蒼の彼方のフォーリズム 天才の二人のその後   作:蒼空

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始めまして、Vita版あおかな、みさきendのその後として書かせていただきます。
詳しいキャラ詳細や物語の設定は、書いていないので、わかる人でないと分からないです。
ですが、話自体は、知らない人でも楽しんでもらえるように書いていこうと思いますので、読んでくださると幸いです。


「明日の練習は中止にする」

今年の夏に開催されるFCの大会は、俺達三年生にとって高校最後のFCになる。

当然みんなのやる気もいつもとは違う。

とてもやる気に満ち溢れていた。

 

「―――それじゃ、みんな降りてきてくれ」

 

ヘッドマイクから、正四角形のブイを周回していたみんなが、「了解」と一言言って降りてくる。

 

「晶也さん、どうしたんですか?」

「部活を終わるには、まだ少し早いよね?」

「暑さで頭でもやられたんですか?」

 

明日香、みさき、真白の順で、それぞれ窓果からドリンクを受け取りながら、言いたいことを言っている。

明日香とみさきに関してはいいのだが・・・・・・。

 

「いや、別に頭はやってないからな、正常だからな?」

「頭ってことは、他はどこかやられたんです―――?」

「あー、明日の練習についてだが」

 

面倒だから、スルーしとく。

 

「なんで無視するんですか!」

「明日の練習は中止にする」

 

俺がそう言うと、俺と窓果を除く全員が、不満げな様子だ。

 

「ちょっと晶也ー、ここにきてサドッぷりを表に出すの? 空気読んでよー」

「今休んじゃっていいんですか? 夏の大会まで、あと三週間ですよ?」

「怠けてる暇なんてないんじゃないですか?」

「そのことなんだけど、最近みんな頑張りすぎだ。特にみさきと明日香は、一度しっかりと休んだほうがいい」

 

最近の練習を見る限り、二人は異常な程熱心になりすぎている。

こういう時に無理して練習をしていたら、いくら心身ともに元気でも、どこかでその頑張りが空回りして怪我をするかもしれない。

 

「・・・わかりました」

「いやっ! だって今年で最後なんだよ!」

 

明日香はすぐに納得してくれたが、みさきは休む気はないらしい。

まぁみさきのことだから、それくらいは駄々をこねてくると思っていたけど―――。

 

「だからって、無理して練習して怪我でもしたら意味がないだろ?」

「大丈夫だって! 私が怪我をするように見える?」

「見える」

 

答えは即答だった。

みさきのがんばりは、時に自分を傷つけるかもしれない。

それが、心の場合だったり、外傷的なものだったりする。

だから、今ここで無理に練習させたらダメなんだ。

 

「真白は当然、私が怪我したりしないってわかるわよねー?」

「はい! みさき先輩なら怪我なんてしません!」

「そこ普通は止めろよ!」

 

みさきの事を本当に思っているのなら、止めてほしいものだ。

 

「とにかく、明日の連中は休みだ。あとみさき、あとで話したいことあるから、着替えたらそこの停留所に来てくれ」

「え? あ、はー。うん、わかった~」

 

短いため息の後に、罰の悪そうな顔で返事をした。

たぶん怒られると思ってるんだろう。

実際は明日行く場所について話そうと思ってるんだけどな。

 

 

 

 

明日香と真白は先に着替えて、マイペースなみさきは、少しあとから来た。

 

「あれ、みんなはどうしたの?」

「先に帰ってもらった。全員の前で話すような内容じゃないしな」

 

俺が停留所からグラシュの電源を入れ、起動キーを言って飛ぶと、みさきもあとをついてくる。

 

「なんで少し後ろを飛んでるんだ?」

「いやー。隣に並んだら、今日のことでお説教タイムでも始まるのかにゃって・・・・・違った?」

「違う。何も言わないから、隣に来てくれ、話にくい」

 

そう言うとみさきは、少し表情を和らげて、俺の隣に並ぶ。

 

「なぁ。俺の練習って、キツイか?」

「キツイよー、開始五分でやめたいくらい」

「・・・それはみさき個人の意見じゃないか?」

 

そうツッコンでやると、次にはしっかりとした回答が帰ってくる。

 

「・・・・・・冗談。今の私たちには、丁度いいくらいかな、真白もついてこれてるみたいだし」

「・・・・・・そうか」

 

真白も、去年の秋大会が終わる頃には夏と比べるとはるかにレベルが違う。

それこそ、俺が真白と、単純なスピーダー勝負をしたなら、負けてしまうかもしれないほどに。

・・・しばし、沈黙が落とすれた。

 

