◆それは生きている   作:まほれべぜろ

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序盤の分裂変異種は脅威

 (フゥハハハハハハハハ!混沌属性の追加攻撃ゲットォ!これでまた俺が最強になってしまったなぁ!)

 「剣さん、それはいいですけどまだ戦闘中ですよぉ。この状況、何とかならないんですかあ…」

 (そんなこと言ったって、これ多分無理だぞ。だからやめておけと言ったのに)

 

 今俺達は、パルミア近郊にある難度7相当のネフィアの、最深部でネフィアのボスと戦闘中である。

 まず、ここに至るまでの経緯について話すとしよう。

 

 つい最近、ネフィア巡りの甲斐あってオーディのレベルが6に上がり、半分通っているカオスシェイプの血の影響か、新しい腕が右腕の後ろ辺りから生えてきた。

 この腕だが、別にゲームの時のように、腕だけだから籠手しか装備できない、手だけだから、剣や盾しか装備できないとかではなく、普通に腕である。なので当然装備も、普通の腕と同じようにつけることができる。

 

 オーディは、細部はともかく体格的には、通常の人間とほぼ同じだった。

 それがこの変化によって、単純に手が他の人間より二つ多い、より戦いに向いた身体になった、と言えるだろう。

 新しく生えた腕に、店で買った硝子製の盾を装備し、オーディは単純にレベルが上がったよりも、大きな戦力強化をした(当然籠手も買っているが、ゲームとは違いこっちはそこまで戦力強化にはならない、盾に比べると、腕の部位が戦闘で役に立つことは、それほどないためだ)。

 それで、これでどれくらい強くなれているのか見るため、少し難易度高めのネフィアに挑んでみよう、という話になったのだ。

 

 挑んだネフィアだが、それ自体は3階層と浅く、道中の敵も強力な装備で身を固めたオーディの敵ではなかった。

 ただ、今俺達が相対しているボスが厄介に過ぎたのだ。今、俺達の視界を”埋め尽くしている”ボスが。

 

 「レ、レベル9の変異種バブル固すぎますよぉ!斬っても斬っても増えて、キリがありません……」

 (もう撤退したらどうだ?階段に陣取ってるからいつでも退けるとはいえ、これ以上粘っても回復薬の無駄遣いだと思うんだが)

 「でもでも、これだけ頑張ったのに途中で辞めちゃうなんてもったいないですよ!敵の攻撃事態は弱いからダメージは大したことないし、なんとかなるかもしれません」

 (まあ、俺は敵の血吸い放題だからいいんだけどよ。久しぶりに俺もレベルアップできたくらいだからな)

 「そうですよ。剣さんも強くなったし、これならいけるかもしれません!」

 (だといいがねぇ)

 

 オーディはまだまだやる気のようだが、正直俺はもう無理な気がしている。

 すでに重症治癒のポーションを5服も飲んでいるのに、バブル達は減る気配を見せないのだ。

 奴等は攻撃されることで、自分の体力やステータス等をコピーした分体を生み出す力を持っている。

 普段だったら、ごり押しで処理するか放置すればいいのだが、ダンジョンのボスとして出現し、驚異的体力を持って生まれてきたので、そうもいかなくなった。

 今のオーディでは攻撃力が足りず、敵を倒す速度が、敵が増える速度に追いついていないのだ。

 だが、奴を倒さなければ、奴が守るこのネフィアに眠る財宝は手に入らない。

 

 で、オーディは躍起になって奴らを倒そうとしているわけだ。

 俺の方は、まず倒し切れないだろうと一目見た段階から判断していた。

 だから戦わずにさっさと帰ることを提案したのだが、スムーズに此処まで到達し高揚していたオーディは、取りあえず戦ってみたいと言う。

 そこで俺は、階段近くで深入りせずに、すぐ逃げれる状況を保ちながら戦う作戦を提案し、オーディもそれを受け入れた。

 結果としては、想定通りにバブルは倒し切れず分裂し続け、

 此処まで進んだ未練を断てないオーディは、ズルズルとポーションを浪費し、

 何故か俺がレベルアップを果たす、という状況に至ったのだ。

 

 幸いなのは、バブル達の攻撃力はさほど高く無い事か。

 一つ2000gp程の、店売りの中ではまあまあ高めの装備達で身を包み、俺を持つ手を除いた両手で計三つの盾を持ち、さらに俺のエンチャントで耐久の上がったオーディは、変異種とは言えバブル程度の攻撃ではビクともしない。

