この爆裂娘に親友を!   作:刃こぼれした日本刀

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お久しぶりです。ずいぶんと投稿が空いてしまいすいません。原作小説を読んで、プロットに変更点などを見つけてどうしようか瞑想していました。急いで書いたのでいつも以上に誤字が多いと思いますが、土日になるべく修正するつもりなのでご勘弁を。
 このすば2も始まったのでペースアップがんばります。


この瑞々しいキャベツにマヨネーズを!

「どうなってんだこれ!」

 

 ギルドを飛び出して行ったクリスを無事探し出し、そのままギルドの裏でいろいろあったがなんとか初めてのスキルを手に入れた俺がギルドに戻ると。

 

「アクア様もう一度! 5000エリス払うので、もう一度花鳥風月を!」

 

「やばいっす、アクアさんマジやばいっす!」

 

「アクア! アクア! アクア!」

 

 めんどくさそうな様子のアクアの周りで、多くの冒険者たちが熱狂していた。

 

「ルミカちゃん、プリン奢るから! だからお願い、ぜひ月下美人を!」

 

「これがただの宴会芸だと! ありえん、ありえんよ! これはもう宴会芸に収まるレベルじゃない、まさか! あなたが神か!」

 

 ルミカの周りにも人だかりが出来ていた。

 

 しかし、ルミカはそんな騒ぎも気にならないのか。顔色を悪くし、めぐみんに膝枕されていた。

 

「お帰りなさいカズマ」

 

 ルミカの頭を撫でていためぐみんが、俺の到着に気がついたようだ。

 

「おう。それよりこれは何の騒ぎなんだ? 何でルミカはグロッキーになってるんだ」

 

「はぁ、ちょっとこれには丘より高く湖よりは深い事情があるのですが、まあ気にしないで下さい」

 

 そう言って、めぐみんは気まずそうに俺から目を逸らした。

 

「おのれ、ルミカ。なんて恐ろしい技を。決闘の流れ弾に掠っただけでこれほどのダメージを受けるとは」

 

「ダクネスー!」

 

 めぐみんが目を逸らした方向を見てみると、何故か金髪の女騎士が腹を抑えて床に寝転がっていた。それを見て涙目で駆け寄るクリス。

 

「くっ、やるじゃねえかルシフェリオン・ミッドナイト・カタストロフィ。まさかこの俺が、こんな子供に敗れることになろうとは。修行が足りなかったようだ」

 

「アレクさん! 気をしっかり持って下さい!」

 

 なんか血まみれの冒険者が、受付のお姉さんに呼びかけられてるんだけど。しかも今、ルミカとか不吉なワードが聞こえて来たんだが。

 

「めぐみん! 本当に気にしなくて大丈夫なのかあれ!」

 

「床にいるダクネスのことですか? 大丈夫ですよ多分。なんだか分かりませんが自分からルーちゃんの必殺技に当たりに行ったくらいですし」

 

 そっちじゃねえよ! 俺が言ってんのは明らかにやばそうな血まみれ冒険者さんの方だよ!

 

「どうしようもねえろくでなしだった俺の人生も終わりか、でも良かったのかもな。これで俺はもう、他人様に迷惑をかけなくてすむってもんだ」

 

 おいおいおい! え? 何? もしかしてやっちゃった? よく分かんないけど決闘になって、アレクさんとやらを瀕死にしちまったのかアイツ!

 

「何言ってるんですかアレクさん! 冗談はやめて下さい! あなたはこんな場所で死んで良いような人じゃないわ! だから生きて!」

 

 そうか。受付のお姉さんとあの冒険者はそういう関係で。

 

 どうすんだよこれ! 俺たち今後もギルドを利用するのに、あの受付の人と顔合わせるのすげえ気まずくなるぞ。

 

「ははっ、もう良いんだよリーナちゃん」

 

 良くない! あんたが死ぬと俺の精神衛生上非常に良くない! 生きてくれアレク!