「そんな話のために私を呼んだの?」

「いや、本当は違う。・・・・・・明日福瑠島で夏祭りがあるみたいなんだ、それに行かないか?」

「・・・晶也ー、まさかそのために休みにしたの?」

 

俺の意見を聞くなり、みさきは呆れたような目で俺を見ている。

当然ただお祭りに行きたいために休みにしたわいけじゃない―――が

 

「それもあるかな」

「まさか晶也の口からそんな言葉が出るなんて、思っても見なかったにゃー、でもでもー、それって晶也にデートに誘われてるわけでしょ?」

「まぁ、そうなるな」

 

俺の返事を聞くなり、みさきのテンションはかなり上がった。

 

「もういっそみんなには「俺はみさきとデートに行く!だから明日の練習は中止だ!」とか言ってかっこよく決めてくれたら、かっこいいのににゃ~」

「さすがにそれはヤバいって」

 

主に葵先生にはなんて言われるか・・・。

それこそ今度こそコーチ解任になりかねない。

 

「でも私は~、そんな晶也でも・・・す、すすっ・・・・・・すーっ!」

「おい、無理しなくてもいいぞ」

 

相変わらず、「好き」とかそういう言葉を、すんなりと言えない。

普段気にしてないときはバンバン言ってるのに、そう言う雰囲気や、本気の意味になると、いまだに羞恥心の方が勝つらしい。

一度言ってしまえば問題ないのにな。

 

「うー!今だにしっかりはっきりと。大事なところで昌也に言いたいこと言えないのがくーやーしーいー!」

 

みさきは悔しさのあまり、手をぶんぶん振って暴れ出した

 

「お、おい。暴れないでくれ、当たるじゃないか!」

「晶也なら当たってもすぐにフォローできるでしょ?」

「いやそうだけど・・・あっ・・・」

 

暴れるみさきをおとなしくする方法が思い浮かんだ。

本当はこれはやってはいけないが、まぁ、大丈夫だろう。

俺自身、そうして見たいのもある。

 

「みさき、ちょっとこっち来てくれ」

「え?うん」

 

そして俺は手を広げ、みさきのメンブレンが俺のメンブレンに触れないギリギリで包む。

みさきは俺が何をしたいのか分からないような、文字とおり飼い主の行動を不思議そうに見ている子猫のように見ている。

 

「みさき、フォールって言ってくれ」

「え。・・・ええ?何言ってるの? おまわりさーん、彼氏さんが私を海へ落とそうとしてまーす!」

「違う! 俺がしっかりと受け止めるから。それに下は海だから大丈夫だ」

「失敗前提!?」

 

からかっているのか、照れ隠しなのか、なかなかフォールと言おうとしない。

恐怖心は・・・たぶんないな。

 

「大丈夫だ、俺を信じろ」

「うん・・・すー、はー・・・落ちるにゃん」

 

みさきは、一度深呼吸して気持ちを整えてから、去年の夏に受けた落下訓練の後に変えた、グラシュの解除キーを唱えた。

いつもの飛ぶ時とは違い、さらに落ちそうな解除キーだ。

実際に落ちるって言っているけど・・・。

 

「わっ!・・・っとと、ふう」

「・・・・・・よかった~落とされるのかと思ったー」

 

俺はスタンバイしていた手で、すぐにみさきの腕をつかんで、空中で受け止めた。

その時に少しバランスを崩したが、どうにか持ち直せた。

 

「それで?この後はどうしたいの?」

「手を繋いで飛んで帰ろう、送るよ」

 

俺はつかんでいた腕は、みさきの二の腕から片手を離し、片手をみさきと繋いだ。

 

「・・・っ! うー! うーっ!」

「ど、どうした?」

 

繋いだまま、目をギュっと瞑り、猫が出すような声(?)で唸るみさきに聞いてみる。

 

「こ、こうして、晶也と手を繋いでるのが、すっごい幸せだなって思って」

「それ、ひどいこと言うと、いまさら? って感じなんだけど・・・」

「違うよ、今までも同じ感情抱いてたけど、今回は空だし、なんか、ロマンチックだなって」

 

そう言うと、俺の手の感触をもっと感じたいと言っているかのように、そっと握る力を強くした。

 

そのあとは、みさきを家まで送り明日の時間などを確かめ合い、みさきに遠まわしに迫られたキスを交わし、お互いに変な感情を抱きだしたため、理性が保てるうちに、その日は急いだ別れた。




読んでくださってありがとうございます。
今後不定期投稿となりますが、失踪などということはないので、気長に待っていただけると嬉しいです。
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