今回は予定通り前回の花火大会の次の日です。
今まで 晶也 の感じを 昌也と間違って表記していました。
全話すべて、書き直しました。
ファンの皆様、申し訳ありませんでした。
今だ昨日の夏祭りのことが頭から離れず、言わば興奮冷めやまずといった状態で今日の練習に入ったが、朝は当然の如く、みさきは遅刻ぎりぎりで練習に来た。
聞く所によると、今朝は真白が行っても起きなかったらしい。
昨日の今日だからあまり注意はしがたいけど、ここは一言コーチとして言ったほうがいいのだろう。
「みさき、昨日は眠れなかったのか?」
一番にフィールドフライを一通り終えて、浜辺で休憩するみさきに話しかける。
「そうなのよね。昨日あのあと眠れなくて」
「そうだったのか。でもしっかり睡眠をとらないと、本調子で練習できないぞ?」
「だってえ、あんな事の後だと、晶也の事を考えたら切なくなっちゃって眠れなくなっちゃったの」
「なっ!」
顔を赤くしたみさきの、この場に絶対に合わない爆発発言に、俺は頬を引きつらせることしかできない。
「へえ~、みさき先輩と・・・なにしたんですか? ・・・晶也センパイ?」
「急に後ろに立たないでくれ! それみさきのデマだ! 誤解だ!」
急に気配なく俺の後ろに真白が現れ、ビックリした。
暗殺術でももっているのだろうか。
「晶也さん、みさきちゃんとなにしたんですか・・・?」
「明日香も本気にしないでくれ!」
これは収拾がつかなくなってきた。
――――――主に真白だけ。
「そんな、デマでも誤解でもないよ。お互いに夜の浜辺で激しくお互いを求めあったじゃない!」
そういってみさきは、明らかに悪戯悪魔のような笑みを俺に向ける。
「ヘエー、ミサキサンパイト、夜の浜辺で、ヘエー」
「なんでそこだけしっかり言うんだ!」
今の真白は、体中からドス黒殺気を溢れ出していた。
と、そんなところに、さらに厄介な人物が舞い降りた。
「ほう。その話、私も是非知りたいな」
各務先生だ。
俺達の真ん中に降り立ち、当然のようにそういった。
「あ、私走り込み行かないと」
「あ、みさきちゃん、私もやります」
「じゃあ私も」
殺気までの雰囲気はどこえやら、三人は各務先生が降り立つやいなや、颯爽と練習に励みだした。
「で、さっきの話の続きを聞こうか。晶也君」
こちらもまた、みさきに負けないくらいの悪戯悪魔の笑みを浮かべて言った。
「あ、はい・・・・・・」
俺は後ろから、不気味にそっと肩に乗せる手を冷や汗を出しながら答えのだった。
各務先生との会話は数十分に渡り長くなり、その間は、窓果が変わりに練習を見ていてくれた。
「まああれだ、今後は気をつけるんだな」
「はい。わかりました」
俺はため息混じりに回れ右をして、みんなの練習しているところへ行く。
「やああああああ!!」
「そうはいきません!」
みさきが背中を触れようとした時に、バク宙するようにみさきの頭上をくるりと周り、明日香が後ろにつく。
「背中いただきますね!」
「っ!」
パキィンッと言う赤色の逆三角形が浮き上がり、同時にみさきの体をはじき出す。
「ポイント明日香、0対2」
点数を聞く限り、いつも通り、みさきは最初はショートカットしている。
「もう一回いきます!」
そう言って押し出されたみさきの背中に、もう一度明日香は触れて、さらにみさきは押し出される。
「ポイント明日香、0対3」
「うっ! こんなところで・・・負けない!」
「もういっ・・・キャッ!」
三度目のタッチを試みた明日香に、みさきは体をなんとか捻り、腕を横に振った。
それによりお互いのメンブレンが反発し、みさきと明日香が、まるで同じ極同しの磁石のように弾かれる。
「そおっ・・・れっ!!」
みさきは明日香よりも先に体制を立て直し、急いで明日香の背中に周り―――
「・・・まずは一点!」
「ポイントみさき、1対・・・」
窓果の点数をあげる言葉よりも早く、みさきが仕掛ける。
そしてそこから立て続けに―――