 

「何でそんなこと言うの! どうして周りの人の気持ちを考えてくれないんですか貴方は! あなたが死んで残される人の気持ちを! 私の、私の気持ちも考えて下さいよ!」

 

 ちくしょう。俺に、俺にチートが。回復能力なんかがあれば。

 

 回復能力?? はっ、あるじゃないか。俺にはこんな時にこそ役に立つ勝利の女神様(最強の転生得点)が。

 

「アクアー!」

 

 俺がそう声を出したその時。

 

「まったく、そんなに死にたいならモンスターと戦って死んで下さい! あなたがここで死んだら、ルミカさんが犯罪者になっちゃうじゃないですか」

 

 受付嬢の口からこの状況で絶対に出ないであろう暴言が飛び出した。

 

「お、おい! お前ら恋人同士だろ! 死にそうな恋人にそれはないんじゃないのか!」

 

「はい? 恋人? 誰と誰が? 恋人とはめぐみんさんとその膝の上で、ぐったりしているルミカさんのことですか?」

 

 何だこの受付嬢! 冷血ドsか天然なのか? 言葉のキャッチボールが成立しない。

 

「そそそ、そうですよ何を言ってるんですか! 私とルーちゃんが恋人だなんてありえませんから!」

 

 あわあわと顔を真っ赤にするめぐみん。どうやら受付嬢の言葉(変化球)は俺の真横に座っていためぐみんに直撃(デッドボール)したようだ。

 

「俺はそんなこと言ってねえよ! あんたとそこのアレクさんの話だよ」

 

「カ、カカカカズマ! そんな私とルーちゃんが仲良しお似合いカップルだなんて言われても困ります!」

 

 いや落ち着いてくれめぐみん。そんなことは本当に言ってないぞ。

 

「え? お二人は姉妹と書いてカップルなご関係じゃないんですか? すごく仲良しに見えたので、てっきり百合な関係だとばかり。」

 

 おいそこの受付嬢! めぐみんの話に食いつくな!

 

 あんたのストレートはメジャーを狙える腕前なのは分かったから、火に油を注ぐのはやめてくれ!

 

 パーティメンバー同士で恋愛関係とかになったら、なんか気まずいだろ。……いや、でも身近で百合が見られるのは少し嬉しいような。

 

「げほっ。俺の意識がまだ残っているうちに、聞かせてくれないか。つまり、二人はいったいどういう関係なんだ」

 

 おいいいい! 何で血反吐吐きながら話に入って来るんだよアレクゥゥゥー!

 

 もう少しでアクアが来てくれるから! 安静に寝ておけよ!

 

「え、えっとですね。私とルーちゃんは、ですね」

 

 めぐみんも答えなくていいよそんな質問なんかに!

 

「腐れ縁と言うか、ただのご近所と言うか……友達、そう! 私たちは何の変哲もないただの友達なのです!」

 

 めぐみんはただの友達の部分をものすごい強調した。

 

「腐れ縁、ご近所……うぐ……ただの、友達。……そっか、ただの……友達……ひっく……」

 

 悲しそうな声のした。めぐみんの膝を見ると、ルミカが涙目になっており、今にも泣き出しそうである。

 

「違うのですルーちゃん! これは言葉のあやってやつで、全然私の本心なんかじゃないんです! 突然変なことを聞かれたので、恥ずかしくて咄嗟に言い訳してしまいました。私はルーちゃんの可愛いところもドジなところも大好きで、親友だと。姉妹みたいだと思ってますよ。出来ればこれからもずっと一緒にいたいと思ってるんですだからごめんなさい嫌いにならないで下さい! ルーちゃんに嫌われたら私は……私は……ひっく」

 

 膝の上のルミカの頭を激しく揺すり、めぐみんは泣きながら自分の発言を詫び始めた。

 

「ぐす……あり……がとうめぐみん……嬉しいんだ……けど……やめっ……ヤメロォー」

 

 めぐみんの気持ちを聞き嬉しそうにするルミカだったが、グワングワンと頭を揺らされ顔色がどんどん悪くなっていく。そんなルミカの助けを求める声は、必死に謝るめぐみんには届かず。

 

「くー、俺は感動した! 仲直り出来てよかったな……最後にこんな美しい友情が見られて…俺は幸せだったぜ」

 

 1人は友人に嫌われそう的な意味でこの世の終わりみたいな顔で必死だし。

 

