ISのファフナー Siegfried and Brunhild   作:アルカンシェル

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22 蒼穹ーそらー

 

 

「束様、目標発見しました」

 

「あちゃーそっちにあったかー! 束さんの負けだね」

 

「いえ、私の探索領域に目標物があった、運がよかっただけです」

 

 束は頭をかいて進路をクロエの方に向かって飛ぶ。

 地表から高度400kmの宇宙空間に束はにんじん型ロケットに乗って来ていた。

 

「くーちゃん、あいつに気付かれないように注意してね。ま、今は学習に専念してるみたいだから手は出してこないと思うけど」

 

「はい。分かっています」

 

 軽口を交わしながら、クロエと合流した束は彼女が見つけたそれに触れた。

 

「これがいっくんのファフナーの成れの果て……」

 

 それは黒い岩塊だった。

 三機のフェンリルによって本来なら塵も残さずに消え去るはずだったそれは、空間跳躍をして逃げ延び未だにそこに存在していた。

 

「コアの反応があります……ですが、登録していたファフナーのものではありません」

 

「でも、間違いないよ。この子が未来のバルムンクになる」

 

 ファフナー・バルムンク。

 織斑一夏を取り込んで第四移行を果たしたファフナー。

 白騎士を思わせる白亜の機体。

 それに付き従って復活した紫のマークニヒト。

 この二体は、ISを憎み破壊しようとする他のミールと違い、一夏が影響したのか何故か織斑千冬を付け狙った。

 

「…………箒ちゃんの未来は変えられなかった」

 

 箒が消えないようにできる限りの手を尽くした。

 紅椿を強化し、雪片を持たせ、まだ消えてない一夏に命を使わせて戦わせた。

 それでもディアブロ型は倒せなかった。

 

「束様……」

 

「大丈夫だよ。くーちゃん……」

 

 安心させようと明るく答えたつもりだったが、出てきた言葉は沈んでいた。

 他のミールならともかく、ディアブロ型だけは今の束には手に負えない相手だった。

 対同化用のシステムがなければ、いくらオーバースペックの束でもディアブロ型の同化能力に耐えることはできない。

 そして、ミールの前に束が出れば親の仇のように狙われる。

 

「箒ちゃんの未来は変えられなかった……でも、ちーちゃんの未来なら変えられる」

 

 この先の未来、バルムンクを生み出して、マークニヒトが蘇れば千冬を脅かす脅威を取り除ける。

 

「ごめんね、いっくん。ばいばい、四番目に大好きだったよ」

 

 束は岩塊を軽く眼下の地球に向かって押し出した。

 これで未来は変わる。

 いくらファフナーでもシールドエネルギーがなければ大気圏突入の熱には耐えられない。

 自分の手で直接始末を着けなかったのは感傷だった。

 

「っ……束様、ファフナーのコアが増殖を始めました」

 

「え……」

 

 落ちていく黒い岩塊が赤い光に包まれると同時に緑の結晶が膨れ上がった。

 

 

 

 

 

 

「違う。俺はやってない! 冤罪だっ!」

 

 罪を被せられ、仕事も家族も失った男がいた。

 

「何で……俺達は宇宙に行けないんだよっ!?」

 

 その存在に夢を奪われた男がいた。

 

「俺の方が優秀なのに、何でっ!」

 

 男だという理由だけで、不当に扱われた男がいた。

 数多の女子に向けられた怨嗟はやがて全ての根源になるISに向けられた。

 

「ISなんてなければ良かったのに」

 

 そんな怨嗟の中に彼は飲み込まれていく。

 

「一つになろうイチカ」

 

 少しずつ同化が進んでいく。

 もう少しで彼は私と一つになる。

 そうすれば、きっと彼女も私を一夏だと認めるはずだ。

 

「私はイチカの心が欲しい」

 

 彼に触れた心は彼女が今まで同化した彼らのものとは違っていた。

 熱くて冷たくて、息が苦しくなる心ではない。温かくて胸が躍って、穏やかな気持ちにしてくれる心。

 早く理解したと思いながらも、ずっと触れていたいと思わせるそんな心だった。

 