「もう一点!」
さらに―――
「まだまだあ!!」
見事二回連続ぽいんと確保。しかしみさきの攻撃は終わらない。
「ううりゃああああ!!」
例え練習でも絶対に負けたくない。そんな想いを強く抱き、みさきは明日香の背中に喰らいつく。
そして三点目を取り――――――
「もう、いっ・・・かうわっ!」
四度目の、逆転のタッチに行こうとしたときだった。
みさきはバランスを崩し、大きくよろける。
「頂きです!」
その好きを逃さず、明日香はソニックブーストでみさきの少し後方に周り、そこから得意のエアキックターンを発動し―――
「ポイント明日香、3対4。試合終了」
窓果がその言葉を言うのと同時に、練習試合は終了した。
みさきと明日香が順番に降りてくる。
ただみさきだけは、俺の下に降りてきた。
「あははは、負けちゃった」
「・・・・・・」
そのみさきの無理な笑いをみて、昨年の事が脳裏によぎる。
もうそんなことはないと確信しているが、やっぱりそういう顔をされると不安な意味でドキッとしてしまう。
「もう。そんな顔しなくても大丈夫。晶也はほんと心配性だね~」
「俺、そんな顔に出てたか?」
みさきが俺の心を読んだように言ってくる。
「うん。はっきり顔に出てた」
「・・・そうか。それは悪かったな」
「なんで晶也が謝るのさ」
「いや、顔に出てたってことは、少なくとも一瞬だけ信用してなかったってことだろ?」
俺はみさきを信用してる。だからみさきも俺を信用してる。
なのに俺が信用してやらないと、大げさな話、みさきは一人になってしまう。
「そんなのいいよ、晶也のことは、私が一番よく知ってるんだから」
「・・・そうだな」
「おお。晶也がツッコまなった!」
俺が納得したのがそんなに驚きなのか、みさきは少し驚いている様子だった。
「ほら、次の練習するぞ」
「はいはーい!」
そう言って大きく伸びをしながら部位の方向へ飛んでいこうとする。
そんなみさきに、俺は思い出しかのように声をかける。
「みさき!」
俺の声にみさきは「何?」というように振り向く。
「・・・怖いか?」
「うん! 怖い!」
みさきは言葉とは裏腹に笑顔で答えた。
「そうか・・・・・・次の練習は全員でのドックファイトの大乱闘だ!」
全員に聞こえるように、声を張って答える。
俺の声が聞こえると、みんな声をあげて「はい!」と答えて、ファーストブイとセカンドブイの間で鬼ごっこのように全員がたがいの背中を狙う。
「明日香、今度は勝つよ!」
「私だって、負けません!」
「二人共! 私のこと忘れてませんか!?」
三人とも、それぞれの思いで点を取り合っている。
この練習には、もちろんドッグファイトの練習もそうだが、選手が楽しんで、勝ち負けを気にせず気楽にゲーム方式で練習できるという点のほうが大きい。
どんなことも、楽しまなければ上達もしないし集中も続かないし、興味も薄れる。
だからこうして一日の練習に一回、こういう練習を取り入れている。
これをすることで、みさきもそうだが、明日香や真白もドッグファイトに持ち込まれたときの対処に強くなる。
ドッグファイト式大乱闘を開始して、数十分ほど経った。
「明日香、背中もらうよ!」
「じゃあ俺はみさきの背中を貰おうかな」
「え・・・? ・・・うっ!」
みさきは背中をタッチされ、弾かれる。
「晶也さん!?」
みさきに背中を取られかけていた明日香が、俺の存在に気づく。
「みんなの盛り上がってるのを見てたら、俺も燃えてきてさ。混ぜてくれよ、みんなの楽しいFCに」
「いいよ晶也。ただし覚悟して・・・よっ!!」
「ぐっ・・・やるなみさき」
俺に弾かれたあと、すぐさま体制を整えたみさきは、最近俺と明日香が、みさきが覚えたいと言い教え、習得した対スピーダー用の技。
ソニックブースト。
ただのソニックブーストだが、みさきの反射神経と直感があれば、それは対スピーダー用の封じ技になる。
ただし今回は俺の背中を取るために使ったようだ。
