ISのファフナー Siegfried and Brunhild   作:アルカンシェル

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 スランプに陥ってしまって気が付けば三ヶ月。
 大変長らくお待たせしてしまい、申し訳ありませんでした。




7 存在とぞうおと

 

 

 

「くっ……」

 

 来主操だったフェストゥムと対峙していたラウラは困惑していた。

 

「くらえっ!」

 

 正体不明の敵に不用意に近付かず、逃げ回りながらレールカノンによる砲撃を撃つ。

 しかし、大口径の砲弾は敵に着弾する寸前に目に見えない壁にぶつかって、青白い光を散らして弾かれた。

 それを絶対防御に近いシールドだと納得するが、同時に有り得ないとも絶句する。

 すでに何発もレールカノンを命中させている。

 軍用ISだったとしても、シールドエネルギーは0になっていてもおかしくないのに、フェストゥムは健在だった。

 

『あなたは……そこにいますか?』

 

 声と共にフェストゥムの背中に黒い光が蠢いた瞬間、ラウラは前へと飛んでいた。

 一瞬送れて、ラウラの背後の空間がワームスフィアによって抉られ消滅する。

 それをハイパーセンサーで認識して冷や汗を流しながら、ラウラはフェストゥムに肉薄して――何かを突き破った。

 入り込んだ。直感的にそう感じた。

 フェストゥムは背中の板状の羽を伸ばしてラウラを捕まえようと動く。

 咄嗟にラウラはプラズマ手刀を振り上げ、今度は弾かれることなくフェストゥムの羽を切り払った。

 

「通った?」

 

 一瞬の困惑。

 そこに残った羽が反撃といわんばかりに、鋭利な刃となって突き出された。

 

「なっ!?」

 

 痛みが灼熱となってラウラに襲い掛かる。

 思わず膝を着きそうになるが、貫通した羽の刃に縫い止められて、それはできなかった。

 刃はシュヴァルツア・レーゲンの装甲を突き抜け、絶対防御に守られているはずのラウラの身体を貫いていた。

 何故と、疑問が頭に浮かぶ。

 だが、情報も少なく。痛みで鈍らされた思考でフェストゥムのシールドと自分の絶対防御が接触――被同化状態になって互いの攻撃が通じ易くなっているという結論に至ることはできなかった。

 しかも、ラウラが抵抗をするよりも早くフェストゥムは動いていた。

 

『あなたは……そこにいますか?』

 

 突き刺さった羽を触手に変形させ、根付くようにラウラの身体に巻きつき、能面の顔を寄せてくる。

 同時にラウラの思考が鈍くなり、その言葉が胸の奥へと染み渡る。

 

「これが……フェストゥムの同化現象……心が……っああああっ!」

 

 刃に刺された以上の痛みが全身に走る。

 身体を内側から引き裂くように同化結晶が至るところから生え、軍人であり痛みに慣れているはずのラウラでも思わず悲鳴を上げてしまう。

 

 ――まずい……

 

 脳裏に浮かぶのはディアブロ型に操られたIS乗りたち。

 自分もあのように好き勝手に操られることへの危惧をする。

 しかし、抵抗することも出来ずにラウラは同化結晶に全身を埋もれさせ、そして砕けた。

 

 

 

 

「逝くなっ! ボーデヴィッヒさんっ!」

 

 全身を同化結晶に覆い尽くされた銀髪の少女の背中に、一夏はマークザインの手を伸ばす。

 マークザインから溢れた同化結晶が少女を飲み込んだ同化結晶に触れと、何も残さずに砕けるはずだった結晶が少女を残して砕け散った。

 しかし、ラウラを突き刺していた触手も一緒に砕けるが、フェストゥムは腕を伸ばしてラウラの頭に――

 

「何でそれを選ぶっ!」

 

 ラウラの頭を掴もうとした腕を一夏が掴んで止める。

 元々の姿に戻った来主からの返事はない。

 それでも、彼がやろうとしていることを止めるために一夏は力任せにフェストゥムとラウラを引き剥がす。

 

