蒼の彼方のフォーリズム 天才の二人のその後   作:蒼空

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次話です!
みさき成分多めです!


「二ヒヒ~そんなに顔を真っ赤にしてどうしたのかな? 晶也くんっ」

観客の熱気は最高潮に達し、試合は終了した。

 

「やりました! やりましたよー!」

 

乾さんが試合中にバランサーの完全開放をしたときは驚いた。

その乾さんの強さに、明日香は一時はどうなるかと思ったが、延長戦になった時にグラシュのバランサーのオールカットを成功させ、乾に勝つことができた。

あんな飛び方、俺は見たことない。

もしかしたら俺は、真藤先輩が言っていた、FCが変わる瞬間に出くわしたのかもしれない。

 

「あ、明日香大丈夫?!」

 

体力を使い切った明日香を、みさきが肩を貸し、支えながらテントまで歩いてくる。

明日香の周りには、自然と真白達もついている。

 

「大丈夫か明日香」

 

俺は疲れきった明日香を心配して、声をかけた。

 

「はい・・・大丈夫です~」

「今日は一日お疲れ様、明日は試合がないから、ゆっくり休んでくれ」

「はい、そうしますね、あははは」

 

明日香はこんな状態なのにも関わらず、笑ってみせた。

 

「明日香はすごいなーもー!」

 

そういってみさきは、明日香の髪を少しクシャクシャっとする。

きっとみさきはただ正直に、そう心から思っているんだと思う。

羨ましいとか、負けたくないとか、そんなんじゃなくて、同じ久奈浜の部員として・・・・・・。

 

 

 

 

今日は佐藤院さんから明日香へのお祝いも兼ねて、みんなで高藤の食堂でお祝いパーティをしたいと誘われ、先生方も含めてみんなで夕食を食べた。

夕食の頃には明日香もいつも通り元気になり、高藤や部員のみんなと楽しそうに夕食を食べていた。

それともう一つ、前日に佐藤院さんから着替えを持ってくるようにと言われていたが、やっとその意味がわかった。

なんと、高藤の体育館と宿舎を使って、泊まっていってもいいと言われた。

体育館は練習に使っていいと言われた。

 

「日向! これなら今年も優勝間違いないな!」

「それはまだわからないですが・・・優勝してみせます」

 

今はもう久奈浜にいない部長だけど、この大会のために、わざわざ来てくれた。

ほんと、部長はこの部のことが好きなんだと、つくづく思う。

 

「それより日向、しっかり筋肉はつけたか、試合は明日だろ? 筋肉なくて、スピードと勝利はないぞ!」

「あ、はい、それに関しては、部長に言われた通りのメニューは定期的にこなしてますよ。本当にありがとうございます」

「おう! あれぐらいいいってことよ。っとそれもそうだが、鳶沢の方はどうだ? ・・・倉科には勝てそうなのか?」

 

本来どっちも応援して、公平にしている部長が、みさきのことを聞いてきた。

去年一緒に練習しただけあって、部長もそれになりに入れ込んでいるみたいだ。

 

「・・・・・・コーチとして言うなら、決められません。ですが一選手としてなら、勝ちたい。恋人としてなら、勝ってほしい・・・ってところです」

「日向はなかなか複雑なところにいるわけだ・・・・・・自分の気持ちに負けるなよ。潰れそうになっら言ってくれてかまわないぞ、いつでも相談に乗る。」

「はい、ありがとうございます」

 

部長との会話が一通り終わると、スマホにメールが届き、内容を見た。

―――そろそろ私が恋しくなる頃かなーって。

そんな晶也に、お風呂上がりの私を見せてあげる!

会場近くの砂浜のベンチで待ってる。

そんな内容だった。

 

「部長すみません、少し出てきます」

「おう」

 

こんな時間にあんな内容でくるとは、何かほかにもあると思って、俺は足早にみさきの下へ向かった。

 

 

 

 

暗い夜の砂浜を照らす満月の光が、綺麗に海に反射してキラキラしれいる。

 

「あ、いた・・・・・・ベンチで、待ってるって言ってたのに―――」

 

海の方を見上げると、夜空のうす暗いキャンパスに、黄色のラインが引かれている。

 

「みさき、明日は大会なんだから、飛んだらダメだろ?」

 

俺は近所迷惑にならない程度に声を上げて言った。

すると声が届き、みさきが俺に気づいて、慌てて降りてくる。

 