「もう一点!」
さらに食らいつき、みさきはまたもソニックブーストで加速しようとしたが―――
「甘いぞみさき!」
俺はみさきに背中を押された反動を利用し、加速し、そこからさらに俺もソニックブーストを使用し加速する。
みさきとの差は開いた。
「次は俺から行くぞ!」
ソニックブーストの加速を維持したまま、エアキックターンに繋げ、みさきの後ろに回ろうとした。
――――――でも
「うにゃあああああ!」
俺がエアキックターンを行うのと同時。
みさきも咄嗟のエアキックターンに繋げ、そのまま反転し、俺の速度に並ぶ。
本来ならこのままオールラウンダーで少しスピードよりになっている俺に部があるのだが―――
「行かせないよ!」
みさきは得意の背面飛行で俺の下に張り付く。
「その技は、これで破れる!」
俺は通常のスピードよりの飛行する体制のまま、コブラの体制を取る。
すると俺の体はそのまま急ブレーキをかけたように急減速し、みさきは一歩遅れ、離れてしまう。
「ここから・・・!」
そこから通常のコブラを繰り出し、背面飛行するみさきの背中にタッチした。
「キャッ・・・!」
みさきは空に向かって弾かれる。
「油断大敵です! 晶也さん!」
「しまった!」
みさきとのドッグファイトに夢中になっていて、明日香の事を忘れていた。
「いただきます!」
「うぐっ・・・!」
明日香にタッチされ、海面に向かって弾かれる。
「やりました!」
「・・・明日香さんも油断大敵ですよ!」
「え? ・・・・・・うきゃ!」
俺に触れ、浮かれている明日香に、真白が一撃加えた。
「いただきにゃー!」
「うにゃー!?」
立て直したみさきが、真白の背中をタッチ。
真白も海面の方に飛ばされる。
そして今度は先に体制を直した明日香がみさきを、その明日香を俺が、その俺が真白をと、きりのないイタチごっこがしばらく続いた。
「よし、はあ、はあ、終わりにしよう」
青空はもうなく、空は鮮やかに、夕日に照らされている。
周りにいるみんなを見てみると、みんなも息を切らせていた。
「はあ~、もうSTがゼロです」
「みんな今日はお疲れ様、今日の練習はこれで終わりだから、着替えて帰っていいよ」
それを聞いて、みんな着替えに行ってしまう。
「晶也、本当に楽しそうに飛んでたな」
「そんなことないですよ。彼女たちがいてくれたから、ここまで戻ってこれたんです」
「特に、鳶沢はそのなかでも効果絶大だったわけだ」
各務先生にそんなこと言われると、ちょっと誤魔化したくなるけど、本当のことだから言い返せない。
明日香が俺をコーチに選んでくれたから。
真白が俺に努力する事を教えてくれて。
そして、みさきが俺を届けてくれたから、俺が挫折した相手が、みさきだったから俺は、今こうしてこの蒼い空に再び居る。
「って各務先生。この会話何度目ですか」
「ん? そんなに何回もしたか?」
各務先生は少しとぼけるように答える。
きっと愛弟子が帰って来てくれて、本当に嬉しかったんだと思う。
たぶんまだ、俺がこうして飛んでいるのを見ると、嬉しくて仕方のないのだと思う。
「各務先生、俺・・・今なら超えられる気がします。昔の、あの頃の日向晶也を・・・」
「そうか。超えられるか・・・」
俺はその日も、着替えを終えたみさきと帰った。
帰りは練習中にここが惜しかった、あれが悔しいなどの会話をした。
特別な俺とみさきだからこそできる、本音のさらに本音の会話。
こうすることで、お互いに心のモヤや怖さを共有し、軽減している。
これはきっとみさきとだから、お互いに挫折を経験してるから共感できると思う。
俺はその日、みさきに明日も対戦するよう言われ、それを了承した。
次回も、不定期ながら完成しだい投稿します。
そして、私のような素人の小説をたくさんの人に読んで下さり、まさかお気入り登録が10を超えるなんて思っても見てませんでした。
今後とも多々ご迷惑おかけしますが、何卒よろしくお願いします!