あいつが幸せになれば良いと...。
俺はただただあいつの幸せを願い嘘をつく。
「世界はこんなにも美しい...だったけな?どっかの誰かの格言は」
俺は大学の屋上でベンチに座り忌々しいぐらいに綺麗な青空を見上げながらポツリと呟いた。俺の回りは昼時ということもあってすぐ近くにいないにしろ回りには弁当を抱えた学生たちが思い思いの場所で昼食を取っている。
「今日もか...」
ベンチで昼食用に買ってきたサンドイッチとコーヒーを飲み食いしながら屋上の一角に集まっている三人で集まっている女子達を眺める。その面子はアクセサリーを着けて少しだけ着飾っている女子二人に眼鏡をかけて髪がセミロングの女子一人という組み合わせの三人組だ。端から見れば仲良さそうに見えるのだが良く観察してみれば違うことが分かる。片一方の派手な女が飲み物を欲しがればセミロングの子が直ぐに買いにいったりもう一人が昼御飯が少し足りないと言えばまたセミロングの女の子が直ぐに買いに行く。
「アイツも大学に来るなら服とかにもっと気を使っておしゃれしたらいいのに...俺だって気を使ってイメチェンしたのに...」
その風景を眺めながら俺はまた独り言を呟く。俺とセミロングの女の子、篠山 マコは幼馴染みでお互いに中高生の頃は互いに私服も地味で図書館でお互いに本ばかり読んでいた。そんな生活をしていた俺は周囲にバカにされるのが嫌で大学に進学するのと同時に髪を切ったりファッション雑誌を読んで勉強して少しだけお洒落をするようになった。それがあいつと離れるようになるとはな...。気がつくの自体が遅かった。俺がマコの事を好きなことに気がつくのが...。マコは髪を少し切ったりして整える位で大学に進学しても対して変わることはなかった。
「はぁ...」
俺は顔自体は悪くなかったらしく服を変えたり髪を切ったりすると直ぐに友達もできて女子もそれなりに話しかけてくれるようになった。
一方、マコは中高時代と変わらず大人しい色の服を着て講堂の隅で本ばかり読んでいたからかさっきからずっとマコと一緒にいる派手な女の子達に目をつけられ先程から見えるように手下の様に扱われている。一回は俺もマコに話しかけようとしたが止めた。何故かと言うと大学に進学して出来た知り合いの高校時代の話を聞いたからだ。話によるとそいつが言うには、そいつはかなりのイケメンで高校の時から人気があった。そいつがある日気まぐれにとある地味な女の子に話し掛けて少しだけ話した。その時はなにも問題は無かったのだがその日の夕方、そいつが体育館の裏を通りかかると学校でそいつが仲がいい女の子三人が気まぐれに話しかけた女の子を囲んで暴行をしたり罵倒したりしていたらしい。そいつは『女って怖いわ~』なんて苦笑いをしていたがその話を聞いていた俺はマコが俺から遠くなったのを感じていた。もしも俺のせいであいつがそんな目に遭ったら...そう思うだけで怖くなった。なぜなら、そいつ曰く女の子と話したのはたったの二.三言話しただけらしくしかも『元気?』見たいな他愛ない会話をしただけでも地味な女の子は痛め付けられたたしい。それから俺はマコとはなにも関係無いように振る舞って過ごしている。
「よう、シュンお前はまた昼はサンドイッチとコーヒーなのか?」
「一ついるか?」
昔の事を思い出しているととある知り合いの男が横に座ってきたので手に持っていたサンドイッチが入った入れ物をそいつに差し出すとそいつは嬉しそうにトマトと、ハムのサンドイッチを取って頬張った。
こいつはさっきから話に出てきている知り合いのコウ。さっきの体育館裏であった話はこいつから聞いたものだ。
「お前はまたマコちゃんを見ているのか?しょっちゅう見ているしお前ほんとはマコちゃんが好きだろ?シュン?」
コウはそういいながらマコ達を指差してそう言ってくるが俺は首を横に振る。確かに俺はあいつが好きだがもしもそれを言って茶化されたりあいつが虐めなどを受けたら嫌なので俺は今日も嘘を付く。
「いや。俺はあいつが嫌いだよ」
いつかあいつが幸せになれることを信じて俺は今日も嘘を付く...。たとえ将来あいつのそばにいれなくてもあいつが笑ってられる未来を信じて。