ISのファフナー Siegfried and Brunhild   作:アルカンシェル

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18 紅椿ーほうきー

 

 

 合宿の二日目。

 今日は丸一日ISの各種装備試験運用とデータ取りだった。

 一夏は専用機があっても使用禁止のため雑用が割り当てられていたのだが、何故か専用機持ち、それと箒がいる集団と一緒に集められた。

 

「さて、専用機持ちは集まったな」

 

「ちょっと待ってください。箒は専用機を持ってないでしょう? それに――」

 

 千冬の言葉に鈴が疑問を挟み、そして一夏を見る。

 

「そ、それは……」

 

「私から説明しよう。実はだな――」

 

「やっほーーっ!」

 

 何処からか響いた声に千冬は顔をしかめて言葉を止めた。

 砂煙を上げて、崖を疾走する人影。

 

「ちーちゃーんー!」

 

 その人影、篠ノ之束は大きな跳躍をして千冬に飛びかかる。

 

「やあやあ! 会いたかったよ、ちーちゃん! さあ、ハグハグしよう! 愛を確かめ――」

 

 飛びかかってきた束を千冬は片手で顔面を掴んで受け止める。

 

「うるさいぞ、束」

 

「相変わらず容赦のないアイアンクローだねっ」

 

 千冬の手から抜け出した束は頭を抱え身を小さくして隠れる箒を覗き込んだ。

 

「やあ!」

 

「……どうも」

 

「えへへ、こないだぶりだね箒ちゃん」

 

「いっくんにかんちゃんに金髪は昨日ぶりー!」

 

「どうも」

 

 箒と同じことを言って一夏は頭を下げる。

 

「おい、束。自己紹介くらいしろ」

 

「はーい」

 

 素直な返事をする束に一夏は軽く驚きを感じた。

 

「私が天才の束さんだよ、はろー。終わり」

 

 簡潔な自己紹介に、呆気に取られていた一同はやっと目の前の人物がISの開発者にして天才科学者・篠ノ之束だと気付く。

 

「それで、頼んでおいたものは……?」

 

 ためらいがちに箒が尋ねると、束は目を光らせる。

 

「それはすでに準備済みだよ。さあ、大空をご覧あれ!」

 

 束が直上を指差して、一夏は空を見上げる。

 するとそれは激しい衝撃を伴って落ちてきた。

 銀色の金属の塊は次の瞬間、量子格納され中から真紅のISが現れる。

 

「じゃじゃーん! これぞ箒ちゃん専用機こと『紅椿』! 全スペックが現行ISを上回る束さんお手製ISだよ!

 なんたって紅椿は天才束さんが作った第五世代型ISなんだよ」

 

「第五世代……?」

 

「各国でようやく第三世代型の試験機ができた段階なのに、第四世代を飛び越えて第五世代……」

 

「そこはまあ、天才束さんだから、って言いたいけど今回はかんちゃんの協力があったからなんだよね」

 

「そういえば昨日もそう呼んでたけど、かんちゃんってもしかして簪のことか?」

 

 みんなの視線が簪に集中する。

 

「そうだよ。その子のISをファフナーにしたのは知っているでしょ?

 それで芽生えた力はなんと『未来観測』だったんだ。かんちゃんが作ったワームスフィアーに飲まれたと思ったら一年後の私になっててすっごく驚いたよ」

 

 楽しそうに語る束に誰もが唖然としてしまう。

 

「本当なのか、簪?」

 

「うん。気付いたらファフナーに作り変えたはずなのに完成した打鉄弐式に乗ってたの」

 

「でも、できるのは観測だけで身体はその時代の私達がそれぞれ動かしていたんだよね。

 私達ができたのは私達が見ているものを一緒に見ることと、それまでの私たちの記憶を振り返ることしかできなかったんだ。

 でもでも、束さん未来旅行なんて初体験だったよ。すごいよねー!」

 

「ということはその紅椿には未来の技術が使われているってことですの?」

 

 上機嫌な束はセシリアの質問に嫌な顔をしないで答える。

 