 少しくらい事故って大ダメージを喰らったとしても平気だろうし、回復薬の供給さえあればいつまでも戦い続けられるだろう。

 

 

 

 まあ、その分引き時を見失って、どんどん無駄になりそうな回復薬の出費が増えて行っているわけだが。

 

 「あ、今剣さんの混沌属性の追加攻撃出ましたね!当たったバブルが眠りだしました」

 (一匹眠らせても焼け石に水だけどな。追加ダメージの方はおいしいけど)

 「うーん、なんかこう、混沌ー!って感じで、意図して追加攻撃を出す事とかできないんですか?」

 

 ふむ、生きている武器のランダム発動の追加攻撃を、俺の意志で毎回発動するという事か。考えたこともなかったな。

 

 (やってみたことないな。ほっといてもたまに効果が発動するから、そういうもんだと思ってたし。ふむ、でも面白そうだし、ちょっとやってみるか)

 「できたら大幅戦力アップですよ!頑張ってくださいね」

 (おうよ)

 

 つーてもこんなことやったことないし、如何すればいいのかとか分からんな。

 とりあえずオーディが斬る時に気合入れてみるか。

 

 「やー!」

 (ぬぉぉぉぉおう!)

 「てー!」

 (どぅおおおおぃ!)

 「……たー!」

 (しぇえやぁああ!)

 

 「剣さんその掛け声何とかなりませんか」

 (んー?気合入れてみたら、追加攻撃出るかと思ったんだが)

 「それはいいんですけど、何だか気が抜けるというか、追加攻撃も出てませんし」

 (そうだよなー、俺も全然これで出る気してこないし)

 「じゃあやめましょう。私その掛け声を聞きながら、戦いに集中できる気がしません」

 

 そういうオーディの顔は、どこまでも真顔だった。

 そこまで言うのならばやめておくとしよう。だが、そうなるとどうすればいい物だろうか。

 

 戦局の方は相も変わらず膠着状態、斬れば一匹敵が死に、斬れば一匹敵が増えるの繰り返しだ。

 試し切りには事欠かない状況だが、何のアイデアも浮かんでは来ない。

 

 いや!ここで諦めてはならない、考えるんだ俺!

 これは、憧れていた異世界オレTUEEEへの偉大なる1歩じゃないか。

 世界にたった一つの意志を持つ武器、その能力は剣身に秘められた力を自在に引き出す事!

 これは俺の時代来ますね、間違いない。完全に最強モノ二次創作ですわ。

 

 まずは、普段追加攻撃が出るときの事を思い出してみるか。

 あー、なんかあれだな。どっかから力の源みたいなのが出て来て、何か属性要素に体内で変わって剣身に行きわたり、その後斬る相手の所に流れ込んでいく感じ。

 まだ回数こなしてないから微妙だけど、多分混沌属性の方も同じような感じな気がする。

 だとすると、あのどこから来てるか分からない属性攻撃の源を、なんとか持って来てみれれば何とかなる公算が高いか。

 

 

 

 詰んでね?

 

 いやいや、まだ諦めるには早いだろう。

 こう、なんだかんだであの力をどうにかこうにか応用すれば、いい感じにうんぬんかんぬんなるかもだし。

 まずはMEISOUだな、この世界にはMPを回復する手段だし、何か分かるかもしれん。

 

 (オーディ、俺色々と試してみるから、しばらく戦闘の方まで集中してられん。もし必要になったら改めて呼んでくれ)

 「わかりました、頑張ってくださいね」

 

 ふむ、まずは目を閉じて考えよう。

 剣だから目なんかないけど、気持ちの問題だ。視覚を意識するのをやめて、自分の内に籠る。

 同じように、聴覚も触覚も嗅覚もいらない、五感に関係のない無の世界で力を感じるのだ。

 

 む?今あの力が流れ込んできたな、恐らく追加攻撃がオーディの方で発動したのだろう。

 丁度いいタイミングだった、普段はあまり意識していなかったが、これで力の源ってやつの感覚を、はっきり感じることができた。

 それは、自分の身体に急にポッと出てきたものではなかった。

 明らかに自分の周囲から流れ込んできて、身体の中で属性攻撃の力に代わって出て行っていた。

 この世界に詳しくない俺には、空気中に潜むマナの力か、はたまた天上にいる神々の恩恵の力なのかは分からない、しかしどこからか持って来ていたことは確かだ。

 ならば、意図的にその力を取り込むことができれば、これから使いたいときにあの力が使えるかもしれない。

 

 しかし、肝心の取り込み方が分からないんだよなあ。さっきからMEISOUは続けてるが、特に力の在処とかが分かってくる感じはしないし。

 やはり一朝一夕で身に付くものではないのだろうか、だとしてもとりあえず、今は続けてみるけれども。

 

 「剣さんどうですか~?」

 (お前、人が集中してるときに…。とりあえずやってみてるけど、上手くいかんな。とりあえずそっちはそっちでやっておいてくれ)

 

 

 

 そこでこう、大地を感じて、大空と一体に……ダメか。

 じゃあ、とにかくあの由来不明の力の感覚を思い出して、吸いこみ続ける感じで……!?