「戦いたくない、そう言ってただろ?」

 

 ファフナーのコアはISを壊すために生まれたかもしれない。

 それを増長させたテロリストの言葉、彼にとっての神様の声。

 だが、それでも来主操はISの憎しみから生まれた平和を望む意志だった。

 方法こそ極端だったかもしれないが、共存を望んでいた言葉に嘘はなかった。

 なのに、その来主の意志を潰した神様の言葉に一夏は怒りを感じずにはいられなかった。

 

「痛みばかり増やす神様に何で逆らわない!?」

 

 言葉を重ねても返事は返ってこない。

 しかし、能面だった顔に突然人の表情が浮き上がる。

 

「え……?」

 

 苦しそうな表情で何かを訴えるように音にならない口を動かす。

 そうしながらも、フェストゥムは掴まれていない腕を刃にしてマークザインに向かって振り下ろす。

 その刃も掴み止めるが、そこからフェストゥムは同化しようとしてくる。

 

「待て!」

 

 咄嗟に一夏の制止の言葉を叫ぶが、フェストゥムに向けたものではなかった。

 同化能力に抵抗したマークザインが逆にフェストゥムを同化結晶で覆いつくして、食った。

 

「あ……」

 

 結晶が砕け散り、目の前から消え去ったフェストゥムに一夏は言葉を失い、俯いた。

 

「…………いたい……たすけて…………くそっ」

 

 

 

 

「これは……」

 

 ISをまとって半信半疑で出撃した山田真耶は目の前の光景に絶句した。

 海の向こうからやってくる全身が紅いフェストゥム、エウロス型を始め、様々な形状の金のフェストゥムたちの大群。

 洋上で自衛隊が彼らの侵攻を防ぐ防衛線を張っていたはずなのに、そこには『世界最強』と『人類最高』の二人がいたはず。

 なのに防衛ラインを突破され、フェストゥムが進行してくる現実を真耶は信じられなかった。

 

「クロエさん、先輩との通信はまだ繋がらないんですか!?」

 

 長距離用のライフルを呼び出しながら、真耶は官制のクロエに尋ねる。

 

『通常回線及びプライベートチャネルにも反応はありません』

 

「そんな……」

 

 まさかあの二人が、特に真耶にとって織斑千冬が何の連絡も残さずにやられたなど思いもしなかった。

 しかも、遠目に見えるフェストゥムの数。

 ハイパーセンサーが捉える敵の数は徐々に増えていく。

 もう学園に常駐している教師部隊の数を超え、今もまだ増えていく敵の数にライフルを持つ手が震えているのを真耶は自覚する。

 

「何これ……何なの……?」

 

 敵の数に震えたのは真耶だけではなく、他の教師陣も同じだった。

 ISにはISで対抗するしかない。

 だが、ISならば旧来の兵器に対して一騎当千の力を持つ。

 だからこそ、IS乗りの誰もが数と数の戦いを、戦争をすることなど想像したことなどなかった。

 

 ――無理だ……勝てるわけない……

 

 射程圏内、目前に迫る敵の群れに対して真耶のトリガーにかけた指は固まっていた。

 相手はブリュンヒルデを退け、数も違い過ぎる。何より敵は絶対防御を超える攻撃手段を持っている。

 そして戦争を経験したことのないIS乗りには数による威圧だけですでに彼女達の戦意は挫かれていた。

 

「…………え?」

 

 ハイパーセンサーが突然発した警告に真耶は振り返る。

 新たなエネルギー反応。

 機体コードが表示されるよりも早く、それは海の中から飛び出してきた。

 

「マークザイン……織斑君!?」

 

 『白』のファフナーに真耶は息を飲む。

 その機体に乗れる者など真耶は一人しか知らない。

 そして、その機体に乗ることのリスクは十分に知っている。だからこそ、すぐに叫んでいた。

 

「何をしてるんですか織斑君っ! すぐにその機体から――」

 

 叫ぶ真耶を無視してマークザインが動く。

 同化結晶で右腕と繋がったルガーランスを前に突き出すように構え、刀身が開く。

 次の瞬間、光が空を切り裂いた。

 

