幻想郷の外来人   作:写楽―しゃらく―

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お久しぶりです。
約半年振りの小説投稿という事で、まぁゆっくりやっていきたいと思います。
失踪はしないと思いますが、気長にお待ち下さい。


序章「なんやかんやで幻想郷」

 

俺は神を信じてる。

俺の人生は、多分人より残酷だ。

誰からも愛されず、誰からも求められない。そんな人生を歩んできた。

20そこいらの若造ではあるが、しかしそれでも、俺は確かにそう思っている。

神は居て、きっとこの世の上から俺を嘲笑っているに違いない、と。

だけど、例え信じていたとしても、俺は神様のことを見ることは出来ない。

だから、別になんとも思っていない。

そう、なんとも…………。

なんとも…………。

 

「あははははははは!アナタ美味しそうな匂いがするのだー!」

「女の子がそんなこと言うんじゃありません!はしたないですよ!!」

 

例えこんな状況だろうとも、俺はなんとも思っちゃいないよ?

例え人外の存在に食われかけていたとしても、なんとも…………。

 

「待て待てー!美味しそうな人間ー!」

「ああちくしょう!さすがにこれは恨むぞ神様!!」

 

さっきまでの発言取り消すわ。

いくら聖人君子だろうとこの状況は無理だよ!

なんで俺見た目少女の化け物に追いかけ回されて食われかけてんの!?

それだけで神様恨むわちくしょうめ!

 

て言うか、なんで俺ここにいるんだっけ?

て言うか、俺って一体誰?

ここはどこ?私は誰?

そんな混乱しきった思考を抱えながら、俺は思い出す。

俺がここへ――幻想郷へとやって来た、その経緯を。

 

 

 

 

 

 

1991年8月10日。俺は東京都のとある郊外にて生を授かった。

この出だしから見て分かる通り、俺は元々は現代に住まう普通の人間だったんだ。

しかし、現代に生まれたとしても、俗に言う「特別な力」を持って生まれる奴ってのは居るらしくて、俺もその1人だった。

主に不幸になる系列の。

両親は俺が生まれて1年で事故で他界。その後は親戚の元をたらい回しってやつ。よくあるだろ?まだ平凡だよね?そうだと言ってくれ。

 

小学校を卒業するまでは転校の連続だったから、友達なんて出来やしねえ。俺はいつも1人で飯を食ってた。朝も昼も夜も。

中学に入ると、転校こそしなくなったが、俺の持つ「特別な力」のせいで、「疫病神」なんてあだ名を付けられて、苛められこそしなかったが、友達なんて居なかった。

 

 

…………いや、1人いたかな?名前は忘れた。確か、学校も違うし、そもそも住んでいる地区も違ったはず。

偶然にも俺の住んでいた地域の近くに訪れた女の子ぐらいしか、友達と呼べる人間は居なかった。

それもそうだ。俺の周りではいつも「不幸」が起きる。

俺のことを苛めようとした奴は、「偶然にも」トラックにはねられて一生車椅子になったし。昔からずっとそんなことが続いていた。だから親戚の間をたらい回しになっていたんだけど。

だから別に、親戚の人たちも恨んじゃいないし、苛めようとした奴にも悪いと思っている。

だけど、どうしようもないことってのはあるもんで、しょうがないと割り切っていたのも事実だった。

だから、どっちかって言うと、「友達が出来ない」じゃなくて、「友達なんていらない」が正しかったのかな。それも、今となってはどうでもいいが。

その女の子がその後「不幸」に見舞われたかどうかも、俺には分からない。

 

さて、そんなこんなで、高校まで無事に卒業した俺は、進学も就職もせず、ただひたすらに働いた。

理由は、どこか遠くで暮らしたかったから。

俺のことを誰も知らない所に行きたかった。

そうすれば、俺の見知らぬ人間が不幸に見舞われても、俺の心に付く傷は少しで済んだから。

 

がむしゃらに働いて、ある程度纏まった金が貯まった頃、俺は旅に出た。

とりあえず軽く日本一週でもするか、っていう感じに。軽いノリで。

資金は潤沢にあったけど、それでも質素に、だけど楽しく旅をしていたよ。

色んな人にあったし、色んな人の「不幸」を目撃した。

そこでやっと気付いたんだ。

見知らぬ人間でも、俺のせいで「不幸」になれば、俺はその度に心が鑢で削られていくような感じがするんだ。

夢がある人、家族がいる人。恋人にプロポーズするために指輪を買った人、片親でも必死になって子供を育てている人…………。沢山の人々が「不幸」になった。

次第に楽しく思えた旅も、無駄なように思えてきた。

 

