蒼の彼方のフォーリズム 天才の二人のその後   作:蒼空

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短いですが、更新させてもらいます。
掛け持ちでほかの某サイトの方でも忙しくなり始め、更新が遅れる事があり、誠見申し訳ないです。


「それ、私の台詞!」

いよいよ明日香対みさきの日がやってきた。

 

「晶也さん。私、グラシュのバランサーはカットしないでやりたいです」

 

試合の準備中、テントの外で佐藤院さんと明日香について話していると、本人がやってきた。

佐藤院さんは明日香のセコンドになってくれるらしく、それで今の、去年とは成長した明日香について話していた。

 

「でもどうしてだ明日香。それは、みさきとの力の差が出来るからか?」

 

たぶん明日香もまだ完璧に使いこなせてない。

諸刃の剣なんだと思う。

明日香も同じ考えで俺にカットしないと言ってきたんだろうけど、念のため聞いておく。

 

「いえ! みさきちゃんとはそんな力の差なんて! ただまだ使いこなせてないいうか。コツは掴んだんですけど、使って海に落ちてしまったら、それはそれでみさきちゃんに失礼かなって」

 

実際、相手選手のグラシュが止まり、海に落ちた場合は、試合のルール場では棄権扱いになってしまう。

俺の予想とは少し違ったけど、どの道明日香は相手のことを考えているんだと、改めて思った。

 

「明日香、手加減はいらないからね」

 

準備を終えたみさきが、テントから出てきた。

二人はもう「今すぐ飛びたい」という雰囲気を全身から滲み出していた。

 

『それでは試合を開始します。指定選手は、スタートラインへ向かってください』

 

「行ってくる、晶也!」

「楽しんでこい!」

「うん!」

 

そう言ってみさきは飛ぶ。

 

「佐藤院さん。今年もよろしくお願いしますね!」

「任せなさい! 日向晶也からあなたのことは聞いてありますから。・・・・・・といっても、私も日向晶也も、基本的な位置情報や迷った時に支持を出すだけですけどね」

「それでも、よろしくお願いします!」

「ええ。任せなさい。ですから倉科明日香。あなたは自由に、この蒼い空を飛んでくるといいですわ!」

 

明日香の方も、短いを会話を終えて、スタートラインへ飛んだようだ。

 

『――――――セット!!』

 

いつも試合前に一言挨拶をしている二人だが、今回はしていないようだ。

それだけ、二人の間には、絆と、二人でも気づかないライバル関係が築かれている証拠だ。

――――――そして静かな会場にホーンが鳴り響く。

 

「っ!」

 

みさきも明日香も、いつも以上のやる気で駆け出す。

当然みさきはショートカットをして、明日香はファーストブイに行くはず・・・・・・はずだった。

 

「何!?」

 

――――――俺は驚く。

 

『ええ!?』

 

さらに俺が驚くのと同時、同じようにみさきの驚いた声も聞こえた。

俺もみさきも、目の前の光景がわからないと言った感じだ。

 

「・・・・・・どういうこと? 明日香がショートカットなんて・・・・・・」

『とりあえずブイを取ろう』

 

あまり指示を出すつもりはなかったが、早速出してしまった。

何せ状況が状況だ、異例すぎる。

まさかファイター相手にオールラウンダーの選手がショートカットを選ぶなんて思わなかった。

それも明日香はなんでもいけるが、特にスピーダーよりのオールラウンダーに近い。

不利になるのは目に見えているはず。

 

「ま、まずは一点っと・・・・・・」

 

みさきはブイに触れて、一点を取る。

 

「手加減しないよ!!」

 

みさきはブイの反動を利用して勢いよく飛び出す。

ファイターの初速にソニックブーストを乗せた、今となっては、みさきの得意技だ。

 

「止めます! みさきちゃん!」

 

明日香は身構えている。

 

「そう簡単に捕まらないから!」

 

みさきはローヨーヨーを浅く行い、そこにシザーズも取り入れる。

今までのみさきなら絶対にできない複雑な技だ。

それに高度は明日香の頭上。

乾さん戦法だ。

相手の頭上に常にいることで、いつでも相手を自分の監視下に置く。

バードケージ。

みさきはそれに似たようなことをする。

これはポジションの大事さがわからない選手にはわけのわからない技だ。

でも相手は明日香。当然全て知っている。

 

「んっ!」

 

明日香はみさきが頭上を通り過ぎる瞬間、体を仰け反り、みさきの真下に、背中を海面にして飛行した・・・・・・。

そしてその行動に、その場にいたその技の意味がわかる人間は、みんな言葉を失った。

その中でも特に、みさきには大きなショックでもあった。

 

「えっ・・・・・・!?」

『背面飛行!?』

 

みさきが去年、乾さんとの試合を想定して考えた、ポジションの奪い合いをし、条件を同じにするために習得した技。

――――――スモー。

それを明日香は、今やってのけた・・・・・・のか?

そのスゴさに思わず声が出てしまう。

 

「そんな、スモーが使えるなんて・・・・・・」

「この日の為に、練習もしました。グラシュだって、ファイターよりに、白瀬さんに調整の仕方を教えてもらって、調整しました」

 

つまり明日香は、俺とみさきが大会前の部活が休みの時に練習してるのと同じで、同じように練習してたってことか・・・・・・。

 

「さあみさきちゃん! バチバチしましょう!」

 

明日香がみさきを挑発するような事をいう。

もちろん本人にはそんなつもりもないし、それはみさきもわかっている。

 

「それ、私の台詞!」

 

そしてみさきも、背面飛行、すなわちスモー状態の明日香から腕による攻撃を受けるが、みさきも負けじと交わしながら手で攻撃を仕掛けていく。

そしてそれを交わしながら、明日香もさらに攻撃をしていく。

 

「これじゃ、こっちが・・・・・・キャッ!」

 

みさきがバランスを崩した。

流石にお互いに攻防しながらの飛行は気が散って飛行が崩れたんだ。

みさきは少し失速ししてしまう。

 

「今です!」

 

そしてみさきの隙を逃すことなく、明日香は背面飛行のまま、ソニックブーストを使い、数回きりもみしながら、通常の飛行姿勢に直してセカンドブイを触る。

さらに、その反動を利用してサードブイを取りに行く。

みさきの失速は思ったより大きかったらようで、今からサードラインへ行く頃には、明日香は通り過ぎてしまう。

 

『みさき、仕方がない。フォースブイへショートカット・・・・・・』

「・・・・・・うん」

 

返ってきたみさきの返事は、まるで自分の全てを奪われたような、そんな悲しい声音だった。




次の更新は、早くて来週を予定しています。
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