蒼の彼方のフォーリズム 天才の二人のその後   作:蒼空

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~二人の道~ 「飛ぼう晶也! この空を超えて、さあ行こう!」

夏の暑い日が海面を照らし、その光を反射してキラキラと輝いている。

夏の大会から数日がたった。

今日はみんなと海で約束をしていた。

 

「まーさやー! 遅いよー!」

 

いつも練習で使っている砂浜で、俺たちは約束していた。

停留所からそこに向けて飛んでいると、飛んで俺が来るのをまっていたのか、みさきに呼ばれる。

 

「ごめん。少し遅れた」

「もう、みんな来てるよ?」

 

みさきにそう言われて、俺はみさきと砂浜に降りる。

 

「あ、やっと来ましたね! 遅いですよ!」

「もうみんな食べ始めちゃってますよー?」

 

俺がみさきと砂浜に降りると、真白と明日香が声をかけてくる。

周りを見ると、みんなもう集まっていて、バーベキューで焼いたものを食べ始めている。

 

「晶也が寝坊とは、珍しいな。雨でも降るのか?」

「違います、寝坊じゃないんですよ?」

 

葵さんがからかってくるので真面目に返しておく。

それに遅れたのは、ある物の申し込み手続きを書いていたからだ。

 

「とりあえず晶也も食べよう食べよう!」

 

俺と一緒にお降りてきたはずのみさきも、もうすでに食べている。

今日来てくれたのは、高藤の市ノ瀬や真藤さんに佐藤院さん、白瀬さんやみなもちゃんに、部長や葵さんと、久奈浜FC部のみんなだ。

今日のバーベキューも、改めての俺の優勝祝いを兼ねているらしく、すごく嬉しい。

 

「ねえ晶也、さっきから色んな子の胸見てない?」

「・・・・・え?!」

 

急にみさきは何を言い出すんだ。

・・・・・・見てない・・・と思う。

 

「さっから感じるイヤラシイ視線は、日向センパイなんですね。・・・ヤダ、こっち見ないでください!」

 

真白に拒絶された。

目を見て弁解しようとしただけなのに。

 

「晶也さんは、やっぱりそういうの好きなんですか?」

「え? 明日香?」

 

明日香も何をいいだすんだ。

 

「晶也、取り返しのつかないことはするなよ?」

「葵さんまで! やめてください!」

 

なんかどんどん誤解が生まれていく。

 

「やだー日向くーん、私を襲うの?」

「安心してくれ、襲わないから」

 

窓果は完璧に返しておかないと、めんどくさいことになる。

一番的に回したくない相手だ。

 

「それはそうと、晶也はどうするんだい? この大会で勝ったわけだから、全国へ行けるわけだし、やっぱり狙うは全国かい?」

 

白瀬さんが、話を変えてくれた。

その話は、今からしようとしていたところだ。

 

「その話は今日話そうと思っていたんです。今ならみんなもいますし、ちょうどいいですから」

「それで? どうするんだい?」

 

この話は、みんなもそうだけど、一番みさきが気になってるはずだ。

俺が来年から全国に挑む場合は、みさきは置いて行く事になる。

そうなれば、俺とみさきの間には、あきらかな溝が生まれるかも知れない。

 

「俺は・・・・・・とりえあず行けるとこまで行こうと思います。まずの目標にしているのは、昔日向晶也がいた全国の舞台、そこを目指します」

「うん、僕はいい目標だと思うよ」

「晶也が決めた事なら、私は何も言うことはない」

 

葵さんに白瀬さんも、納得してくれた。

 

「それと、一緒に行く人を決めてるんです」

「チームで行くのかい?」

「はい、そうしてるつもりです」

 

俺なんかが、一人で全国にいったところで、限界がある。

だから、俺は今の俺と、いや、それ以上の才能と実力を持った人を、チームとして一緒に行こうと考えた。

まあ、チームといっても、やり方は今まで通りだけど。

実は遅れた理由のその手続きとは、来年から始まる全国試合の出場メンバーの記載書だ。

そしてその相手も決めている。

 

「それじゃあ話も一段落したところで! 海でおーよごー!!」

 

急に待ちわびたと言わんばかりに、窓果が拳を振り上げ、そう宣言する。

そしてみんなは海に向かって走って行く。

まあ、ちょうどいいけど。

 