 

 来る、何かが来る感覚を感じる。

 これを引き込めれば、自在に追加攻撃を操ることができるという確信がある!

 焦るんじゃあないッ、転生オリ主は焦らない。

 確実に、この力を引き出すのだ。いい、いいぞ、この感触だ。

 あの力が俺の中に入ってきている。

 これで俺は自由自在に追加攻撃を行える、ただ一つの生きている武器!

 つまりすべての生き武器を超えたの「剣さん剣さん!ものすごい勢いで生き血を吸われて死にそうです!」

 ……あれ?

 

 

 

 

 

 どうやら、俺が取りこもうとしていたのは、オーディの生き血のようだった。

 とは言っても、流石にただ生き血をいつものように飲んでいただけ、という訳ではない。

 そのあと試したのだが、取り込んだ生き血を、神経追加攻撃の時を思い出しながら、同じ要領で身体に行きわたらせた結果。次の斬撃には神経属性が乗った形跡があった。

 混沌属性も同様である、試す度にオーディの生き血を、一回の血吸いと同じ分くらい吸い取る必要があったが。

 

 しかし、それでも十分使い道はあった。

 今俺達は、全ての攻撃を属性追加攻撃で行うことによって、攻撃で増えるバブル達を必要以上に増やすことなく、確実に始末しているところだ。

 防御に専念する時間を取って、身体の回復を待ちながら戦わなければならない為、半日以上の時間がかかった。

 そしてその甲斐あって、バブル達の数はどうにかあと4匹と言う所まで減ってきている。

 

 オーディから吸った生き血に、あの追加攻撃が発動する力の源と、同じ成分が入っているのか、

 それとも純粋に、生き血そのものが力の代用品となるのかは分からない。

 だが代償付とは言え、俺が使いたいときに追加攻撃を使えるようになったのは確かだ。

 わざわざ血吸い一回分の体力を使ってまで、今後も使っていく機会があるのかは知らんが。

 

 「よ、ようやく終わりそうですね。長い戦いでした。」

 (おう、一時は地面が見えない位バブルが繁殖してたからな。良くここまで倒せたもんだ)

 「私から言い出したとはいえ、流石に半分くらいでキツくなってきましたよ」

 (ああ、回復が無かったら20回は干からびるくらいには、血液吸わせて貰ったからな、回復薬もほとんど使い切ったし。だが、後はこいつらを潰せばこのネフィアの攻略は完了だ)

 「はい!お願いします、剣さん」

 

 オーディに言われ、俺は装備者との結びつきを利用して生き血を取り込む。

 中々に美味いが、今はそれを気にしている場合ではない、集中しなければ失敗するかもしれん。

 取り込んだ血液を、神経属性へと変えていく。混沌属性ではだめだ、仕留め損ねた時、毒のダメージで分裂してしまう可能性がある。

 ……途中で1回やっちゃったから、もう同じことはしない。

 

 最期に、剣身の隅々までその力を行きわたらせる。

 

 (今だ、オーディ)

 「てやぁーー!」

 

 オーディの攻撃を受けたバブルは、神経を蝕まれ激しく体を振動させながら息絶えた。

 これで残りは3匹、我ながらこの火力を出せるのは魅力的だ。

 しかしこの技だが、使いどころも一寸難しい。

 というのも、剣身に力を行きわたらせてからしばらくすると、どんどん属性攻撃の力が薄まっていくのだ。

 相手が動きが遅く、碌に回避もしないバブルだからいいものの、人型だったりの敵を相手にしたときは、効果が切れる前に、無理攻めをしなくてはならなくなる。

 これもこの力が使いにくくなる要素の一つと言えよう。

 

 

 

 ここまで使いにくいと、なんか素直に喜びにくいな。

 

 「あと少し……またちょっと回復しないと」

 (焦るなよオーディ、正直ここまでうまくいくとは思わんかった。ここはしっかり決めて大金星と行こうじゃないか)

