幻想郷の外来人   作:写楽―しゃらく―

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本当にすまないという
気持ちで…
胸がいっぱいなら…!
どこであれ
土下座ができる…!
たとえそれが…
   __
   /ヘヘ)
 _/Y口口L
`/ |ヽ二ノ∧
||ヽ></||
/\\ V / /
L=ヒニ)==ヒニ)=
|∥| | ∥
|∥二二二∥
| \ / /
|∬∥ニ∥ ∫
|\三三三∬三\
|\\∬三三三三\∫
O\\\三三三∬三\
  \\L炎炎炎炎炎|
   \L工工工工工|
    O」    O」

肉焦がし… 骨焼く…
鉄板の上でもっ……!


第六話「楽な仕事なんてないんだから覚悟を決めろ」

「いつかきっと夢が叶うとしたら、貴方は何を夢見るかしら?」

 

そこまで広くはないリビングの中は、何となく優しい花の香りが漂っていた。テーブルの上にさりげなく飾られた物だと分かる。リビングに整然と置かれた家具たちの上には様々な人形が置かれ、こちらを見つめて微笑んでいるものもあれば、どこか虚ろな瞳を向ける眼差しもある。

…………昔から人形は苦手だ。生き物ではないその瞳を見ていると、いつか自分の体を乗っ取ってしまうのではないのだろうか、と言う幼稚な恐怖感が込み上げてくる。子供がクローゼットの扉の隙間を恐れるのと同じ心理を、俺はいつからだったか抱いていた。

別に何があった、と言う訳ではない。ただ単に『そう思っている』だけだ。人形は何も悪くはない。

 

「夢、ですか?」

 

彼女――アリス・マーガトロイドの質問に、俺は少しだけ考えてしまう。

俺の夢は、『誰も不幸にしないこと』。

しかし、それは先日紅魔館でレミリアさんにきっぱりと否定されたところだ。

その程度で心が折れたなどとは言わないが、しかしそれでも、俺自身の考え方を改めて『考え』させられたのは確かだ。迷いが生じてしまうと、人は動けなくなってしまう。現に俺も、アリスの質問に答えられずにいた。

 

「……夢はないのかしら?貴方」

「いや……」

 

夢、と言うよりかは、願いに近い。希望とも言えるだろう。観測すら出来ない希望など、絶望に他ならないのだが。

 

「…………」

 

どうやらアリスはあまり自分から喋るタイプではないらしく、俺の答えをただただ待っていた。顔を凝視するのは失礼だから、あまり見てはいないのだが、しかし初めて顔を合わせてみた俺の私見としては、絶世の美女、と言うのが専らの感想だった。

整い過ぎた顔。絹のような輝きを放つ金色の髪。白磁のように真っ白な肌。バランスの良すぎるスタイル。硝子細工のような青い瞳。どれをとっても完璧と言わざるを得ない容姿だった。

が、何故だか魅力を感じない。

先日見たレミリア(大人ver)の方が俺には魅力的に見えた。

体のどのパーツも完璧なのだが、完璧過ぎて『現実味がない』と言う感じだ。テレビ――いや、絵本の中の登場人物を直に眺めているような感覚。

はっきり言って、少しだけ不気味だった。

人に似せて作られた人形が魂を持って、人の真似事をしているかのようで。

アリスのあまり変わらない表情も、その考えに拍車をかけている。

 

 

「俺の、夢…………」

「……はぁ」

 

中々答えを出せずにいる俺に、アリスは嘆息する。

 

「まぁ、いきなり夢と聞かれても、しっくり来ないと言うのは分かるけれどね。でも、この幻想郷では夢は結構叶うものなのよ?」

「そうなんですか?」

「えぇ、そうよ。なんたって、忘れられたとは言え、神様だって、幻想郷には住んでいるのだし」

 

あぁ、なるほど。そりゃそうだ。

 

「たしかに、神様がたくさんいるのなら、願い事の一つや二つ、叶うかも知れないですね」

「ええ。だからまぁ、頑張ってね」

「……ありがとうございます」

 

なんだろう。無表情な鉄面皮ではあるけれど、悪い人ではないのかもしれない、

とそうそう思い始めていた。

 

「さて、それじゃあぼちぼち、仕事を頼もうかしらね」

「あぁ。そういえばそうでしたね」

 