「・・・・・・なあ、みさきちょっといいか?」

「ええ、別にいいけど」

 

みさきは俺に声をかけられると、普通にしてるつもりだろうけど、声がいつもと違った。

大方、来年から全国に行って離れ離れになるから、別れ話でも切り出されるとでも思ってるんだろう。

まさか自分がチームメンバーに選ばれるとは思ってないだろう。

可愛そうだけど、さっきの仕返しに、ちょっとからかってあげようかな。

俺はみさきを連れて、みんなとは少し外れたとこに来た。

ここなら誰も見てないはずだ。

 

「みさき、あのさ、俺たち付き合ってもう十分だよな?」

「え? あ、ああ、うん、そうだね!」

 

明らかに動揺してる・・・・・・。

本気で後戻りのできないところまで行く前に、本題に行ってあげよう。

じゃないよ後が怖い。

 

「でさ、来年の全国のチームの事なんだけど、みさきにも来てもらいたいんだ。大会優勝の、みさきを好きにしていいって約束が本当なら、来てくれるよな?」

「え・・・・・・いいの?! 私で、いいの? また投げ出すかもよ?!」

 

みさきのテンションは一変、ものすごく嬉しそうだ。

投げ出されるのは困るけど・・・・・・。

 

「あ、ああ、もちろんだ、だからそんなに顔を近づけないでくれ! 近いから!」

「よかったー! もしかしら別れ話でも切り出されるのかと思ってた~」

 

やっぱり、そんなことを考えてたのか。

 

「そんな話するわけないだろ? みさきと二人っきりで話したかっただけだよ」

「なんだ、もう、それならそうと言って欲しかったにゃ~」

 

まあ、さっきの仕返しのつもりだったんだけど、言ったら怒られるな。

 

「まあ、別れるもなにも、こんなめんどくさい彼女、俺しか付き合えないからな」

「う、なんかそれ、喜んでいいのか、起こったほうがいいのか、わからない」

 

できれば喜んで欲しい。

 

「前に自分でめんどくさい彼女だけどって言ったのは、みさきだろ?」

「そうだけどさー、もっと言葉を選んでほしいにゃ~」

「さ、話も終わったし、俺たちも泳ぎに行くぞ」

 

俺はみんなのいる海に向かって走ろうとすると・・・・・・。

 

「待って晶也、忘れてる・・・・・・!」

「っん!?」

 

そう言って腕を引っ張られて、その勢いでみさきとキスをしてしまった。

咄嗟なことで、この状況にすぐに頭が追いつかない。

すぐに終わるかと思ったら、かなり長い時間キスをしている。

 

「っはー! 久しぶりのキスだったね!」

「でもいきなりはやめてほしかったな、びっくりした」

 

みさきは笑顔でいっぱいだった。

 

「だってえ、今までおあずけにしてたぶん、早くキスしたかったんだもん」

「それをしたのはみさきじゃなかったっけ?」

「まあ、そうだけどね。でもそのお陰で、一番美味しいキスだったよ~」

 

まあ、そうだったけど・・・・・。

 

「あ、そうだみさき」

 

俺は大事なことを思い出した。

まだしっかりと言ってない。

 

「しっかりと届けてもらった。みさきが俺を届けたんだ。今回の大会に優勝できたのもみさきのおかげだ・・・・・・ありがとう、みさき」

「そっか、私本当に晶也を届けたんだね・・・・・・しっかりできたんだ」

「そうだ、みさきが俺を届けたんだ、しっかりとな」

 

お互いの約束をしっかり果たしたことを確認して、俺とみさきはみんなのいる場所に向かって走った。

 

 

 

 

「みさきと俺は、初めはまったく真逆の相手だと思ってた」

「急にどうしたの? 晶也・・・・・・あ、ううん、なんでもない」

 

急に話しだした俺に、みさきはどうしたのか聞いてくる。

でも俺は、その言葉を無視し、一度みさきの目を見てから話を続ける。

今の俺たちは、砂浜でみんながビーチバレーをしているのを、座って見ている。

隣には当然みさきがいる。

 

「でも、去年の夏の大会をきっかけに俺とみさきは、大きく変わった、真逆だと思ってたはずなのに、あの夕日に照らされた教室で交わしたお互いの過去・・・・・・」

「ああ、あの日の事ね」

 

時々みさきが相槌を打つように言葉を挟む。

 