 もう1人は気持ち悪さで吐きそうどうしよう的な意味で乙女のピンチを必死に耐えてるんだが。……この様子を見たら、普通感動は出来ないと思う。

 

 俺と受付嬢さんは、めぐみんがルミカを泣かせる原因となる一言を放ったくせに、なんか幸せそうに瞼を閉じ動かなくなったアレクをゴミでも見るように見つめていた。

 

「カズマさんカズマサン! 何か用? さっき私のこと世界一美人で芸達者な女神様って呼んだでしょ?」

 

 人垣をかき分けてやって来たアクアの回復魔法によって、アレクは助かった。

 

 いや、俺も最初は助けようとしてたさ。だけどな、後で俺がいない間に起こった騒動を聞いたら。

 

 やっぱ助けなきゃ良かったと後悔した。何故ならギルドを混沌の渦に巻き込んだ原因は、ルミカとアクアの宴会芸対決と言う名の姉妹喧嘩だったのだから。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「もうルミカってば。私の回復魔法は酔い止めの薬じゃないんだからね。女神様のありがたい祝福なんだから」

 

 私に膝枕をしながら『ヒール』を掛けてくれるアクアは、そんなことを言っていたが妹を看病できて少し嬉しそうだった。

 

「ふぅ。気持ち悪くて死ぬかと思った」

 

 ありがとうアクア。

 

 アクアが回復魔法を掛けてくれなかったらめぐみんの膝を借りて休んでいた私は、乙女的にも友人的にもヒドイ事故を起こすところでした。

 

 ギルドで爆裂魔法を撃とうとしていた私を体を張って止めてくれたし。

 

 アクアは本当に良いお姉ちゃんだよ。でも次は絶対。あなたを宴会芸で倒して見せる!

 

「良かったですねルーちゃん。乙女のピンチが回避できて」

 

 ちなみに私の下半身はアクアの隣の席に座っているめぐみんの膝の上に乗せられている。

 

 何なのこのダブル膝枕状態? イスとか床よりは全然柔らかくて寝やすいんだけど、大丈夫かなこの姿勢……パンツ見えないよね?

 

 今……別の意味で乙女のピンチかもしれない。

 

「いやいや。元はと言えばめぐみんがガクガクしたせいなんだけど」

 

 でも、私に嫌われたくない一心でめぐみんが必死になってくれたのは……正直うれしかった。恥ずかしいから絶対言わないけど。

 

「ねえカズマさん? どうしてカズマさんにスキルを教えてくれるって言ったその子は泣いてるの? 何でカズマさんを睨んでるの?」

 

「……気にしないで……私はただカズマ君にパンツ盗まれただけだから……惨めだな……泣きたい」

 

 アクアからの質問に答えたクリスちゃんは、なんだか頭からキノコが生えそうなくらいじめじめムードだった。

 

「何口走ってんだクリス! 俺は自分のパンツの値段は自分で決めろって言っただけだ! いや、だいたい合ってるけど! 待ってくれ違うんだ!」

 

「クズですね」

 

「クズね」

 

 めぐみんとアクアが言い訳するカズマに冷たい目を向けている。まったく、カズマは何をしてるんだか。

 

「待ってよ二人とも! カズマはそんなことしないはず。仲間を信じてあげようよ!」

 

「ル、ルミカ」

 

 私の言葉を聞いて、感激するカズマ。私は彼を安心させるように微笑んだ。

 

「カズマ。やってないと自分では思ってるんだよね。うん、私は分かってるからね。カズマがそう思うならきっとそれが正しいはず。あなたの頭の中ではその通りなんだよね。大丈夫だよカズマ。私はカズマがお勤めを終えるのを信じてる。私たちずっと待ってるから」

 

 私は上げて落とした。ちなみにこれはめぐみんに爆発するポーションについて問い詰められた時、カズマに裏切られた仕返しだったりする。

 

「全然信じてねえじゃねえかお前!」

 

 いやだってクリスちゃん泣いてるし。どんな理由でも、女の子のパンツ剥ぎ取るのはだめでしょ人として。

 

「べーっだ!」

 

