※ポッ拳を題材にした話です。
※一話だけ短編。
※オリキャラばっかりでます。
とにかくおめでとう!!!!
VRというものをご存知だろうか?
ヴァーチャルリアリティ、略してVRだ。
それは科学で本当のリアルのように、現実のように再現した世界のことを言う。
この近未来、ゲームではそれを取り入れたのが主流であり、今ではもうDSなど携帯ゲームは見かけなくなった。俺はまだ持っているが。
今の子供達は知らないだろう。ゲームは最初は白黒で、2Dで平面だったということを。そこから進化してきて、今のゲームがあることを。
テクテクとこの広大な街を歩き回る。吹き抜ける風、人の話し声、どれもが現実そのもので何処か勘違いしてしまいそうだが、通行人達のパートナーによってそれはリアルではないと思い知らされる。
「あ、久しぶりです。はんてんさん」
ふと、後ろから声がかけられ、振り返る。そこには好青年と思わせる少年がいた。俺より数センチ高いその身長はどうにかならんのか。こいつの名前は、アカツキ。パートナーは相変わらずの圧巻である。
こうしてこのゲームで会うのは一週間ぶりだろうか?
「おおー久しぶり!今日土曜だもんな、休みか?」
「はい。はんてんさんは?」
はんてんというのは俺のプレイヤー名。
決めるときあまり思いつかず、適当に決めたんだが、今ではまぁ気に入っている。
「俺も休み。明日も休みだから、オールしようかなと思ってる」
「うわ、さすが社会人。大人ですねー」
「それ、褒めてるの?貶してるの?」
両方です。とそいつはいい笑顔で言う。こいつはこういう言動を多々するが、あまり憎めない奴なので気が抜ける。
はぁ、とため息をついて、また歩き出す。
「どこ行くんです、はんてんさん」
「バトル会場。もうすぐ開演だろ?エントリーしようかと思って」
「さすがですね……オレなんてまだこいつに慣れてませんから、草むらで特訓ばかりですし」
「あぁー、お前のパートナー進化したてだったっけ?」
「えぇ、わかっていた事ですが、視線が結構変わって、手足も長くなったんでちょっと」
「俺は最初からこのこいつだしな、進化するつもりもないし……正直お前の気持ちはわからんが、わかる」
「なんですか、それ」
クスクスと笑いだす。その表情は本当に面白いと思っているらしく、目尻にうっすらと涙があった。こういうところまでリアルである。
バトル会場に到着し、エントリーコーナーへと向かう。やはりというか、土曜日とあって1日一回開催されてるこれは、人気がある。平日ならもう少し少ない。
「やっぱ、多いですね」
「このゲーム自体人気だからな。それに土曜。ったく、最初はアーケードだったのにな」
「それですね。何か出たと思ったら、普通にTVゲームになって、次はVRゲームですもんね」
「今頃大儲けだろうな、社長さん」
何年前かに変わった社長さんは今頃ウハウハだろう。
VRオンラインゲームとして売り出されたこれは、瞬く間に世界へ進出。大ヒットした。まぁ元から有名なゲームだし、アニメもしていたから売れたのかもしれないが。
エントリーシートに書き込みではなく、パネルに自分のプレイヤー名を記入してエントリー完了だ。
自分のプレイヤー名にはあらゆる情報が詰まっている。パートナーのレベル、戦勝、称号など。
メニュー、と念じて開く。メニューはこうして心の中で呟くだけで、目の前にパネルとして飛び出してくる。他の人には見えず自分にしか見えない。
腕を動かし、タッチする。何故か空中に浮かんでいるのに感触があるのは今でも慣れない。科学の力ってすげー!
そのメニューからメッセージ欄を見る。ここはフレンドからのメールや、運営からの連絡が来る場所だ。
“運営”と書かれた場所をタッチして、今し方来たメッセージを見た。
「Bブロックか…………げっ」
「ん?どうかしたんですか?」
「一戦目から、こいつってキツイ……」
うわぁーと落ち込みしゃがみ込む俺を心配するように覗き込むアカツキ。しゃがみ込んでこちらを見る姿は親のようだが、生憎俺の方が年上である。
「個人ランキング、6位のやつと当たった」
「不運にも程がありますね、ぶふっ」
「今、笑うところか!?」
長年やっている俺ですら、100位である。何万人という中からこの数値は凄い方だと自負しているが、10位以内となると廃人、課金者であることには間違いない。ちっくしょ。
課金はアイテムを購入するときにたまに必要である。あとはガチャだろうか?
