東方無集録   作:生きる死神

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はーいどーも生きる死神です。

真也「温泉回かー」

こいし「といってもたぶん予想しているのとは違いそうだけどね」

また、温泉だからってラッキースケベやらほのぼのするわけじゃないしね。
どっちかっていうと、ちょっとした説明回チック。

真也「そーだねー」

こいし「そろそろ始めよ?」

そうだね。

それでは

「「「スタート」」」


たまには温泉に行こう! 前編

 

 

 

いつも通りに遊んで帰ってきた真也とこいし。

2人は真也の部屋で話そうという事で向かっていた。

すると、彼の部屋の前にさとりがいた。

 

さとり「あ、お帰りなさい。2人とも」

 

こいし「ただいま! 何してるの?」

 

さとり「たまには温泉に行って体でも休めようかなって思ったの。それでお燐とお空も連れて行くから、2人にも声をかけようと思ってたんだけど、いるか分からなかったのよ」

 

なるほどー。 と、呟き頷く真也は特に何も言わなかった。こいしは行くのか行かないのかよく分からなかったが、特に行きたくないなどとは行ってないので行くんだろうなと思っていた。

 

さとり「それで、今から行くけど大丈夫かしら」

 

彼の反応に何も言わないさとりだったが、こいしと同じようなことを考えていたので気にしてもいなかった。

 

2人は1つ頷き互いの部屋に別れて準備をしに行った。

 

 

 

 

真也「ここが地底の温泉かー」

 

こいし「あれ? 来るの初めてだっけ?」

 

温泉についた地霊殿組一行。真也はこいしの質問に頷いて答えると、先を歩いていたさとりに声をかける。

 

真也「さとりー。ここって男女別れてるよねー?」

 

さとり「えぇ。もちろんよ。いくら幻想郷に女性が多いからって、男性用が無いわけではないわ。安心してちょうだい」

 

その答えにホッとした真也は番台の説明を流し聞きしながら、別のことを考えていた。

 

真也「(これで混浴だと僕の目のやり場に困るからねー。あーでもー、こい……いやいや、そんなこと考えない考えない)」

 

途中で良くない方向に思考が向かいかけたので軽く頭を振って雑念を払う。

しかし、さとりへの質問を耳聡く聞いていた者がいた。

 

お燐「おや~? もしかして、こいし様と入れなくて残念ー、とか考えてたり~?」

 

真也「そ、そんなことないよー!」

 

近付いてきたお燐は小声でそう言うと、彼は珍しく声を少し大きくして慌てて否定した。

が、その時に顔が赤くなったのがばればれだったのでさらに何かを言われることはなかったものの、お燐はニヤニヤしながら真也の元を離れていった。

 

そんなことない、そんなことないと呟いている真也に今度はこいしが近づいてくる。

 

こいし「ねぇ……真也。……お燐が言ってた事って、本当なの……?」

 

どことなく悲しそうな雰囲気を漂わせるこいしに真也は口ごもってしまうが、彼女の表情に耐えられなくなった彼は少し恥ずかしそうに口を開く。

 

真也「……本当は、入りたいけどさ。僕の目のやり場に困るというかなんというか。入りたくないわけではないんだけど……その、ね」

 

なんとか伝わって欲しいという思いも込めてこいしに、視線を送る。それを聞いて、送られてきたものを受け取った彼女は頬を赤く染めながらニコッと笑った。

 

こいし「ありがとね、真也。……じゃあ、また後でね?」

 

いつの間にか2人だけになっていたことに気付いたこいしは、それだけ伝えると女湯の方に向かっていった。

それを見送った後、まだ顔の赤い真也も顔を少し振って男湯に向かった。

 

 

 

 

 

軽く身体を流し、温泉に浸かる。

真也達が帰ってきたのが9時頃だったため、準備諸々を含めて温泉に着いたのは9時半頃。

時刻的には人がいないこともなさそうだが、本日は外で宴会でも行われているのか、男湯は人がまばらだった。

 

真也「んー。温泉なんていつぶりかなー。向こうにいたときはそんなゆっくりしてる暇無かったからなー」

 