「ごめん、でも飛んでないと気持ちがブレそうでさ」

「気持ちがブレる?」

「そ、明日は晶也とぶつかるかもしれないじゃない? その時に、本気で晶也と飛べるのかなって・・・」

 

みさきは不安な表情で、ベンチに座っている、俺の隣に座る。

 

「本気で試合しないと、相手に失礼だって、去年言ったろ?」

「でも、小さいころだけど、一度晶也は私に負けて、飛ぶのをやめたじゃない? もしまたそんなことになったらって思って・・・考えてたら不安になってきて、聞いておきたかったんだ、本当にもう、そうならないかって」

「大丈夫だ。もう俺は空から逃げない。去年みさきは俺のために飛んでくれた、今度は俺が飛ぶ番だから、みさきも本気で俺を倒しに来てくれて構わないけど・・・・・・」

 

俺も俺で、みさきと同じ心配をしてしまう。

お互い心配性だと思った。

 

「逆にみさきが明日香や俺に負けたら―――」

「ならない!」

 

俺の言葉を悟ったのか、みさきがすぐに返した。

 

「そんなことぜっっったいならない! もう二度と、あんな事にならない、そんなことしたら、私晶也の彼女として居られない気がする・・・・・・」

「それは言いすぎだろ」

「ぜんぜん言いすぎじゃない! そんなの、晶也の苦労と、私への期待を裏切るのと一緒だもん」

 

みさきは俺の手を握って言った。

 

「・・・・・・まったく、俺達二人とも、心配性だな!」

「・・・そうだね、心配しすぎだね」

「晶也!」

 

みさきは立ち上がって俺に言う。

 

「決勝は、私と晶也で、最高のFCをしよう!」

 

みさきは今まで見たこともない決意の込めた瞳で俺を見つめる。

 

「ああ、そうだな」

 

俺は立ち上り、みさきを抱きしめた。

 

「キャっ・・・・・・」

「今は嫌だったか?」

 

急に小さな悲鳴を上げたみさきに、不味かったかもしれないと、内心慌てて聞いた。

 

「ううん、いきなりだったから、ちょっとビックリしただけ、晶也にされるなら、どこでもどんな時でもいいに決まってるで、でも・・・・・・」

「でも?」

 

みさきは何かを堪えるように言っている。

 

「あんまり抱きしめらえていると、そ、その、アレをしたい気分になって・・・・・・」

「キス、するか?」

 

俺がそう聞くと、咄嗟にみさきは離れた。

 

「ダメ! 今はダメ! したいけど、今すると気持ちが揺らいじゃうからダメ!」

 

顔を真っ赤にして、みさきが訴える。

 

「じゃあ大会が終わるまでお預けってことでいいのか?」

「ンーーー! そうやって意地悪言うんだから! ・・・でもそれで・・・・・・いい!」

 

みさきは我慢するように、目をギュっと強く閉じる。

 

「それになんだろ、このお預けって聞いた瞬間に感じた、すごくそそるもの感覚・・・」

 

みさきのMの部分が反応したのか、そんなことを言ってくる。

確か去年、かなりMいとこがあるとか、そんな感じの事を言ってた気がした。

 

「それじゃあ門限近いし、そろそろ戻らないとな。おやすみ」

「そうだね。佐藤院さんに何かされる前に帰らないと・・・おやすみ」

 

そう言ってみさきと別れて、それぞれの宿舎に戻った。

 

 

 

 

―――大会、二日目の部、午前試合。

 

『さあ今年二日目の予選試合が始まります! まずは午前の部からです! この午前の部に選ばれた人は、昨日の部での決勝選手、倉科明日香選手との試合をせず、シード扱いとして、決勝に出てもらいます! そのため午前の部は名高る選手が多く、白熱した試合が見れると期待しています!!』

 

 

昨年と昨日に引き続き、今年も同じ実況担当らしい。

 

「そうういことなんですね、だから今日の試合に皆さんがいたんですね」

 

今の明日香の言い方だと、まるで明日香が弱いみたいな感じになっている。

 

「明日香も当然強いからな。それはコーチとして、俺が保証する。明日香は強いよ」

「そうですか? えへへ、ありがとうございます~」

 

明日香は喜んで受け入れてくれた。

自分の力を受け入れられたのが、よっぽど嬉しかったのだろう。

 

「私、晶也さんと一緒に飛んでみたいです!」

「そんなの、いつも飛んでるじゃないか」

「そうじゃなくて、FCの選手として復帰した晶也さんと、私全力で飛んでみたいです!」

 

明日香も昨日のみさきのように、見たこともない決意で俺を見つめる。

 