 周りの女性冒険者たちから冷たい目で睨まれあわあわするカズマを見て、クリスちゃんは舌を出していた。思ったより落ち込んでいなくて良かったと思う。

 

「それで? 結局カズマはスキルをきちんと教えてもらえましたか?」

 

 めぐみんのその言葉に、カズマは不敵に笑った。

 

「バッチリだぜ、見てろよ? 行くぜ、『スティール』っ!」

 

 カズマが叫び、めぐみんに右手を突き出す。

 

 何と言うことでしょう。その手にはしっかりと黒い布が握られているではありませんか。

 

 そうです、おパンツ様です。360度どこから見ても、女性用のおパンツ様です。本当にありがとうございますぶっ殺してやろうかこの男!

 

「……カズマ…私今手持ちが6万5000エリスしかないんだけど、これで足りるよね?」

 

 めぐみんのパンツを奪還するは我にあり!

 

 私はアクアとめぐみんの上から起き上がり、カズマに財布を差し出した。さようなら、今回のクエスト報酬含めた私の全財産。

 

「……ル、ルーちゃんが、わ、私のパンツを欲しがっている? お金を出してまで、ルーちゃんは私のことが、……いや早まってはだめです、ごにょごにょ……」

 

 顔を赤くしてもじもじとするめぐみん。何かぼそぼそ言っているけど、きっとパンツがなくて不安で恥ずかしいのだろう。

 

「なっ! 何をする気なのよルミカ! 友達の下着をお金で買おうだなんて! お姉ちゃんそう言う特殊なのはあなたには早いと思うの! 考え直して」

 

 いや、アクアこそ何を言ってるの?

 

「そ、そうだぞルミカ! 早まるな! 今ならまだ引き返せる!」

 

 いきなり仲間にスティールとか、早まったのはカズマだと思うのは私だけでしょうか。

 

「二人とも何言ってるの? パンツの値段は自分で決めろってカズマが言ったんでしょ? でもね、めぐみんはただでさえお金がないんだよ。そんなめぐみんから今日のクエストの報酬を根こそぎ奪い取る気? そうしたら宿にも泊まれなくなっちゃうじゃん。なら誰かが代わりにカズマにお金を出すしかないよね。私の親友のパンツはそんなに安くないよ、だから今持っている全財産を出すね。私なら大丈夫、知り合いの店にでも泊めてもらうから」

 

「アクア、俺たちって……心が汚れてるな」

 

「そうね、私たちが間違ってたわ」

 

 よく分からないけど、私の説明が悪かったのかな? 2人とも落ち込んでしまった。

 

「……あの、スースーするのでいい加減パンツ返してください……恥ずかしいので」

 

 めぐみんにそう言われたカズマは、私のお金を受け取らず慌ててパンツを返した。クリスちゃんにもあっさり返してあげれば良かったのに。

 

 しかし、さっきから違和感がする。何故かめぐみんの言葉が引っかかるんだよね。

 

 私は大切なことを忘れているような気がする。背筋が冷えるようなこの感覚は、まさか! 私は組織に狙われている?

 

「おかしい、スティールはランダムに1つ持ち物を奪うだけのはずなのに。まさか、これが俺の幸運の高さ?」

 

「あれですか? 冒険者はレベルアップしてステータス上がるとクラスが変態になるんですか? カズマは下着専門の盗賊にでもなるつもりですか?」

 

 あっ、分かった。これはやばい。乙女としてこれはないわ。

 

 背筋が冷えるような感覚。めぐみんのスースーする発言に違和感。

 

 間違いない。私、今パンツはいてない!