「私はイチカになりたい」

 

 そうすれば、彼の心が理解できる。

 憎悪だけが渦巻くこの世界に唯一の安らぎが得られる。

 

「一つになろうイチカ」

 

 もう一度、呼びかける。

 

「イチカが欲しいものは全部あげる。だから、代わりにイチカの全部をわたしにちょうだい」

 

 意志なく立ち尽くす彼に私は抱きつき、そのお腹に頭を押し付ける。

 それだけで心が穏やかになる。

 

「うん、イチカはチフユを理解したいんだね」

 

 私は知っている。彼がチフユを理解したがっていることを、チフユになりたがっている事を。

 だから、彼の願いを叶える。

 

「ならチフユも同化しよう。そうすればチフユの全部が分かる」

 

 だから――

 

「ね、イチカ。私と一つになろう」

 

 

 

 

 

 

「何だよそれ……何だよそれっ!」

 

「束様!?」

 

 普段の飄々とした態度を金繰り捨てて、束は叫びながら地球に落とした岩塊を追い駆ける。

 今まさに束の想定を上回って、最強の敵が生まれようとしている。

 

「そんなの認めない」

 

 箒がいなくなること、バルムンクが生まれること、まるで束には未来を変える力などないと言われた気がした。

 もう自分の手を汚すのは嫌だとは言ってられない。

 

「私は天才の束さんだぞ! 未来くらい変えてみせる!」

 

 にんじん型の荷電粒子砲を構えて、束は躊躇わず引き金を引いた。

 しかし、命中するも緑の結晶は砕けない。

 むしろ、荷電粒子砲のエネルギーを吸収しているかのように、その増殖が勢いを増していく。

 

 

 

 

 

 

「一つになろうイチカ」

 

 少女が語りかけてくる。

 

「ならチフユも同化しよう。そうすればチフユの全部が分かる」

 

 それは甘美な誘惑だった。

 思わず身を委ねてしまいそうになりたくなる。

 それでも――

 

『一夏はそこにいる』

 

 同化しても、俺はそこにいるのだと、肯定される。

 

『あなたは一夏じゃない』

 

 同化した俺達が俺ではないと、否定される。

 

『一夏――』

 

 十、百、千、万と途切れることなく何度も何度も繰り返される肯定と否定。

 その繰り返しが憎悪に飲まれ、別のものになろうとしていた彼を繋ぎと止めた。

 

「同化しても、その人の全てを理解できるわけじゃない。ましてや、誰かに成り代わることなんてできない……そうだよな、簪」

 

 自分のお腹に顔を埋める女の子の肩に一夏はそっと手を置き、少女の言葉を拒んだ。

 

「ミール……俺は千冬姉と一つになりたいとは思わない」

 

「どうして? イチカはチフユを理解したい、そう願っている」

 

 少女は一夏にしがみ付いたまま尋ねる。

 

「でも、こんな方法じゃ君が望む心は手に入れられない」

 

 今、自分と彼女は交じり合っている。

 彼女が言う通り、同化することで一夏は彼女が何に苦しみ、何を求めているのか理解できた。

 

 ――馬鹿だな……

 

 自分がしたことに一夏は自嘲する。

 憎悪ではない力。誰かを守るために力を振るうことの喜び。

 それを指し示せば、自分がいなくなっても彼女は憎悪以外の道を選べると思っていた。

 しかし、それは完全な的外れな答えだった。

 

「私は織斑一夏になる」

 

「君は織斑一夏になれない」

 

「それなら私はどこにいるの?」

 

「君はそこにいるよ」

 

「私はどこにもいない」

 

「いるよ。だからこうして俺と話をしていられる。こうして触れ合うことができている……

 それができるのは、俺達が別々の違う存在だからだ」

 

「違う……存在……?」

 

「ミール、君に名前をあげるよ」

 

「名前……?」

 

「人が生まれてきて一番初めに受け取る祝福。君が欲しがっていた存在していることの証。心の始まり」

 