「ああ、決勝で当たったら、一緒に飛ぼう」

「はい!」

「あ、晶也さん、午前の部が始まるみたいですよ!」

 

俺と明日香が話していると、午前の部の最初の試合の選手が呼ばれていた―――。

 

 

 

 

 

第一試合を無事クリアした俺は、次の試合まで他の選手の試合をみている。

そして第二試合は佐藤院さんが勝ったため、トーナメント形式通りで行くと、次は俺の次の相手は、佐藤院さんだ。

そして今更ながら考えた。

今年の試合は少し特殊だ。

一日目に一人、決勝者を出し、次の日に午前と午後にわけて、午前が本線決勝のシード権獲得、午後が前日の決勝者と試合をして、勝っ方が午前決勝者と試合。

でもこうすつことで、弱い選手が強い選手と当たりにくくなり、大番狂わせとかを、起こし安くしているのかもしれない。

 

「ほんと、すごかったにゃ~」

 

俺のとなりにはみさきがいて、簡単な感想を述べている。

 

「次はいよいよ晶也だね、がんばって! 私は午後の部だから、気楽に居られるけどね~」

 

そう、俺は午前の部、みさきは午後の部になっている。

 

「ああ、行ってくる。 それじゃあ葵さん、セコンドお願いします」

「わかった。行ってこい」

「・・・はい」

 

俺はグラシュを履き、電源をいれて、あとは飛ぶだけにする。

背中には、後ろから聞こえるみんなの声援―――。

 

『さあ! 次の試合は見ものですよ! その強さは今も健在か!? 元天才のスカイウォーカーと呼ばれていた、日向晶也選手と、相手になるのは、名門高藤のFC部現部長! 佐藤院麗子選手!』

 

実況の言葉で、俺の心臓ドクンと大きく脈打つ。

体中に広がる、客席からの期待の感覚、この感じに、飲み込まれていけない。

 

「FLY!!」

 

俺はそれを振り払うかのように、力強く言って飛んだ。

先に佐藤院さんがスタンバイしていた。

 

「よろしくお願いしますわ。一度あなたとは試合をしてみたかったので」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

 

こう話しているうちにも、実況のおかけで声援は大きくなる。

この感覚だ、この感覚こそ、俺が挫折した原因の一つでもある、期待の感情。

周りからの圧力と声援で、俺の心は壊れかけたんだ。

そう考えると、心臓がドクンドクンと、無脈が早くなる。

少し呼吸が苦しくなるが、我慢しないといけない。

ここで体調が悪いことになると、試合は棄権扱いになる。

 

『―――晶也!』

「みさき・・・・・・!」

 

ヘッドセットから聞こえてきたのは、少し活の入れるみさきの声だ。

 

『しっかりして、周りの声なんて気にする必要ない! 晶也は晶也なんだから! 自分のFCをして!』

「・・・・・・ああ、わかった。それより―――」

『私、この日の為に、密かにセコンドの練習したから! だから大丈夫』

 

昨日、お昼にお願いされたこと、それはセコンドの交代だ。

最初は各務先生にお願いしていたが、みさきは部の練習のあとに、各務先生に俺の試合の動画や、セコンドのやり方を勉強したと言っていた。

でも心配になり、今日の最初の試合は、葵さんに任せた。

そしてそのセコンドの様子を、みさきは食い入るようにみていたと後に聞いた。

 

『ただ晶也ごめん、私ってファイターのことしかよく知らないから、試合の指示は、ファイター寄りの指示になると思うの』

「俺は選手だから、みさきの指示で動くよ。それに俺はオールラウンダーだから、そんなの気にしなくていいから」

『うん!』

 

そして試合開始の合図とともに、俺と佐藤院さんは飛ぶ。

佐藤院さんは、一直線にブイを取りに行く。

 

『え、ええっと。晶也、ショートカット!』

「わかった!」

 

俺はみさきの指示で、セカンドラインへ移動する。

 

『えっと・・・次は・・・』

「みさき、そんな無理して指示ださなくてもいいぞ。俺は俺で、わかってるから」

『う、うん・・・・・・』

 

みさきの声が、申し訳んなさそうな声色に変わる。

少し言いすぎたのだろうか。

しかしそんな事を話しているうちに、佐藤院さんはセカンドラインへと入り、一直線に向かってくる。

―――きっと俺を試そうとしているのだろうか。

 

「行きますわ!」

 

佐藤院さんは速度を上げる。

俺はそれをじっと見つめ、フェイントが来ないかを見極める。

 