 

 どうやら頭がふわふわしていたせいで、お風呂に忘れてしまったらしい。

 

「なんと言う外道! なんて言う鬼畜! 公衆の面前で少女からパンツを剥ぎ取るなんて騎士として人として女として許せない! ならば私が彼女たちの盾となろう! だから私をぜひこのパーティーに」

 

「断る!」

 

 良いことを言っているダクネスさんの申し出を、カズマはあっさり断った。

 

「くっ、だがあなたのスティールが本当に故意ではないか分からないと、女性冒険者たちが納得出来ない! そこでどうだろう? もう一度だけスティールをやって見てほしい。安心しろ、私は逃げも隠れもしない! さあ、私のパンツを公衆の面前で剥ぎ取るがいい!」

 

 自分の欲望もあるんだろうけど、ダクネスの言うことにも一理ある。……なんか面倒な展開になりそう。

 

 カズマが私に助けてほしそうな視線を送っているが、ここは無視。時間が掛かりそうだし、カズマには悪いけど私は今からパンツの回収に行かなければならないのです。

 

「じゃあ、私」

 

「えらいわルミカ! 見知らぬクルセイダーの人を庇うために、自分から実験の被験者に名乗り出るなんて! 勇者よ、ここに今勇者が現れたわ!」

 

 ちょっと用事思い出したから席外すねと続くはずだった言葉は、アクアの大声にかき消された。

 

 ちょっと待って! どうしてそうなるの?

 

「ちが、違うの! 私はそんなつもりじゃなくて」

 

 このままではまずい。私は必死に否定する。

 

「ええ、大丈夫よルミカ。何も言わなくても分かってるから。お姉ちゃんには、あなたの気持ち、ちゃんと伝わってるからね。カズマさんの冤罪は仲間である自分の手で証明したいんでしょ?」

 

 まだ私何も言えてないし! 何一つ伝わってないよ!

 

「さすがはルシフェリオン・ミッドナイト・カタストロフィだ」

 

「ルミカちゃん、女の敵をやっつけて」

 

「まったく、お嬢ちゃんには何かあると思っていたが。俺の目に狂いはなかったぜ」

 

 アクアの早とちりを、周りの冒険者たちも信じ込んでるし! 何これいじめ? 最後の人の目は確実に狂ってるよ、泣きたい。

 

「待つんだ! ルミカにスティールだけはまずい! ルミカは盗賊殺しのカウンター能力を持っている! アレをやられたクリスはしばらく外に出られなくなったんだぞ! だから私が代わりにスティールを受ける!」

 

 きっと私を庇ってくれたんだろうけど、ダクネスさんが何を言っているのか分からない。そんな能力ないんだけど。

 

「ルーちゃん、女は度胸です。大丈夫、私が慰めてあげます」

 

 度胸なんていらないから、助けてめぐみん。……私もめぐみんと同じ目にあえばいいと思ってない?

 

「さあルミカ!めぐみんとクリスのあだ討ちよ!女のパンツは男にやるほど安くないって所を見せてあげなさい!」

 

 アクアには、後で絶対地獄を見せてやる。

 

 私のゴッドフィンガーを受けて見ろ! 私の足裏マッサージを受け、あなたが涙を流し許しを請う姿が目に浮かびます。

 

 そして足裏を揉まれ健康になったアクアは、このルミカ様に平伏するのよ! 勘違いしてごめんなさい、そして健康にしてくれてありがとうと。

 

「すまんルミカ。こうなったらやるしかない」

 

「待ってカズマ! 今回は本当に待って! 今はマジでやばいの!」

 

 現在の私は装備品が少ない。デスメテオは壊れて鍛冶屋に預けたし、ポーションは使い切っている。

 

 財布もカズマに返してもらったあとはローブに入れず、テーブルに置いている。

 

 私に膝枕をする時に、胸当てもめぐみんによって外されていた。

 

 今の私はノーパンローブで、マントとブーツと腕の包帯と髪ゴムと篭手と短剣しか装備していない!

 

 パンツを取られる方がまだ救いようがあった。もしスティールでローブを取られた場合……私は包帯で裸マントとか言う完全な変態にジョブチェンジしてしまう。

 

 ……こんな事態になるなら、着替えるの素直に手伝ってもらえば良かった。

 

「行くぞルミカ! 俺は準備完了だ!」

 

 こうなったら、先手必勝!