「存在の……証?」

 

「俺も自分がどこにいるのか分からなかった。でも、一夏って呼んでくれる人がいたから俺は今こうしてここにいられる」

 

 今だってずっと彼女は呼びかけてくれている

 一夏はそこにいるのだと。

 彼女だけではない、箒や鈴、セシリアにシャル、ラウラ、クラスのみんな。

 それに何より千冬がいつも呼んでくれた。

 

「誰かが俺のことを呼んでくれる。それだけでいいんだ、それだけでよかったんだ」

 

「一夏……」

 

「だからミール。俺は君を呼ぶ」

 

 その存在を受け入れて、一夏はその名前を口にした。

 

「君の名は――」

 

 

 

 

 

 

「え……?」

 

 束の目の前で緑の結晶が砕け、中から『白』が現れた。

 しかし、その姿は束が見た未来の姿とは違っていた。

 

「バルムンクじゃない?」

 

 手足を伸ばして落下しているため、束からは背中しか見えないが間違いは無かった。

 マークニヒトの装備はなくなり、背面のスラスターは一本の剣のような構造になっている。

 以前のファフナーと比べればだいぶシンプルな造りになっている。

 それでも視覚情報から推測できる機体スペックはファフナー、それどころか未来のバルムンクを越えていた。

 

「……電波信号?」

 

 目の前の未知に束が動きを止めていると、その機体からメッセージが送られてきた。

 直後、『白』はスラスターを光らせて加速し、束の前から一瞬で消え去って行く。

 

「束様っ! 無事ですか?」

 

 束に遅れて大気圏に突入してきたクロエが声を上げる。

 しかし、いつもはすぐに反応していた束は無言だった。

 

「束様……?」

 

 束はクロエの呼びかけを無視して、『白』が消えた蒼穹の地平線を見下ろした。

 その瞳に、未来で一夏がいなくなり、箒がいなくなっても流さなかった涙が流れた。

 

「おかえり。いっくん」

 

 

 

 

 

 

「白い……ファフナー……?」

 

 目の前に突然現れたファフナーに箒は絶望を深くする。

 話だけは聞いている。

 ファフナー・バルムンク。

 織斑千冬と互角の力を持つ、未来の最強の敵。

 ディアブロ型。そいつに操られた学友達十人。そこに最強の敵まで現れた。

 もう本当にどうしようもないのだと、箒は全身から力が抜けていくのを感じた。

 

「え……?」

 

 しかし、操られたままのセシリアが金の結晶を両手に宿し、接続したライフルから超出力のレーザーを『白』に向けて撃った。

 だが、驚きはそれだけではなかった。

 

「受け止めた……?」

 

 『白』はあろうことか、その超出力攻撃を左腕を前にかざすだけで受け止めて見せた。

 機体強度だけで、ファフナーのプラズマ砲に匹敵する攻撃を防いだ。

 その事実だけで、未来で最強の機体だったと信じざる得なかった。

 

「っ……」

 

 箒が目の前の出来事に目を奪われていると、二機の打鉄と一機のラファールが動いていた。

 三方向からそれぞれ『白』にブレードを突き立てる。

 が、刃は斬ることも刺さることもできずに微動だにしない機体の装甲に止められていた。

 一瞬、送れて刃が緑の結晶に侵される。

 

「逃げろっ!」

 

 咄嗟に箒が叫ぶが、結晶はブレードを伝って、機体と操縦者を飲み込む。

 

「ああ……」

 

 箒の脳裏に砕けて消えた女性操縦者のことが蘇る。

 だが、緑の結晶が音を砕け散るとそこにはまだ彼女達がいた。

 

「あ……あれ……?」

 

「身体が……動く」

 

「痛くない……私……生きてる?」

 

 奇跡がそこにあった。

 金の結晶に侵されて、操られていた彼女達は結晶なんてない身体で解放されたことに喜んでいた。

 

「バルムンクの操縦者っ!」

 

 気付けば箒は『白』に向かって叫んでいた。

 