「それはちょっと違うかな。この天才束さんが例え自分でも人の真似をするわけないじゃないか」

 

 束は説明をしながら箒を促してフィッティングとパーソナライズを始める。

 手を動かしながら、口ではそのまま説明を続けていく。

 

「元々紅椿は第四世代型として作ったんだけど、そこに単一仕様能力を二つ使えるようにコアを二つ搭載してみました」

 

「コアが二つ!? でもそれってシステム的に不可能だって言われていたはずじゃ?」

 

「おっと束さんが過去の自分にいつまでも負けてられないよ。

 それと機体性能と単一仕様能力を増幅して、負担を少なく使うための増幅機も組み込んでみたの、これが第五世代型の機能だね」

 

「第四世代型をベースにコアが二つ……しかも単一仕様能力を前提とした第五世代型。オーバースペックもいいところよ、最強過ぎじゃない」

 

「うん。ISの中ではね」

 

「その言い方だとそれ以上の力をミールが持っていたのか?」

 

「もうあれはISの域を超えていたね。超高熱の火炎とか大嵐を操ったり絶対零度の冷気とか、エネルギーなんて空気中の物質を同化してほぼ無限の永久機関。

 特に白と紫のファフナーのコンビはやばかったな。暮桜に乗ったちーちゃんと束さんのツインドックで互角ってチート過ぎだよ」

 

「いったいどんな未来を見てきたんですか?」

 

 千冬と束のコンビと互角のコンビなど想像もできない。

 一夏の問いにそれまで饒舌だった束は黙り込む。

 

「簪……?」

 

 質問の先を簪に変えると、彼女は一夏から目を逸らした。

 

「いっくん。かんちゃんが言ったでしょ? かんちゃんはファフナーじゃなくて打鉄弐式に乗っていたって」

 

「ええ……」

 

「つまり、私達が見てきた未来はかんちゃんが打鉄弐式を完成させた世界。

 かんちゃんがファフナーに乗らなかったんだから、当然未来からの情報は得られてないから新しいいっくんの薬は作れなかったんだよ」

 

「それってまさか……」

 

「そうだよ。いっくんがいなくなる未来だよ」

 

 

 

 

 

 

「はい。フィッティング終了。ちょー早いね、さすが私!

 んじゃ、試運転もかねて飛んでみてよ。箒ちゃんのイメージ通りに動くはずだよ」

 

「ええ。それでは試してみます」

 

 箒は一度まぶたを閉じて意識を集中させる。

 次の瞬間に紅椿はもの凄い速度で飛翔した。

 

「こんなにも違うのか?」

 

 訓練で乗り回していた打鉄とはまるで違った。

 一つの挙動にまったく遅延がなく、それぞれのパーツの重さも感じない。

 まるで生身を動かしているような感覚だった。

 紅椿と比べると打鉄がただの重りにしか思えなかった。

 

「どうどう? 箒ちゃんが思った以上に動くでしょ?」

 

「え、ええ、まぁ……」

 

「じゃあ刀使ってみてよー。右のが『雨月』で左のが『空裂』ね。武器特性のデータを送るよん」

 

 言われるがまま、腰の日本刀型のブレードを装備する。

 雨月の刺突に合わせて撃ち出される赤いレーザーが雲を穿つ。

 空裂の帯状の攻性エネルギーが束が呼び出した十六連装ミサイルの一斉射撃を薙ぎ払う。

 

「うんうん。いいねいいね。それじゃあ次はこれを使ってね」

 

 そう言って束は空中投影されたキーボードを操作する。

 箒の手から雨月と空裂が消え、代わりにそれらとは違ってやや幅のある武骨なブレードが呼び出される。

 

「これは……?」

 

「それを使って、こいつを倒してね」

 

 現れたのは珍しくもなくなってきた全身装甲型のISだった。

 深い灰色をしたISの手は異常に長い。肩と首が一体化しているような形をしている。

 

「遠隔操作型のゴーレムだから遠慮なく壊していいから」

 

「……いくぞ、紅椿」

 