 

「死に腐れこの乙女の敵め!」

 

 カズマに目掛けて短剣を全力投球した。

 

「『スティール』って危なっ!!」

 

 カズマのスティールは大成功! 彼は私から奪った金属製の篭手で見事に短剣をガードしたのだ。

 

「ちっ、さすがカズマ。運の良い男だね」

 

「おい! 今俺に攻撃出来なくて舌打ちしただろ! おいこらこっち向け」

 

「……何を怒ってるのカズマ? 私が仲間を全力で攻撃するはずないでしょ。私はカズマの運のステータスを信じてたよ」

 

 カズマがピンチになれば短剣をガードできる篭手が奪われる確率が上がるかなと思って、全力で攻撃してなんかいないんだからね。

 

「でも良かったじゃんカズマ。これでカズマのスティールが真っ当なスキルだって証明できたよ? もちろん、ルミカちゃんはカズマを信じてたけど」

 

「めぐみん、あの時のルミカの目。かなりマジだったわ」

 

「間違いなく、スティールの発動を阻止するために短剣を全力投球してましたね」

 

 聞こえない。アクアとめぐみんの話し声なんて聞こえない。

 

 でも怖いからカズマには後でちゃんと謝っとこう。

 

『緊急クエスト! 緊急クエスト! 街の中にいる冒険者の各員は、至急冒険者ギルドに集まってください! 繰り返します。街の中にいる冒険者の各員は、至急冒険者ギルドに集まってください!』

 

 それは、街中に響く大音量のアナウンス。

 

 それは新たなる戦いの幕開けのアイズ。

 

「ごめんカズマ! 私ちょっと用事が出来ちゃった! キャベツ狩ってくる!」

 

「こら待てルミカ! まだ話は終わってないぞ! キャベツを買うなんて言い訳が通用すると思ってんのか」

 

「カズマさんは知らないと思うから説明するわ。キャベツってのはね」

 

 カズマとアクアが何か言ってるけど今は後回し。キャベツの収穫で街が戦場になる前に、お風呂のパンツを取りに行かなければ!

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「やるわねダクネス! さすがクルセイダー! あの鉄壁の守りはさすがのキャベツ達も攻めあぐねていたわ」

 

「そ、そうか。アクアの方がすごかった……多くの冒険者グループに的確に回復魔法を飛ばす姿はまるで女神のようだったぞ。私なんて硬い点以外は不器用で、誰かの壁になるのがやっとだ。それよりも私はめぐみんの爆裂魔法に感激したぞ。キャベツを追いかけて来た大量のモンスターがゴミのようだった」

 

「ふふ、我が必殺の爆裂魔法の前において、何者も抗う事など叶わず。……それよりも、私はカズマの潜伏スキルと敵感知を使っての暗殺者のような戦いっぷりに驚かされました」

 

「4人ともすごいよ。私なんて全然活躍出来なかったし」

 

 パンツを取りに行ったら、けっこう出遅れちゃったから焦ったよ。

 

「いや待て! アクアたちは疑問に思わないのか! 俺はルミカが一番おかしな戦い方をしてたように見えたぞ」

 

 何を言うのかなカズマは。私の行動のどこにおかしな点があったの?

 

「空気読んで! ルミカの収穫方法は確かにバカっぽかったけど、結果はきちんと出てたんだからいいじゃないの! あえて私たち言わないようにしてたんだから。カズマさん空気読んで!」

 

「やめてアクア! 自分でも少しだけバカなことしたなって自覚はあるの! 私の心にグサっと来るからやめて!」

 

 あの時はあれがナイスアイディアだと思ったんだもん。

 

「いきなり拡声器からルーちゃんの声が聞こえたので、びっくりしました。危うく爆裂魔法の狙いが逸れて、街に被害が出る所でした」

 

「私のせいでアクセルがピンチだったの!?」

 

 危うく借金地獄に落ちるところでした。これ以上迷惑かけたら、カズマがストレスでハゲになっちゃうかもしれない。

 

「めぐみんが驚くのも無理はない。いきなり大音量で『アクセルにいるキャベツ諸君! お前たちの仲間はこのルシフェリオン・ミッドナイト・カタストロフィが預かった!』などと聞こえたら、誰だって驚く」

 

「まさか、キャベツ相手に人質(?)を用意するとか予想外すぎるだろ」

 

 そんな可哀想な子を見るような目で、こっちを見ないでほしい。私だって必死だったんだよ。みんなから大分出遅れて、焦ってたんだから!