 「はい、数が減って相手の攻撃もゆるくなってきたし、ゆっくり回復しますね」

 (普段なら、油断するなっていうところだが、相手バブルだからなあ)

 

 正直俺も、もうここまで来たら負けはないだろうと思う。

 あいつら大体の攻撃が体当りみたいなもんだもん。

 数が増える特性さえ封殺すれば、全く負ける要素が無いわ。

 

 (逆に、増える特性を封殺しないと確実に詰むけどな、ということでこっからも全部属性追加攻撃で行くから)

 「うう、あれいくらやっても慣れないんですよね。体中から血が抜けていくのがぞーってなって」

 

 知らん、そんなことは俺の管轄外だ。

 

 

 

 「これで、終わりぃ!」

 

 オーディの叫び声とともに、振り下ろした剣がバブルを切り裂く。

 どうやら当たり所が良かったようで、追加攻撃がその効果を発揮するまでもなく、バブルはミンチになって息絶えた。

 

 「やりました!私たちの勝ちです」

 (ああ、長く苦しい戦いだった、主にオーディが)

 

 ようやっと戦いが終わったことに、オーディが体全体で跳ねまわって喜びを露わにする。

 無理もないだろうな、半日近く血を吸われ続けていたわけだから。

 

 「あ、ネフィアのボスを倒したから、お宝が出てきましたね」

 (これどういう仕組みなのかマジで気になるわ)

 

 バブルを倒したことで、オーディの目の前に急に宝箱が現れる。

 一説には、あのボスモンスター達はネフィアという宝物庫のカギのような存在で、それを倒すことで仕舞われていた宝が出てくると言われているそうだが、真実は未だ明らかになっていない。

 

 「気にしても、わからない物はわからないですよ。さあ、宝箱を開けましょう!」

 

 オーディはそう言って、宝石細工の美しい宝箱を開く。

 ちなみにこの宝箱だが、宝石は単品では売れない程に小さく、宝箱自体はネフィアでいくらでも見つかる有り触れたものなので、美しくとも高くは売れない。

 

 やはり、重要なのは中身だ。

 さてさて今回の戦利品はっと。

 

 「えーっと、鉄素材の靴が一つに、ザイロンの手袋が一つ、後は2000gpと、鑑定したことが無いポーションが一つ、ですか」

 (ちょっとハズレっぽいな、装備の方が奇跡品だといいんだが)

 「あれだけ頑張ったからもうちょっといいものが出ると嬉しかったんですけどね……」

 (とはいえ、難度7のダンジョンだからな、こんな物だろう。それに、あんな厄介なバブルを倒せるまで行ったんだ。次からは余裕で難度7のダンジョンをクリアできるさ)

 「そうですね。それじゃあ帰還の巻物を読んで、パルミアに行きましょうか。今回の戦利品を鑑定してもらって、ついでにエヘカトル様にお魚も捧げましょう」

 

 

 

 「これが鑑定結果だ、品物はお返しするよ」

 「えと、鉄の重靴は良質、ザイロンの手袋は普通程度の物ですか。後は、ポーションが……せ、潜在能力ですかぁ!?」

 「ああ、買うと40000gpはするらしいな、運が良かったじゃないか」

 

 

 

 あの後オーディはお礼を言って、足早に冒険者ギルドを去り、路地で信じられない物を見る目でポーションを見ていた。

 

 「わわわ、こんな物が手に入るなんて、夢でも見てるんじゃないでしょうか」

 (おっ、確かめてみるか)

 「遠慮しておきます、この前それでどうするんですかって聞いたら、血を吸って来たじゃないですか」

 (痛みがあったら夢じゃないっていうしな)

 「それだったら自分で頬っぺたつねりたいです……」

 

 (しかし、潜在ポーションか、半端ないもんが手に入ったな。エヘ様の運上昇ボーナス半端ないわ)

 「あ、そうですよね!エヘカトル様は幸運を司る女神様だもん、きっとそのおかげです。後で一杯お魚買っていかなくちゃ」

 (そうしとけ、未だオーディの釣りの腕は、エヘ様の献上物を用意できるレベルには至ってないしな)

 「それ今言わなくてもいいじゃないですか!それに、最近は安定してオタマジャクシが釣れるようになったんですよ!」

 (前から言おうと思ってたんだが、オタマジャクシって魚に入るのか?)

