もうね、書く時間もなくてね、時間が取れても疲れすぎて何も思い浮かばなくてね……
オソクナリマシタ。
ようやく『独自設定あり』のタグに触れる機会が出てきました。
そもそも宙に浮いてる人なので、こういうのもアリかなぁ、なんて。
ウルフギャングから手渡された包みは小さく、そして軽かった。ともすれば手の中に納まる程度のサイズでしかなく、中身を想像できなかったノエルは小首を傾げる。
「え、なにこれ、なんかヤバい薬とかじゃないでしょうね」
「いいや。俺は薬売りだが、そいつは俺の商売とは別の話だ。アイツは大分変わった奴だが、俺のダチでね」
ウルフギャングの言葉はノエルにとって寝耳に水で、驚きの表情を浮かべていると、それをむしろウルフギャングが不思議そうに見つめ返す。
「んん?なんだお嬢さん、Dr.クロッカーを知ってるのか?」
「え、んーん、そうじゃなくて。ドクターって言うからには医者なんでしょ、その人。キミとあんまり接点見えないなと思ってさ」
「お前さ、……今何気なく酷いこと言ってるの自覚してるか?」
ノエルの歯に衣着せない直球の言葉に、ウルフギャングは呆れ顔でため息をついて、頭を掻いた。
「……まあだが、そう思うのも無理はないか。なんつったって初見でレイダーかと思われるくらいだからな、お前……そう言えばなんて名前だっけ、お前?」
取ってつけたようなウルフギャングの質問に、今度はノエルの側が呆れたように嘆息するのであった。
「依頼する相手の名前くらい、もう少しスマートに訊きなさいよ。アタシはノエル。で、こっちはコズワース」
「コズワースと申します。ウルフギャング様、どうぞよしなに」
恭しく挨拶を返すコズワースに多少面食らいながらも、ウルフギャングは咳払いし、先の話題に戻った。
「心配なら開けてみてもいいさ。ただし、盗むんじゃないぞ」
そもそもノエル自身、包みの中身に興味があり。ウルフギャングの言葉にこれ幸いと包み紙を開けると、中に入っていたのは液体の入った注射器であった。
どう見ても先程の言葉と相反する代物が出てきたことに、ノエルは半眼でウルフギャングに問い返した。
「ウルフギャング、さっきヤバい薬とかじゃないって言ったわよね?」
「待て待て、早とちりするなノエル。そいつはアディクトールって言ってな、中毒を取り除くための薬だ」
当然、その中身がアディクトールであるかどうかなど、外見では判断できない。なのでノエルはその注射器を、Pip-Boyに収納した。
そうして所持品の中に追加された文字が『アディクトール』であることを確認すると、それをもう一度取り出して、頷く。
「そうね、確かにキミの言うとおりみたい。でもウルフギャング、どうしてこれをアタシに?」
「どうしてか、って?……そうだな、お前が『自分はお人好しです』って顔してるからかな」
彼にとって、恐らくそれは褒め言葉なのであろう。だがその言葉の対象となった当のノエル自身にはそうは聞こえなかったのか、若干の不満げな顔を見せた。
「ウルフギャング、……それ褒めてないでしょ絶対」
「ハハ、気を悪くしたなら悪かった。だがな、誰かの為に何かが出来る『お人よし』ってのは、ここ連邦じゃ失われて久しい才能なんだよ、ノエル」
荒廃した世界を生きてきたウルフギャングの言葉は、それが偽りの世界であるかどうかなどを微塵も感じさせない重さを持って、ノエルに迫る。
当然、その重さはノエルにも伝わり、ウルフギャングに返す言葉は、茶化すような口振りが大きく影を潜めた。
「……そんなに買われたら、なんか断るの申し訳なくなってくるじゃない。いいわよ、やるわ」
「そう言ってくれると思ってたぜ、助かる。もっともタダでやってもらおうってつもりもない。前金代わりにコイツをやるよ」
そう言ってウルフギャングが取り出したのは注射器ではなく、一本の瓶だった。ロケットを模したかのような特徴的な造形の瓶の中身は、青く光輝く不可思議な液体で満たされた、つい先程どこかで見た物と同じ……
「クアンタムじゃない!!」
思わぬ二本目の収穫に、ノエルの目の中に『Q』の文字が輝く。だがスタージェスの見せた気圧された感じと違い、むしろウルフギャングはその様子を見て、ニヤリと笑みを浮かべる。
「その反応は、交渉成立と解釈していいんだろうな、ノエル?」
「当然よ。おつかい一つでクアンタムがもらえるんだったら安いものだわ」