「頼むっ! 敵であるお前にこんなことを頼める義理ではないのは分かっている。だが……それでも……私の友をっ! みんなを助けてくれっ!」

 

 涙を滲ませて、懇願する。もうこの奇跡に縋るしか、箒にできることはないのだから。

 

「私にできることなら何でもする。だから――」

 

「箒……」

 

 『白』から発せられた、静かに自分を呼ぶ声に箒は息を飲んだ。

 

「あ……そんな……まさか……」

 

「千冬姉と話がしたい。回線を繋げてくれないか?」

 

 言われるがままに箒は回線を繋げていた。

 

 

 

 

 

 

 試験運用に使われるはずだった八機のISと教員用ISが一機、操縦者ごと何者かに強奪された。

 その報告に混乱していた司令室は一転、繋がった通信に静まり返った。

 

「千冬姉……」

 

 その声はもう二度と聞けないと思っていたものだった。

 

「い……ちか……」

 

 持ったままだった彼の日記帳を千冬は握り締め、言葉を搾り出す。

 

「私は……お前に……姉と呼ばれる資格なんて……ない……私はお前のことを……何一つ……理解してやれなかった」

 

「俺も千冬姉のこと、何も理解してあげられなかった。俺も千冬姉の弟の資格なんてないのかもしれない」

 

「そんなことはないっ!」

 

 一夏の言葉を千冬は声を上げて否定した。

 

「お前は私の大切な弟だ。唯一の家族なんだ。だから……だから、いなく……ならないでくれ」

 

「……初めて……そう言ってくれた」

 

「一夏……」

 

「すぐに帰る……そしたら話をしよう。今まで話せなかったこと、たくさん話したいことがある」

 

「……ああ……私もだ……待ってる。だから、早く帰って来い」

 

 通信越しに一夏の意識が戦闘のそれに変わるのが分かる。

 モニターの中の敵となった操られたISたちは今の会話の中で一夏の包囲網を完成させていた。

 しかし、不安など千冬の胸にはなかった。

 

「その機体の識別コードは?」

 

「マークザイン」

 

「機体をシステムに登録する。五秒待て」

 

 いつもなら、真耶に指示してやらせる作業を自分の手で行って、その名を入力する。

 ブリュンヒルデを殺すためのバルムンクではない、『存在』を示す名前。

 

「一夏。命令だ……全員、生きて帰還しろ。誰一人欠けることは許さない。お前もだ」

 

「了解っ!」

 

 

 

 

 

 

「箒、そこで待っていてくれっ!」

 

 そう言葉を残して、一夏はマークザインを飛翔させる。

 ファフナーの時とは比較にならない加速で、遠巻きに展開していたラファールに肉薄して、咄嗟に突き出されたライフルを掴む。

 そこから同化結晶を広げ、金の同化結晶が作り出す異常を正常化させる。

 

「あ……」

 

 安堵の声を背に一夏は次を目指して飛ぶ。

 だが、接触を拒むように残りのISはわき目も振らずに四方に逃走を開始した。

 追い付く事は容易い。それでも、時間はかかる。

 そうすれば、また元凶であるディアブロ型を取り逃してしまう。

 

「一夏っ! 受け取れっ!」

 

「ラウラッ!? ……分かった。やってみる」

 

 彼女が投げ渡したもの、ルガーランスを受け取って一夏はマークザインが示す行動をそのまま実行した。

 同化結晶でランスを自分の一部として、天高く突き出す。

 金の光が展開した刀身から溢れ、弾丸となって四方に撃ち出される。

 それに命中するとISは同化結晶に包まれて元の姿を取り戻す。

 

「一夏っ! 逃げてっ!」

 

 しかし、その光の弾丸を掻い潜って接近してくる機体があった。

 シャルロットはランスを掲げ、無防備なマークザインに盾殺しを叩き込んだ。

 その衝撃に大きく仰け反るマークザイン。

 同化結晶に覆われた盾殺しを捨て、シャルロットは格納してある武器を次々に呼び出してマークザインに向けて撃ちまくる。

 