 「……エ、エヘカトル様は魚だって喜んでたし」

 (タラバガニを魚と呼ぶ方の意見を参考にされても……)

 

 目を逸らしながら強がってみているオーディはスルーして、俺達はひとまず魚屋を経由して教会に向かうことにした。

 

 「ふう、これで捧げ物は終わりましたね」

 (そうだ、オーディ。確かお前この前のネフィア潜りで、水拾ってたよな。訳は後で話すから、フィーヌに祭壇の前に、その水を供えさせて貰えないか聞いてみろ)

 「え?えっと、フィーヌさん、祭壇の前に水を置かせてもらってもよろしいですか?」

 「祝福ですね、もちろんよろしいですよ」

 

 オーディは何が何だかわからない様子だったが、俺とフィーヌに促され、バックパックから水を取り出して祭壇の前に置く。

 すると、にわかに祭壇に置いた水が白く輝きだした。

 輝きは数秒すると収まったが、恐らくこれで目的は果たせただろう。

 

 「ご利用ありがとうございました、またのお越しをお待ちしていますね」

 「は、はい、こちらこそありがとうございました」

 

 フィーヌの柔和な笑顔に見送られ、俺達は教会を後にする。

 

 

 

 しばらく歩き、人通りの少ない路地に入ると、オーディが話しかけてきた。

 

 「剣さん、さっきのは一体何だったんですか?人がいる所だったから、大っぴらに聞けませんでしたけど」

 (自分の信じている神の祭壇の前に水を置くと、その水を祝福することができるんだ。祝福された水を何かに混ぜると、その何かを祝福することができるからな。折角だから、潜在ポーションを祝福すればいいと思ったのさ)

 

 そういうと、オーディは合点が言った様子と驚いた様子を、器用にも同時に表情に浮かばせた。

 

 「へええ、初めて知りました。あ、それじゃあ剣さんに混ぜたら、剣さんの呪いが解けて祝福されるんじゃないですか?」

 

 ……その発想は無かった!というか、正直自分が呪われてること忘れかけてた!

 

 (なるほど、それもそうだな、自分では思いつかなかった。もし上手くいけば、血吸いがある程度軽くなるかもしれん)

 「じゃあ、早速やってみましょうよ!血吸いが軽くなれば、潜在のポーションよりもずっと冒険に役立ちそうです。」

 (ああ、そうするとしよう)

 

 オーディはバックパックから先ほど祝福した水を取り出すと、少しずつ俺にかけ始めた。

 ふむ、確かに何か来ているな。なんだか、あったかい感じが……って熱ッ!熱ィッ!焼ける、俺が焼ける!

 

 (うおぉぉらっしゃあああああああああ!)

 「ふぎゃあああああ!?」

 

 お、思わず思いっきり血吸いをしてしまった。

 いや、あれはあれで正しかったと思う。

 思いっきり血を吸われたオーディが倒れたおかげで、残った祝福された水は地面へ飛び散り、俺にかからずに済んだ。

 

 あのままかけられ続けていたら、最悪の場合俺の自我が消えたりしていたかもしれん。

 もしかして、俺の意志持ちエンチャント関連って、呪いという扱い何だろうか?

 もしそうだったりしたら、安易に呪いを解いたりということはできんな。

 

 「け、剣さん!いきなりビックリするじゃないですか!どうして血吸いしたんですか?」

 (すまんすまん、だがかなりやばい状況だったんでな)

 

 俺は、今どういう事が起こったのかと、それに対する俺の考えについてオーディに話した。

 

 「なるほど、すると剣さんの意志が消えてしまう可能性がありますから、解呪だとかは気を付けないとですね」

 (ああ、別に大丈夫かもしれんが、出来れば危ない橋は渡りたくない)

 

 どうなるか全く見当がつかないからな、血吸いを消すためだけに俺が消えたとしたら割に合わん。

 

 「それにしても、折角の祝福された水が、飛び散って無駄になっちゃいましたね。あ!もちろん、剣さんがやったことにどうこう言っているわけじゃないですよ!」

 (ああ、分かってる分かってる。それなら、今から水を買いに行ってもう一度祝福するか。多分それだけの価値はあるだろう)

 

 その後、俺達はパルミアにある魔法屋関連の店をハシゴし、3件目でようやっと水を手に入れることができた。

 教会では本日2度目の来訪に少しフィーヌが不思議そうな顔をしたが、無事潜在ポーションの祝福に成功したのである。

 

 ちなみに、祝福潜在ポーションは18000gpで売れました、美味しかったです。

 自分で飲んで、今後の伸び白を確保しなかったのかって?オーディの強さで、そんなことにまで気を回している暇ないから(真顔)。


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