気の抜けた表情で温泉を堪能する。

周りに人がいないのでほぼ貸し切りとも言える状況であった。

誰の視線を気にすることはないので、のびのびと入ることが出来た。

 

誰もいないこと、それは真也にとってまた別の意味だった。

 

真也「……1人なのは久しぶりかなー。いつもはこいしといたしー」

 

いつか言った言葉を思い出す。

 

『1人と独りは違う』

 

向こうの世界でいつも独りだった彼にとって、こちらの世界であった大好きな彼女や似たような境遇を通ってきた友人達と出会えたこと。それはその言葉をまんま変えたことになる。

こちらに来てから真の意味での独りになることは無くなった。

それもすべてはこちらに来たから、来れたから。

向こうにいたら今頃何をしていたかなんて、想像するのも容易いものだった。

 

今の彼は周りに人がいない『1人』である。

人がいないだけなら、人のいるところに行けばいい。

しかし、彼には能力が、忌避される能力があったから。

彼はどこに行っても独りであった。

『独り』であり『1人』だった彼にとって、こちらの世界の自身を忌避せず、普通に接してくれて、笑みを向けてくれて、自分を理解してくれる。

 

そんな人たちに会えたことだけですでに彼は幸せだった。

この日常が好きだった。

 

真也「……みんな、優しいな」

 

思考がどんどん深くなるのを抜け出して、ただ呟く。

 

しばらく何も考えずに湯船に身を任せてぼーっとしていた。

水面を見て、時折波紋が現れるのを無心で見ていた。

 

ふと、入る前にあった看板に、露天風呂があることを思い出した。

 

真也「んー、露天風呂も行ってみよっかなー」

 

軽く手を開閉させてから湯船を出て外に向かった。

 

 

 

 

 

露天風呂がある外に出た真也、湯煙が上がる中に先客が4人。

 

真也「へー、露天風呂はこんな感じなんだー……んー?」

 

軽く全体像を見ていた彼は、聞き覚えのある声が聞こえてくることに気付く。

 

お空「うにゅー、ちょっと熱いよぅ」

 

さとり「あら、少し涼んだらどう?」

 

こいし「うーん、お空には熱いのね」

 

お燐「あ、こいし様。来ましたよ」

 

先客は先ほど別れたこいし達。

鹿威しの音が響く中、仲良く談笑していたところ、お燐が待ち人が来たことに気づき声を上げた。

 

真也「あれー? ここって混浴だったのー?」

 

さとり「あら? 聞いてなかったかしら? ここは混浴もあるって番台さんが説明してたわよ?」

 

首を傾げた彼にさとりが答えると、説明を聞き流していたことを思い出した。

 

お燐「もしかして、違うこと考えてて話を聞いてなかったんじゃ~?」

 

真也「だ、だからー、違うよー!」

 

にやにやしながら悪い笑みを浮かべているお燐は、慌てている真也の様子にさらに笑みを深める。

 

こいし「いつまでそこにいるの? 入らないの?」

 

今言われたとおり、真也は入り口からほとんど動いていなかった。

入り口でのこともあって入りずらそうだった真也だが、こいしがじーっと無言の圧力をかけてきたので、ちょっと顔を赤くしつつも入ることにした。

 

真也「そ、そういえばさー、待ち人がどうこうって聞こえたけどどういうことー?」

 

一応タオルを巻いてはいるがそれでもあまり見ないように、目線は定まっていない。どやされるのがイヤで話を逸らそうとしたようにも見えた。

実際、それに気付いている3名(気付いていない1名はボケている模様)はにやにやしているが。

 

さとり「あぁ、それはね。ちょっと聞きたいことがあってね」

 

真也「聞きたいことー?」

 

なんだろうと少し考える彼に3人は少し顔を見合わせていた。

 

さとり「じゃあ、私からよ。前々から寝てることが多いとは思ってたんだけどね? 最近さらに寝てる時間延びてない? 大丈夫?」

 

真也「あー、それはねー」

 

彼が言うには取り戻したものーー今なら『感情』『関心』『情』ーーの数で強力な“無”を使ったときの疲労の具合が変わるらしい。

向こうにいたときは何も無かったので、疲労は感じていなかったらしい。

こちらに来て、感情を取り戻してから疲労を感じるようになったとのこと。

 