 箒は紅椿を加速させ、ブレードを両手に構えて振り下ろす。

 しかし、ブレードはゴーレムの目の前に展開されたバリアーに弾かれる。

 

「そのゴーレムには超強力なヴェルシールドが搭載されてるから通常攻撃はほとんど効かないよ」

 

 反撃に肩のビーム砲が連射される。

 箒は必要以上の加速でゴーレムから必要以上の距離を取ってしまう。

 咄嗟の力加減がうまく行かないことに舌打ちをして、箒は抗議の声を上げる。

 

「そんな相手にどう戦えと言うんですか!?」

 

「大丈夫。箒ちゃんの手の中にあるのはそのための武器だから」

 

 送られた武器情報、その名前を見て箒は思わず振り返って千冬を見た。

 

「雪片弐型……まさか……」

 

「そう! そのブレードはちーちゃんが暮桜で使ってた武器だよ。もちろん単一仕様能力も使用可能!」

 

 本来同一の単一使用能力などあるはずがないのだが、姉のすることに不可能を前提に考えることはあまり意味はない。

 

「姉さん……私にこれは――」

 

 自分が織斑千冬と同じ武器を使うなど、恐れ多いと箒は遠慮を口にしようとする。

 

「それで単一仕様能力を使ってね。増幅機がうまく作動してくれたらファフナーに組み込むから」

 

「ファフナーに?」

 

「箒ちゃんには悪いけど増幅機の動作テストでもあるんだ。これを組み込めば同化現象の負担がぐっと減らせるはずなんだよ」

 

「篠ノ之やれ!」

 

「はい!」

 

 束の説明に、千冬が箒をけしかけ、それに応える。

 乱射されるビームとそれに混ざるように撃ち出される高出力のビーム。

 それらを掻い潜り、再度雪片を振る。

 しかし、再びヴェルシールドによって防がれる。

 

「くっ……もう一度だっ!」

 

 その間合いのまま、再び雪片を振るがゴーレムはその大きな体躯に似合わない俊敏な動きで箒の斬撃を回避した。

 そして、そのまま流れるような動作で拳と蹴りを繰り出して箒を突き飛ばす。

 距離が開いたところに、弾幕が張られる。

 

「くっ……何でっ!」

 

「ただのカカシじゃ単一仕様能力を発動される域の集中はできないからね。当然反撃もするし回避もするよ」

 

 それからは何度も同じ動作の繰り返しだった。

 刃を当てるための無理な特攻。

 弾かれ、時に避けられ、反撃を受ける。

 

「何をしている篠ノ之」

 

 そんな箒を見かねたのか、千冬からの声がかけられる。

 

「お前はタッグ戦で何も学ばなかったのか?」

 

「ですが……」

 

「お前の焦りは理解できる。だが、感情はひとまず置いて、目の前の敵にだけ集中しろ」

 

 千冬の指示に箒は息を大きく吐き出して、雪片弐型を正眼に構える。

 ゴーレムは束の指示なのか、動きを止めた箒に攻撃を仕掛けることはなかった。

 そのまま箒は瞑想を始め、心を落ち着かせて意識を研ぎ澄ませていく。

 一分、二分、三分。

 観客の反応は二つ。

 動きを止めた箒にただ焦れる者。箒のあまりの集中の深さに釣られ呼吸を止めて、動き出す瞬間を逃すまいと備える者。

 

「…………来た」

 

 箒は確かな手応えに静かに呟く。

 紅椿の胸甲と太腿のパーツが開き、中のリール型の増幅器が回転を始める。

 同時にブレードが変形、刀身が割れて中から光の刃を展開される。

 単一仕様能力、零落白夜を起動させた箒に対してゴーレムが動く。

 長い腕の先に搭載された高出力のビームが撃ち出される。

 

「――やれる! この紅椿なら!」

 

 箒はそのビームに対して回避を選ばずに突撃した。

 雪片、零落白夜の特性、シールドエネルギーを攻撃に転換したバリアー無効攻撃。

 そのエネルギーを無効化する力はビーム兵器にも通用する。

 ビームを光刃で斬り裂いて突き進み、そのままゴーレムの懐に迫りビームを斬る余力でヴェルシールドを紙を切るように斬り裂いた。

 