「・・・・・・そこっ!」

 

寸前で真上に移動しようとした佐藤院さんを、俺は指先で触れて、バランスを崩さす。

 

「・・・っ!」

 

佐藤院さんは来た方へ少しよろける。

―――俺はその瞬間を逃さない。

 

「はああっ!」

 

ソニックブーストを使って、間合いを詰める。

―――同時にお腹の辺りに触れ、さらに、完璧に佐藤院さんのバランスを崩す。

 

「もらいます!」

 

俺はバランスを崩した佐藤院さんの背中を、上から真下、海面方向へ弾く。

 

「キャっ!」

 

審判が点数を読み上げる。

―――さらに俺はそこから明日香もよくやる技、エアキックターンで繋げ、さらに得点を重ねに行く。

 

「さらに行きます!」

 

見事追撃に成功し、二点目を獲得。

 

「っ!」

 

佐藤院さんはさすがに二回目はうまく受け、すぐに体制を立て直す。

もう一度行こうとしていた俺だが、佐藤院さんの動きを見て、すぐにサードブイに向かって飛ぶ。

俺の行動を見て、佐藤院さんは渋々ショートカットしている。

そして三点目をブイで取り、佐藤院さんのいるサードラインに向かう。

 

「さあ来なさい、止めてあげますわ」

 

佐藤院に向かって、ソニックブーストで加速する。

さっきのお返しと思われんばかりに、俺も佐藤院さんと同じようにフェイント狙いで飛ぶ。

 

「そこですわ!」

 

ここは流石現役、俺のまだ完璧ではない、見え見えのフェイントを簡単に見破り、俺は弾かれる。

ここまではさっきの佐藤院と同じ。

このままじゃまずい。

 

「―――体制を・・・!」

「遅いですわ」

 

佐藤院は背中をタッチし、俺は弾かれる。

 

「なっ!」

 

佐藤院さんは俺の背後に回っていたんだ。

―――今の俺はそんなに遅いのかと、実感する。

 

「ってあれ、佐藤院さんは・・・!?」

 

視界にいない。

俺が体制を整えているうちに、どこに!?

 

『晶也! 上!』

 

ヘッドセットからみさきの大声とともに、俺は上を見る。

そこには手伸ばす佐藤院さんがいて、俺は咄嗟に手を出す。

―――お互いははじかれ、俺は海面へ、佐藤院さんは上空へ。

今の状況で三対二、このままなら負けることはない。

―――そんなことを考えていると、佐藤院さんはすでに反動を利用して、上空からローヨーヨーをして、フォースブイへと向かって飛んでいる。

 

「っ、やられた」

 

まさかこれを狙って!?

俺は慌てて次のラインへショートカット。

そして佐藤院さんを待つ。

 

「みさき、さっきのは助かった、ありがとう」

『ねえ晶也、もっと落ち着ついて、冷静にならないと、焦るなんて、晶也らしくない』

 

まさか普段みさきに言っていることを、そのままいわれるとは、思ってもみなかった。

 

「ああ、そうだな、少し焦ってたかもしれない。それに、みさきと決勝で試合するって約束したしな」

『っ! ううー! こう言う時にそう言うこと言うのはズルいって、いつも言ってるのに~!』

 

ヘッドセットからは、いつもの照れて恥ずかしがっているみさきの焦った声が聞こえる。

そしてそう会話しているうちに、佐藤院さんは俺のもうすぐ近くまで来ている。

 

『晶也、佐藤院さんならきっとさっきと同じことするよ』

「え、何でわかるんだ?」

『佐藤院さん、一度成功しかけた技は、もう一度仕掛ける癖みたいなパターンがあると思うの、今日の試合を見ててそんな気がした』

 

ここはセコンドであるみさきの指示に

 

「こんどそこ! 抜かせてもらいますわ!」

 

突っ込んでくる佐藤院さん、案の定、みさきのと言う通り最初と同じ、直前で真上に行こうとしてた。

今度は動きが分かっていたから、完璧に弾き返す。

 

「そんな!」

「背中もうますよ!」

 

俺はすぐに背中に周り、飛ばされた佐藤院さんの背中を取る。

審判が点を取ったことを告げる。

これで同点

 

「もう一度!」

 

また明日香のようにエアキックターンで接近し、点を重ねる。

これで一点リード―――!。

 

「次!」

「えっ!?」

 