真也「1つだと1日ー、2つだと2日ー、現状の3つだと4日みたいだねー。倍々で増えていくのかなー、そしたら『心』を取り戻したらー1週間とかあり得るかもー」

 

さとり「そういうことだったのね。そしたら、心を取り戻したらあまり不用意には能力は使えないわね」

 

そうだね。 そう頷くといつもの笑みを少し深めた。

その変化に気づけたのは、いつも一緒にいるこいしだけだったが、何故いつもと違ったのかは分からなかった。

 

さとり「そうだ、もう1つあるのよ。

 

    いつこいしと結婚するの?」

 

真也こいし「「!!??」」

 

お燐「おやおや~? そんなに驚いてるって事は考えてなかったのかな~?」

 

お空「うにゅう? 家族増えるの?」

 

唐突に落とされた特大の爆弾に真也とこいしは顔が真っ赤でもはや蒸気が出ているように見える。

お燐は満面の笑みで悪い顔をしているし、お空は素で爆弾を増やす。

 

頭の片隅にあったとは言え、自分で考えたり言うのと、他の人に言われるのでは心持ちが全く違った。

 

真也「え、えーとー。あのー、うーん、そのー」

 

上手く言葉の出てこない彼はあたふたとしていて、見ていて何故か癒されるようだった。

何も言わないこいしも顔は真っ赤でなにやら「結婚……家族……」と呟いていた。

 

さとり「しないの?」

 

真也「い、いやね? 僕外の世界だとまだ結婚出来る年齢じゃないからさー? せめて出来る年齢なってからかなーってね?」

 

さとり「いや、あなたお酒飲んでたじゃない。お酒は外だともっと年を取っていないといけないんでしょう?」

 

完全にさとりに論破されてしまった真也はぐうの音も出ないようで、顔を赤くしながら少しぷるぷるしている。

こいしは相変わらずである。

 

さとり「あなた達のことだから特に急かすわけではないけど、もし、するんだったら、こいしのこと、よろしくね?」

 

真也「え、あ、うん。もちろん。分かってるさ」

 

先ほどまで少し意地の悪そうな顔をしていたさとりの顔は、今ではたった1人の肉親の幸せを想う姉の顔になっていた。

 

彼も顔を赤かったがそれでもちゃんと答えた。何まで言うことはなかったが、その言葉の中にさとりの想いを感じ取りながら。

 

さとり「ふふふっ、ならいいわ」

 

そう言うとさとりは少し逆上せてきたのだろうか、湯船からあがり近くのベンチで涼み始めた。

 

お燐「じゃあ、あたいからも質問。たまーに真也とこいし様を命蓮寺で見るんだけど、遊んでないときもたまにいるよね? 何してるの?」

 

たまにお燐が命蓮寺にこっそりと行くときに、真也達を見ることがあった。その時に遊んでいることもあればそうでないときもあったのだ。

 

真也「あー、それかー。あれは聖によく誘われてるんだよねー。仏教のことでねー」

 

なんでも、彼とこいしの“無”というものが、仏教の理念に近いんだとか。

2人からしてみれば特にそういう気でいるわけでもなく、興味があるわけでもないので、いつもやんわりと断っているらしいのだ。

それでも聖は諦めてくれないらしいが。

 

お燐「あー、そういうことなんだ。確かに2人ともそういうことには興味なさそうだもんね」

 

真也「信じてないわけではないんだけどねー。僕には必要ないことだからねー」

 

そもそも、こいしといたいだけだからね。そう呟いた声は鹿威しの音ともに湯船に吸い込まれて消えていった。

 

お燐「にゃは。分かったよ」

 

それだけ言うとさとりの近くに行き談笑し始めた。

その様子を見て真也は楽しそうに笑みを浮かべた。




どうでしたか?

真也「このさとり……」

こいし「お姉ちゃん……」

さとり「なによ。そんなに結婚のこと聞かれたくなかったの?」

2人にも事情があるんでしょう。察してあげてください。

さとり「そうね。するってのは分かったからいいわ」

真也こいし「「むぅ」」

顔赤いなぁ。

さて、次回は温泉回後編、今度はお空とこいし、そして……?

次回まで

「「「ばいばーい」」」
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