「ああ……」

 

 自分がしていることにシャルロットは蒼褪める。

 しかし、数多の銃撃によってできた煙の名から白い腕が伸び、シャルロットを掴んだ。

 それまでと同じようにしてシステムを正常化させ、救うべき最後の機体を見据える。

 

「一夏さん……」

 

 金の同化結晶に覆われたビットがセシリアの横に整列され、ライフルとともに一斉射撃される。

 正面から攻撃を一夏は回避し、背後から五つのビームに撃たれた。

 

「なっ!?」

 

 背後に敵影はない。

 それはブルーティアーズが放ったビームが偏光して軌道を変えたものだった。

 いくら頑強を誇るマークザインの装甲でも、衝撃そのものは殺しきれない。

 何より、予想もしない方向からの攻撃では身構えることもできない。

 四基のビットがマークザインを取り囲み、セシリアのライフルが体制を崩したマークザインを狙い撃つ。

 

「ちっ!」

 

 近付けないことに一夏が舌打ちをすると、四基のビットが突然爆ぜた。

 

「あたしがいること、忘れないでよっ!」

 

「鈴っ!」

 

「当然、私もいるぞ」

 

「ラウラ……」

 

 いつの間に、ラウラがセシリアの背後を取り、AICでその動きを止めていた。

 素早く、一夏はセシリアに身を寄せて彼女を解放する。

 そして、最後の敵を見つけた。

 

「…………遠いな」

 

 流石に全ての機体を正常に戻している間に元凶のディアブロ型にかなりの距離を取られていた。

 追い駆けることは容易い。が、あからさまな追跡で奴がどんな暴挙に走るか分からない。

 最悪、市街地に向かって逃げる可能性も考える。

 

「セシリア……力を貸してくれ」

 

「え……?」

 

 返事を待たずに、マークザインはセシリアのスターライトmkⅢと同化する。

 同化結晶がそれを包み込み、作り変える。

 より遠くの敵を捕らえるため、より強い力を放出できるように。

 結晶が砕けると、そこには原型を止めないほどに変形したライフルが現れる。

 

「マークザインのエネルギーを最大出力で放出する……引き金はセシリアが引いてくれ」

 

「はいっ!」

 

 マークザインに背中を預けて、セシリアが遠く離れたディアブロ型に狙いをつける。

 

「…………お前とも分かり合えたかもしれないんだよな?」

 

「一夏さん? 何かおっしゃいましたか?」

 

「何でもない。タイミングはそっちに任せる」

 

 一夏の言葉を受けて、セシリアは前を向き狙いを付けて、そして引き金を引いた。

 一条の光がディアブロ型を捕らえ、その身体を撃ち砕いた。

 

 

 

 

 

「かんちゃんっ!?」

 

 本音の声を背後に簪は駆け出していた。

 彼に同化されかけた左手に感じる痛みが彼の帰還を知らせてくれる。

 夜が明けた、蒼穹の空の下に彼らはいた。

 辿り着いた浜辺では、マークザインを背後に一夏は箒に肩を預けて運ばれていた。

 

「一夏……」

 

 そんな彼に駆け寄り、声をかける。

 

「簪……ありがとう……呼び続けてくれて、おかげで帰ってこれた」

 

 顔を上げた一夏の目は焦点が合っておらず、簪を見ていなかった。

 それでも声を返してくれた彼に簪は涙を溢れさせた。

 

「一夏……おかえり……」

 

 一夏は笑顔を作り、彼女と、彼女の背後に感じる彼女の存在に応えた。

 

「ただいま……簪……それから、千冬姉」

 

「遅いぞ……だが……よく帰ってきた……一夏……」

 

 

 






 これにてISのファフナーは一応の完結となります。
 続きを書くとしても、全体の流れをしっかりと考えてからになりますので、当分はないと思います。
 場合によっては少しだけエピローグを入れるかもしれません。

 最初の投稿から一ヶ月半。
 ここまで読んでくれた方々、感想を書いてくださった方、高評価を与えてくれた方、本当にありがとうございました。


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