「え……?」

 

 青白いビームが一直線に空に放たれたかと思うと、光は薙ぎ払うように動いて空の彼方の敵の大半を、真耶たちの絶望を一瞬で薙ぎ払った。

 何が起きたのか理解できず真耶は固まってしまう。

 それほどまでに目の前で起きた出来事は非現実的だった。

 空の彼方にまで届く超出力のビーム兵器。

 教師をしているからこそ、そんな兵器が地上に存在しないことをよく知っている真耶はマークザインの力に言葉を失ってしまう。

 そして、固まっている教師部隊に目もくれずに残った敵に向かっていくマークザインをただ見送ることしかできなかった。

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 侵攻してくるフェストゥムの群れを薙ぎ払った一夏は大きくなっていく同化結晶がもたらす痛みに耐えて、息を整えながらマークザインを飛翔させていた。

 向かう先は海の向こう。来主を生み出したコアがある船。

 それを行かせまいと、ルガーランスの一撃から逃れたフェストゥムたちがマークザインに殺到する。

 だが、マークザインが発する紫電に打たれて近付く前にワームスフィアを残して消滅していく。

 運良く、紫電から逃れてマークザインに取り付くも一瞬で同化されて消滅する。

 

「ぐぅ……」

 

 紫電を放つ度、フェストゥムを同化する度に一夏の身体から生える同化結晶は大きくなっていく。

 気を失いそうになる激痛を歯を食い縛って耐え、一夏は飛び続ける。

 だが、フェストゥムではない敵がマークザインに襲い掛かった。

 

「見つけたぞ! 織斑一夏っ!」

 

 不意を打って襲い掛かってきた『黒』のISの大剣の一撃にマークザインは大きく吹き飛ばされた。

 

「っ……何だ……お前は?」

 

 ハイパーセンサーが知らせる機体コードは『黒騎士』。

 剥き出しの顔に一夏は見覚えがまったくないが、突き刺さる憎悪の視線に思わずたじろぐ。

 

「織斑一夏……」

 

 一夏の前に立ち塞がった黒騎士はその名前を繰り返し、バスターソードを振り被って襲い掛かる。

 

「返せっ! それは貴様が持っていていいものじゃないっ!」

 

 訳の分からないことを叫ぶ黒騎士に一夏は困惑しながらも大剣をルガーランスで受け止める。

 

「何なんだよお前は!?」

 

 鍔競り合いながら一夏は叫ぶが、黒騎士は応えずに攻めを激しくする。

 

「ちっ……邪魔をするなっ!」

 

 残りの時間が少ないことを感じながら一夏は叫び、黒騎士のバスターソードを弾き飛ばす。

 

「くっ……」

 

 剣を弾かれた黒騎士はすかさず二基のランサービットを放つ。

 が、螺旋状に収束したエネルギー弾を一夏はマークザインの左手で払って退ける。

 

「そこを退けっ!」

 

 絶句が伝わってくる黒騎士に一夏はルガーランスを突き出す。

 だが、それが届くよりも先に、四体のフェストゥムがマークザインに取り付いた。

 同化しようとしてくるフェストゥムをマークザインは逆に同化して食らう。

 フェストゥムの身を這った行動はマークザインを数秒も止めることはできなかった。

 しかし――

 

「ぐっ!」

 

 そこが限界だった。

 一夏の耳に危険を知らせるアラームが鳴り響く。

 身体の感覚が消え失せ、四肢の先から同化結晶にゆっくりと埋め尽くされていく。

 動きを止めたマークザインに黒騎士はランサービットを片手近接武装としてその槍先を体当たりするように刺しに行く。

 

「死ねえええええっ!」

 

 ランサービットがマークザインの胸の装甲に突き刺さり、絶対防御が発動する。

 絶対防御の反発力を力任せに抑え込み、黒騎士は槍先をさらに押し込む。

 絶対防御のエネルギーが激しくスパークし、徐々にその光を弱めていく。

 シールドエネルギーが目に見えてなくなっていくことに黒騎士は歪んだ笑みを浮かべる。

 