「ヴェルシールド消失!」

 

「何をいきなり言い出す束?」

 

「いや、なんとなく言わなくちゃいけない気がしたんだよ」

 

 そんなやり取りを他所に、箒は返す刃でゴーレムの胴体を斬る。

 

「…………ふぅ」

 

 残心の息を吐いて、箒は雪片の、零落白夜の展開を解除する

 

「零落白夜の初期起動を確認。アクセラレータも正常に起動。うんうん、これならファフナーに載せても大丈夫そうだね」

 

 満足そうに頷く束に箒は安堵の息を吐いた。

 自分が一夏の治療の役に立ったと思うと、充足感を感じずにはいられなかった。

 

「たっ、た、大変です! お、おお織斑先生っ!」

 

 いきなりの山田先生の声に箒は首を傾げた。

 彼女が慌てているのはいつものことだが、今回はその様子が尋常ではない。

 

「どうした?」

 

「こ、こっ、これをっ!」

 

 差し出された小型端末を見て千冬の表情が曇る。

 

「全員、注目!」

 

 千冬は手を叩いて生徒全員を振り向かせる。

 

「現時刻よりIS学園教員は特殊任務行動へと移る。今日のテスト稼動は中止。

 各班、ISを片付けて旅館に戻れ。連絡があるまで各自室内待機すること。以上だ!」

 

 戸惑いの声が上がるが、千冬の一喝に動き始める。

 

「専用機持ちは織斑と更識を除いて集合しろ! 篠ノ之も来い」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

「では、現状を説明する」

 

 一夏と簪を除いた専用機持ちの面々に向かって千冬が説明を開始する。

 

「二時間前、ハワイ沖で試験稼動にあったアメリカ・イスラエル共同開発の第三世代型の軍用IS『銀の福音』が制御下を離れて暴走。監視空域より離脱したと連絡があった」

 

 代表候補生たちの真剣な表情を確認して千冬はそのまま続ける。

 

「その後、衛星による追跡の結果、福音はここを向かっていることが分かった。時間にして五十分後。学園上層部からの通達により我々がこの事態の対処することとなった」

 

 一人、他の四人とは違い、箒だけが話を聞きつつも上の空だった。

 

「教員は学園の訓練機を使用して空域及び海域の封鎖を行う。よって本作戦の要は専用機持ちに担当してもらう。

 お前達の役割は市街地に入ろうとする福音の撃破。もしくは足止めだ」

 

「足止め、ですか?」

 

 シャルロットの呟きに千冬は頷く。

 

「福音の後を追ってアメリカのISが二機、こちらに向かっている。お前達は彼女達の到着までの福音を抑えておけばいい」

 

 その言葉に緊張で張り詰めていた空気が少しだけ緩む。

 

「それでは作戦会議を始める。意見があるものは挙手するように」

 

「はい、目標ISの詳細なスペックデータを要求します」

 

 予想していた質問に、機密情報取り扱いの注意をしてからモニターにデータを表示させる。

 

「広域殲滅を目的とした特殊武装射撃型……わたくしのISと同じく、オールレンジ攻撃を行えるようですわね」

 

「攻撃と機動の両方に特化した機体ね。厄介だわ」

 

「この特殊武装が曲者って感じがするね」

 

「しかも、このデータでは格闘性能が未知数だ。偵察は行えないのですか?」

 

 それぞれがデータから機体を想像する中で、箒だけが意見を出していない。

 それは無理もないことだった。

 箒は今日専用機を持つことになり、代表候補生としての心構えもなければ、教育や訓練を受けていたわけではない。

 

「無理だな。この機体は現在も超音速飛行を続けている。幸いなのはここが通過地点だということだ。

 十分な時間はないが、防衛ラインを引いて迎撃態勢を作れる」

 

「でも、機動力の差を考えると遠距離からの撃墜は難しいですわね」

 