1年か2年か、それくらい旅を続けた所で、俺はとある場所に行き着いた。

そこは廃れた神社。誰も、そして神様も居なかった。

しかし、なんだろうか。どこかこの神社に、俺と同じような雰囲気を感じたんだ。

この世の誰からも必要とされていない。そんな感じ。

誰からも忘れ去られ、誰からも見捨てられて、誰からも顧みられない。そんな物悲しい雰囲気を。

だからなのかどうかは分からんが、俺はいつの間にか賽銭箱に金を入れていた。

神様が居ても居なくても、別にどっちでも構わなかった。

ただ俺の願いを、聞いて欲しかった。

叶えてくれなくてもいい。

聞き入れてくれなくてもいい。

ただただ、一言、俺は口に出して願ったのだ。

 

「俺を、誰も知らない場所へ連れてってください」

 

神社での作法なんざよく知らない。適当な参拝だったかも知れない。

それでも俺は、願ったんだ。

この神社に居たであろう神様に。

そして、再び目を開けると。

そこに先程の神社はなかった。

 

目を開けたら、神社が新築になっていた。

 

「…………」

 

思わず絶句してしまったよね。まぁ突然目の前で何の前触れも無くそんなことが起きたら、人間ならば誰しもこうなると思う。知ってる?人間ってあまりに突拍子もない出来事に見舞われると頭真っ白になるんだぜ?

まぁ俺も今現在知った訳なんだけど。

 

「…………うぉぉ」

 

しばらく呆然としていても、出てくるのはせいぜいこのぐらいのちっさいうめき声程度なんだよ。ほんとほんと。

とまぁ、しばらく頭が真っ白になったあと、当然ながら状況の整理に移る。

 

「えーっと?確か俺、近畿地方の山奥の廃れた神社でお参りしてたんだよ。うん。そんで柏手打って目を閉じて、開けたらこんな状況になってたと。いや、分からねえ」

 

辺りを見回すと、俺の乗ってきた単車もなかった。くそう、あのバイク気に入ってたんだけどなぁ…………!

しかし、これは一体どういうことなのだろうか?

目を開けたらそこは不思議な世界でした、ってオチ?ははは、ジ◯リも真っ青だな。

まぁ俺は所詮は一般人。ナ◯シカやア◯タカみたいな主人公性なんて持ち合わせてない。

 

「腕に呪い受けたり、グライダー乗って空飛べる訳でも…………ん?」

 

不意に空を見上げた俺は、そこで可笑しなものを目にする。

 

「…………」

 

――人だった。

人が、空を飛んでいた。

 

「ははっ。とうとう頭までおかしくなったか。俺よ」

 

ごしごしと目を擦り、さぁ再び空を見上げると―

 

「~~~~ぁぁぁぁぁああああああ!」

 

女性が降ってきた。

なんぞこれ!?あり得ない!

しかし、何故か咄嗟に体が動いてしまった。

その女性を受け止める為に、俺はその落下地点へと駆け出していた。

 

「間っ、にっ、合っえええええええええ!!」

 

バッ、と前に飛び、そのまま女性を受け止めようとして―

 

「ぶっ!?」

 

盛大にこけた。

何故ならその女性が、何もない空中で突然急停止したからだ。

手に持った箒を起点に、キキィッ!と、車がブレーキを踏むように、僅かな慣性の法則に従ってブレはしたものの、しかし確かに空中で静止していた。

そのせいで俺のかっこよく女性をキャッチして己に酔うと言う計画が台無しになってしまった。そんな計画は俺自身ですら初耳だが。

 

「ひゃ~~。危ない危ない…………。ん?誰なんだぜ??」

「そりゃこっちのセリフだ…………」

「魔理沙、どうかしたの?」

 

そこで俺は出会ったんだ。

赤い巫女装束に身を包んだ女性に。

その名を、博麗霊夢。

俺の人生を変えた人との、ある種、運命の出逢いだった。

 




最初は軽くジャブってみる。
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