「これで、やっと私は――」

 

 一夏は何とか左腕を動かしてランサービットを掴む。

 

「往生際の悪い奴めっ!」

 

 黒騎士は一夏の抵抗に対して槍にさらなる力を込める。

 力は拮抗しているように見えた。

 しかし、一夏ができた抵抗はそこまでだった。

 身体の内側から引き裂かれる同化現象の痛み。

 身動ぎするだけで手足に生えた同化結晶は肥大していく。

 

「まだ……まだだ……俺は――」

 

 痛くて、苦しい。

 外と内からの痛み。少しでも気を抜けば結晶が全身を埋め尽くし砕け散る。

 それが分かっていても一夏は目の前の敵から退こうとはしなかった。

 

『やめて一夏、君が消えてしまう!』

 

 誰かが一夏の中で叫んだ。

 

『何で苦しむの!? 君のミールがそう命令しているの!?』

 

「俺は……守りたいだけだ」

 

『守る?』

 

「お前達に平和なんて作れない。痛みから逃げて、全部誰かのせいにして本当に痛みを消そうなんて考えてない」

 

『俺達は――』

 

「俺は痛くても苦しくても、誰かを守りたい。自分の全てを使ったとしても、みんなを守るっ! それは……お前もだ、来主っ!」

 

『え……?』

 

「お前が伝えられないなら俺が直接お前のコアに言ってやる」

 

『俺の……ぐっ……』

 

 声が突然苦しみ出す。

 

『俺を……呼んでいる』

 

「来主っ!? …………あ……」

 

 声の存在が消える。同時に一夏の意識もまた結晶に埋もれるように消えていく。

 

「死ねっ! 死ねっ! 貴様なんていなくなってしまえばいいんだっ! 織斑一夏っ!」

 

 向けられる憎悪。

 それに共鳴するようにマークザインの中にいる何かが、同化してきたフェストゥムたちを糧にしてそれは動き出した。

 

 

 

 

 突然増殖した同化結晶に織斑マドカは突き刺したランサービットを放棄してマークザインから距離を取った。

 あと一歩で、自分の手で確実に殺せていたのにと、歯噛みしながら同化結晶に覆い尽くされたマークザインを見下ろす。

 どちらにしても、ここまで同化症状が進んだ以上、織斑一夏の消滅は変わらない。

 そのことにマドカは口元を歪めて笑う。しかし、その顔はすぐに驚愕に塗り替えられた。

 

「…………何っ!?」

 

 同化結晶が砕け散る。

 そこには何も残らない――はずだった。

 

「マークニヒトだと……?」

 

 マークザインと置き換わるようにして現れた『紫』の機体にマドカは目を見開いた。

 紫の装甲に翡翠の結晶装甲。

 機械的な造型から禍々しい悪魔のような風貌に、黒い色彩から紫に元の機体と大きく変化しているが、全体像からの印象は間違いなくマークニヒトのものだった。

 

「島の裏切り者が作ったファフナー……」

 

 その機体を目の前にしてマドカは晴らした憎悪が再び沸き立つ。

 

「織斑一夏、貴様――」

 

 マドカが声を上げた瞬間、マークニヒトが動いた。

 瞬時加速と同等、いやそれ以上の速度でマドカに迫ったマークニヒトはその加速の勢いを乗せて黒騎士を殴り飛ばした。

 

「こいつは……!」

 

 咄嗟にマドカは身を捩るとそこにプラズマ弾の閃光が走り、エネルギーの爆発が背後で起きる。

 カタログスペックを遥かに上回るマークニヒトの性能に驚きながらもマドカは黒騎士を突撃させ、剣を振る。

 

「貴様は誰だっ!?」

 

 紫のルガーランスと鍔競り合いをしながらマドカは咆える。

 

「これが……憎しみ……これが……」

 

 向けられる憎悪を確かめるように呟く声は織斑一夏のものではなかった。

 

「お前は……誰だっ!?」

 