かくして交渉は成立し、ノエルは渡されたクアンタムを嬉々としてPip-Boyに収納する。その様子を見ながら、ウルフギャングは思い出したかのように手をポン、と打つと、もう一つ懐から何かを取り出した。
「あぁ、そうだノエル。もう一つだけお前に渡しときたいモノがあるんだ」
「―――え、なに。それは前金としての話、それとも依頼品の話?」
「まあ依頼品といえばそうなんだが、奴が必要なければそのまんま貰っちまってくれていいさ」
そう言って投げ渡したのは、先のアディクトールとは違い、細い筒状に象られた注射器であり。やはり中身の分からなかったノエルがPip-Boyに収納して確認すると、そこには『平和のシリンジャー』との文字が浮かんでいた。
それは特殊な銃の弾丸で、命中した者をしばらくの間沈静化させる物であったが、当然ノエルはその銃を持っておらず、弾丸としては使用できない。
「……ん、まあなんだかわかんないけど、預かっとくわ」
釈然としない様子ではあったが、ともあれノエルはそれを預かり、そしてウルフギャングは満足げに頷いた。
「オーケイ、よろしく頼むぜ、ノエル」
かくして契約は成立し、しばし休憩をした後に、ノエルとコズワースは再びダイヤモンド・シティへと向かうのであった。
「……ところで、ノエル様?」
ドラムリン・ダイナーを離れ、さらに南下するノエルとコズワース。道中他愛ない話を繰り広げた二人であったが、おもむろにコズワースが口を開くと、ノエルは歩きながら傍らのコズワースに視線を向けた。
「ん、どしたのコズワース」
「お伺いしたいのですが、一体何を飲まれているのです?」
コズワースのセンサーアイの一つは、ノエルの手にしたボトルを注視していた。ちょうどノエルの手に隠れて、ラベルなどはコズワースには見えなかったが、その答えはノエルの口から語られることとなった。
「フフーン、これよこれ。せっかくの旅なんだし、楽しくいかなきゃね」
ラベルに書かれた文字は、『グインネット・エール』。ゲーム中でも幾度となく入手する機会のある酒である。
「……もう二つほどお伺いしたいのですが、よろしいでしょうか、ノエル様」
「うん、ノエルちゃんとっても気分いいから、何でも答えちゃうわよ」
そんな上機嫌な様子のノエルの言葉に、コズワースのセンサーアイのシャッターが半分閉じられ、ノエルの側を向く。まるで、人間で言うところの呆れ顔のように。
「では一つ目の質問ですが、一体どこでそのお酒を手に入れたのかと」
「さっき、トルーディさんから売ってもらったわよ」
「いつの間に!」
コズワースの驚愕はもっともで、ノエルはその酒を買うときに、わざわざコズワースの気付かないタイミングで買い、かつそれを瞬時にPip-Boyの中へと収納していた。ガービーからもらった報酬のキャップはノエルのものであるとはいえ、『家庭用』であるコズワースに見つかれば、浪費を咎められると思ったからこその行動であった。
「……で、ではもう一つの質問ですが。……ノエル様、いま何本目をお飲みですか」
「えっと……9本目、あ、いや10本目だわ」
「どれだけ飲んでいるのですか!」
10本目 、と宣言して新たな瓶を取り出したノエルのその手にアームユニットを伸ばし、コズワースはビール瓶を器用に奪い取った。
「ああっ、アタシのグインネットちゃんが!」
「これは預からせていただきます。ノエル様の健康のために、です。……さあ、残っている分も私に」
そんな殺生な、と肩を落とすノエルの表情は、これまでにないほど落胆し、そしてしょぼくれたものであった。有無を言わせぬコズワースの剣幕に負け、渋々ノエルは残ったエールもコズワースに差し出す。
かくして家庭用Mr.ハンディであるコズワースに、ノエルの健康管理という新たな仕事が生まれた。
[Perkを取得しました:Party Girl ランク4]
・アルコール中毒になりません
・アルコールの効果が倍になります
・アルコールの影響下でLuckが3増加します
・アルコールのIntelligence減少効果を無効にします
・2本まで重ねてアルコールの効果を受けることができます
・アルコールの影響下での会話中、特殊な選択肢が出ることがあります
[グインネット・エールを没収されました]
コズワースのおさけ保管数:残り11本