「それで同じことに気づいた、俺もみさきも、空をずっと待ってたままだった。・・・・・・誰かが、自分をもう一度あの空に戻してくれるのを待ってた」

「それであたしには晶也、晶也にはあたしっ・・・て訳か・・・・・・」

 

みさきが補足するように言う。

 

「夏の大会であたしは、負けたくない、明日香には負けたくないって思って、試合とかじゃくて、よくわかんないもので負けて、挫折した」

 

今度はみさきが話し出す。

 

「それで私は、飛ぶことをあっさり諦めた。まるで子供が、手放した風船みたいに、あっさり消えて・・・・・・」

「でも部活のみんなは、みさきに声をかけ続けた」

 

今度は俺が、さっきとみさきの立ち位置に着く。

 

「でも・・・あの時の私はとりあえず悔しくて、もう飛べないって決めつけて・・・・・・みんなに何か言われても、何も知らないくせにって・・・酷いこと考えた」

「そんなこと思ってたのか」

 

意外だった、みさきもそんな感情を持ったりするんだと、そう思った。

 

「そりゃあたしだって人だもん、するよ? ・・・・・でも、晶也は最後まで声をかけてくれて、あの時の晶也は、太陽みたいに眩しい存在だった」

「で、俺はみさきの心の中で燻っていた気持ちを、もう一度燃やしたのか」

 

ほんと、俺たちは似た者同士だ。

 

「俺は・・・この折れかけた翼を、もう一度大きく広げてどこまでも飛ぶ力を、誰かから貰いたかった。・・・この思いを、誰かに受け止めて欲しかった」

「それがたまたま私だった」

「たまたまというか、メルヘンチックに言うと、運命? ・・・とか?」

「ふにゃ~。晶也にしては随分メルヘンにいったね~」

 

みさきに笑われた。

まあ、別にかまわないけど。

 

「あたしも晶也も・・・挫折したことでたくさん泣いて、いっぱい悔しい思いをして、でもまたこうして飛んでる・・・・・・そんな二人が結ばれてるなんて、運命としか言えないよ!」

「みさきが言うなら、そうかもな」

 

すると急にみさきが立ち上がり、俺に手を差し出す。

 

「飛ぼう晶也! この空を超えて、さあ行こう!」

「ああ、飛ぼうみさき!」

 

俺はそのみさきの手を取って立ち上がり、それぞれはグラシュの電源を起動する。

 

「飛ぶにゃん!」

「FLY!」

 

俺とみさきは声を合わせ、このどこまでも広がる青い空に向かって、飛んだ。

 

 

 

 

そして一年後・・・とある離島出身の男女二人ペアが、全国大会で優勝と準優勝を勝ち取ったのは、全国で大きな話題となり、一躍有名になった。




今更ながら、決勝試合は、rays of the sun を聴きながら読むと、作者としてはさらに燃えるんじゃないかと思います。
私も聞きながら執筆してました(笑)
また、最後の晶也とみさきが砂浜で今までの自分達を話すシーンの台詞は、rays of the sunの歌詞から、連想したものを台詞に合うように書きました。
その変も注目していただけると嬉しいです。

さてさて、長かったこのシリーズ、前話でお伝いした通り、この話で最後です。
今までコメントして下さった方 最後までお気に入り登録して下さった方 他にも、ブックマークをして密かに応援してくれていたり、読んでくれていた人もいたと思いますが、
ここまでこれたのもそんな皆さんの、言葉と、言葉なき応援のおかげです。

毎回話の続きを投稿するたんびに、誰か見てくれているのか、誰も見てくれていなかったらどうしよう、などと考えていました(笑)
ですがしっかりと閲覧してくれている方や、感想をくれる方もいて、励まされ、勇気をもらいました。
本当に、お礼だけでは表すことができないほど、感謝でいっぱいです。
私一人では、最後まで来れませんでした。

近いうち、今年中に、主人公 晶也、ヒロインみさき+オリジナルヒロインのオリジナル版の方も書く予定でいるので、そちらも見ていただけたら光栄です。
また、作者としてまだまだなので、至らないところもまだたくさんあります。
なにかおかしな点があったら、ビシバシ指摘してやってください!(明日香風)(笑)

それでは皆さん、またお会いできることを、心から祈っております。
長くなりましたが、今まで本当にありがとうございました。
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