 叫びながら剣を押し込む力を強める。

 応えは沈黙。

 そのことに苛立ちを感じながら、マドカはバスターソードのエネルギー刃の出力を上げてルガーランスをマークニヒトの右腕ごと斬り裂いた。

 

「はっ! 見掛け倒しか……黒騎士の敵ではないか」

 

 ランサービットのエネルギー弾がマークニヒトを突き飛ばすように吹き飛ばし、鞭剣へと変貌したバスターソードがそれを捕まえる。

 

「このままバラバラにしてくれるっ!」

 

 鋸状のエネルギー刃がマークニヒトの装甲を削るように走り、絶対防御のシールドエネルギーが尽きると思った瞬間、バスターソードは同化結晶に埋め尽くされて砕け散った。

 

「何だと!?」

 

 驚きを隠せないマドカに、さらに驚愕の出来事が目の前で起こる。

 斬り落とした腕の切断面から同化結晶が溢れ、腕の形を取ったかと思った瞬間、結晶が砕け斬り落としたはずの腕が再生する。

 しかも腕だけではなく、鞭剣で削ったはずの装甲も同様にして修復される。

 

「っ……」

 

 本来のファフナーにはありえない機能にマドカは絶句する。

 マドカが驚いている間に、マークニヒトは空の腕を振る。

 そこにワームスフィアが発生すると、球体のそれはリングとなって投げ放たれる。

 

「こんなものっ!」

 

 一つ残ったランサー・ビットを構えてエネルギー弾を撃ち放つ。

 螺旋状のエネルギー弾とリング状のワームスフィアがぶつかり合い、後者が一方的に勝った。

 

「なっ!?」

 

 放射されたエネルギー弾を難なく切り裂いてワームスフィアが迫る。

 咄嗟に盾にするように構えた二つのランサー・ビットが半ばから切り裂かれて破壊される。

 そして、最後の一つが黒騎士の胸を大きく抉った。

 

「あっ……!」

 

 絶対防御が発動してなお残る衝撃に吹き飛ばされながら、マドカは裂けた胸部装甲から零れ落ちたペンダントに手を伸ばす。

 致命的な隙をさらしたマドカにマークニヒトがルガーランスを突き出し――炎がそれを弾いた。

 

「潮時よ、エム」

 

 突然現れた黄金のISをまとったスコール。

 すぐにマークニヒトは新たに現れた敵に反応するが、強力な熱波に牽制され、足を止める。

 

「さよなら織斑一夏君。また会えるといいわね」

 

「放せスコール、私は……私はっ……!」

 

「聞き分けのない子は嫌いよ。お仕置きはいやでしょう?」

 

 黒騎士の手を握りしめ、そのままスコールは瞬時加速と機体のブーストによってその空域から離脱する。

 マークニヒトはその背中を追い駆ける素振りを見せず、おもむろに両手を広げ、そして紫電が空を蹂躙した。

 

 

 

 

「っ……」

 

 横薙ぎの落雷を避けることができたのは奇跡だった。

 目の端で紫電の落雷に直撃された黄金と黒のISが海に落ちていくが、それを気にしている余裕は箒にはなかった。

 

「一夏……」

 

 第二移行を果たした黒騎士にシールドエネルギーを0にされ、それを回復させて追い駆け、駆けつけたところで状況は一転、二転していた。

 ハイパーセンサーで見ることしかできなかった変化。

 一夏が乗っていたはずのマークザインが同化結晶に包まれたかと思うと、見知らぬファフナーが置き換わるように現れた。

 

「機体コード……マークニヒト?」

 

 確かにそれには以前、学園を襲撃したファフナーの面影がある。

 だが、その姿も色も大きく変化していた。

 

「な、なによ、あれ……マークザインは、一夏はどうなったのよ!?」

 

 紅椿に遅れてそこに到着したセシリアと鈴。

 鈴の悲鳴にも似た叫びに、声が帰って来る。

 しかし、返ってきた声は一夏のものではなかった。

 

「俺の名前は来主操……一夏は……もう、いない」

 

 

 

 

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