 

「ダクネスもカズマも、そんな呆れなくても良いじゃない。実際怒ったキャベツたちがギルド前に集まったんだから。かなりヒドイ光景だったけど」

 

 アクア、フォローしてくれるなら最後までちゃんとやってほしいんだけど。

 

「ヒドイことなんてしてないよ! ただ私は、捕まえたばかりの新鮮なキャベツをまな板に押さえつけて包丁で千切りにしようとしただけで! 全然悪気はなかったもん!」

 

 嘘は言っていません。食欲はあったけど、悪気はありませんでした。

 

「ルミカがキャベツをおいしそうに丸かじりにしたのが、最大の挑発になったな。仲間を無残に殺されたキャベツたちが一斉にルミカに襲い掛かった時、私は正直キャベツを応援したくなったぞ。もちろん、危なそうなら助けに入るつもりではいたがな」

 

「本当にルーちゃんがキャベツにやられたら、どうしようかとハラハラしました」

 

「ダクネスもめぐみんも心配してくれてありがとう。私も絶対うまく行かないと思って油断してて、正直死ぬかと思ったよ」

 

 キャベツに殴り殺しにされるとか、本当に笑えない。

 

「まさか宴会芸で鍛え上げたジャグリングが、私を一流のキャベツハンターにしてくれるなんて! これも日々の練習の成果だね」

 

 丸いものが飛んできたので、反射的にジャグリングしてしまった私は悪くないと思う。

 

「飛んでくるキャベツをちぎっては投げ、ちぎっては投げ。スタイリッシュな宴会芸だったわ。でもそこで立ち止まってはだめよルミカ。芸の道は一日にしてならず。日々の積み重ねを大事にしなさい。さすれば芸人への道にまた一歩近づくわ! 私の名において『残虐なる野菜強盗』の称号を授けてあげましょう」

 

「分かったよアクア! 私、来年はジャグリングでキャベツ長者になって見せる! でも私がなりたいのは超強い魔法使いなのであって、芸人じゃないから!」

 

 後そのダサイ称号は本気でいらない。

 

「アクアは花鳥風月でキャベツの鮮度を保つし。ルミカはジャグリングでキャベツの攻撃を受け流して、回転させられて目を回した(?)キャベツを収穫するし。何なんだこの世界は! 宴会芸すらろくでもねえのかよ」

 

 カズマは宴会芸について悩んでいるらしい。もしかして、この人はあのダサイ称号がほしいのかも。

 

「では4人とも、これからよろしくな。名はダクネス。クラスはクルセイダー。一応剣を持っているが、女騎士のファッションみたいなものだ。攻撃は期待しないでくれ。なにせ、器用度が低過ぎて両手剣が全く当たらん。だが安心してくれ、壁になるのは大得意だ」

 

 ダクネスを観察すれば、巨乳になれる方法も見つかるかも。頼もしい仲間が増えて私とめぐみんはとても嬉しいです。

 

「よーし! 今日は初クエスト達成と新たな仲間との出会いに乾杯よ! 店員さん、から揚げ四皿追加で! それからシュワシュワもお願い」

 

「アクアお姉ちゃん! 私とルーちゃん、プリン食べたいんですが」

 

「めぐみんもルミカも遠慮しないで大丈夫よ! 今日はアクアお姉ちゃんがプリンでも何でもおごっちゃうわよ!」

 

 なんて悪女なのめぐみん! 都合の良い時だけお姉ちゃん呼びだなんて! そしてちょろすぎるよアクア。

 

 ちなみにこの後、ダクネスがから揚げにマヨネーズをかけると言う暴挙に出たので、めちゃくちゃ喧嘩した。今日もアクセルの街は平和です。

 




 から揚げに何かけるかは、ネットで調べたランキングのベスト5を参考にしたら、ダクネスが何故かマヨネーズ担当に。そもそもこの世界にマヨネーズはあるのかについては、アニメ題3話で女神様がマヨネーズ持ってこいと叫んでいたので多分大丈夫です。
 アクア様とルミカの宴会芸対決まで書くと長くなりそうだったので、そのうち番外編で書きたいと思っています。

 次回は遅くても2月の初めには投稿します。

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