パートナーは幾つでも持つ事が可能で、その中から好きなのを選び育てる。何回も戦いレベルを上げることによって強くなるのだが、何回も変えていたら強くはならない。しかしだ、ガチャなどで反則的にレベルを1上げれるアイテムもある。まぁその場合、同レベルと当たればアイテムを使った方が弱く負けるが。
あとはドーピングアイテム。それを使い育てれば、普通よりも早く強くなる。
「まぁ取り敢えず、頑張るけど。一回戦敗退は嫌だからな」
「敗者復活戦があるかもしれないですよ?」
「ないと知っていながら、それを言うのは何なんだろうか」
ったく、こいつの性格はどうにかならんのか。からかうにも程がある。
試合はAブロックからGブロックまである。多すぎなのだが、休日なのでこれぐらいだろう。
土曜日は元々休日ではないのに、何故休日になってしまったのか。学生の頃は嬉しかったが、休日でも仕事がある日を考えると学生が恨めかしい。
「君が、はんてん?」
むむっ?何か呼ばれたぞ?
後ろから呼ばれるのが多い日らしい。振り返ると、やはりというか俺より高身長であり、メガネをクイっと上げる姿はキザったらしい。
このメガネのパートナーは優雅に立っている。その姿はわかってはいるが、やはり美しい。風も吹いていないのに揺れるそれは何なの。
と言うかデカイ、怖い。
「そうだけど?」
「ハッ。弱そうだね。一戦目の相手だからって見に来なくてよかったかも」
「……俺のパートナーで判断しただろ、お前。どれも力は一律だって知らないのか?」
「知っているさ。だけど、レベルが違えば力も違う。生憎、僕のパートナーの方がレベルが上だからね、弱そうだと言ったんだ」
「…………」
その傲慢な態度は直せないのか。
ちっくしょ、メガネでイケメンのせいで似合っているのだからしょうがない。現実で見れば多分俺は殴っていたかもしれない。
つまりは、こいつは個人ランキング6位のアマノか。絶対苗字だろ、そうだろ。特定してやろうか?
黙ってはいるが、腸煮え繰りかえっている。絶対ボコボコにしてやろう。
じゃぁね、とまたもやパートナーと共に優雅に去っていく姿にはもう見惚れない。その後ろ姿を睨む。肩に乗っているパートナーの頬からバチバチと何か出ているがこれはご愛嬌だろう。痛みは感じないので良しとしよう。
「ちょ、はんてんさん、抑えて抑えて」
「……わかってるよ……あ"ぁー、相性とかないのが辛い。あいつなんか“こうかは ばつぐんだ!”なのに!!」
「しょうがないですよ、こういう仕様なんですから」
隣でため息を吐きながらそう言うアカツキ。ここで殴りかかっていっても、ペナルティが課せられ一ヶ月は大会に出られなくなる。決闘なら別なんだけどな。
とにかく!あいつをボコボコにしてやる!俺の技術を総始動で!!
そう決意しながら、時間まで余裕があるため作戦を練る事にした。
『さて!やってきた本大会ですが、ずばり!見所の試合はどれでしょう?』
『そうですね、やはりBブロックのはんてんさんとアマノさんの試合でしょうか』
『なるほど!その理由は?』
『個人ランキング6位のアマノさんに個人ランキング100位のはんてんさんがどう挑むのかが気になりますからね』
『94位も差がある二人ですからね!私個人的にははんてん氏に頑張って貰いたいですー!』
頑張ってー!とヒラヒラ手を振ってくれるMCにテレビ越しではあるが手を振り返しながら、今までの試合状況を確認する。
やはりというか、俺ほどランキングが開いた試合はあまりないらしく、俺たちは余り物だそうな。Bブロックでの、という話だが。
最悪だな、運が悪かった。そう諦める俺ではないが、やはりそう思わずにはいられない。だけど、あいつを一発殴り、さらにはボコボコのコゲコゲにするのだ。運が悪かったなどで、試合を放棄したりはしない。俺は短気なのだ。俺を怒らした報い、受けて貰おうか?
