したわよね?」

「あぁ、確かにいたよ。しかし、私が着いた時には寝ていたよ」

 

本当に琴里たちは一周目のこと知らないらしかった。

 

「士道、これはどういうこと?」

「ん?呼び捨てか?俺は琴里の携帯のGPSがファミレスを差していたから探しに来たんだが?」

「え、あぁ、本当だ」

 

琴里は携帯を確認して、気づいた。

 

「って、なんで、外にいるのよ。死にたいの?」

「うわぁ、本当に士道君の妹なのぉ?なんか怖いねぇ」

「そうですね。無事だったのですから。もっと優しく言えねぇのでしょうか?」

 

この世界での琴里を見た二人の評価は厳しかった。

 

「で、あなたたちは何者なの?」

 

琴里が二人に質問をしたので、令音に目配せする。

令音は「もう言っていいよ」とでも言うような目をしていた。と言っても、いつも通り眠そうな目なのだが。

 

「私は識別名<ガーデン>で呼ばれている精霊だよぉ」

「私は元DEMの魔術師で、今は千花さんの家に住んでいます」

「霊力を持った特異体質の人間です」

 

なんとなく二人に便乗して士道も言ってみた。

 

『え?』

 

琴里を含めて、ここにいた令音以外の機関員も驚いていた。

だから、士道が代表して言った。

 

「だから、精霊とかASTとかのことはある程度は知っている」

「……そう。なら話は早いわね。ここは<ラタトスク>機関が所有する空中艦<フラクシナス>。<ラタトスク>機関は精霊との対話によって精霊を殺さずに空間震を解決するために結成された組織よASTみたいに武力で解決しようとしても勝てないのよ」

「なんで、そんなことを私たちに言うんですか?そちらでやればいいじゃねぇですか」

「それはね、あなたたちも気付いている通り、士道には精霊の霊力を封印する力があるからよ」

「あぁ、それは知っているよぉ。現に私の霊力は士道君の中だしねぇ」

「だから、私たちは士道の精霊攻略を手伝うわ」

「確かに、精霊を救いたいと俺たちは思っているな……」

 

(うん、ここまでの話は一応予定通りだな、だがここからだ)

 

「そう、なら成立……」

「だがその前に、なんで<ラタトスク>はそんなことをするんだ?はっきり言って精霊を救うメリットがないだろ?いや、こう聞こうか?霊力を封印した精霊と俺で何をする気だ?」

「……ッ」

 

琴里は言葉を詰まらせる。

一周目の世界でははぐらかされ続けた質問だった。

 

「それは、今は言えないわ。でも、私たち<フラクシナス>のクルーと<ラタトスク>の創設者ウッドマン卿が、精霊を救いたいと思っているのは本当よ」

「そう、か」

「一枚岩でねぇようですし、目的が不明な状態じゃ<ラタトスク>には協力できねぇですね」

「うん。そうだよねぇ」

 

二人も同意する。

 

「そう……」

 

琴里は断られたと思い、暗い顔をする。

士道は、事前に二人と話していた展開になったので言う。

 

「俺たちの答えは、精霊たちを救うために動く。あと、琴里の言葉は信じるから俺たちは<フラクシナス>とだけ協力したい。<フラクシナス>の人たちは信用できるんだろ?だから<ラタトスク>、いやそのウッドマンって人以外には俺たちの情報は極力言わないでくれ。それなら、協力はする」

 

士道の言葉を聞き、琴里を含めてキョトンとするが、琴里はすぐに切り替える。

 

「……え?えぇ、わかったわ。私もあの人たちはあまり信用していないから、協力を結べたことだけ伝えて、それ以外は言わないわ。ある意味、士道たちは切り札でもあるし」

 

琴里は少し考えてから、賛同してくれた。

その後、<フラクシナス>や精霊の話をして、

 

「とりあえず、他の精霊に一回会って見ないといけないか。じゃぁ、俺たちは帰るな」

「わかったわ、令音。お願いね」

「あぁ、わかった。ついてきたまえ」

 

そう言って、令音について行く。

そこで、琴里に言うことがあったのを思い出し言った。

 

「琴里、これからもいつも通りでいいからな。あと、夕飯の時間にはちゃんと戻って来いよ」

「えぇ、わかっているわ」

 

そう琴里に言って艦橋から出る。琴里たちに一周目のことは言うつもりはなかった。混乱させるだけだろうし。

転送室に着くと、令音が聞いた。

 

「本当によかったのかい?」

「はい。情報を意図的に隠されているのは危険を伴うので。DEMの件ではっきり感じました」

「そうかい。まぁ、<フラクシナス>は全面的にバックアップするよ」

「わかったよぉ。で、令姉は今日帰ってくるのぉ?」

「すまないね。私はまだ仕事が残っているから、家に戻れない。だから、それまでは彼女に色々聞いてくれ」

「え、それって誰ですか?」

 

そう言っている間に令音は転送装置を起動させ、三人を地上に戻してしまった。

地上に着くと、目の前には千花の家があった。

 

「結局、令音さんの言う彼女って誰なんでしょう?」

「さぁ、わかんない?とりあえず私の家に入らない?」

「そうだな……ん?」

 

千花の家に入ろうとすると、ポケットに入れていた携帯が振動した。

殿町あたりからメールだろうか?なんてことを考えて画面を見ると、

 

『お久しぶりですね――』

 

画面には、黒いカチューシャで飾られた色素の薄い髪の少女がいた。画面の少女は微笑むと続く言葉を紡ぐ。

 

『――あなたの鞠亜です!』




一応、次回出したら二章に入る予定です。
日常回を唐突に思い付かなければ・・・・・・。

14巻一気に読みましたが、続きが気になりますね。
ここから、どうなるのやら?

あ、一応、パラレルIFに六喰が出るとしたら最後の方になると思いますので。出せるかわかんないですが。

あと、もしかしたら、今週中にもう1話出すかもしれません。もしかしたらですので。

では、そんな感じで。
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