そうだった。確か俺はここに仕事をしに来たのだった。忘れかけていた。

 

「えぇそうよ。じゃあまず……取り敢えず服を脱いでくれるかしら」

「ははは。すみません。わかりまし――えっ?」

 

彼女は今なんと言ったのだろうか。俺にははっきり聞こえなかったんだが…。

 

「今、なんと?」

「聞こえなかったのかしら?服を脱いでくれるかしら?と言ったのだけれど」

「……何ゆえ?」

「……魔理沙ったら……、ちゃんと説明していなかったようね」

 

なんだろう…すごく嫌な予感がするんだが……。

 

()()()()()()()()()()()()()調()()()()から、(つて)があったら紹介して、と魔理沙には説明していたのだけれど?」

「これにて失礼いたします!」

 

お疲れっしたぁ!と勢いよく扉に向かう俺。

シャンハーイ、と立ち塞がる立ち塞がる人形。

背後から近づいてくるアリス(美女)

あぁ、バイバイ俺の童○…。こんなエロ同人みたいな展開で散るとは情けない。

俺は少し瞬順したのち、アリスに向かって静かに言った。

 

「優しくしてください」

「私はいつでも優しいわ」

 

いつもこんなことしてんの!?

 

 

 

 

「……」

「はい、お昼どうぞ」

「……ありがとう」

「……何をそんなに落ち込んでいるのかしら」

「あなたには分からんでしょう。恐らく一生」

 

べ、別に期待なんかしてないぞ!?エロ同人みたいな展開なんて期待してないんだから!

と、言うのは嘘である。いや、あんな言い方されたらそういうの期待しちゃうじゃんよ。しょうがなくね?

 

「まさか人形作りのための採寸だけだとは……」

 

そう。アリスが俺に頼みたかった事とは、男性タイプの人形作りの為に必要データを取る為だった。

全身真っ裸にされ、息子(我が子)のサイズまで計られたのはいやそれどんな羞恥プレイですかと言いたくなった。

 

「勝手に期待して落ち込んだのは貴方よ」

「うるさい。て言うか読むな」

「貴方結構顔に出てるわよ?」

「そマ?」

 

だからあんなにも読心タイプが多かったのか……。

 

「まぁ。それに――」

 

少食なのか。アリスは既に昼食を食べ終え、紅茶を飲んでいた。

飲みながら、一言。

 

「私は一般的なサイズは知らないけど、自信持っていいんじゃない?」

「うるさい」

 

全俺が泣いた。

 

 

「さて、と……」

 

青年を帰して、私は一息付ける。

しかし、なぜ私はいきなりあの青年の採寸をしようと思ったのだろう。

男の裸を見ること自体は初めてではない。心を持たない亡骸などは何度も見て観察していた。

しかし、生きている、それも若い人間の男性となると、経験がなかった。

興味はあった。しかし、人里でそんな事を触れ回っていたら、なにかしらと噂が立つのも明白だったので今まで機会を得ることが出来なかった。

 

「あれが男の人……」

 

感情の抑揚がそこまでないと、自分自身でも思ってはいるが、しかし、何故だろう。私は今、少し動悸が強くなっていた。

 

「なんなのかしら、この感覚は」

 

喜怒哀楽などは、僅かだが感じたことはある。これでも永い時を生きている自負もある。

しかし、今のこの感情が何なのかだけは、全く理解出来ない。

 

「なんだと思う?シャンハイ」

 

独り言である。人形には意思はない。この子(シャンハイ)もそれは変わらない。

 

「シャンハーイ?」

「……まぁ、そうよね」

 

物言わぬ人形に聞いたとて、それはただの自問自答。意味はない。

 

私の目標の為にも、彼の観察は必要なのかもしれないわね、と、ティーカップに手を伸ばすが、しかし、いつの間にか中身は空になっていた。

虚しく窪むカップの中身は、私の心のようだった。

 

「また、お願いしようかしら」

 

次が楽しみに感じると言うことは、私はきっと期待しているのかもしれない。

 




永らくお待たせいたしました。
本当に申し訳ない。
いやね、色々あったのですよ。
大人の事情から大人の事情まで。



まぁ一番悪いの僕なんですが。
またそのうち投稿いたしますので、お待ち下さい。

アリスフラグはありません。悪しからず。
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