「はんてんさん、入場お願いしまーす」
こういう所は何故か近代的ではないが、慣れた事。多分バトルタワーを模しているのだろう。
ロビーからNPCである係員を通して、ラウンジに通される。そこで寛いでいれば、こうやって声がかけられるのだ。NPCに。よくできている。
ただ、よくできていると言えど、名前の部分を言い換えるだけで他は全て同じ事を喋るのだけど。
ソファーから降りて、テクテクとNPCの係員についていく。
アカツキは今回出ていない。進化後とあって技の勝手がわからんらしく、また草むらへと突っ込んで行った。元気な奴である。
『さぁ!やってきました!Bブロック!最初の試合はー!?』
同じような事しか言えんのか、このMC。
MC達はNPCではなく、プレイヤーである。但し運営に雇われたプレイヤーである。だから、こうやって生き生きと話すし喋る。違う事も話せるのだ。
『お!来ましたよ!何とはんてん氏VSアマノ氏!』
『やっとですか、待ちくたびれました』
まって、なんでこんなにちゅうもくされてるんでせうか。
ただのランキング100位とランキング6位だろ?何処が…………あぁ、そうだ、ランキング6位は滅多に大会に出ないんだ。少なくとも10位以内。
絶対強者である10位以内の人達はこういう大会には出ず、自分達で試合をやっている。つまりは10位以内で決闘だ。出ないとつまらないからだ。
現10位と現11位じゃ壁が大きく、越えられないとも言われている。それだけ実力と課金力が違う。課金者め。
だとしたら、何故だろう。何故こうやって100位でしかない俺のところへ来て、わざわざ煽るような台詞を言って、去って行ったのだろうか。100位の俺なんて取るに足らない相手なのに。
まさか、と思う。全く相手は小細工が好きならしい。
『さて、入場してもらいましょう!まずは個人ランキング6位であり絶対強者の一人、アマノ氏!!』
きゃぁあと黄色い声援が送られる。確かにイケメンで強いという事もあり人気があるのだろう。だが、気づいて欲しい……ここは仮装空間。つまりは偽物の世界なのだ。いや、パートナーが偽物などとは思ってはいないが、あの姿は偽物だろう。俺だってそうだし。
メガネを元の位置に戻して笑うその姿は何処か面白そうだ。横に並び立つあいつのパートナーも優雅に此方を待ち受けている。
『続いては個人ランキング100位!絶対強者にどう挑むのか!注目です!はんてん氏!!』
さぁ行こうか。
強く歩き出し、スタジアム中央に出る。
強い光を浴び、頑張れという声援が送られる。先ほどとは違い男の声が多いのは、多分アマノを気に入らない奴なんだろう。アバターなのだから、現実でもイケメンとは限らないのに……男というものは単純である。
「小細工しなくても全力で向かっていったのに、アマノさん」
「おや、バレてたか。けど事実を言ったまでなんだがね」
「わざととは言え、やっぱムカつくわ。その態度」
黒コゲにしてやろうぜ、と肩に乗っているパートナーに言えば、ピカッ!という元気な返事が返ってきた。
その様子を見ていたアマノが薄く笑いながら自分のパートナーを撫でる。
「仮装空間とは言え、パートナーと意思疎通できるのは魅力的だよね」
「まぁな、俺もこれ目当てで買ったぐらいだし」
二人して笑うと、先にアマノの横に立っていたパートナーが紫色の毛並みを風に揺らしながら、フィールドへと降り立った。
「スマートに勝とうじゃないか、スイクン」
「クォオオオオオン」
高らかな遠吠え。
さすが伝説のポケモンとあって、美しい。レベルは27。明らかなトッププレイヤーであることを示す数値。
手強い相手。だが、俺もただでは負けない。
「行こう、ピカチュウ」
「ピッカァ!!」
共鳴石が見守るこのスタジアムで、絶対に勝ってやろうではないか。絶対強者なぞに負けては無課金者の名が廃る。
バトルグラスを起動させ、前を見る。アマノも此方を見ていた。
『Bブロック!第一試合!開始です!!』
まずは、その余裕そうな笑みを崩させてやろうか!なぁ!相棒!!
大会、ブロック云々はSAOのGGOを参考にさせていただいて貰いました。
キャラ達の見た目はご想像にお任せします。
ポッ拳を題材にした作品がなかったのと、20周年ということで書こう!となりまして、そんな次第でございます。
固いね、もっとラフに行こう。
初代VC版が出るということで買ったんですが。あ、黄版です。ピジョンがレベル27になっても、かぜおこしとでんこうせっかとふきとばし以外を覚えてくれないので四苦八苦してます。だからってスイクンをレベル27にしたわけではないですよ?トッププレイヤーってそれぐらいかなぁー?という事でつけたんです!
まぁそういう事で!ポケモン20周年おめでとうございます!!!!!!(3回目)