「武装からしても近付くのに苦労しそうだね。広域殲滅の武装だから数の利はあまり意味がないし、長期戦はこっちが不利かも」

 

「短期決戦、一撃必殺が理想的だな」

 

 ラウラの言葉に全員の視線が箒に集中する。

 

「え……?」

 

「箒、あんたの零落白夜は使えるの?」

 

「初期起動で登録されたから任意での発動はできる。だが、ぶっつけ本番で使いこなせる代物ではないぞ」

 

「そうなると、ここで一番の攻撃力あるのは一夏のファフナーか。教官――」

 

「織斑、それに更識の作戦の参加は認められない」

 

 ラウラの申し出を千冬は言わせずに封殺した。

 マークニヒトの武装を発現したファフナーは前と機体性能を大幅に高めていた。

 ファフナーなら単体で攻撃力、機動力、防御力。そして元々の反応速度から単体で福音を落とすことは可能かもしれない。

 だが、それをさせてしまえばおそらく一夏は今度こそいなくなる。

 そんな予感がした。

 簪に関しても同じ理由だった。

 ラウラもただの確認のためだったのか、それ以上のことは言わなかった。

 

「予想されるバトルフィールドが陸に近いですわね。できればもっと沖で戦いたいのですが」

 

「先行して足を緩めさせる? 甲龍には高機動パッケージがあるからあたしが行けるわよ」

 

「それでしたらわたくしのブルー・ティアーズにもありますわ」

 

「スペックの初期加速を見ると、AICで捕らえるのは難しいな」

 

「箒の零落白夜を主軸にして、僕の盾殺しを後詰の二段構えはどうかな? ラファールの装備なら箒を特攻させるために僕が盾になれるし」

 

 流石は代表候補生だけあって、積極的に意見が交わされる。

 束が口を挟んでこないことに千冬は不安を感じながらも、出揃った意見をまとめにかかる。

 

「オルコット、凰。高機動パッケージの量子変換にどれくらいかかる?」

 

「今から急いで三十分で準備を完了させます」

 

 セシリアの答えに、同じくと鈴は頷く。

 

「遅いな……束」

 

「はいはーい。呼ばれて飛び出た束さんだよー!」

 

 天井から首を逆さにして出てきた束に箒たちが驚く。

 

「二人のパッケージの量子変換を手伝え、十分で終わらせろ」

 

「アイアイマム!」

 

「束……?」

 

 てっきり渋ると思っていた束が素直に言うことを聞いたことに千冬は驚く。

 しかし、すぐに気を取り直して、作戦を通達する。

 

「第一迎撃隊、セシリア・オルコット。凰鈴音。

 両名の任務は先行して福音の足を止め、安全な海域に誘導、及び陽動だ」

 

 セシリアと鈴が千冬の言葉に頷く。

 

「第二迎撃隊、篠ノ之箒、シャルロット・デュノア。

 両名は陽動地点にてステルスモードで待機、目標が到着次第、福音に奇襲をかけろ」

 

「はい」

 

 黙って頷くシャルロットに対して、箒は声を出して返事をする。

 

「第三迎撃隊、ラウラ・ボーデヴィッヒ。

 お前は最終防衛ラインで待機、福音が陽動を無視した場合、もしくは流れ弾が市街地に行かないための防衛戦力だ。

 バトルフィールドが形成次第、他迎撃隊の支援を行ってもらう。臨機応変に対処しろ」

 

「了解しました」

 

「織斑先生」

 

 箒がそこで初めて自分から挙手をした。

 

「何だ?」

 

「足止めは理解しました。ですが、別に倒してしまってもかまわないのですよね?」

 

「ああ、アメリカの増援を待つ必要はない。

 だが、無理はするな。これは訓練ではない、実戦だ。わずかな慢心や油断、焦りが死に繋がると思え」

 

「……はい」

 

 箒は千冬の言葉に唾を飲み込んで頷いた。

 

「よし。作戦開始は三十分後。各員、ただちに準備にかかれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 原作では二キロ先の空域を通過するっとありましたが、ISにとって二キロって目と鼻の先じゃないのかと思います。





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