最近復帰したばかりの俺なのに、明日香と同じ連続エアキックターンを成功させ、驚きの声を上げる佐藤院さん。

しかしそこで、背中に触れる寸前で、試合終了の音が響き渡る。

とたん会場はさらに歓声と熱気であふれる。

結果は結果は三対四。

俺が一点多く、何とか勝てた。

 

「おかえり晶也・・・大丈夫?」

「ああ、あそこまで本機で飛んだのは、久しぶりで・・・少しばてただけだ」

 

自分でもわかる、少し呼吸が上がっている。

実況が何か言っているが、耳に入ってこない。

この祝福される歓声が、逆に怖い、俺はまだ、このアメーバのようなものに勝ったわけじゃない。

こいつはいつでも、俺のすぐそばにいて、俺を苦しめようとする。

呼吸が次第に荒くなる。

 

「ま、晶也―――!?」

 

声をかけるみさきの声が、次第に小さくなるのを感じた。

 

 

 

 

 

甘い香りがして、ゆっくりと目が覚めた。

薄らと瞼を開けると、どこかを見ている黒い髪を後ろ一本にまとめたみさきの顔。

こんな真下から眺めたのは、初めてかもしれない。

―――ん? 真下?

 

「あ、目が覚めた? 脅かささせないでよね、急に倒れたから何かと思った」

「ご、ごめん。でも・・・」

「二ヒヒ~そんなに顔を真っ赤にしてどうしたのかな? 晶也くんっ」

 

みさきは慣れない状況で顔を真っ赤にしている俺を、盛大に揶揄ってくれた。

そしてよく見れば、ここは医務室。

そしてみさきの見ていたのは、医務室にある、試合を生中継しているモニターだった。

 

「みさきこそ恥ずかしくないのか?」

「そんなことないにゃ~」

 

みさきは平然と言って見せた。

いつもなら顔を真っ赤に染めているところなのに・・・。

 

「・・・さてはお前、みさきじゃないな?」

「そう、私はみさきになりすましたシトーくんだべー!」

 

みさきはシトーくんをバッグから取り出し、そう返す。

いつも持ち歩いているんだな、それ・・・。

 

「己シトーくん、俺のみさきを何処へやった」

「彼女に膝枕されて、顔を真っ赤にして変態の顔になっている晶也君には、教えられないだべ」

「誰がいつ変態顔したんだよ、みさき」

 

流石に本気で返す。

 

「だって、彼女に膝枕だよ? 変な顔しない男子なんていないでしょ? 男子の夢だよ? どおどお! さっき興奮してる?」

「普通に、興奮してる」

「おお、意外と素直」

「みさきよりはな」

 

そんな会話が続く。

ふと何気なく時計を見た。

時間はお昼過ぎだった。

どうやら随分と寝てしまったようだ。

 

「それで、晶也は体の調子はどお? 医務室の先生は、貧血だっていってたけど、私の血を分けようか?」

「ただでさえ低血圧のみさきから、それ以上血を抜いたら、ずっと寝てるだろ」

「アハハは、それそうだね、ありえそう」

 

みさきは無邪気に笑っている。

釣られて俺も笑顔になる。

 

「調子はもう大丈夫そうだ。それにみさきの試合も近いだろ?」

「うん。だけど、もう少し、もう少しだけ、ね。・・・その、ま、まま、晶也がして欲しいって思うなら、このままでも・・・いいよ?」

 

みさきは顔を真っ赤にしている。

俺はお言葉に甘え、出し好きな彼女の膝枕を、もう少しだけ堪能した。

 

 

 

 

 

「んー! それじゃあいっちょ行きますかー!」

 

フライングスーツを着て、グラシュを起動させたみさきが大きく伸びをする。

その表情はやる気に満ちていた。

 

「まずは初戦だ。慎重に・・・といっても無理か、みさきのしたいようにしてこい。よほどピンチにならない限り、俺は何も言わないから」

「うん! その言葉を待ってました! ・・・飛ぶにゃん!」

 

そう言ってみさきはスタートラインについた。

相手は今年初めての相手。

でも他県から訪れているため、その力はわからない。

でもみさきならきっと勝つだろう。

 

「―――セットッ!」

 

審判の言葉が聞こえ、スタートの音とともに、みさきは飛んだ。




明日(投稿した時間だとすでに今日)から三泊四日の修学旅行のため、投稿は再来週にできるように―――
ぜ、善処します!

いつも閲覧していただきありがとうございます。
「ここが面白かった!」や「ここがよかった」などの感想など受け付けておりますので、どうぞよろしくお願いします。
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